推理将棋第68回解答(1)
[2013年7月27日最終更新]
推理将棋第68回出題の68-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第68回出題 推理将棋第68回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第68回解説 担当 DD++
今回は出題期間が伸びた分「濃ゆい」3問を並べてみましたが、いかがだったでしょうか。この内容でこの感触ならあとはヒント投下だけ少し早めれば問題なしだろうという感じを私は受けておりますが。またご意見等ありましたら記事へのコメントなり総評に書いていただくなりmixi等で私に連絡をとっていただくなり、ということでよろしくお願いいたします。
68-1 初級 橘圭伍作 死線!? 9手
A「9手で勝った将棋はどうだったの?」
先手「全て異なる地点に着手したんだけど気付いたら終わっていたよ」
後手「4筋にだけ着手してたら詰まされていたよ」
A「四線を越えられなかったんだね」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 9手で詰んだ
- 先手は全て異なる地点に着手した
- 後手は4筋にだけ着手した
出題のことば(担当 DD++)
まずは後手が4筋着手だけで作れる詰みやすそうな形を探すことから。
追加ヒント
43金で詰ませたいので43馬とかじるわけにはいきません。44歩34馬で代用。
推理将棋68-1 解答
▲7六歩 ▽4二金 ▲3三角成 ▽4四歩
▲3四馬 ▽4一金 ▲6一馬 ▽4二玉
▲4三金 まで9手。
9手ではあるのですが、9手らしからぬ手順が入ります。なので駒をぼんやり動かしていた方は作意にたどり着くのに多少難儀したかもしれません。
最初に後手が4筋だけでつくることができる詰みの形を考えましょう。まず居玉ではなさそうですね。33角成42合のところで同馬と取れないのでとても詰みに至りません。41玉についても「76歩、42金、33角不成、41玉、42角不成」と進行したところで、42へは飛銀2枚が利いていて、さりとて51への金の利きも消せず、これも詰みそうになし。
ならば42玉、ということになります。ではこれがどうやって詰むかというと、非常に簡単。76歩、33角成に対しひとまずの王手回避を入れて、43馬、61馬、43金と後手はほぼ何もしなくてよい手順があるのです。
さてここでもう1つの条件を見ると「先手は全て異なる地点に着手した」。43に2回着手するわけにはいかないのでどうにかする必要がありますね。43金は変えることができないので、43馬の方を変更しましょう。51馬にすると王手がかかって面倒なので34馬から。
すると後手は42玉に加えて43を空ける44歩、残るはあと2手。両方4筋にするなら許される順はただ1つ、しかも9手らしからぬ順で、なんと42金と上がってそのままただ41金と戻る順! 手を指す順番も作意順ただ1つに限定されます。
それではみなさんの短評をどうぞ。
橘圭伍(作者) 「当初は4筋に着手があった事を明かさずにやっていたが初級用に改造。シンプルな条件で悪くはないかな」
■私は解説を丁寧に書きましたが、かいつまむとこれだけで解けるんですよね。
NAO 「結局、後手は42玉の1手だけ指したのと同じ。不思議な手順でした。」
■この順は特殊な条件のために無駄手の多くなる手順で現れがちですが、余った手でスイッチバックするのは珍しいです。
ジェシー 「4二銀ではダメなところが格好いいですね。」
■こういうのって普通金か銀か飛かで非限定に困るはずなんですけどね。
斧間徳子 「簡素な条件の短編で、この金のスイッチバックはすばらしい。」
■橘さんの積み重ねてきた技術力の結晶。
はなさかしろう 「手数+わかりやすい2条件、という美しい作品ですが、、これ、初級ですか!? 戻る手がすぐ思い浮かぶのは、慣れて、というか擦れている方なのではないかと(笑)」
■でも金が戻る手の不思議さというのは啓蒙向きではあるでしょう?
チャンプ 「▲34馬~△41金がバレーボールの一人時間差攻撃と、それに引っ掛かったブロッカーの様で面白い。」
■そして61馬のアタックに対して同玉のレシーブを放棄する後手、というわけですか。
鈴川優希 「無駄手の消費の仕方が、金のスイッチバックしかないというのが驚き。馬の遠回りも面白い。」
■王手対処の必要がなくてもこれしかないんですよね。不思議。
占魚亭 「44歩のタイミングがポイント。2手目だと思っていたので、少し嵌まりました。」
■私も76歩44歩同角42飛53角成から考えました。
隅の老人B 「「金を引く手に好手あり」、こんな格言があったような気がする。」
■はい、推理将棋的には間違いなく好手です。
平井康雄 「最終形に目星がついても王手対策が難しい。金を無駄に往復させるのがポイントでした。」
■こんな無駄な往復は推理将棋独特の手ですからやはり見えにくいでしょうか。
ひろぽん 「金の移動で王手を防いで元に戻せばいいと分かれば簡単」
■はい、そのとおりです。
鈴木康夫 「先手の条件を「異なる筋」と勘違いして詰みませんでした。」
■「後手は4筋だけ」とごっちゃになりましたか。
渡辺 「この条件で金のスィッチバックが入るとは!流石です。結構解くのに苦労しました。」
■作り慣れているほど「こんな条件でできそうにない」という先入観が邪魔をします。
やまかん 「6手目41金引きを閃いてにやり^-^」
■その瞬間こそが推理将棋の醍醐味。
S.Kimura 「ヒントを見るまで,42金を41に戻す手に気付きませんでした.」
■こういう手があると推理将棋らしい(いい意味で)バカバカしい順になります。
諏訪冬葉 「▲61馬▲43金 で△42玉 を詰ます。という構想はすぐ浮かんだけど、金を上げて元に戻す手がなかなか見えませんでした。」
■橘さんの作風を知っているとけっこう疑うべき筋だったり。
はらたっと 「先手異なる筋と勘違いし、しばらく解けませんでした。」
■鈴木さんも勘違いされてましたが、そんなに紛らわしいですかねえ。
しまぎろう 「金が面白いと思いました。」
■橘さんは往復どころか4ヶ所とか6ヶ所をぐるっと回ってくるような作品がたくさんあります。
正解:19名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん Chemicalさん ジェシーさん しまぎろうさん
鈴川優希さん 鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
橘圭伍さん チャンプさん NAOさん はなさかしろうさん 平井康雄さん
はらたっとさん ひろぽんさん やまかんさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
| 固定リンク
「推理将棋」カテゴリの記事
- 推理将棋第181回解答(3)(2025.01.28)
- 推理将棋第181回解答(2)(2025.01.26)
- 推理将棋第181回解答(1)(2025.01.22)
- 推理将棋第182回出題(2月10日まで)(2025.01.01)
- 推理将棋第180回解答(3)(2024.12.30)
コメント