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推理将棋第69回解答(2)

[2013年8月29日最終更新]
推理将棋第69回出題の69-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第69回出題  推理将棋第69回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


69-2 中級 チャンプさん作    少年の将棋は?(その4) 11手

少年A「7手目に君が初めて大駒を動かした将棋、その後どうなったか教えてよ。」
少年B「どうなったと言われても、11手で詰ませて勝っただけだよ。」

少年A「それだけでは何も分からないよ。」
少年B「後手は6筋のみの着手で同じ駒を連続で動かすことは無かったよ。」

少年A「666・・・これは・・・。」
少年B「どうかした?」

少年A「何も思いつかなかったや(笑)」
少年B「・・・。」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 11手で詰んだ
  • 7手目に初めて大駒(飛か角)が動いた
  • 後手の着手は6筋のみで同じ駒を2手連続で動かすことは無かった

出題のことば(担当 DD++)

 詰め上がりが思いつかないと上級より苦労するかも。

追加ヒント

 実は先手も1つの筋の着手だけ。さりげない居角のアシストがポイント。


推理将棋69-2 解答  担当 DD++ Suiri692

▲7六歩    ▽二玉    ▲7五歩    ▽四歩
▲7四歩    ▽三玉    ▲7八    ▽五歩
▲7三歩成  ▽四玉    ▲7四飛  まで11手

後手の着手は6筋のみ。4筋のみとの最大の違いは、33角成としたときに合駒ができるかどうか。6筋はこれができないので角で攻めにくいのです。まして大駒の初動は7手目。これをどう捉えるかでこの問題の解答時間は大きく変わったのではないでしょうか。

推理将棋の常識に邪魔をされるとこの問題は難問になります。短手数推理将棋では飛車よりも角、というのはもはや常識ですね。それは76歩の1手で出動できて速さに優れているから。しかし、もし仮に最初に小駒ばかり指さなければいけないとなれば、どうでしょう。飛車でも角でも初動は7手目で優劣はなく、さてその後の指し回しに自由が利くのは飛車か角か。それはもちろん飛車の方、とは考えられないでしょうか。

加えて大駒の使い方は限られます。7手目はもちろんのこと、9手目にすら有効な駒を取るのは角でも飛車でもほぼ無理。唯一22角を角で取る手はありますが馬が6筋玉から遠ざかりすぎてダメですね。となれば出動した大駒と自陣から持っていった小駒で詰ませるしかありません。

この2つの考えをあわせると、1つの詰め上がりが浮上してきます。それは歩を4回突いて成り、その下に飛車を進めて四段玉を詰める形。後手は同一駒を連続着手できませんが、62玉~64歩~63玉~65歩~64玉でギリギリ四段玉に届きます。

では先手は。玉の隣の筋で攻めるということで、56歩~55歩~54歩~58飛~53歩成~54飛でどうでしょう。詰んでそうにも見えますが、75地点が空いています、残念。だとしたら左右逆に7筋でやっても同じくダメ……?

いえいえ、それがそうでもありません。5筋でやった場合と7筋でやった場合の違いは、初手の歩の手に別の価値があるかどうか。つまり初手76歩の場合に限っては、ついでに角筋が通るために55地点に逃げられず詰みになるのです!

それではみなさんの短評をどうぞ。

チャンプ(作者) 「こんな条件で意外にも先手の着手が7筋のみの制限になっている点が狙いとなります。自作の中でもお気に入り度の高い作品の一つです。皆さん楽しんで(悩んで)頂けたでしょうか?」

■私は最初に作意順を考えて、しかし55に逃げられるから詰んでいないと思い込んでしまい難渋した苦い記憶が。

斧間徳子 「後手玉の動きが尺取虫のようで面白い。」

■「同じ筋だけど連続着手禁止」だと大抵こんな感じになりますね。

隅の老人B 「最初、角の出動と思い込んで苦戦。作者はニコリかな。」

■どうでしょうかね。そこまでヒッカケ狙いでもなかったようですが。

橘圭伍 「じわっと効いている角が良い」

■しかし暗算でやるとこういうのは見落としがち……。

EOG 「詰上りの想定が難しかった。玉と歩を交互に動かす条件付けが良い。」

■実はけっこう便利な条件付けだったりします。

ジェシー 「「玉を6四に上げて5五馬」とか、「6八飛から最後は7二金・6二銀・同飛成」とか、「6八飛から6二飛不成~6一金」とか、「玉を6三か6四に上げて6五桂~5三角成(それでもだめなら4五桂から)」とか、「5八飛から5筋突破」とかいろいろ考えたのに、7筋突破というのだけが盲点でした。」

■81桂があって73は攻められない、という感覚があったのでしょうね。

NAO 「玉尻の塞ぎ方が解らず難問でしたが73歩成がありました。」

■なんと、NAOさんが難問と仰るとは。

変寝夢 「5手目74歩と指定して解析175万局面2分30秒。先手の手順で条件付けもできそうですね。手順を出して条件を募集すると行ったこともできるのかな?。」

■WFPとかでならできそうですね。解答募集はできないのでおもちゃ箱ではちょっと難しいですが。

たくぼん 「第一感は65桂+53角成。全然違いました。不調です。」

■玉位置が62でも63でもけっこう逃げ道スカスカですね。やはり暑さは大敵ですか。

渡辺 「これで詰んでいるんですね。」

■不安になりますよね。

平井康雄 「最終ヒントを見るまでは想像もできず苦戦。初手は76歩以外には考えにくいので7筋だけで動かしていったら、必然的にこうなりました。」

■ひょっとしてとさえ思えればあとは一瞬なんですが、発想が出ないとどうにもならないのがこの手の問題のつらさ。

はらたっと 「5筋では足りずじゃあ7筋でした。」

■これで左右片側しか詰まないというのも不思議な感触ですよね。

chemical 「先後1筋ずつというのがいいですね。」

■手順の統制的美しさはチャンプさん作で随一。

鈴川優希 「先手も1つの筋だけだと条件に出さないところが厄介。追加ヒントがなければ解けませんでした。」

■おそらくほとんどの人が「先手も後手もそれぞれ1つの筋に着手」と条件付けするであろうところ、あえて片方隠したのがいい味出してます。

占魚亭 「詰上りが全く見えなくて大苦戦。ヒントがなかったら降参していました。」

■実戦ではまずこんな詰みはお目にかからないでしょうしねえ。詰将棋なら探せばいくつかは出てきそうですが。

キリギリス 「はじめ、6筋が壁で4筋から攻めると考えましたが手数が足りませんでした。」

■41金をどかせないので41桂成とかで詰ますことになるんですかね? 7手目に角が動けるようになっても33角成と王手するわけにはいかず、41馬までにできないのがつらいところ。

諏訪冬葉 「ヒントを見て「居角を使うなら7筋」と考えました。」

■それ以外で居角を活躍させられたら奇跡。


正解:19名

  EOGさん  HMさん  斧間徳子さん  キリギリスさん  Chemicalさん
  ジェシーさん  しまぎろうさん  鈴川優希さん  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん
  占魚亭さん  たくぼんさん  橘圭伍さん  チャンプさん  NAOさん
  はらたっとさん  平井康雄さん  変寝夢さん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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