« 詰将棋メモ(2013年4月26日) | トップページ | 詰将棋メモ(2013年4月27日) »

推理将棋第65回解答(1)

[2013年4月27日最終更新]
推理将棋第65回出題の65-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第65回出題  推理将棋第65回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第65回解説  担当 DD++

電王戦、面白かったですね。かなり複雑な思考を求められる分野でコンピュータが既に人間と肩を並べているという事実は大変興味深いです。しかし、推理将棋の場合は言葉の問題ですし、今月の作品のような機械的に扱いやすいもの以外はコンピューターには難しいんでしょうね(余詰作を出す恐怖に怯える担当の嘆き)。


65-1 初級 チャンプさん作    縦横斜打 弟作      9手

父「二人ともゲームばかりしてないで、たまには推理将棋の問題でも作ってみたらどうだ?」
弟「え~今いいとこなのにー。」
兄「面白いかもよ、何手で作ればいいのー?」
父「そうだな、9手で作ってごらん。条件は少し変わってて面白い方がいいな。」

・・・数分後・・・

弟「パパ、できたよ。」
父「お、随分と早く出来たみたいだな、どれどれ見せてごらん。」
弟「えーっとねー。」

(条件)

  • 9手で詰んだ
  • 後手は駒を縦、横、斜め、の順に動かし最後に小駒を打った
  • 成る手が1回だけあった
  • 2筋の着手は1回のみ

出題のことば(担当 DD++)
 2筋の手を無駄な手にしないためには何を指せばよい?

追加ヒント:
 8手目はもちろん99で取った香打ち。ならば最初の「縦横」だけで金付き居玉を崩しておかないと先手が攻め手に困りそうです。


推理将棋65-1 解答 Suiri651

▲7六歩    ▽6二金    ▲3三角  ▽6一玉
三馬    ▽9九角不成▲4一馬    ▽7二香
▲5一金  まで9手

9手詰で後手が駒打ち。それは当然後手が駒を取ることを意味していて、どうにも先手の攻めを阻害しそうですね。

さて初級は打つ駒が小駒と指定されています。後手陣まで攻めてきた小駒を取ってしまうと先手の攻め駒が足りなくなりますね。よって後手から先手陣に小駒を取りに行くことが必然。もちろん取る駒とは角道さえ開いていれば1手で取れる99香ですね。ここまでは手筋。当然ここで後手は「斜」を消費するので、あとは「縦」「横」「打」で詰み形を作らねばなりませんね。

ここでもう一つ推理将棋の知識を加えます。それは「金付き居玉は詰ませにくい」ということ。金付き居玉を詰ませる方法は「金をピンする(10手~)」「桂吊るし(9手~)」「両王手(10手~)」のいずれか。もちろん今回はそのどれも実現不可能。よって金付き居玉を「縦」「横」で崩しておくしかありませんね。

さらに2筋の手は何か、というのを考えましょう。後手が34歩を突けないことははっきりしましたので、先手は▲76歩▲33角成or不成としたことは明らかです。ここから2筋の手を指そうと思うと角は取れないので▲23馬、さらに攻め駒補充のために金を▲41馬で取る順が本命。

さて考える場所が先手と後手を行ったり来たりでせわしないですが再び後手に注目します。後手の「縦」「横」で41金を動かすわけにいかなくなりました。しかも▲41馬が王手になってはいけないとなると、この部分は△62金△61玉に絞られます。

ここまでの考えをまとめると、▲76歩△62金▲33角成△61玉▲23馬△99角不成▲41馬△香打ち▲金打ち。ここまでくれば最後の2手が△72香▲51金であることは簡単にわかりますね。

