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推理将棋第62回解答(5)

[2013年2月4日最終更新]
推理将棋第62回出題の62-5の解答、第62回出題の当選者(鈴木康夫さん、妙高仙人さん) を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第62回出題  推理将棋第62回解答(1)  (2)  (3)  (4)  (5)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


62-5 上級 斧間徳子さん作    平成25年年賀推理将棋   13手

「正月に指した将棋、わずか13手で2五にいる相手玉を詰ましたんだって?」
「うん。今年は2013年で平成25年だよね。正月から縁起が良さそうだな。
 そういえば、1手目と3手目と13手目が同じ筋への着手だったのも、
 2013年と語呂が合っていた・・・いや、これは考えすぎかな。
 とにかく、駒を成る手が1回もなかったし、不思議な将棋だったなあ」
「2五で詰ましたってことは、とどめは3筋に金でも打ったのかい?」
「いや、3筋への着手は、相手の4手目と10手目だけだったよ」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 13手で詰んだ
  • 後手玉は2五で詰んだ
  • 1手目と3手目と13手目は同じ筋への着手だった
  • 3筋への着手は、4手目と10手目だけだった
  • 駒を成る手はなかった

出題のことば(担当 DD++)
  半分まではすぐにわかりますが、残りの半分はよーく考えて。

追加ヒント:
  最大の問題は34地点をどう塞ぐか。駒打ちの方がクリアしやすそうですね。
  駒打ちは1枚では足りません。銀で退路を絶ち、トドメに大駒をさてどこから打つ?


推理将棋62-5 解答  担当 DD++ Suiri625

六歩    ▽4二玉    ▲七角    ▽二玉
▲5三角不成▽2四歩    ▲7一角不成▽2三玉
▲8二角不成▽四玉    ▲2三銀    ▽2五玉
五飛  まで13手

大きなヒントがあり後手の手はすぐに判明するにもかかわらず、そこからが難しいという珍しい問題です。

後手は6手で25まで玉を運ばなくてはならず、3筋は4手目と10手目しか指せないので、△42玉△32玉△24歩△23玉△34玉△25玉もしくは△42or52玉△32何か△44歩△43玉△34玉△25玉しかありません。両者の違いはほぼ24地点に後手歩がいるかいないかという違いだけですね。

さて問題は先手です。条件は3筋に着手しないことと、初手3手目13手目を同じ筋にすること、そして成らないこと。しかしこれが実に困難。例えば▲16歩▲15歩▲76歩▲44角▲26角▲何か▲17桂。1手余っていますが34地点の逃げ道が塞ぎようがありません。例えば▲16歩▲15歩▲14歩▲18飛▲何か▲何か▲15飛。今度は2手も余っていますが、やはり34地点が埋められません。普段ならなんでもない34地点がこの条件だと著しい難所となるのです。

では考え方を変えましょう。詰みを一旦視野から外して、34地点に先手駒を利かせることだけ考えてみましょう。自陣から駒を運ぶなら45金か45銀まで最低5手。駒打ちだとすると後手陣の歩を破るまでに3手プラス飛か銀を取って打ってでやはり最低5手。なんと34を封じるだけに4手ですら足りず、5手もかかるのです。

そう、5手。この数字がこの問題を解く鍵でした。11手目までにこの5手がかかる以上、初手か3手目に4~7or9筋の歩を突くか4~7筋に金銀を上がるかする必要があります。つまり条件から、トドメも4~7or9筋。飛も角がなければ最終手で詰みどころか王手すらかかりませんね。どうやら5手で34地点を塞ぎつつ、しかもあと2手で大駒を使えるような手順を考えなければならないようです。

ここまで来ればあと一歩ですね。71銀を取りに行くついでに82飛を取る1手とそれを打つ1手を加えてちょうど7手。これがこの条件をクリアするために必要な着手内容でした。あとは並べ替えるだけ、と安心した所でようやくこの問題の狙いがお目見え。初手と3手目の着手筋を揃えなければならないので96歩97角から入るわけですが、その結果生じるのが最終手95飛の最遠打の詰み! これだけの解きごたえに加えてこの鮮やかな狙いの魅せ方、素晴らしい作品でした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

