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推理将棋第60回解答(3)

[2012年10月30日最終更新]
推理将棋第60回出題の60-3の解答、第60回出題の当選者(くるぼんさん) を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第60回出題  推理将棋第60回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


60-3 上級 チャンプさん作    取る一手将棋!?(その3) 11手

豪「これで1勝1敗か。最後にもう一局同じルールでしようよ」
翼「了解、またまた君が先手だ、お願いします」

豪「最後ぐらいは基本に忠実に・・・おっ?君もかい?」
翼「ふふ、当然だよ」

豪「これでトドメだ」
翼「あー、今度は11手で詰まされちゃったな」

豪「最後に駒を取って詰みとはツイてたね」
翼「駒を打ち合う乱戦だったけどやられたなー、今度は駒を成る手が無かったね」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 11手で詰んだ
  • お互いに、駒が取れる局面では必ず駒を取った
  • 最終手は駒取り
  • お互いに駒を打つ手があった
  • 成る手は無かった

出題のことば(担当 DD++)
  チャンプさん「結構難しいと思うので会話に気持ちだけヒントを入れておきました(笑)」

追加ヒント:
  金銀歩のトドメは紐がつけられず、飛角香の離した王手に合駒なしも短手数の強欲では困難。
  しかし「離れたところから合駒のできない王手をかけられる駒」が、ほら、8筋あたりにありませんか?


推理将棋60-3 解答  担当 DD++ Suiri603

▲7六歩    ▽3四歩    ▲2二角不成▽同 飛
▲7七桂    ▽3二金    ▲1五角    ▽4一玉
▲6五桂    ▽5二角    ▲5三桂不成まで11手

双方強欲の最短の詰みは8手。それよりも3手も長いのに凡庸な条件ばかりが並んでいるように見えます。しかしこの中で1つだけ、強欲においてはかなりキツい制約となる条件が隠れているのです。それは「最終手は駒取り」条件。強欲なら自然に満たしてしまいそうに見える条件ですが、これを満たすのは実はかなり至難なのです。

例えば金で駒を取ることを考えましょう。この金に果たして紐はつけられるでしょうか。仮に角で紐をつけようとしてみましょうか。角の紐付きということは取る前には角と金が同時に同じ駒に取りをかけていたはずです。でも不思議ですね。この角と金はどちらが取りをかけたのでしょうか。角が取りをかけていれば金を打つわけにいかず、金が取りをかけていれば角は動かせないはずなのに。もちろん手数をかけて舞台装置を整えれば不可能ではありませんが、ここでは11手という短期決戦。つまり、最終手に動かした駒には紐がつけられないわけです。

じゃあ飛や角で離れたところから王手、と考えたくなりますが、実はこれもまた困難なのです。まず、中級で見た通り大駒を攻めこむとよほど手数をかけてあちこちの駒を逃げないとほとんどまともに着手できなくなります。さらに、強欲であれば後手も駒取りチャンスには駒を取るわけで、合駒を残さないように気を使う必要もあります。これも11手では足りません。

どちらもダメで万事休す? と思いたくなりますが、実は「どちらでもない王手」というのが存在するのです。すなわち生桂の王手。これなら桂馬に紐をつける必要はなく、もちろん合駒もできません。駒の利きが狭いので余計な駒取りも発生しづらいのでこの条件にはピッタリ。

桂を取って打とうとすると、「76歩、34歩、22角不成、同飛or同銀、角打ち、歩付き、21or81角不成、何か、桂打ち、何か、桂跳ね」とほぼ全着手を使い切ることになり、とても詰ませる余力はありません。ならば自陣の桂を53まで跳ねていくことにしましょう。

さて、53桂不成で詰めるためには玉周辺にかなり周到な用意が必要です。まず王手のために金を32か72へどけて41玉か61玉が必要。さらに42+52+51もしくは62+52+51の3地点の逃げ道を塞ぐ必要があります。52地点は先手が塞ごうとすると余計な取りがかかって困るので、後手52角が欲しいですね。となると角交換が必須で、そうすると先手も必然角を入手するので15角で42と51を一気に塞げそうですね。