それではみなさんの短評をどうぞ。

チャンプ(作者) 「基本手筋のおさらい問題です。後手角で99の香を奪う筋を知っている方には評価が低く、逆に知らなかった方には評価が高い一作かも知れません。」

■評価の高低以上に、感じる難度の高低が割れたみたいです。

鈴木康夫 「65-2に条件を合わせて3筋の着手は1回のみにすると余詰むのでしょうか?」

■5手目は「▲23馬」「▲32馬」「▲42馬」があるので、32を排除するだけでは不十分なのです。

はなさかしろう 「8手目小駒打ちで後手の形を絞り込み、2筋1回で先手の手順を決める。正攻法でほど良く解ける、据わりの良い問題でした。」

■初級にするにはもうすこし手軽でもいいかなという気もしますが、捻くれたことをする必要がない点は初級向き。

NAO 「「縦、横」なら、52玉~51金左(右)の筋と決め打ちし失敗。香打はお決まりとしても、61玉が盲点となりました。」

■それだと銀をどかせないんですよね。

斧間徳子 「8手目に打つ小駒は99の香を取って打つしかなく、それをどこに打つかという問題。」

■同じように香を取っても、打つ場所は条件次第でかなり多岐にわたるんですよね。

鈴川優希 「玉方が小駒を取るには99の香を狙うしかない。」

■歩を取っても打てませんからね。より正確には歩を打つと9手では詰みません。

平井康雄 「そもそも、後手方が8手目に小駒を打てる、という状況が検討もつきませんでした。6手目99角以外にはないことに気付くまで相当な時間を要しました。中級よりも難しかったです。」

■「実現手段が1つしかなくてそれを思いつかないと苦労する」のと「実現手段が複数あって絞り込むのに苦労する」のは一般的にどちらが難しいのでしょうかね。

キリギリス 「はじめ、条件2の小駒は金銀と思っていたので、駒交換では手数不足なので悩みました。」

■攻め方が小駒を打つなら金銀桂ですが、玉方の小駒打ちはほとんど香なのです。覚えておくと今後役に立つかも。

しまぎろう 「23馬が面白いと思いました。」

■私はよくこの手を見落とすので苦手なのです……。

諏訪冬葉 「「小駒を取るためには△99角しかない」という読みからはじめました。▲76歩△42金▲33角成△41玉▲43馬△99角不成▲61馬△32香▲51金 という順はすぐに浮かんだのにこの解答にたどり着くのに5日かかりました。」

■あとは左右反転するだけなのですが、それが思いつかないんですよねえ。

隅の老人B 「最後に打つ小駒は何処で取るのと考えた。」

■先手陣隅は考えから外しちゃってました?

橘圭伍 「小駒を打てる展開が殆どないので易しいですね。初心者向き」

■殆ど無いがゆえに手のつけようがないように見える難点はあるんですけどね……。

占魚亭 「2筋着手の条件が頭から抜けていたので、42金を考えていました。」

■そして32香打ですか。そっちの方が先に浮かぶ方が多いんですかね?

たくぼん 「取る小駒は香しかないので考えやすい。香以外だったらすごいけど」

■9手詰で後手小駒打ちは香しかないですね。詰まなくていいなら歩がありますが。

はらたっと 「成1回を99角成と思って勝手に悩みました。」

■こういう手の成生はあとで決めることにして解くのが推理将棋のミソ。

ひろぽん 「成る手が一回で悩みました。」

■どうでもいいところを不成で指す推理将棋特有の手が見えなかったんでしょうかね。

S.Kimura 「香車を取る手に早く気付いたので簡単だと思ったのですが,23馬に気付かず,しばらく悩まされました.」

■そうそう、案外見えないんですよこの手。

渡辺 「これは2筋の手の存在で限定されるが、2筋が存在する順を探すのは難しい。「後手が小駒を打つ=香」は何時かは覚えないといけない手筋ですが、初級ではない気がします。実はこれが一番時間がかかった。」

■私も初中級逆の方がよいのではないかとチャンプさんに伝えたのですが、チャンプさんの希望でこの順(難易度指定含め)になっています。

やまかん 「この条件での出題は始めての経験だったのでヒントがあっても結構てこずりました。」

■知っている順でも条件が変わると全く違うものに見えるんですよね。


正解:19名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  キリギリスさん  しまぎろうさん  鈴川優希さん
  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん
  橘圭伍さん  チャンプさん  NAOさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん
  平井康雄さん  ひろぽんさん  やまかんさん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

|

« 詰将棋メモ(2013年4月26日) | トップページ | 詰将棋メモ(2013年4月27日) »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 推理将棋第65回解答(1):

« 詰将棋メモ(2013年4月26日) | トップページ | 詰将棋メモ(2013年4月27日) »