« 詰将棋メモ(2012年11月29日) | トップページ | 詰将棋メモ(2012年11月30日) »

推理将棋第61回解答(3)

[2012年11月30日最終更新]
推理将棋第61回出題の61-3の解答、第61回出題の当選者(NAOさん) を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第61回出題  推理将棋第61回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


61-3 上級 チャンプさん作    金銀の行進        17手

少年A「こないだ眩しくなるような将棋を見かけたよ」
少年B「眩しく???一体どんな将棋だい?」
少年A「初手▲48金、3手目▲38銀で始まった将棋なんだけどね」
少年B「それはまた変わった出だしだね・・・」
少年A「実はその後も先手は金・銀の順で駒も取らず直進し続けて17手で勝っちゃったんだよ」
少年B「どうやら相手は手が見えてなかったようだね」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 17手で詰んだ
  • 初手▲48金、3手目▲38銀以下、先手は最後まで金・銀の順で駒を取ることなく直進し続けた

※金銀交互でさえあれば、都度左と右のどちらの駒を直進してもかまいません。


出題のことば(担当 DD++)
  先手の着手を思い切って決め打ちすることが重要かも。

追加ヒント:
  65金で頭金までを目指してもわずかに1手足りません。やることを終えた馬をうまく使ってこの1手を補いましょう。


推理将棋61-3 解答  担当 DD++ Suiri613

4八金    ▽3四歩    ▲3八銀    ▽7七角成
6八金    ▽6七馬    ▲7八銀    ▽4五馬
6七金    ▽4二玉    ▲7七銀    ▽3三玉
6六金    ▽4四玉    ▲7六銀    ▽5四玉
6五金    まで17手

50-2で双方直進のみというのがありましたが、今回は先手のみただし金銀限定。敵陣に攻め込むことが難しいので後手の馬と玉がかなり頑張らないといけないことは見え見えですね。決め打ちがピタリはまった人はさぞ気持ちよく瞬殺だったことでしょう。

先手は5手目「68金」7手目「78銀」まではともかくとして、9手目に金を進めるためには47歩か67歩のどちらかを後手に取ってもらうしかありません。つまり後手は「34歩~77角成~67馬」以下。

ここからは収束図の決め打ちが必要になります。先手の左金銀がずんずん進めば76銀65金に行き着くので、これで64玉を頭金に打ち取るというのが多くの方の第一感でしょう。実際玉移動5回もしくは44歩+玉移動4回でぴたり頭金になりますが、67で金が馬を取ってしまって条件違反。

ではどうしよう、と考えた時に1手足りない分54玉でどうにかしようと考えたあなたは正解。幸い44地点は金が動いて角筋が通るので、45地点さえどうにか塞げばいいですね。67から馬を逃げる手が必要なのでそれを45へ動かしておけばオーケー。あっさりと作意にたどり着きます。

そしてこちらは余談ですが66から65へ玉や金や銀を進める手というのは44玉を詰める常套手段。88角の利きを開きつつ最も塞ぐのに難儀する54地点を移動した駒が同時に塞げるため、おもちゃ箱でも何度か出題されている形です。34地点には後手歩を置けて、残る35と45地点はかなり塞ぐ手段が豊富、今回も例えば「▲36銀▲65金▲88角△44玉」のような一見なんとかなりそうな形が多数。ベテラン勢を中心にこの形を知っている人が何人もこっちにハマるかなあ、と思っていたのですが……。

それではみなさんの短評をどうぞ。

隅の老人B 「8手目の馬の引き場所が妙手。88角の利きに気付いて解決。」

■馬を逃げる手をこう使うのは一石二鳥。

斧間徳子 「先手の歩を除去してから4五の逃げ道を封鎖する後手の馬が隠れた主役。」

■縁の下の力持ち、というやつですね。

チャンプ 「確か『初級でもいけるかも?』と書いて投稿したハズなんですけどねぇ(笑)条件が先手の縛りでありながら後手の指し手が全て限定されてるところだけが取り柄です。初手と3手目は何かって?目が眩んでいて何も見ていません(笑)」

■そう書かれた問題に担当は小一時間本気で悩みましたすみません(ちなみに中級は1分)。

星の平原 「後手馬の引き場所をとりあえず決めて必然手を積み重ねていたら詰んでました。確かにこれが初級でもよかったかも。」

■54玉が必然手に思えるかが瞬殺できるかどうかの分水嶺。

諏訪冬葉 「・先手の歩の壁は後手に取ってもらわないといけない ・後手の歩の壁は取れないので玉が前に来てもらわないといけない と考えたらすぐでした。」

■お見事です。

くるぼん 「先手は歩を動かす手がないので馬による露払いから撤退がみえれば半分解けたようなもの。最初は暗算で角道がふさがっているのに気付かずドツボになりかけたのはナイショ。」

■この角筋はよく暗算において悪さをしてくれますよね。

橘圭伍 「最終手の感触を楽しむ作品」

■64と54と44を一気に塞ぐ1手!

