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推理将棋第62回解答(1)

[2013年1月29日最終更新]
推理将棋第62回出題の62-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第62回出題  推理将棋第62回解答(1)  (2)  (3)  (4)  (5)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第62回解説  担当 DD++

今回は初級が2つあったわけですが、NAOさん作も渡辺さん作も「簡単だった」という声の中に「難しかった」という声がちらほら。やはり推理将棋の難易度は解く人によるんだなあ、というのを実感した今月の出題でした。


62-1 上級 チャンプさん作    一年の締めくくり     14手

少年A「指し掛けだった将棋を再開したって聞いたけど、どんな将棋だったのか教えてよ。」
少年B「大晦日に指した将棋のこと?王手が3回あって14手で詰ませて勝っただけだよ。」

少年A「それだけでは何も分からないよ。」
少年B「まぁそうだろうね、僕(後手)は4筋の手しか指さなかったよ。」
   「それと相手(先手は)は5筋の手があったね。」

少年A「王手が3回あったんだよね?それを教えてよ。」
少年B「そう言うと思って今日はちゃんとメモしてきたよ。」

少年A「そうこなくっちゃ。」
少年B「飛成りの王手があった」
   「飛打ちの王手があった」
   「竜を動かしての王手があった」

少年A「これは全て君が指した王手なの?」
少年B「それは教えられないね。ただ終局時、僕の持ち駒は無かったよ。」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 14手で詰んだ
  • 後手の着手は4筋のみ、先手は5筋への着手があった
  • 終局時、後手の持ち駒は無かった
  • 王手は3回で、その内容は以下の通り
    • 飛を成っての王手
    • 飛を打っての王手
    • 竜を動かしての王手

※指し掛け局面から14手ではなく、指し掛け前とあわせて14手です。また、各条件は指し掛け前の手順にも適用されます。解答は指し掛け前も含め全ての手順をお答えください。


出題のことば(担当 DD++)
  なぜこれが今年の年の瀬をテーマにした作品なのか、がわかるとヒントになるかも。

追加ヒント:
  条件上取らざるを得ない歩と飛(龍)の2枚で詰めましょう。玉位置をよく考えて。
  12手目に打った飛をトドメで歩頭に成り返る、ということは玉は中段に出たほうがよさそうですね。


推理将棋62-1 解答 Suiri621

▲7六歩    ▽四歩    ▲同 角    ▽二飛
▲6六角    ▽七飛成  ▲4八飛    ▽同 龍
▲同 玉    ▽四歩    ▲4七玉    ▽4八飛
▲5六玉    ▽4五飛成  まで14手

初っ端から今月の最難問です。後手が4筋のみなので、42飛と振って4筋突破し、これと取った駒で攻めるのは明らかですが、しかし先手の自由度がかなり高いので一筋縄にはいきません。

序は「76歩、44歩、同角、42飛、角移動、47飛(成?)」以外に選択肢はないでしょう。さて、ここから後手の残る4手の内容を考えます。まず、取った歩は条件上どこかへ打たなければいけません。そして飛成の王手と龍の王手も先手は無理でしょうから後手が消化するしかなさそう。残り1手ですが、飛打ちの王手を先手が行うにしてもトドメの王手のために後手は飛を打ち直すしかないことは明らか。つまり後手の残る4手は「歩打ち」「飛成で王手(飛を取る?)」「龍で王手(飛を取る?)」「飛打ち(王手?)」。

さてそうなると7手目48飛に8手目同龍、9手目同玉か金か銀、10手目と12手目で飛歩を打って14手目飛成、という手順が見えてきますね。つまり詰み形は歩頭に飛成か飛成で単騎詰め。しかし単騎詰めだとすると歩を打つ場所が定まりません。検討の時には省くことができませんが解答時には読み飛ばしできますね。

読み飛ばし出来るといえばもう1つ。歩頭の飛成が先手陣内4筋だとすると、5手目にどこに角を引くかが定まらないのです。これが限定するとなると、玉が中段に出て角が逃げ道を塞ぐのに使われるような形しかありません。すなわち66角56玉もしくは26角36玉を44歩45飛成で詰める形。飛打ちが王手になるように、また先手が5筋に着手するように、と考えるとただ1つ作意順だけが条件をみたすことがわかります。

ところでこれが年の瀬の将棋である理由ですが、「2012年の年賀推理」「指し掛けの将棋」といえばちょうど1年前に出題された51-1。あれは7手指し掛けの問題でしたが、手順がこの問題の最初の7手と同じなのです。実はこの将棋は「2012年元日に途中になっていた指し初めを、年を越す前に終局まで指して指し納めとした」ということなのでした。ここまで見抜いた方は残念ながら0名(作者除く)でした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

