[2013年4月29日最終更新]
推理将棋第65回出題の65-3の解答、第65回出題の当選者(渡辺さん)
を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第65回出題 推理将棋第65回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
65-3 上級 チャンプさん作 縦横斜打 父作 9手
弟「ボクが考えた条件をマネするのはズルイ~。」
父「まぁまぁ、しかしこれは兄弟作としては面白い作りになったんじゃないかな。」
兄「それなら、お父さんも作ってみてよ。」
父「ほほぅ、そうきたか。どれどれ、それなら一つ作ってみるとするか。」
・・・数分後・・・
父「よし、これで完成。」
弟「見せて見せてー。」
父「悪いけど父さんもマネさせてもらったよ。」
兄「似たような問題が3つも揃っちゃったね(笑)」
弟「誰の問題が一番いい出来だったかなぁー?」
父「解答者に尋ねてみたらどうだい?」
(条件)
- 9手で詰んだ
- 後手は駒を縦、横、斜め、の順に動かし最後に駒を打った
- 成・不成、どちらかの手が1回だけあった
- 同と付く着手は1回のみ
出題のことば(担当 DD++)
たった9手と思っていると気づきにくいかもしれません。
追加ヒント:
8手目は大駒打ちですが、88にいた角ではありません。同の手が2回になったら「横」「斜」の再考を。
推理将棋65-3 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2二角成 ▽3二飛
▲5二角 ▽同金左 ▲3二馬 ▽6二角
▲4一飛 まで9手。
さて最終局は成生条件が他の2問と違います。成生のどちらかが1回、というのは今までの2種類の駒の渡し方どちらでもうまくいきません。△99角成などでは先手が後手陣に着手できなくなりますし、▲22角成△同飛でもその後ほとんど後手陣内に着手できませんから。
では他の手段を考えてみましょう。こういう場合は作者が何を狙って3題セットにしたかを考えてみると早道なことが多いです。初級は「先手陣にいる駒を取りに行く」でした。中級は「後手陣に飛び込んできた駒を取る」でした。上級に第3の方法があったら組局としては美しそうですね。その実際の方法は……「先手が取った角を渡してもらう」方法!
そうです、これなら最初に▲22角成としたあと、角を打つ手は成も不成もつかず、その後馬を動かす手も成も不成もつかないので、補助記号付きの手を減らせるわけです。あとは流れるように角金交換をして、「▲76歩△34歩▲22角成△52飛▲32角△同金▲同馬△62銀▲41金」で綺麗に詰みますね。
と、勢いでうっかりこれを解答すると誤答です。これだと「同」の手が2回。どうにかこれを1回減らさなくてはいけません。とはいえこの手順にはほとんどいじる余地がありません。できそうな改変といえば角を取らせる位置を変えて「▲76歩△34歩▲22角成△32金▲52角△同飛▲32馬△62銀▲41金」くらいですが今度は後手の順が「縦横斜打」になりません。さて困ったというところでもう一声。△32金△52同飛ではなく、△32飛△52同金左と飛車の方を渡しても最後▲41飛で詰み。ここまでやってようやく答えにたどり着きます。
それではみなさんの短評をどうぞ。
チャンプ(作者) 「上級は最後に打つ駒の指定をしないことだけを決めていました。全ての縦横斜打手順を確認した上で作意を決め、その解を唯一のものにするための条件付けといった順序で創作したので当然ながら悪戦苦闘。ようやく完成したと思った後に既存手順だったことを発見・・・。作意から創り直す気力も無くそのまま投稿~採用に至りました(笑)」
■完全に同一手順なでも別の問題ができるのは推理将棋の面白さの1つです。が、今回は流石に相手が強すぎたかもしれませんね。
鈴木康夫 「これは苦労しました。「同」が1回しか許されないので先手も後手も駒を取るが困難です。金を斜めに動かして腹金か腹飛車しかないと見当をつけてようやく解けました。」
■そういえば先月も「同」の手制限でしたね。案外使いやすい条件なのでしょうか?