S.Kimura 「88角の効きを見落としていたため,悩みました.」

■金銀しか動かさないことと金銀しか使わずに詰めるのは全く違うんですが、先入観とは恐ろしいもので。

宮谷保可楽 「48金も38銀もこれ以上動かないと決めつけると、あとはゴールまで一直線。77→67→45馬もピッタリ。」

■一方で一直線に44玉開き王手のゴールに駆け込もうとした担当者。

NAO 「手数長くても難しいところがなく、難度は初級クラスでした。」

■難しいことを考えると逆にハマるパターンでした。

やまかん 「4,5手目を発見すればヒントにあるように確かに易しかったが手順は美しい^^。 初手と3手目がなければ傑作と思うのだが、惜しい。。」

■攻方7手玉方8手という順は作る側としても困るんですよね。今回だと金の方は削ろうと思えば削れますが。

鈴川優希 「初級よりも簡単。1条件でまとまったのが良いですね。」

■けっこう無理矢理に1条件にまとめてる感もないではないですが(笑)

鈴木康夫 「長いですが右の金銀が5手目以降動かないのはほぼ自明なので簡単でした。」

■そのようですね。担当はなぜこれにドハマリしたのか。

平井康雄 「手数は長いが、実は紛れようのない一本道。最初に右側を動かしているので惑わされそうになるが、 37歩、47歩を取ってもらう余裕はまずないので、5手目以降は左側の金銀を動かすしかなく、その時点で先手の手が全て確定。最後65金で詰む形もこれしかないので、本当に紛れる余地がない。同じことなら、以下のようにした方が良かったのではないですか?1.16手で詰。2.後手は2手目72銀以降、銀金を交互に駒取りなく直進し続けた。これなら右金を動かす紛れがちょっとだけできるはずです。」

■解説でも書いたように44玉も実は結構それっぽい形だったりします。完全作である以上当然ながら間に合わないわけですが。

変寝夢 「何とか解けたようです。玉のルートは3三からということと、金銀で角道を防ぐ必要があることなどを念頭に進めていたら偶然行き着きました。角道をダブルで防ぐところが面白かったです。」

■玉上がりのために88角の利きを遮る手はよく発生しますが、シャッター2枚というのは珍しい。

たくぼん 「48金も38銀も何だか寂しそうですね(笑)駒を動かしたら詰みました。」

■みんな44玉に引っかかってくれない(泣)

枡彰介 「11~15手目で角の利きが止まる間に玉が33、44を移動する阿吽の呼吸が上手い。」

■かなりギリギリのタイミングですね。

渡辺 「詰形が意外。空き王手ばかり考えていました。」

■ですよね? ですよねですよね!?

はらたっと 「48金38銀がムダ手ながらも金銀の行進の準備運動みたいな動きで面白いです。」

■どうせ銀が無駄手になるなら金も、という意図で16手詰ではなく17手詰を選択したんでしょうね、きっと。

はなさかしろう 「迷うことなくずんずん行進しました。」

■玉が直接出迎えることも迷わなかったら瞬殺、と。


正解:20名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  くるぼんさん  鈴川優希さん  鈴木康夫さん
  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  たくぼんさん  橘圭伍さん  チャンプさん
  NAOさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん  平井康雄さん  変寝夢さん
  星の平原さん  枡彰介さん  宮谷保可楽さん  やまかんさん  渡辺さん


総評

隅の老人B 「いつも苦戦の推理将棋、11月は何だかすんなり解けた気がする。毎回どん尻解答だが、今月は一番槍かも?如何なりまやら。11月4日朝の7時55分。」

■お見事一番槍でした。2着の斧間さんと6時間差のぶっちぎり。

チャンプ 「今回は宣言通り易しかったですね。はてさて来月は如何に?」

■間違いなく今月よりは難しいと思います。特にチャンプさんの問題が。

星の平原 「中級がなかなか閃かず苦戦しましたが、なんとか追加ヒント前に完答できました。今年の四月から推理将棋の回答を始め、初の長手数モノでしたが簡単でよかったー。ほっとしてます。」

■年賀推理将棋は手数長めのものも投稿されているので、ここで肩慣らしということで。

くるぼん 「今回は実質上級なしだったのではじめて追加ヒントなしで解けました。」

■たまにはこんなサービス回があってもいいですよね!(言い訳)

