大道棋よもやま話 第16回 良心的な大道棋屋さん
[2013年8月19日最終更新]
詰将棋パラダイスで連載中の記事です。詰パラでスペースの関係で掲載できなかった資料全文なども補足していきます。
関連情報: 大道詰将棋よもやま話 ドキドキストリート (おもちゃ箱)
詰将棋パラダイス 2013年2月号掲載
大道棋よもやま話 第16回 良心的な大道棋屋さん 加藤 徹
昔の詰パラを見ていたら、「良心的な大道棋屋さん」という三木正道さんの文章を見つけました('71年2月号)。
東京タイムズ('70年11月24日)に掲載された川崎の大道棋屋の紹介を示し、三木さんはいいます。
「悪い奴が沢山あるので、このようにごく当然のやり方をしているのが良心的で珍らしく、写真入りで新聞に大きく紹介される。」
そして、普通に営業すれば「大道詰将棋にはまだ脈がある」と主張します。
東京タイムズの記事は、こんな感じです(一部抜粋)。
あなたも詰めてみませんか
好評の大道将棋 川崎駅前
”名解説”お客さんニッコリ
「さあ、みなさん。詰めて下さい」川崎駅前の大道詰将棋が市民の人気を集めている。道場主は高木さん。
高木さんの使うコマと盤は、普通のものに比べ三、四倍も大きい。それだけでも通行人の好奇心をそそるのに十分。
だが愛棋家を引きつけるのは、やはりテーマ(詰将棋の問題)だ。高木さんが「客集めの題材」という問題。玉頭に歩の王手。逃げたところを香を離して打つ。合い駒きかずで「ハイ、それまで」一見、そう思える。
一人の若い工員が、その「一見読み筋」にほれて指し手を進める。ところが「中合い」という高級手筋にはばまれてダメ。次に別の会社員(二九)。 「玉は下段へ追え」の定跡通り指してみたが、またもや「中合い」に会って降参。さらにまた一人、メチャメチャに駒を成りつけてみたが、玉は上部へトン走。
あとで高木さんが正解を公開。なんと手筋を無視して玉を上部に追い上げての見事な詰め上がり。手数二十一手アマ初段でも常時五、六手しか読まないから、これは難問だ。
大道詰将棋は決してインチキではない。それどころか、古典的な名作も数多い。それに高木さんが客から「研究料」としてもらうのはたった二百円。何手指しても二百円である。詰めればタバコ(ハイライト二個とホープ一個)がもらえる。ただし、問題は相当にむつかしい。
本県は自他ともに認める将棋の強い県。「オレこそは名人」と思う人は川崎駅前に出かけては?
この頃私は高校生で、実際の大道棋は見たことがありませんでした。そこで、この記事を読んで、いそいそと川崎まで挑戦しに出かけたものです。その顛末はまた次回に。
◇大道棋15 加藤徹 正解
84龍、同玉、64飛、74角合、同飛、95玉、68角、イ86金合、96歩、同玉、
76飛、97玉、86角、ロ98玉、78飛、ハ88銀合、54馬、二87銀合、同馬、同玉、
88飛、同玉、97銀、89玉、78銀、同玉、79歩、同玉、88銀打、89玉、
79金、98玉、87銀、同玉、88金迄35手。
イ86飛合は同角、同玉、76飛以下。
ロ87玉は77飛以下、88玉は79金以下。
ハ88香合は54馬、87合、同馬、同玉、77飛以下。
88金合は54馬で87桂香合は88飛以下、87飛金銀合は同馬以下。
88飛合は54馬、87合、88飛、同玉、87馬、同玉、77飛以下。
二89玉は79金、同銀不成、98銀以下。
87桂香合は88飛以下、飛金合は同馬以下。
54銀がいかにも質駒。入玉させて馬で取ることになるが、88と87の合駒の組み合わせの読みが大変。結局、銀銀合が最長で、逆を行くような97銀が最後に利いてぴったり詰む。
凡骨生「一枚も無駄のない配置で、この手順を引き出したのは対峙型の決定版でしょう。」
★全短評をおもちゃ箱で掲載。
◇解答者 20名 正解15名
【正解者】 (省略)
【当選者】 (省略)
◇懸賞詰将棋 大道棋16 加藤徹
この類型初の双玉問題です。軽く片付けてください。
解答は2月末までに下記(省略)まで。最終手と手数(と短評)だけでOKです。
正解者から抽選で1名に加藤徹好形大道棋50番「ドキドキストリート」などを贈呈。
注1)詰パラ1971年2月号の「良心的な大道棋屋さん」の記事全文はこちら。
注2)上記の大道棋15の解説および全短評はこちら。
注3)上記の大道棋16の解答募集は終了しています。解説および全短評はこちら。
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