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推理将棋第64回解答(1)

[2013年3月26日最終更新]
推理将棋第64回出題の64-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第64回出題  推理将棋第64回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第64回解説  担当 DD++

今回は全てがかなりの難問で解答者数1桁も覚悟したのですが、やや少なめ程度で済んで安心しました。さすがにこのクラスの難問はしばらく出さないとは思いますが、機会を見て出題難度の幅を(上だけでなく下にも)広げて行きたいものです。


64-1 上級 渡辺秀行さん作    4箇所着手3局 (A)   17手

A氏「昨日、最初から最後までたった4箇所しか指さない珍しい将棋を見たんだ」
B氏「偶然だね、僕もだよ」
C氏「俺もだ」
A氏「17手目に後手玉が詰んだんだけど、駒成が2回あって少なくとも一方は、直前の相手の着手を取る手ではなかったな」
B氏「僕のは20手目に先手玉が詰んだときに、初期配置から先後の向きだけが逆になっている駒があったんだ」
C氏「俺のは25手で詰むまでに『同』と付く着手は5回だったけど不成の着手はなかったね。」
B氏「うん、僕のは先手は後手の駒成の着手を『同』と取ったんだけど、その駒を打ったら直に後手に『同』と取り返されてそのまま先手が取り返すことはなかったんだ。先手は同じ種類の駒を4連続で着手したよ」
C氏「俺のは後手が最後から2~4番目に着手した駒は順に、角、金、角だったね」
A氏「それで後手が最後に着手した駒は?」
C氏「それは言えないね」

(条件)

  • 17手で詰んだ
  • 着手地点は4箇所
  • 駒成は、同の付かない着手を含め2回あった

出題のことば(担当 DD++)
 成大駒は強すぎるので、着手地点を後手玉周辺に固めると失敗しそうです。

追加ヒント:
 着手する地点のうち3箇所は、42、53、76。しかしあと1箇所は33ではありません。
 53地点で駒交換の応酬。
 先手は取った飛を銀に交換し、次いで馬を金に交換して、▲42金まで。


推理将棋64-1 解答 Suiri641

▲7六歩    ▽4四歩    ▲同 角    ▽4二飛
▲5三角  ▽4四飛    ▲同 馬    ▽4二銀
▲5三飛    ▽同 銀    ▲同 馬    ▽4二金
▲4四銀    ▽5三金    ▲同銀    ▽4四角
▲4二金  まで17手

今回は全て「着手地点は4箇所」ということで、まずはその条件下での詰手順にどういう特徴が出るか考えてみることが肝要です。先手勝ちの場合で考えてみましょう。先手は少なくとも1枚駒を繰り出さねばなりませんが、出動で地点数を消費するわけにはいきません。故に初手▲76歩からの角出動は絶対。しかしこの76地点は当然4地点のうちの1つに数えられる上に、この歩をさらに突くことはできません。つまり、「4地点」というのは事実上「初手76歩、2手目以降は3地点」ということになります。

また、その条件から最終手は駒打ちであることもわかります。というのも、先手が駒を打った瞬間、76以外に着手可能な3地点のうちどこかには直前に指された後手駒があります。では後手はというと次の手は当然残り2箇所のどちらかに着手するしかなく、そこに先手駒があれば当然取られてしまいます。故に先手勢力が2枚になるのは駒打ちのまさにその瞬間しかなく、その時にしか後手玉を詰めることが可能な瞬間はありません。

という2つを把握した上でこの問題を見てみましょう。もし玉が動くなら「76、33、42、41で玉位置は41」もしくは「76、33、42、31で玉位置は31」でしょうが、しかし前者は17手で詰んでも成は1回だけで、後者は先後逆でないと成立しないことが確認できます。従ってこの局は居玉。▲42龍までは先に見た通りありえませんので最有力候補は「▲76歩▲33角成▲42馬~▲42金」になりますね。しかしここで大問題が1つ。そう、この形は62地点をどうにかして塞がないといけないのです。

常識的に考えれば▲42馬から▲53馬と穴を空けてここに銀か何かの紐駒を置きたいわけですが、42地点と玉座との近さがそれを許してくれません。▲42馬の瞬間王手がかかってしまって後手がそれを取るしかなくなってしまいます。そこで思い切った代替手段の登場。着手地点をわざと玉から遠ざけるように「▲76歩▲44角▲53角成~▲53紐駒▲42金(銀)」としてみましょう。後手の手が続かなさそうに見えますが、△44歩△42飛△44飛でギリギリセーフ。この4地点の組み合わせを掘り下げてみましょう。