はなさかしろう 「確かにこれはお父さんの一問ですね。」
■9手の中でもかなり難しい方に数えられるでしょうね。
NAO 「短手数の中で角のやりとりがあり傑作。1回だけの「同」も52とは考えにくい。」
■9手の手順とは思えないほどいろいろ詰まってます。
斧間徳子 「詰パラ2008年1月号の中村雅哉氏作と同一手順。前作が「大駒を打つ手が3回」という1条件の傑作であったため、 (シリーズ物としてではなく)単独の作品として比較すると、本作は大きく見劣りがするが、シリーズ物としては十分成立。」
■だいぶ絞り込み方が違うので、単品だとしてもそこそこ面白い作品だと担当は思います。
鈴川優希 「まさ氏の名作があるので、すぐに解けた。」
■あの作品を知っていればさすがに、ね。
平井康雄 平井康雄「推理将棋初心者には「成・不成どちらかが一回」というのを解釈しにくかったです。3手目22角?、同飛があり得るのかどうかが疑問だったのですが、限定できない手順は作意になり得ない、ということなので、これは無いことがはっきりしました。結局、3手目は成に限定以外はありえないこと、5手目角打、6手目同?(斜め)も必然であること、7手目も32馬以外はまずあり得ないこと、これだけそろってやっと手順が見えました。それでも最初に到達した手順は同が2つあってガックリ。考え直して何とかたどり着きました。」
■「成でも不成でもいい非限定な手が1回」という条件は手順を完全確定しなければいけない推理将棋では絶対に使われませんが、たしかにそういう先入観なしに日本語だけ見るとそうも読めるんですよね。チャンプさんと2人して唸りました。
しまぎろう 「手順に無駄が無く美しいと感じました。」
■おそらくは9手詰で最も濃ゆい手順です。
諏訪冬葉 「成・不成条件から馬を捨てるのは難しいと判断し、取った角を打ち捨てるという順を考えました。」
■鋭い! お見事です。
隅の老人B 「上級? 兄弟の作でいろいろ考えたので、これは楽勝。」
■ほう、これが楽勝というのはすごい。
橘圭伍 「これは…………」
■これは……。これは、なんだったんでしょう(笑)
占魚亭 「取った角を打ち捨てることに気付くかどうかがポイントですね。」
■9手だとこういう手には意識がいかないんですよね。
たくぼん 「小駒、大駒、あと何だろう?と思ったら別の大駒でしたか。縦横斜めの条件より取る駒の方が解図の大きなヒントでしたね」
■やっぱりそこから考えますよね。作家的な考え方。
はらたっと 「角取れるのに逆に取らせる32飛に気がつけば簡単ですね。」
■もひとつ、取れる32飛を見逃して52角っていうのもですかね。
S.Kimura 「条件が漠然としていて,方針が立たずに難儀しました.ヒントを見るまで,32飛は思い浮かびませんでした.」
■指将棋なら、コンピュータで指してて指定を1マス間違えた時くらいしか発生しない手でしょうね。
渡辺 「文脈から作意を汲むとこの順。ただし、例えば、
成・不成、どちらかの手が1回だけあったが、他方の手は3回だけあった。
とあれば、「成1回不成3回」または「成3回不成1回」の意味になる。
推理将棋では書かないことについては不問が鉄則なので、
正確に本文の条件を解釈するなら、
成・不成、どちらかの手が1回だけあったが、他方の手の回数は不問。
と同じ意味となり、兄の手順なども正解となり多数の余詰解が存在する。
これは「どちらかの手」を主語とする文を作ったのが原因で、こうすると
暗黙に「他方の手」に関しての記述が期待されてしまう。これを防ぐには、
例えば、
成と不成については、どちらか一方の手だけが、(丁度)1回あった。
成と不成の手は合計で(丁度)1回あった。
とすれば「他方の手」に関する期待が作意通りになります。あるいは
開き直って
成・不成、どちらかの手が1回だけあったが、他方の手はなかった。
でも(少しまどろっこしいですが)いいでしょう。」
■うーん、これはどうなのでしょう。「どちらかが1回」という日本語は普通「どちらかだけがあり、その回数が1回」という意味になるのではないでしょうか。回数とは違いますが、例えば「AとBのどちらかが1つおまけされます」という場合、「じゃあA3つとB1つおまけしてください」にはなりませんよね。確かに「どちらかの回数が1回である」という意味に誤解する余地を潰しておくに越したことはないのは事実でしょうけれども。
やまかん 「32飛のお手伝いがうまい^^」
■いかにも推理将棋という1手ですね。
正解:17名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん しまぎろうさん 鈴川優希さん 鈴木康夫さん
隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん 橘圭伍さん
チャンプさん NAOさん はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん
やまかんさん 渡辺さん
総評
チャンプ(作者) 「似たような条件を3作揃えた上で、要する手筋や詰み上がりの形が全て異なるように創作させて頂きました。そのため条件文がやや不十分だったかも知れません。個人的には兄作が一番いい仕上がりになったのではないかと思っています。親子3人のやりとりを楽しんで頂けたのであれば嬉しく思います。」
■3作それぞれに味があって全て好作と担当は思います。
鈴木康夫 「兄弟作親子作として見事に成立していますが、この条件でちょっとした条件の違いで作意が大きく変わる兄弟作ならではの意外性を求めるのは酷ですかね。」
■それはけっこう備わっているかと思っていたのですが、なかなか手厳しいですね。
はなさかしろう 「3分とは行きませんでしたが、今月はチェンジアップ。初級が好みでした。」
■やっぱり3分は無茶振りが過ぎました?