斧間徳子(作者) 「2013年と平成25年をテーマにして作ってみました。はるか遠くからの飛車打による合効かずの詰みが狙い。13と25を強調するためとはいえ、条件数が多いのがやや不満です。」

■しかし、「3筋は4手目だけ」とどちらにするかで迷った時に、条件のシンプルさを犠牲にしても解き味を優先した判断は間違いなく正解だっただろうと思います。

チャンプ 「玉が25で詰むのに3筋の手が4&10手目のみということで、後手の全指し手がほぼ丸裸になるので、何も悩むことなく一直線に解けました。しかし▲96歩~▲97角の立ち上がりから▲95飛の最遠打など見せ場は随所にあり力作だと感じました。」

■この先手の順が一直線とは、すごい解答力。

NAO 「25玉を詰ますのにまさか9筋とは。裏をかかれました。」

■解いてびっくりの大仕掛け。

橘圭伍 「条件から想定した詰上りが的中した為に1分も掛からなかった作品。歩→角以外の開始なら悩ましかったかもしれないですね」

■歩角以外というと、79銀78角56歩13角生22角生として2枚角で攻めるとか?

占魚亭 「1・3・13手目が同じ筋への着手という条件から、すぐに予想がつきました。」

■確かに、何か狙っているんだろうなという方向から考えると最遠打は魅力的。

はらたっと 「9筋のひらめき一発でした。95飛がカッコいい!」

■推理将棋だと邪魔駒をどかさなければいけない都合があって、ここまで美しい最遠打はめったに見られません。

平井康雄 「冷静に考えてみれば、初手と3手目を同筋で手順前後がない手順は、歩を2回伸ばすか、1・2・3・7・9筋しかあり得ないですね。最終手を5段目の飛とするなら、7筋か9筋しかあり得ないことになります。当初は7筋にばかり固執してうまくいきませんでしたが、9筋にしてみたら、見事に解決しました。」

■と思いきや48金49玉とかがありましてですね。まあ先手勝ちでそれを作意にしてきたらおもちゃ箱では出せないような難問になるのでしょうが。

たくぼん 「9筋とは思わなかったなあ。条件文で意識が右の筋にいっちゃったからなあ。参りました。」

■見事なミスディレクションですよね。私もバッチリひっかかりました。

渡辺 「推理がしやすい問題でした。後手は3筋の条件を考えると歩を突いて25に玉を運ぶのが精一杯。3筋条件から34歩は突けないので24歩を突く。これで後手は決定。とすれば詰形は23に銀か角で飛打までで、初手と3手目が同じ筋になりやすい9筋から考えると答があります。」

■条件に惑わされず、初手と3手目で9筋を連想できると確かに早い。

S.Kimura 「飛車か銀を取ることを考えていましたが,最後のヒントが出るまで,2枚も取るとは思いませんでした.」

■2枚も取るのはなんとなく手数をかけすぎという気がしてしまいます。

鈴木康夫 「詰パラに発表した拙作75玉型14手詰の詰上がりが参考になりました。」

■5段飛の詰みは中手数ではよくありますよね。最初に見つけたのは誰なんだろう?

諏訪冬葉 「『34を駒打ちで塞ぐ』というヒントから23銀が浮かんだので他に使えそうな駒を探したら飛車がいました。」

■過剰に中身を見せ過ぎない、いいヒントだったでしょう?