この4地点であれば不成にするメリットはないので「▲76歩△44歩▲同角△42飛▲53角成△44飛▲同馬」までは確定。しかし53飛でも53龍でも42飛でも役に立たないので飛は実は持っていても無駄な駒。そこで「△42銀▲53飛△同銀▲同馬」と9手目の手パスに遠慮なく使ってしまいましょう。これで11手、残りは簡単、銀を打って、成って金を取り、それを打って詰みですね。16手目も手パスですが、着手できる場所は44地点だけ、飛は詰まなくなってしまうので指せるのは44角限定です。

それではみなさんの短評をどうぞ。

斧間徳子 「簡潔な2条件だけで、このパズルのような面白い手順を限定しているのが凄い。今月の3題の中で最もお気に入り。」

■同時に、簡素であるがゆえに(ノーヒントだと)3題の中で一番解きにくい気もします。バランスが難しい。

はなさかしろう 「64-2のパターンで何とかしようと四苦八苦しているときにヒントが出て愕然。33を使わないと行き詰るかと思いきや44飛でぴったりつながるんですね。取った飛車をアッサリ取らせてしまうのも意外で、1問目にして前途多難な滑り出し(笑)」

■4箇所着手で唯一角が33(77)に飛び込まない形ですね。これにノーヒントで気づいた方はほとんどいないのではないかと思います。

NAO 「33を使わなくても詰むのは衝撃です。それにしても44と53を使うとは全く思考の外側でした。」

■53を使うことは思いついても44経由というのは本当に思いつきにくい。

チャンプ 「これが作意でしょうか?かなり酷評にはなりますが、もしこれが作意なのであれば条件である【駒成は、同の付かない着手を含め2回あった】の言い回しが不親切すぎますので解後感が非常に悪いです。もしそこ(言葉を使ったミスリード)を狙って創作されたのであれば大変に不快に思います。折角の面白そうなコンセプトが条件文の微妙さで台無しになっている印象しかありません。」

■「○○は△△を含め×回あった」という形の条件表記は慣習的によく使われていて、先月からの解答者である方にも本条件は問題なく伝わっています。担当としては何も差し支えない表現だったと判断していますが……チャンプさんはどのようにすべきだったとお考えでしょう?

橘圭伍 「今回の3作品中これがベストですね。無駄なく纏まっています。」

■17手がこの条件だけで済むとは。

諏訪冬葉 「最初の7手は多分これしかない。あとは着手箇所から最終形を予想してそれを満たす手順を構成。・・・プルーフゲームというよりレトロ解析?」

■言われてみると確かにレトロっぽい部分がある……。

しまぎろう 「持駒変換みたいで楽しかったです。」

■この特有のテンポは通じるところがありますね。

占魚亭 「金を42で取って失敗し、銀打ちに気付きました。」

■17手もあるので急ぐ必要は全くないんですよね。

隅の老人B 「残りの一箇所は何処?44と気付けば、後は根気で解決。」

■そして一所懸命駒繰りをしてピタリ17手だった時の安堵感。

はやし 「やっぱり締め切り前ヒントに助けられました。駒交換のヒントがないと発想できない。」

■中間ヒントで44地点で飛をとるとわかった時に、その飛を活かそうとすると迷走しますよね。

S.Kimura 「53角(馬),42龍で詰ませることを考えたので,かなり悩みました.」

■その場合44から龍を動かすことになるのでしょうが、そうすると終盤に後手が着手できる場所がなくなってしまうのです。

鈴木康夫 「この4箇所で詰むのは私も見つけていました。」

■こちらの出題直前にmixiで鈴木さんがほぼ同じ問題を出した時には冷や汗でした。

キリギリス 「角の成るタイミングと銀の成りまで限定されていて驚きました。」

■4箇所着手は金銀の取る順の限定が難しいのですが、金は成れないので限定するというのはうまいもの。

妙高仙人 「金銀を限定する条件でもあったとは、解けるまで全く気がつかなかった。」

■さり気なさすぎて私もしばらく気づきませんでした。

はらたっと 「2種類の成で限定されているのがすごい。」

■非限定は決して少なくないはずなんですけどねえ。


正解:16名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  キリギリスさん  しまぎろうさん  鈴木康夫さん
  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  橘圭伍さん  チャンプさん
  テイエムガンバさん  NAOさん  はなさかしろうさん  はやしさん
  はらたっとさん  妙高仙人さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

