推理将棋第63回解答(1)
[2013年2月26日最終更新]
推理将棋第63回出題の63-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第63回出題 推理将棋第63回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第63回解説 担当 DD++
今回はなんと初解答者が3名も。初級が手を出しやすかったのと、あとは年賀推理特集というのがいい宣伝効果になったのでしょうか? しかし一方で上級のヒントが不足だったようで全答者数はあまり伸びず。今後の参考にさせて頂きます。
63-1 初級 DD++作 大当たりの歩を求めて 20手
「あけましておめでとう。新年から何してるんだ?」
「さっき指した将棋の棋譜並べ。
棋譜見てもらえればわかるけど、今年の指し初めに相応しい奇跡が起きたんでね」
「▲76歩△34歩▲66角△44角まではともかく、その後の▲36歩△74歩▲48玉ってなんだ。
しかも8手目以降に着手された駒は3枚だけじゃないか」
「でもすごいだろう、2人あわせると20手で13枚の歩を取って詰んだんだぜ」
「君らは福袋を漁る主婦か何かなのか?」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 20手で13枚の歩を取って詰んだ
- 指し始めの7手は▲76歩△34歩▲66角△44角▲36歩△74歩▲48玉
- 8手目以降に着手された駒は3枚だけ
※途中で成っても1枚は1枚です。
出題のことば(担当 DD++)
1箇所さえ間違えなければ絶連どころかほぼ一本道。
追加ヒント:
龍では強すぎて失敗。飛は不成で使いましょう。
推理将棋63-1 解答
▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六角 ▽4四角
▲3六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽1七角成
▲9三角成 ▽2七馬 ▲8三馬 ▽3六馬
▲7四馬 ▽8七飛不成▲6三馬 ▽6七飛不成
▲5三馬 ▽5七飛不成▲4三馬 ▽4七馬 まで20手。
20手と聞くと一瞬怯みますが、蓋を開けてみればそれがまやかしであることがわかります。20手中13手が歩を取る手なのに、7手目まで歩をとる手はなし。つまり「8手目以降は実は全て歩を取る手」であり、これが判れば既に正解に7割以上近づいています。
8手目に可能な歩を取る手は△17角のみ。成生は次の歩を取るために当然成ですね。9手目も同じく▲93角で当然成。以下△27馬▲83馬△36馬▲74馬とほぼ一本道に進みます。
鍵となるのがこの次の14手目。まず△47馬とはできません。なぜなら15手目に王手対処をしなければならなくなり、歩取りが途切れるからです。では他に14手目に歩を取る手は、と探すと91香と82飛がありますね。97香成ではその後に役に立ちそうにないので87飛。成生はとりあえず勢いで成ってみましょう。
これで動く駒3枚は出揃ったので先手はあと▲63馬▲53馬▲43馬とひたすら寄るだけです。後手もあと3手ですが、問題となるのは59地点。歩を取りつつここを封じるには△67龍△57龍として……おっと、王手がかかってしまいました。△57龍で詰みとはなりそうもないのでこれでは失敗。
さて何が悪かったかなと振り返ると、87で飛車を成ったのが失敗だったことがわかりますね。つまり後手は△67飛不成△57飛不成と生飛車で玉を狭めてから△47馬でトドメを指すのが正解だったわけです。
それではみなさんの短評をどうぞ。
橘圭伍 「コメントに困る」
■初級ですから、まずは誰でも解けることが一番重要なのです。
チャンプ 「まさに歩を漁りまくる両者の手順。手拍子に△87飛成とすると迷宮入りですね。」
■1回失敗して苦笑いしながら不成に直す、くらいで解かれるのが理想ですね。
渡辺 「20手13枚で2013ですか。それにしてもこの7手暴露条件、アイデアの勝利ですね。惜しまれるのは巳年なのに馬が大活躍なこと。」
■20手かつ間違えやすいところがありながらも誰でも解ける、そんな問題も作れるんだよという好例を作ることはできたかと。
NAO 「導かれるままに解けました。歩のある所をなぞるだけですが、初形図がないと暗算では解きにくい感じ。」
