推理将棋第60回出題(10月20日まで)
[2012年10月30日最終更新] 60-3解答、第60回出題当選者
※妙高仙人さんとはなさかしろうさんから、上級問題に余詰解を頂きました。粗検深くお詫び申し上げます。修正として「お互いに駒を打つ手があった」を追加させて頂きます(mixiにて同問題が出題された時の条件に戻った形になります)。なお、解答につきましては、作意・余詰とも正解とさせていただきます。(10月5日)
将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル、推理将棋の第60回出題です。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
解答、感想はメールで2012年10月20日までにTETSUまで (omochabako@nifty.com) メールの題名は「推理将棋第60回解答」でお願いします。 解答者全員の中から抽選で1名に賞品リストからどれでも一つご希望のものをプレゼント! 1題でも解けたらぜひご解答ください。
推理将棋第60回出題 担当 DD++
第60回は、チャンプさんから3題セットで投稿された問題です。3題共通の条件として、指し将棋なら「取る一手将棋」、フェアリー詰将棋では「強欲」と呼ばれる条件が設定されています。それは、駒を取る合法着手が存在する場合は必ず駒を取らなければならない、というもの。駒を取る手が複数ある場合はそのうちどれを指しても構いません。もちろん駒を取る手がない場合は自由に着手できますから、駒を取れる局面が一度も生じないと強欲なのに全く駒取りが発生しないという事態も起こりえます。
上級がかなりの曲者ですが、それを補うように初級中級で強欲ならではの着手を学べるような問題として構成されています。まずは最初の2問の解答を目指しましょう。先手だけ強欲という条件は13-1でも出題されているので、そちらもご参考に。
■練習問題
「さっきの将棋、▲56歩△52金左▲55歩△54歩▲同歩まで見てたけどどうなった?」
「成る手なく9手で詰んだよ、って言えば残りの4手は分かるよね」さて、残りの4手はどんな手だったでしょうか。
■本出題
- 60-1 初級 チャンプさん作 取る一手将棋!?(その1)9手 解答
強欲推理将棋ならではの6手目がポイント。 - 60-2 中級 チャンプさん作 取る一手将棋!?(その2)10手 解答
強欲推理将棋ならではの5手目と9手目がポイント。 - 60-3 上級 チャンプさん作 取る一手将棋!?(その3)11手 解答
チャンプさん「結構難しいと思うので会話に気持ちだけヒントを入れておきました(笑)」
■締め切り前ヒント (10月16日 DD++)
締め切り前ヒントです。
初級:▲54歩を△同歩とされないためには、後手側から歩をぶつけてやればよいのです。
中級:後手が最後に金を打てるように、先手は後手馬の利きにある駒をひたすらどけましょう。
上級:金銀歩のトドメは紐がつけられず、飛角香の離した王手に合駒なしも短手数の強欲では困難。
しかし「離れたところから合駒のできない王手をかけられる駒」が、ほら、8筋あたりにありませんか?
60-1 初級 チャンプさん作 取る一手将棋!?(その1) 9手
豪「駒を取れる局面では必ず駒を取るというルールで将棋をしようよ」
翼「了解、君が先手だ、お願いします」
豪「それじゃあ最初は▲58飛」
翼「原始中飛車か、それなら僕は△32飛」
豪「おっ、2手目32飛戦法とは流行の最先端だね」
翼「ふふ、当然だよ」
豪「しかしこれでどう?」
翼「あっ、たった9手で詰まされちゃったな」
さて、どんな将棋だったのだろうか?(条件)
- 9手で詰んだ
- お互いに、駒が取れる局面では必ず駒を取った
- 指し始めは▲58飛△32飛
60-2 中級 チャンプさん作 取る一手将棋!?(その2) 10手
豪「簡単に終わっちゃったね。もう一局同じルールでしようよ」
翼「了解、また君が先手だ、お願いします」
豪「おっ、今度は急戦か」
翼「ふふ、当然だよ」
豪「あ、しまった」
翼「よし、10手で詰まして勝ったぞ」
豪「いや~6手目の△47角が好手だったね」
翼「不成の手があったのも見逃せないね」
さて、どんな将棋だったのだろうか?(条件)
- 10手で詰んだ
- お互いに、駒が取れる局面では必ず駒を取った
- 6手目は△47角
- 不成の手があった
60-3 上級 チャンプさん作 取る一手将棋!?(その3) 11手
豪「これで1勝1敗か。最後にもう一局同じルールでしようよ」
翼「了解、またまた君が先手だ、お願いします」
豪「最後ぐらいは基本に忠実に・・・おっ?君もかい?」
翼「ふふ、当然だよ」
豪「これでトドメだ」
翼「あー、今度は11手で詰まされちゃったな」
豪「最後に駒を取って詰みとはツイてたね」
翼「駒を打ち合う乱戦だったけどやられたなー、今度は駒を成る手が無かったね」
さて、どんな将棋だったのだろうか?(条件)
- 11手で詰んだ
- お互いに、駒が取れる局面では必ず駒を取った
- 最終手は駒取り
- お互いに駒を打つ手があった
- 成る手は無かった
■練習問題解答
問題以下、△53金▲同歩不成△72金▲52金まで。
6手目以降でよく生じる手筋です。金や銀、あるいは大駒などを6手目に先手駒の利きへ移動、7手目に同と取り、8手目で形を整えたところへ9手目に打って詰み。9手以外でも最終4手でこのやりとりはかなりの頻度で発生します。
ちなみにこの手順も9手詰強欲手順の1つだったり。
推理将棋の問題も募集しています
このコーナーで出題する問題を募集します。入門用の易しい問題を歓迎。作者名、問題、解答、狙いなどを記入して「推理将棋投稿」の題名でTETSUにメール(omochabako@nifty.com)してください。
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コメント
「駒を取れる局面では必ず駒を取るというルールで将棋をしようよ」という会話文ですが、詰みの局面は「駒を取れる局面ではない」という解釈で良いですよね。つまり初形から、26歩、24歩、25歩、42玉、24歩、32玉、23歩成、の局面では「駒を取る手」は次に23同玉しかありませんが、飛が利いているので「駒を取れる局面では必ず駒を取るというルールにより詰み」とはせず、23には飛が利いているので「駒を取れない」と解釈する、という意味です。
投稿: 渡辺 | 2012.10.05 01:36
「強欲」=駒を取る合法着手が存在する場合には必ず駒を取らなければいけない
とDD++さんが冒頭で定義づけしているので、23同玉は合法着手ではない=渡辺さんの解釈でOKだと個人的には思ってます。
ちなみに条件文に「お互いに、駒が取れる局面では必ず駒を取った」とあると、途中手で「玉しか効きのないところへのひも付き駒打ち」が生じた場合は余詰になるのでしょうか?