あとはこれらを並べて11手として手順が構成できるかどうか。まず角交換なので「76歩、34歩、22角不成」。銀は31地点を埋めていなければいけないので4手目は「同飛」ですね。ここで先に15角を打つと王手がかかって困るので先に「77桂」。6手目は玉の逃げ道を用意する「32金」。7手目は今度は65桂を跳ねてしまうと53歩と73歩に取りがかかって角が打てなくなるので、このタイミングで「15角」。王手に「41玉」と逃げます。ここで満を持して「65桂」と53歩に狙いを定め、「52角、53桂不成」までピッタリ手順が構成できました。

もともとmixiでの出題時には何度かの余詰修正の後「お互いに駒を打つ手があった」を含む形で出題されていました。しかしチャンプさんが「追加した条件のおかげでこの条件は不要になったのではないか」と考え、この条件を削除。私も解説のように駒打ちは条件になくとも導かれると考えていたことと実際に余詰を見つけられなかったことで、この修正を問題ないものと判断しました。が、全く違う視点から「紐をつける必要もなく合駒も不能な王手」の実現に成功した方がお二方。

▲5六歩    ▽5四歩    ▲5八飛    ▽5二飛
▲7六歩    ▽5五歩    ▲同 歩    ▽同 飛
▲同 角    ▽4二銀    ▲7三角不成
(はなさかしろうさんからの指摘順。妙高仙人さんからもほぼ同一順でした)

なるほど、両王手は完全に検討から漏れていました。粗検大変失礼いたしました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

チャンプ(作者) 「当初この問題のみを投稿するつもりでしたが、担当のDD++さんより双方強欲の中級、初級問題を作って特集を組んでみません?という問い掛けに、問題文を新調した上で投稿させて頂きました。作意順はかなり難しい(というより条件から詰み上がりが見えにくい)と思っていました。こんな手順が条件1、4の2つだけ(残りの2つは余詰消し条件)で手順前後もなく限定されているのは奇跡に近いと感じています。個人的には4手目の△22同飛~6手目の△32金が、まるで飛を囲っているかのようでツボです(笑)ただ、検討をしている際に『双方駒打ち』の条件は削れるかも?という助平心を起こした結果、余詰を招くといった事態を引き起こしてしまい誠に申し訳ございませんでした。また、ルールという表現があまり適切ではなく物議を醸し出してしまい、解答者の皆様ならびに担当のDD++さんにご迷惑をお掛けしましたこと、この場をお借りしましてお詫びいたします。」

■手順前後がいかにもな条件を入れずに限定されているというのはおいしいですよね。ルールという表現が問題ないかは私が気がつくべき点でした。大変失礼いたしました。

NAO 「mixiの予習がなかったら、ヒント待ちの難問でした。追加された双方駒打ちの修正条件がないと手が広すぎて返って見えません。詰形を作る10手目駒打ちがこの一手の自爆手でした。」

■最終手駒取りが実はここまで狭い条件だと気づくのはかなり難しいですからね。

妙高仙人 「これも既視感たっぷりの順だが、条件の上手さで難問になっている。最終手駒取りは、たしかにきついしばり。」

■この順をいかにもな手順前後限定条件なしに成立させられると全然見えなくなりますよね。

橘圭伍 「双方強欲考えてみてはてるま手筋と自陣桂の筋は作りやすいだろうなぁと思っていたらその通りでした。同飛が逃げ道を防ぐ好手。余詰筋が気になる所」

■はてるま手筋はどちらかというと余詰で登場しやすいですね。

はなさかしろう 「駒指定も座標指定もない抽象的な条件づけ、しかも11手! 強欲条件で手順が一意に決まり、15角のラインが美しい。条件良し手順良しの名作ですね。解図は手の付け所に迷います。基本に忠実に、のナイスヒントに助けていただきましたが、桂の3段跳ねの筋を知らなかったら解けなかったでしょう。」

■桂跳ねを思いつくまでが大変なんですよねえ。

渡辺 「うーん、難しかった。『気持だけヒント』から最初の3手は決め打ちましたが…。他に手がかりが全くなく、無用に難しいと感じました。この作意ならパラ2008年11月号(あるいはmixi304番)の条件と詰上がりの方が私の好みです。」

■あれもまた難問でした。どちらにもそれぞれの味があります。

やまかん 「これはいろいろな詰上がりをかなり読んでやっとわかりました。桂馬の不成はなかなか11手では大変だろうと思って軽視したのが解くのに時間がかかりました。うまく手順が限定されてるのに感心しました。」

■それでも桂馬の可能性に早いうちに気づいたのはお見事です。

星の平原 「締め切り前ヒントを見てようやく。トドメ駒が自陣桂の活用と気がつくかですよねえ。締め切り前ヒントの説明で納得しました。」

■今回は上級ヒントの出し方をいつもと変えてみましたが、こっちの方がいいのかな?

