« 詰将棋メモ(2012年11月27日) | トップページ | 推理将棋2011 »

推理将棋第61回解答(1)

[2012年11月28日最終更新]
推理将棋第61回出題の61-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第61回出題  推理将棋第61回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第61回解説  担当 DD++

今回は上級の難易度付けが失敗でしたね。17手という手数により手を出すハードルが高いのではないかという疑念と、私自身が実はけっこう悩んだので上級にしましたが、どうやらけっこうな見込み違いだったようで。反省を踏まえ、来月からは難易度決定における手数の重要度を下げようと思います。


61-1 初級 タラパパさん作    馬を寄る         9手

「9手、初王手で詰ませましたね。会心の一局では?」
「優劣不明の難しい将棋でしたが、馬を53に寄って勝利を確信しました」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 9手で詰んだ
  • 初王手で詰んだ
  • 53に馬を寄った

出題のことば(担当 DD++)
  この馬寄りに先手は何手かかる?

追加ヒント:
  53へ馬を寄るには先手は4手かかります。最終手に強い駒を打つためには後手がこの軌道上に強い駒を移動してやればいいですね。


推理将棋61-1 解答 Suiri611

▲7六歩    ▽4二金    ▲3三角成  ▽5四歩
▲4三馬    ▽5三金    ▲同 馬    ▽7二金
▲5二金    まで9手

さすがはベテランという、シンプルながらも手がかり満載な「53に馬を寄った」条件。論理パズルとしてはお手本のような条件付けです。

53へ馬を寄るためにはその直前に43か63に馬がいなければ行けません。しかしその2箇所は筋違いの場所。つまり53へ馬を寄る最短手順は「76歩~33角成~43馬~53馬」で、先手はあと1手しか残りません。しかしもちろん馬1枚で53馬までの詰みはこの手数では無理というもの。つまりあと1手は当然何か駒を打つ手。ですが、あれ、打つ駒はどこで入手するのでしょう?

そこで推理将棋ならではの手が登場します。先手が駒を取りにいく隙がないなら後手が駒を自ら献上すれば良いのです。つまり、2~6手目で「42金~54歩~53金」(あるいは銀)と指せば7手目53同馬で金か銀を先手が入手できるわけです。

あとはこれを52へ打ってトドメ、といきたいところですが守備金と飛車が邪魔。そこで左金は後手に渡してしまい、右金は残る1手で72金と通常は絶対に指さないような手でどかしてしまいましょう。これがうまいこと飛車筋を遮ってくれて52金まで見事詰みとなります。

それではみなさんの短評をどうぞ。

隅の老人B 「攻方の手順、最初4手はこれしかないと確信。応手は?です。」

■これに自然に行き着ける条件がさすがベテランの味。

斧間徳子 「第1問に最適な問題ですね。」

■タラパパさんは初級問題作るのが本当に上手いです。

チャンプ 「さすがは達人。こんな短手数の中に作者のらしさが存分に表現されてるところに深く感心しました。言葉巧みな条件もさすがですね。」

■全くもって。

星の平原 「馬寄りの手順の中で攻め駒がもう一枚欲しいところを解決する後手金の二段活用がよい味。」

■こういう手順の発想力は私もほしいです。

諏訪冬葉 「もう一手あればいろいろなルートが成立したのに・・・」

■推理将棋の1手差って非常に大きいですからねえ。

くるぼん 「トドメの金をくれてやるのが推理将棋らしい手」

■こういう手が面白いと思える人は推理将棋向き。

橘圭伍 「両方の金が自滅するように動くのが良い調和」

■居玉頭金手順の宿命。

S.Kimura 「53馬と寄るのはなかなか難しいですね.」

■53角成ならともかく馬の手は案外難しいんです。

宮谷保可楽 「この条件だと、先手は7手目まで歩以外の駒が入手できない。『9手目が初王手』が惜しいかな。」

■2手目と4手目の手順前後だけあるんですよね。おしい。

NAO 「53に寄る手だけで手順がきっちり限定できるんですね。」

■こういうのタラパパさんは見つけてくるのが上手いんです。

やまかん 「初級にしては難しい。玉方の手が妙手すぎる^^。最終手53馬の図を考えて苦戦。それにしてもうまく手が限定されてますねぇ。」

■この53金は推理将棋の手筋ですが、やはり知らないと思いつくのは大変。

鈴川優希 「理詰めで考えれば、馬寄りで駒入手は目に見えていますが、この53馬を『馬を寄る』と表現すると違和感があるのは自分だけかな。」

■うーん、どうなんでしょう。もし違和感ある方が多いならここの表現の是非を考える必要がありそうですが。

鈴木康夫 「やっぱり頭金が詰みの基本ですね。」

■9手くらいになるとやさしい頭金は多いですね。

平井康雄 「金を取ってもらうために涙ぐましい努力。それにしても、どこをもって『優劣不明の難しい将棋』なんでしょうか?」

■互いにこんなセオリーから外れまくった手をお互い指すような将棋では、普通の優劣の尺度は通用しないでしょう(笑)

変寝夢 「5三金のただ捨てより、7二金のようなおマヌケな指手の方が好みです」

■こういう手を好む方は珍しいかも。その独自の感性で作問すると個性的な問題ができそう。

たくぼん 「馬を寄っての詰上りと勘違い(泣)ヒントで勘違いに気づきました。やれやれ」

■53馬と寄っての詰みは11手必要になってしまいますね。

枡彰介 「簡単に見えたが、金の入手ルートが盲点でした。」

■9手で3段目の駒渡しは6手目7手目でしか成立しない、というのを知っていたら気づきやすかったかもしれませんね。

渡辺 「金をただ取りすれば勝利を確信できますね。」

■地味なところでヒントになってるんですよね。

はらたっと 「最終手53馬を考えましたが紐つかないので、頭金しかないですかね。」

■そうなんです。それにスッと気づければあとは簡単。

はなさかしろう 「簡潔な2条件の組み合わせが絶妙ですね。導かれるままに解けているのに新しさのある手順で目が覚めました。」

■普通はこの順は44角から53角成ですからねえ。


正解:20名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  くるぼんさん  鈴川優希さん  鈴木康夫さん
  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  たくぼんさん  橘圭伍さん  チャンプさん
  NAOさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん  平井康雄さん  変寝夢さん
  星の平原さん  枡彰介さん  宮谷保可楽さん  やまかんさん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

|

« 詰将棋メモ(2012年11月27日) | トップページ | 推理将棋2011 »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 推理将棋第61回解答(1):

« 詰将棋メモ(2012年11月27日) | トップページ | 推理将棋2011 »