大道棋よもやま話 第10回 好形の目安-集客度
[2012年11月21日最終更新]
詰将棋パラダイスで連載中の記事です。詰パラでスペースの関係で掲載できなかった資料全文なども補足していきます。
関連情報: 大道詰将棋よもやま話 ドキドキストリート (おもちゃ箱)
詰将棋パラダイス 2012年2月号掲載
大道棋よもやま話 第10回 好形の目安-集客度 加藤 徹
手を出してもらうには形が重要。では、どういう初形ならやる気になるでしょう。
盤面いっぱいにたくさんの駒が配置されている問題だったら、普通の人は解く気にならないですよね。ということは、配置の広がりと駒数が関係しているようです。
そこに着目して、筆者は「集客度」という尺度を考案しました。集客度は形の良さを示す値で、次の式で計算します。(小数点以下は切捨て。マイナスになったら0、100を超えたら100とする)
集客度=110-(面積×駒点÷20)
面積 駒が配置されている長方形の面積。大道棋9なら5×4で20。
駒点 1枚につき次の点。その合計。
盤駒 歩=1点、歩以外=2点
持駒 歩=2点、歩以外=4点
大道棋9なら盤面歩が2枚で2点、歩以外が6枚で12点、持駒はないので、合計14点。
大道棋9の集客度は110-20×14÷20で96。これはとても高い集客度です。
集客度が80以上ならかなりの好形、60台ならなんとか合格、50以下だと大道棋としてはちょっと使えない感じでしょうか。
もちろん、集客度は一つの目安で、これ以外にも不自然な成駒をおかないとか、気を配る必要があります。
大道棋よもやま話の賞品「ドキドキストリート」は、筆者の創作した大道棋から、集客度85以上の好形作品のみ50題厳選した作品集です。
有名な大道棋は、だいたい集客度が高い。いくつか例をあげてみます。
- 香歩問題 73金75桂87銀|61桂63歩71玉96歩|香歩 集客度84
- 81玉型銀問題 52飛53馬|74角81玉83歩91香94金|銀 集客度93
- 93玉型銀問題 62香72飛76歩77桂85金87歩|61銀63香75歩83歩91香93玉94歩|銀 集客度75
- 二枚飛型銀問題 72飛74飛|83銀91桂93玉|銀 集客度100
- 金問題 82銀89香97馬|65歩74歩81桂83歩87香94歩95玉|金 集客度74
- 92玉型金問題 62歩85香94馬|84香91香92玉|金 集客度95
はじめて大道棋の改作に取り組む方は、特に集客度が高い原型(二枚飛型銀問題や92玉型金問題など)を出発点にすると、少し駒を追加しても高い集客度に収まるので、作りやすいかもしれません。
◇大道棋9 加藤徹 正解
73角成、94玉、95馬、同玉、96飛、84玉、86飛、94玉、85馬、83玉、
75馬、72玉、64桂、71玉、93馬、62玉、82飛成、63玉、72龍、64玉、
75龍、63玉、64歩、62玉、71馬(龍)迄25手。
初手73角成を入れたのは、「94玉なら64飛の一手詰。92玉なら81馬から86飛で簡単」という、捨駒入りの誘い手を用意したもの。
もちろん64飛には74金合の妙防があり、83馬!、85玉、74馬右、86玉、75馬!と追撃しても95桂が良く利いて届かない。
95馬が「常識の裏をかく」手だが、ヒントの例題を解いていれば発見は容易。以下、難しいところはないはずだったが、12手目の応手で4名の方が惜しくも誤解。
三宅周治「馬を2枚作って楽勝かと思いましたが、詰まないですねー。飛と馬だけで追って詰むのだろうかという心細さと不安に勝つと道が開けてきました。」
★全短評をおもちゃ箱(詰将棋おもちゃ箱で検索)で掲載。
◇解答者 24名 正解19名
【正解者】 (省略)
【当選者】 (省略)
さて、今回の出題。大駒3枚に金までサービス。10手台。集客度は94。
解答は2月末までに下記(省略)まで。最終手と手数(と短評)だけでOKです。
正解者から抽選で1名に、加藤徹好形大道棋50番「ドキドキストリート」を贈呈。
注1)上記の大道棋9の解説および全短評はこちら。
注2)上記の大道棋10の解答募集は終了しています。解説および全短評はこちら。
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