くるぼん 「会話ヒントで角筋を空ける手と決め打ってみたものの後が分らない。強欲条件が着手限定になっているのが何ともいえない」

■といいつつもしっかり正解です。

平井康雄 「『基本に忠実』が2手目までのヒントだったんですね。まさか桂とは夢にも思いませんでした。さて・・・、余詰は何だったんでしょう?」

■推理将棋では忘れたころに登場する桂馬。

斧間徳子 「久々の難問で、直前ヒント前に解けなかった。桂を96~85に跳ねる順は考えたが、76歩~22角~77桂は盲点でした。手順も面白い。」

■斧間さんがヒント待ちとは、やはり相当な難問でした。

たくぼん 「利きが強すぎて大駒が使いにくい駒だけに15角の限定打が妙に気持ちよい。」

■場所もタイミングも「強欲」だけで限定してるんですよねこれ。

隅の老人B 「解けない、残念、解答発表が楽しみ。」

■15角や52角のところもヒントに入れればよかったかなあ。

S.Kimura 「ヒントを見て,81桂を取る手や89桂を跳ねていく手などをいろいろと考えましたが,11手で詰む手が見つかりませんでした.解答を楽しみにしています.」

■89桂で正解なのですが、15角が思いつきませんでしたかね?


正解:13名

  斧間徳子さん  くるぼんさん  鈴木康夫さん  たくぼんさん  橘圭伍さん
  チャンプさん  NAOさん  はなさかしろうさん  平井康雄さん  星の平原さん
  妙高仙人さん  やまかんさん  渡辺さん


総評

チャンプ(作者) 「優秀な新鋭作家の方も増えてきた中で、2回目の特集を組んで頂き大変光栄に思っております。この作品には隠しヒントと、とある謎があることに気付いて頂きましたでしょうか?ヒントというのは上級の会話文にあります。『最後ぐらいは基本に忠実に・・・おっ?君もかい?』これが作意順の▲76歩△34歩を示唆してることは最初からトップに書かれていましたので、解答された方はお気付きになったと思います。しかしながら、それだけではありません。最終行の『今度は駒を成る手が無かったね』この『今度は』というのは中級へのヒント(駒成りがあったことへの示唆)になっています。また、とある謎というのは登場した豪くんと翼くんの二人の名前にあります。この二人の読み方は(たけし君・つばさ君)ではありません。正確には(ごう君・よく君)です。このヒントと謎が全て解った方は満点解答者です(笑)」

■「最後ぐらいは」で、最後以外は基本に忠実でない=中級で22角不成はフェイク、が最大のヒントのような。

NAO 「チャンプさん特集も予習が効いて無事解けました。作者はシンプルな条件でぎりぎりの変化をちりばめ解答者を混乱させますね。それにしても難問の条件設定が巧いなあ。」

■しかも難問が手順もまたうまいんですよね。

妙高仙人 「この作者の条件付にはセンスを感じる。」

■本当に。

橘圭伍 「基本手筋2題とやや難しいのが1題。色々試行錯誤したのが3~4年前なんでまた一からでしたが楽しめました。」

■これが「やや難しい」で済むとは。

はなさかしろう 「推理将棋60回おめでとうございます。取る一手条件? 強欲条件? 面白かったです。どうとでもなりそうで案外うまくいかず、難しそうで案外抜け道がある印象。まだまだ宝物が眠っているかもしれませんね。」

■他に普通推理将棋の枠内で表現できそうなフェアリールールは「成禁(成る手なし)」「取禁(駒取なし)」「禁欲(駒を取らない手がある場合は駒を取ってはならない)」くらいでしょうが、推理将棋で禁欲はあまり意味がなさそうなので、発展性があるのは強欲だけかも……。