やまかん 「解けたとき解後感がかなりよかったです。右側の2,3筋方面の手を考えやすいから反対の9筋は盲点になりやすいですね。」

■魅せたいものが最後に明かされますからねえ。こういう問題を作れるようになりたいもの。

はなさかしろう 「飛車の横利き、合い利かずの詰みは第一感でしたが、自飛車が駄目ということで、玉方の飛車をどの手順で奪うかが問題。銀打ちから最遠の9筋飛打ちが気持良いです。25と13を織り込みつつ形良く詰め上げるすばらしい年賀推理将棋でした。」

■飛車の横利きが第一感だったのに、19香を紐に15飛の横利きで詰ませようと四苦八苦したセンスのない解答者、それが私です。


正解:17名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  香箱さん  鈴木康夫さん  諏訪冬葉さん
  占魚亭さん  たくぼんさん  橘圭伍さん  チャンプさん  テイエムガンバさん
  NAOさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん  平井康雄さん  妙高仙人さん
  やまかんさん  渡辺さん


総評

チャンプ 「一年間、解答者として出題者として大変充実した時間を過ごさせて頂きありがとうございました。また出題の機会がありましたら、皆様を混乱の渦に巻き込みたいと思います(笑)その際は何卒お付き合いの程よろしくお願い致します。皆様にとって2013年が良き年でありますように。」

■チャンプさんは2013年大注目の作者の1人です。難問、奇問、易問、いろいろ投稿お待ちしていますよ。

香箱 「久しぶりに解いてみました。第1問の44歩がいい感触です。」

■だそうですよ、チャンプさん。

妙高仙人 「5問の条件が混線して、どれも難問になってしまいました。」

■たくさんの問題に同時に手を出すとありがちですね。

NAO 「難問あり、易問ありの年賀詰め。やはり上級のチャンプさん作と斧間さん作の2題は難しく、最終ヒント待ちも覚悟しましたが、なんとか解けました。両題ともなんと素晴らしい手順。年始から解けてよかった。出題は今年もお手柔らかにお願いします。」

■NAOさんがお年玉ヒントで解けないようだったらヒントのあり方を考えなおさなくてはいけないところでした。

橘圭伍「4が非常に難しかったのは解き方による差でしょうね。5314の順で時間掛かりましたが1で10分程度なのに4は1時間以上掛かりました(笑」

■推理将棋の難易度は解く人によって感じ方が全く違う実例ですね。

はらたっと 「上級2問題抱えて年越ししました。今年もよろしくお願いします。」

■年賀問題なのでむしろ年越してから……と思ったら片方は年末の問題でした。あらら。

平井康雄 「今回、初級・中編はヒントなしで解けたのですが、上級2題は最終ヒントが出るまで全く手が出ませんでした。」

■数年前の出題と比べて、初級はより簡単に、上級はより手応えがあるように選題や配置をしているので、上級でのヒント待ちはあまり恥じることではないと思いますよ。

たくぼん 「最近解図力に衰えが見えヒントだよりで解図していますが、今年もよろしくお願いします。」

■いえ、それは上級の難易度が以前より上がっているせいだと思います。はい。

渡辺 「最初の問題以外は考えやすかったです。」

■年賀作品ですから、初中級は素直な問題が並ぶというものです。

やまかん 「2ヶ月ぶりの推理将棋は錆びた頭にはたいへんでした。(ヒントを見ても)
今回は62-1,62-5には特に感心しました。とてもうまく出来てると思います。
又来月もお願いします。楽しめました、ありがとうございました。」

■上級は共に年賀とは思えないほどの完成度でした。

はなさかしろう 「年賀推理将棋、昨年11月に作ってみようと思ったものの構想すら思いつけず、出題を楽しみにしていました。さすがにすばらしい作品揃いで楽しかったです。」

■そういえば来年の年賀作品にはまだ10ヶ月くらいかけられますね、という前振り。


推理将棋第62回出題全解答者: 17名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  香箱さん  鈴木康夫さん  諏訪冬葉さん
  占魚亭さん  たくぼんさん  橘圭伍さん  チャンプさん  テイエムガンバさん
  NAOさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん  平井康雄さん  妙高仙人さん
  やまかんさん  渡辺さん

当選: 鈴木康夫さん、妙高仙人さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知 らせください。

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