NAO 「3作とも考えるところあり、セット出題がぴったりです。縦、横、斜めの着手では横の手の発見が難しいですね。好みは弟作。3問で30分以上要しました。1問3分以内ではとても無理なので、まだまだ修行が足りません。」
■初形で横に動けるのは飛車だけ。それを見越した2手目の縦をどうするかというのもポイントでしたね。
斧間徳子 「3部作で、条件と手数をここまで見事に揃えたことに感心。作品の内容から推測すると、兄の方が弟よりパパ似ですね。」
■だとすると母親は香打ちの手順を作るのでしょうかね。
鈴川優希 「9手詰で後手駒打となると、かなり条件が厳しいので考えやすかったです。お気に入りは兄作。次回も挑戦したいと思います。」
■はい、次回もお待ちしております。
しまぎろう 「似ている条件でも手順が全く異なるのはすごいと思いました。今月はヒント無しで全題解けたので嬉しかったです。」
■チャンプさんももうベテラン作家ですからね。次回もぜひヒント無し解答目指して頑張ってください。
隅の老人B 「私の好みでは弟作が一番の出来。桜花が散っても未だ寒い日がある。こんな時には家に篭って推理将棋を考える。隅のB爺さん、今日も暇。」
■今日暑いなあ、と思ったら次の日は寒かったり、勘弁してほしいですよね。
橘圭伍 「他所の創作解答が一段落したので解答。易しいという評判ですが確かに易しいですね」
■9手にしてはかなり難しい部類だとしても、それでも9手だとベテランには知れてる難易度ですしね。
占魚亭 「今回の3作の中では、2の兄作がいちばんだと思います。」
■どうも兄作が一番人気なようです。
たくぼん 「3分は無理無理(笑)」
■ええ、せめて5分くらいにすべきでした。……変わらないかな?
はらたっと 「パッと解けないのでヒント待ちでした。ヒントを見たらパッと解けました。」
■ちょっとヒント出しすぎました?
S.Kimura 「「誰の問題が一番」と言われれば,解きやすそうなのに随分悩んだ弟君の問題ですかね.兄さんの問題は割と早く答えが見えましたが,お父さんのはヒントを見るまで方針が立たなかったです.」
■弟作が2番人気でしょうか。そして票の入らない父作。
渡辺 「軸となる後手の条件は面白くて、丁度良い具合に手順がバリエーションを残したまま絞れます。9手とは思えない難しさの残る問題を作るには丁度良い条件。」
■ちょうど3パターンに絞れる主軸条件を探すのは難しいですよね。ましてそれが面白いものとなればなおさら。
やまかん 「今月のこの親子作?条件がうまいですね。最初はとっつきにくいと思いましたけど。」
■考えるとなかなか奥が深いんですよこれ。
推理将棋第65回出題全解答者: 19名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん キリギリスさん しまぎろうさん 鈴川優希さん
鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん
橘圭伍さん チャンプさん NAOさん はなさかしろうさん はらたっとさん
平井康雄さん ひろぽんさん やまかんさん 渡辺さん
当選: 渡辺さん
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