渡辺 「今回、難易度は、中級<初級<<<<<<上級で、上級だけが異様に難しかったです。」

■さすがに今回は中級以下の難易度が低くないとさすがに。

やまかん 「1,2,3、それぞれ3分、5分、75分ってところでしょうか。1は客寄せとして2や3の手順の角打ちなどが作者の狙いの手順でしょうか。この取る1手将棋は意外と手が限定されてて読みやすいですね。解くのが早いという意味ではなく脳内で解けるということで。3番で考えたようにこれは詰上がりを考えるのがポイントですかね。面白かったです、又来月も楽しみ。」

■しかし脳内で解くと駒取りがあるのをうっかりするんですよ、これが。

星の平原 「締め切り前ヒントが従来は少し奮発しすぎかな?と思っていました。今回ぐらいがちょうどいいと思います。」

■奮発しすぎというか、なぜそれがヒントになるのかという説明なしの唐突さがあったんでしょうね。今回はそれを緩和してみたのがよかったのかも。

変寝夢 「限定じゃないように見えるときは自分を疑わないとダメですね、トホ。」

■と思ったら普通に余詰だったりもするんですよね。いや本来はあってはならないことなんですけれど。

たくぼん 「強欲ルールならお任せ下さい(笑)」

■だろうと思ってました(笑)

鈴木康夫 「出題日に全問解いたのに、柿木将棋で棋譜を保存する前にパソコンがシャットダウンしたために、締め切り日に思い出しながらメールを書いています。携帯からなので、各問のコメントは失礼させていただきます。」

■ありますよね、大切なデータを保存してないのにシャットダウンとかハングアップとか不正終了とか。

S.Kimura 「取る一手将棋はやったことがありませんが,駒を取れない手が重要だということは良く分かりました.」

■取る一手将棋ではうっかり変な取りをかけるとハメ手的に殺されるようです。


推理将棋第60回出題全解答者: 19名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  くるぼんさん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん
  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  橘圭伍さん  チャンプさん
  NAOさん  はなさかしろうさん  平井康雄さん  変寝夢さん  星の平原さん
  宮谷保可楽さん  妙高仙人さん  やまかんさん  渡辺さん

当選: くるぼんさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知 らせください。

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コメント

推理将棋は、指し将棋のルールに準拠しているはずなので、
よほどのことわりがない限り、自殺手等は無視してよいはず。
「強欲ルール」が、指し将棋のルールを捻じ曲げるほどの「ことわり」とも思えないが。

なお、私の指摘順は全く味が違います。

 5六歩 5四歩 5五歩 同 歩
7六歩 4二飛 5五角 5八歩打
  同 飛 1二香 7三角

投稿: 妙高仙人 | 2012.10.30 11:23

基本的に指将棋のルールに準拠します。が、詰みの概念に迄影響する条件付けが推理将棋では可能である事も忘れてはいけないと思います。
今回、会話文で「同じルール」となっています。この表現だと、「強欲の条件が詰みの概念に迄影響する」という解釈をする方が居る可能性があるかと思います。

投稿: 橘 | 2012.10.30 12:29

なるほど~58歩は妙手ですね。私の方の順だと駒打ちが入らないので、
双方駒打ちで修正されたということは妙高仙人さんの順には駒打ちがあるのだろうと
思いはしたものの、結局見つけられませんでした。

通常のルールでは合法手の群の中から着手を選択するのが大前提ですが、
強欲は着手を選択する群自体を変容させるルールなので解釈が一意にはならないかも。
私は大前提を崩すということまで思い浮かばなかったので迷いませんでしたが...
確かに大前提の部分を明記していただいたほうが、わかりやすいと思います。

投稿: はなさかしろう | 2012.10.30 23:06

妙高仙人さん手順はこれが作意だったら全く違う味ですが、58歩は結局は余り手の処理であってこの作品の余詰順としての本質は同じかな、と思ってまとめさせていただきました。
# この58歩は余詰順として紹介するよりもこれを作意に作品に昇華した方が面白そう、と思って伏せたという理由も少し。

基本的に指将棋のルールに準拠というのは同意見ですが、しかしそれを誤解するような方がいたというのも事実なので、念のためにも誤解のない表現を選ぶべきだったという意見を否定する理由はなにもありませんね、というのが今回の結論でよいのではないかと担当者として判断しています。

投稿: DD++ | 2012.11.03 15:39

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