投稿: はらたっと | 2012.10.05 10:10
渡辺さんの解釈で合っています。
おっしゃる局面において23同玉は敵駒の利きに玉を移動することになってしまうため合法着手ではありません。
ですのでこの局面において後手には駒を取れる着手は存在せず、8手目は自由に着手してよい(といっても王手回避義務があるので42玉しかありませんが)ことになります。
# 渡辺さんの提示手順では4手目に条件違反をしていますが、それはここではおいておきます。
詰みというのは駒を取る王手解除手段も駒を取らない王手解除手段も一切存在しない状態のことなので、
この強欲という条件は詰みかどうかの判断には何ら影響しないことになりますね。
例えば以下のような場合は駒取りが可能そうに見えても実は不可能であり自由着手できますので参考情報として列挙しておきます(作意に至るヒントとは限りません)。
・駒を取る手では現在かかっている王手の解除ができない。
・玉の利きに敵駒があるが、その駒には紐がついている。玉以外の自駒の利きに敵駒はない。
・敵駒に利きを持つ自駒が1枚だけあるが、それを動かして駒を取ると相手の飛角香の利きが通って自玉に直射する。
・これらの組み合わせや、その他似たような状況。
はらたっとさんのご質問はこの2番目ですかね。
紐付きで打たれた駒はもちろん玉では取れませんので、駒取り義務の選択肢からは外れます。
他に駒取り可能な箇所が1つもない場合、あるいは駒打ちが王手であって駒取りによる解消手段がない場合は、どうやっても駒を取ることができないわけですから駒を取らない着手をしてかまわないわけです。
投稿: DD++ | 2012.10.05 11:49
DD++さん
詳しい解説ありがとうございます。
やはり、文言としては記載していなくても
「お互いに、(合法的に)駒が取れる局面では必ず駒を取った」という意味だということですね。
本HP「おもちゃ箱」のようにルールコメント付で出題される分にはいいのですが、
単独で問題文だけでると23同玉は条件通りだと解釈する人がいてもおかしくないので、
渡辺さんはそれを危惧して質問したのではないかと勝手に推測します。
投稿: はらたっと | 2012.10.05 14:34
推理将棋は言葉のパズルなので、普段その言葉をどう使うかで考えていただければ、ということですね。普通に指している将棋でこの局面になって「よし、玉でと金が取れるぞ!」と言う人はまずいないと思います。(もしいらっしゃったら私の見込みが甘かったということになりますが……)
この条件で補足が必要なのはどちらかというと「駒を取れる局面が1回もなかった場合は条件を満たしたといえるのか」の方ですね。この言葉は「もし駒を取れる局面があったら取っていた」というニュアンスでも使う人と、「取った、なのだから最低1回は実際に取った上で使う言葉だろう」と主張する人、両意見があるだろうと思いますので。今回は出題前コメントで書いたように前者です。
投稿: DD++ | 2012.10.05 21:51
「よし、玉でと金が取れるぞ!」と言う人はいなくても(良くないので...)「玉でと金が取れるか」と聞かれれば「取れる(けど反則だ)よ」と答える人は居ると思います。逆に「駒を取れる局面では必ず駒を取るというルール」という書き方になっているので「駒を取れる局面」の存在が不必要であるのは明らかと思います。
投稿: 渡辺 | 2012.10.06 01:45
「取ったら反則だよ」は確かにいるだろうと思いますが、「取れるけど反則だよ」はいるんでしょうかねえ。
というかそもそも「やるとルール違反である」ことを「できない」と言うのでは?「金を斜めに引くことはできない」といえば、「物理的に動かせない」意ではなく「動かすとルール違反である」意ですよね。「取れるけど反則」の理屈でいくと「金を斜めに引くことはできる(けど反則)」「歩がある筋にもう1枚歩を打つことはできる(けど反則)」などいろいろ無茶苦茶な表現がまかり通ることになりますが……
後半に関しては会話文の方の表現ならそうですね。はらたっとさんは条件整理した方の文ベースで話をされていましたので。
投稿: DD++ | 2012.10.06 09:17
締め切り前ヒントです。
初級:▲54歩を△同歩とされないためには、後手側から歩をぶつけてやればよいのです。
中級:後手が最後に金を打てるように、先手は後手馬の利きにある駒をひたすらどけましょう。
上級:金銀歩のトドメは紐がつけられず、飛角香の離した王手に合駒なしも短手数の強欲では困難。
しかし「離れたところから合駒のできない王手をかけられる駒」が、ほら、8筋あたりにありませんか?
投稿: DD++ | 2012.10.16 18:19