橘圭伍 「ヒントが直ぐ目に入るのも困りものですね。変な勘ぐりをしてしまいます」

■うーん、そこはもう毎回同じレイアウトなのを見越して読み飛ばしていただくしか。

S.Kimura 「今回はヒントが出る前にすべて解けました.」

■今回はそういう方が多かったです。

宮谷保可楽 「今月は2が最難問でした。これだけで10日かかってます。最近疲れが抜けなくなってきたせいか、易問でも解くのがしんどくなってきています。とりあえず今日は、ここまでにして休みます。ではまた。」

■ごゆっくり養生なさってください。

NAO 「今月は中級で盲点にはまりました。」

■思い込みは推理将棋の最大の敵ですね。

やまかん 「今月の3作はかなりよい作品に感じました。手順もうまいけど条件がもっとうまかった。ただ少ない条件でうまく手順を限定してるためか自分には難しくててこずりました。ただ考えやすいので(易しいという意味ではない)空時間によく考えてしまい詰将棋の創作がはかどらないのが痛かった。条件がシンプルなので解けないと結構思い出すんですよね。」

■条件が少ないのは覚えやすくはありますが、必ずしも解きやすいとは限らないんですよね。初級問題を作る時には覚えておいていただきたいポイント。

鈴川優希 「今月はどれも易しくて助かりました。これからもできる範囲で解答していきたいです。」

■創作の方もあわせてぜひ。

平井康雄 「前回メールで書いた通り、今回は上級が極端に易しく紛れる余地なくすぐにわかりましたが、初級、中級は最終ヒントが出るまで全然わかりませんでした。今回のクラス分けは相当に疑問があります。」

■推理将棋は詰将棋と比べて解答の妥当性の証明が容易なので、最初に作意が見えると紛れはほぼ見えなくなりとても簡単に見えたりします。逆に簡単な問題でもわずかな思い込みで大ハマリすることも。今回は上級の紛れにハマった人が少なかったので別回の中級とすべきだったかもしれませんが、初中級は解答者の反応を拝見する限りこれで特に間違いはなかったはず。

変寝夢 「やはり全題解けると気持ちいいもんですね。その分疲れますが・・・。」

■しかし何も悩むことなく全題正解してもおそらくはあまり気持ちよくないという。

枡彰介 「先月は難しすぎて解答をパスしましたが、今月は初級と上級の先手の手が限定されていたのでとっかかかりやすかったです。」

■1題や2題だけでも解けた時にはぜひぜひご解答ください。

はらたっと 「取っつきやすいが、ちょっと考えさせられる3問でした。皆さん条件付けがウマいですよね~。」

■タラパパさんやチャンプさんはもう何十問あるいは百問以上作ってるでしょうから、上手くもなるというものでしょう。


推理将棋第61回出題全解答者: 20名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  くるぼんさん  鈴川優希さん  鈴木康夫さん
  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  たくぼんさん  橘圭伍さん  チャンプさん
  NAOさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん  平井康雄さん  変寝夢さん
  星の平原さん  枡彰介さん  宮谷保可楽さん  やまかんさん  渡辺さん

当選: NAOさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知 らせください。

|

« 詰将棋メモ(2012年11月29日) | トップページ | 詰将棋メモ(2012年11月30日) »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

61-3へのコメントですが、
お送りしたときは「後手馬の引き場所をとりあえず決めて(以下本文のとおり)」と書いたのですが
引用が「決めて」からスタートしているので文章自体の意味が不明になってます。
前も同様に最初の文章が端折られていることがあったので、できる限りで結構ですのでお送りした
文章をそのまま載せていただけたら幸いです。
(スペースの都合や、こちらがお送りした文章が変な場合もあると思いますので、その点編集が
入るのは全くやぶさかではありません。)

投稿: 星の平原 | 2012.11.30 15:12

すみません。頭の部分が抜けていたので、追加しました。
ご指摘ありがとうございました。

投稿: TETSU | 2012.11.30 21:23

私が原稿を作成する際に手違いで一部欠落してしまっておりました。
ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。

投稿: DD++ | 2012.12.02 01:49

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 推理将棋第61回解答(3):

» 現実が現実であるために [哲学はなぜ間違うのか?]
さてこの現実が実際に現実であるためには、現実の三条件、 ①どの時間どの場所であっ [続きを読む]

受信: 2012.12.01 19:39

« 詰将棋メモ(2012年11月29日) | トップページ | 詰将棋メモ(2012年11月30日) »