【駒成は、同の付かない着手を含め2回あった】これが「同の付かない駒成(単成)が2回あった」(2回目の同銀成は条件違反)のように読み取れるということです。
どうやら皆さんのコメントを見る限り、そう読み取ったのは私だけのようなので問題は無かったのかもしれませんが、私なら【駒成は2回あり、内1回は同の付かない駒成だった】にします。ほんの少しの違いですが、これなら解答者に与える印象が全く違っていたと思います。

投稿: チャンプ | 2013.03.26 22:27

>これが「同の付かない駒成(単成)が2回あった」(2回目の同銀成は条件違反)のように読み取れるということです。
何故そう読みとれるのかさっぱり分かりませんね。日本語大丈夫ですか?「含め」の意味を知っていますか?

>【駒成は2回あり、内1回は同の付かない駒成だった】
条件の意味が異なりますね。すなわち「同の付かない駒成が1回」と「同の付く駒成が1回」あったという意味になってしまいます。元の意味は「同の付かない駒成が2回」と「同の付く駒成はなし」でも良いです。

投稿: 渡辺 | 2013.03.27 01:25

まず、これは駒成の条件についての説明文ですよね?作意の駒成2回が、同の付かない着手と、同の付く着手であるのならば、もっと親切で解り易い表現があると思いますよ。ですからコメントには不親切と書かせていただきました。それと「含め」の意味を知ってますか?と問われましても、そもそも「含める」「含めて」「含めた」「含む」といった言葉はありますが「含め」で切るような言葉は存在しないハズです。推理将棋では度々用いられる表現の一つではあります(私も数回用いたことはあります)が、これもまた適切な表現ではないかと思われます。

また、私が提案した【駒成は2回あり、内1回は同の付かない駒成だった】この文だと元の条件とは意味が異なるのは百も承知です。しかし、誤解を招くような日本語を使ってまで難度を上げても意味がないのでは?という想いがあります。もしそれでも謎解き要素を減らしたくないのであれば【駒成は2回あり、最低でも(少なくとも)1回は同の付かない駒成だった】で良かったのではないでしょうか?

投稿: チャンプ | 2013.03.27 02:42

一応調べてみました。Weblio類語辞典によると、
「含め=ある物を計算や考慮の対象に含むこと」という意味だそうです。
http://thesaurus.weblio.jp/content/%E5%90%AB%E3%82%81

投稿: KG | 2013.03.27 13:15

「含める」はマ行下一段活用で連用形が「含め」になるのでこの文の構造は何の問題もありませんね。
元の単語が「含む」だと「含み」になります。
どちらを使うかで多少意味の違いがありますが、正しい日本語かという点ではどちらも正しい日本語です。

投稿: DD++ | 2013.03.28 03:02

いや、日本語のギロンをしたいのではないと思いますよ。
「駒成は、同の付かない着手を含め2回あった」は、(1)同○成2回=「NG」(2)同○成1回、○成1回=「OK」(3)○成2回=「OK」と解釈するのが正解で、これはチャンプさんもわかっています。
今回の作意解は(2)であり、(1)は余詰あり。(3)は余詰なしなので、渡辺さんは条件付けとして「~含め2回あった」を選んでおり、DD++さんもそれでよしとしています。
チャンプさんは、今回の出題は3問とも手数が長く難しいのばかりだから、自分が条件付けするのなら、作意解が(2)なのであれば(3)が余詰まないと解っててもシンプルに「駒成は2回あり、内1回は同の付かない駒成だった」で(2)に決め打ちさせる。(3)も含みにもたせると解答にたどりつく人が減ってしまう。という意見を述べただけでしょう。
私個人としては、「同の付かない着手を含め2回あった」という条件がだされた場合は、(2)が本線で、仮に(3)が作意解だったとすれば、ミスディレクションをねらった出題なんだなと思います。

投稿: はらたっと | 2013.03.28 12:08

私が一言(どころか二言くらい?)足りませんでしたね。
私はこのチャンプさんの意見の様子をもう少し見ていたいのですが、「日本語として正しくない」という客観的にも誤っていると言える論拠に依っていては何の益もない話にしかなりませんので、そこを解消した次第です。

投稿: DD++ | 2013.03.28 13:03

文法上どちらが正しいかどうかなど議論するつもりは毛頭ありませんのでご心配には及びません。ただ単に「含め」に対する違和感は以前から抱いてたことでしたので、丁度良い機会かと思い一石を投じたにすぎません。