■取られる駒も含めると移動する駒の枚数がかなり多いのは確かに難点でした。
斧間徳子 「こんなに易しい長編は初めてだが、成不成の条件なく飛生が連続する手順は巧妙。」
■実際、手順そのものはこの不成でなんとか保っているような内容です。
妙高仙人 「残り13手、歩を取り続ければ解決。」
■謙虚に歩を狙い、謙虚に不成で迫ります。
はなさかしろう 「20手! 13枚!! 恐れをなしましたが、手を出してみると実はほぼ一直線。易しく、とても楽しい手順でした。事前準備で王手をうまく回避、手数もぴったり。2013年の年賀推理将棋にふさわしい、センスの良い素晴らしい一問ですね。」
■びびったら負けというか、びびらなきゃ勝ちです。
占魚亭 「3枚を3種類と勘違い(苦笑)。」
■推理将棋解いてるとよく出ますよね、妖怪「思い込み」。
しまぎろう 「飛生が巧い手だと思いました。」
■指将棋では絶対ありえないこういう手が平然と登場するのが推理将棋の醍醐味の1つです。
はらたっと 「1回目は飛成で失敗。」
■素直ないい解答者です。
隅の老人B 「手数は長いが一本道の感もある。でも、手順は3度の飛生が入って面白い。」
■この飛生がなければただの冗長な手順となるところでした。
はやし 「直前ヒントで簡単に解けました。歩を突き合っているので、王手にならないので困らずに済んだ。」
■中級以上ならここでどう王手回避するかも問題にするんでしょうけどね。
平井康雄 「20手もの手数で初級とは驚いたが、条件を翻訳してみたら、『8手目以降は双方とも歩を取り続けた』であることが判明。それなら確かに選択の余地はほとんどないですね。」
■長くても解けた! という自信にしていただければ。
キリギリス 「馬で歩を取り合うことしか考えつかなかったのですが、ヒントで飛車の活用に気がつきました。」
■この形で飛車先が開くのは意外と盲点に入りやすいんですよ。
水狂 「初めて参加します。早々と王手になってしまう・・・と思ったら飛車を発見して解けました!」
■この散々悩んだ後の閃き、喜びは一入。
たくぼん 「長いけれども気持ち良く解ける。それでいてちょっと考えるところがある。理想的ですね。」
■まさにそれが狙いでした。うまくいったようで一安心。
桝彰介 「13手で13枚の歩を大駒3枚で取っていくのを考えるので易しい。」
■長くても初級で出すにはそれなりの理由があります。
やまかん 「7手目48玉を含めて出題した方が面白いと思う。もったいない素材のような。」
■ここから48玉条件を削ると手順前後はもちろん全く別の順も出るので条件付けが悩ましいのです。
S.Kimura 「ここまで来ると,歩を全て取って詰ましたくなりますね.」
■歩18枚全て駒台に乗っての詰み、さて最短何手でしょうかね。最終18手が全て歩取り、まで制限しても面白いかも。
諏訪冬葉 「残りの13手が全て歩を取る手なのですぐ分かりました(飛車不成は)。」
■年賀らしく大ヒントなのでした。
正解:21名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん キリギリスさん しまぎろうさん 水狂さん
隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん 橘圭伍さん
チャンプさん テイエムガンバさん NAOさん はなさかしろうさん はやしさん
はらたっとさん 平井康雄さん 桝彰介さん 妙高仙人さん やまかんさん
渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
私の62ー1への感想とDDさんの回答がまぎれ込んでいるようです...。
私は本問のような場合は頭の中で生飛でも龍の中間(?)の駒が動いていって、今回の場合は57まで進んだところで生に決定する、という思考法を使っています。
投稿: 渡辺 | 2013.02.26 23:02
「生飛でも龍の中間」って訳分かりませんね。「生飛でも龍でもない」と「生飛と龍の中間」が同時に出て混ざってしまいました。
投稿: 渡辺 | 2013.02.26 23:15
すみません。私のミスです。修正しました。
ご指摘、ありがとうございました。
投稿: TETSU | 2013.02.26 23:25