チャンプ(作者) 「数年前に創作した手順が、偶然24年1月出題の51-1番作と途中まで同手順だったので、指し掛け局(元旦)~再開局(大晦日)の流れになるように、DD++さんに相当無理を言って辰年最後の問題限定として投稿し、半ば強引に採用して頂きました(笑)ただ、数年経った今も△44歩の衝撃が忘れられないのは事実です。」

■コンセプトを読んだ瞬間、これは無理してでもやるしかないと思いました。

斧間徳子 「44歩以下の収束が爽快。問題よりも、なぜ今年の年の瀬がテーマなのかの方が難しく、未だわかりません。」

■1年前の出題の初級、ですからねえ。

NAO 「44歩とは巧い緩め方がありましたね。48歩や46歩を打つ手は金を動かす手が必要で14手は無理。右金をどう動かすか散々考えさせられました。」

■5手目限定からの裏読みがないとかなり難しい問題ですよね。私も採用前検討でかなり苦労しました。

橘圭伍 「8手目迄の展開がほぼ固定なので詰上りが問題。44歩を打ち直す所が最大の山場で絶妙手」

■44歩だけ見るといきなりわけのわからないところに打ったようにしか見えません。

占魚亭 「76歩44歩同角に思い至るのに1ヶ月。真っ先に浮かばなければならないのに何をやっていたんだろう……。」

■ど直球だとなぜか逆に見えなくなるというのは推理将棋あるあるの1つです。

はらたっと 「44歩と42飛が手順前後しないようにするためには本手順しかないハズが発見まで時間がかかりました!」

■推理将棋あるあるにハマった方がもう1人。

平井康雄 「冷静に考えれば、後手4筋だけの着手で序盤に手順前後の発生しない手順はこれしかないみたいです。45歩でなく44歩とするのが、とぼけた味で気付きにくい。ただ、『今年の年の瀬をテーマ』というのがわかりませんでした。」

■深読みすると42金41玉(逆王手による条件消化の布石)からというのも可能性としてありますが、こんなの考えるのは私だけですかね。

たくぼん 「5筋の条件を58王と読んで失敗しました。44歩が味わいのある良い手」

■確かに5筋条件に58王は定石ですが、この問題は見事にそこを外してきました。

渡辺 「とりあえず難しそうなのでパスして最後に回す。76歩、44歩、同角、42飛、?角、47飛成、48飛、同龍、同玉、を決め打ちするも仲々5筋が入らず…。慌てて5筋を指そうとしないのと、4筋を軸に左右反転すれば良いという至極単純なことに気付いて解決。」

■5手目と終盤が4筋対称でどっちも成立するのは、はたして美しいのか残念なのか。

テイエムガンバ 「なぜこれが昨年の年の瀬をテーマにした作品なのか、解いた今でもわかりません。」

■テイエムガンバさんも正解されている昨年の問題がポイントでした。

S.Kimura 「5手目に44の角をどこに動かすのかがなかなか分かりませんでした.玉が6段目まで行くとは思いませんでした.昨年は,龍で始まって龍で終わった年だった,ということでしょうか.」

■「龍で始まって」までたどり着いたのに、惜しい。

鈴木康夫 「竜を動かす王手がとどめと思って悩みました。」

■直感的にはそっちが本筋。しかし龍が強すぎて逆にうまく詰められないのです。

やまかん 「これはパックマンからヒントを得たのですかね?^^ 序盤とても手が限定されるような感じじゃなかったので諦めるところでした。試しに角を使ってみたら運良く閃きました。」

■パックマン戦法は51-1の時にも話題になりましたね。

はなさかしろう 「初日の出あるいは一陽来復でしょうか。好形の詰め上がりかつ今回の最難問でした。裏推理を信じれば序はこうなるところですが、9手目同金以下後手金余りの詰みが目くらましになり、先手5筋条件や会話文にも惑わされてしまい大苦戦。龍をあっさり取って玉を中段に出る構想がなかなか思いつけませんでした。控えて打つ44歩から飛車の引き成りが絶妙で解く楽しみを堪能しました。」

■攻め方をわざと弱める48龍はけっこう自信がないと指せない1手ですよね。そして手順が確かに初日の出っぽい……。


正解:16名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  香箱さん  鈴木康夫さん  占魚亭さん
  たくぼんさん  橘圭伍さん  チャンプさん  テイエムガンバさん  NAOさん
  はなさかしろうさん  はらたっとさん  平井康雄さん  妙高仙人さん
  やまかんさん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

再開したのが大晦日だったのですね。大晦日に差し掛けた将棋を新年に再開したと思っていました。題名にも指し掛け云々という問題文には少し混乱させられましたが、解説をみて納得しました。

投稿: 渡辺 | 2013.01.30 01:42

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