さて、このような場で素性を晒すのはどうかとは思いますが、私は長年将棋に携わり、また将棋を教える仕事をしておりました。しかし生活の場を変えたことで現在、将棋とは無縁の生活を送っております。そんな中で唯一続けているのがこの推理将棋です。中にはご存知の方もおられますが、私も日本将棋連盟に身を置く一人として、少なからず将棋の普及に貢献したい気持ちがそうさせてるのだと思います。ただ実際のところ推理将棋はまだまだ小さな世界です。認知度も低く発展途上の分野です。しかし私の中では無限の魅力を感じている世界でもあります。もっとたくさんの方とこの魅力(面白さ・奥深さ)を共有したい、推理将棋の裾野を広げて行きたいという気持ちは強く持っております。毎月この小さな世界を世に広めようとご尽力されている渡辺さんとDD++さんのお二人には本当に頭が下がります。今回は大変辛口のコメントになりましたが、今後ともお二人に頑張って頂きたい気持ちの表われと捉えて頂ければ幸いです。また、毎月のように解答を送っていただいている方たちも同志であると信じております。皆さん、近い将来、将棋の日のイベント等でトップ棋士相手に推理将棋の問題が出題されたら面白いと思いませんか?私は本気でそう思っていますよ。
長文失礼いたしました。

投稿: チャンプ | 2013.03.29 01:24

最後にレスをつけて頂いた方たちにコメントを残しておきます。

渡辺さん>酷評失礼いたしました。この手順を僅か2条件で纏め上げた力量に敬意を表します。

KGさん>わざわざ調べて頂きありがとうございました。お手数をお掛けいたしましたことお詫びいたします。大変勉強になりました。

はらたっとさん>名解説ありがとうございます。私の想いが解り易い形で表現されていると感心しました。

DD++さん>担当の仕事は大変だとは思いますが今後も楽しみにしております。これから少しずつでも新しい解答者・投稿者が増えてくるといいですね。私も負けずに解答・投稿を送り続けたいと思います(笑)
ついでで申し訳ありませんが、この問題の解説文の最終行「歩は二歩」これは誤りです。二歩ではなく、ただ単に後手に歩が無いだけです(笑)

投稿: チャンプ | 2013.03.29 02:06

>後手に歩がないだけ
あ、本当ですね。
64-3の76歩が打てない理由と交錯してしまったようです。

解説最終行「歩は二歩、」の五文字をお手数ですが削除していただけますでしょうか?>TETSUさん

投稿: DD++ | 2013.03.29 04:08

「歩は二歩、」を削除しました。

投稿: TETSU | 2013.03.29 10:23

チャンプさんに悪意がないことは理解しました。対する私のコメントは二つの誤解に基いています。
一つは悪意について、もう一つはチャンプさんの条件文提案意図について、です。


現在は誤解していませんので、その上で条件文に関する二つ論点について、改めて私の見解を述べて置きます。
その前に先に申し上げておくと、途中のコメントを見る限り、チャンプさんの日本語の能力に少し難がある(もしくはそのふりをしている?)ことが伺えるのが不安です。
( 例:「2013.03.27 02:42」 の第一段落の最後の文は、本当は言いたいことの反対が書いてあるように見えます。)


1. 元の条件の「含め」を使った表現について
この表現は、「連用修飾語」「『含める』の連用形の『含め』が連用修飾語としてどう働くか」を知っていれば、まず誤解し得ない表現で、(推理将棋ではない)日常でも普通に用いられる正しい日本語です。その意味で「誤解を招くような日本語」と言うのは単に日本語の能力の問題で、推理将棋が日本語の論理に頼ったパズルである以上、日常で普通に使われる日本語を論理的に正しく解釈できること自体は期待されるべきであり、この表現の問題ではありません。(実際、チャンプさんを「含め」全員が正しく理解しています。そうですよね?)

2. 条件の選択について
私は、推理将棋は枕元で解きます。なので条件は記憶しやすく作ることを心掛けています。(日本語が不自由でないという仮定の元に)本文の条件が最もシンプルで記憶しやすいものであり、作意解もはらたっとさんのいう(2)「本筋」であって、ミスディレクションでもない、素直なものです。個人的感想を述べるなら、【駒成は2回あり、内1回は同の付かない駒成だった】という表現は長くて覚えにくく、理解にも余計に時間がかかると感じます。総合的に、はらたっとさんの言う(3)を許すことによる難易度の上昇(という欠点)と、表現を短くできる利点とを比較して後者に重きを置いたのが私の判断です。

投稿: 渡辺 | 2013.04.09 00:22

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