« 推理将棋第74回解答(1) | トップページ | 「茫々馬」と「百千帰」の解説 (4) 趣向ドッキング方式の発展 »

推理将棋第74回解答(2)

[2014年2月28日最終更新]
推理将棋第74回出題の74-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第74回出題  推理将棋第74回解答(1) (2) (3) (4) (5) (6)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


74-2 中級 渡辺秀行さん作    馬遊び               11手

「1月1日から11手で相手を詰めるのは縁起がいいね」
「お互い馬で遊び合って合計5回も馬移動があったよ」
「その中には1筋の着手もあったらしいね」
「そうだよ、歩以外の駒が取られることはなかったね」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 11手で詰んだ
  • 馬を移動する着手は1筋の着手を含め5回
  • 歩以外の駒が取られることはなかった

出題のことば(担当 DD++)

 盤面は大きく使って。

追加ヒント

 駒打ちができない先手が攻め駒を足す手段をまず考えましょう。1筋を考えるのは後回し。
 歩取りは4回、うち1つは先手飛の利きを63まで通すための手、別の1つは後手が1筋馬を指すためのアシスト。


推理将棋74-2 解答  担当 DD++ Suiri742

▲7六歩    ▽6二玉    ▲3三角成  ▽5一金左
▲2三    ▽7七角成  ▲6八飛    ▽6七
▲4一    ▽    ▲6三  まで11手

馬の手が5回。11手で指せる馬の手の最大数は6回ですが、それでは詰まないので5回が事実上の最大数になります。すなわち3手目▲33角成で先手残り4手中3手馬、6手目△88角成などから残り2手とも馬。先手の残り1手が攻め駒追加で、それで2枚で詰ませるわけですね。

ところがこの問題、先手が歩以外取れません。もちろん歩を打つのも戦力になるとは思えませんから、駒打ちによる戦力増強は不可能。ということで、たった1手で自陣から攻めに参加できる駒を用意しなければいけないことになります。そんなこと、果たして可能なのでしょうか。

ここで飛車を参加させる手を後手とセットで閃くのがこの問題の半分です。6手目に△88角成ではなく△77角成と逆王手をかけてしまいます。それを▲68飛と受け、△67馬から△??馬とすれば、利用の難しそうな後手馬の手を活用しつつ先手1手で飛車を63に届かせられます。そしてこの後手馬の行き先ですが、なんとなく12に行けたら綺麗に収まるなという感じがしますね。

そこで今度は先手馬の出番。こちらは33から5手目9手目11手目と3手で63まで行ければよいので、かなりいろいろな経路が考えられ、遠回りもある程度可能です。そこで33から一度▲23馬と67と12を結ぶラインを通し、▲41馬と自身も退いて、▲63馬。41で金が取られないように最初は△62玉△51金左で形を作れば正解となります。

それではみなさんの短評をどうぞ。

渡辺(作者) 「歩以外取れないとなれば、飛を使うしかないし、その為には後手馬で飛頭の歩を取ってもらう順は想像に易いかと思います。」

■しかしわかっていても77角成逆王手は抵抗があるかもしれません。

斧間徳子 「52玉・51馬の形を58飛・53馬で詰めるのかと思ったらうまくいかず。4手目が限定される順は、と考えて解けた。1筋に馬の着手という条件がすばらしい。」

■51馬ですか。たしかに後手馬の活用を考えると有力そうな印象を受ける形。先手馬を15と26経由に限定する1筋条件とも見えますし。

NAO 「金寄りの後の41馬。23馬が移動した後の12馬。いずれも時間差で遊ぶ馬の手でした。」

■逆に6手目の王手が急ぎ足なのは成る前の若さゆえですかね。

まさ 「条件設定の巧妙さに脱帽。」

■またその条件から出現する手順が感嘆もの。

はなさかしろう 「今回の出題で一番考えました。5筋か6筋で自飛車を使うのは本命ですが、1筋条件で後手玉まわりの形と馬の軌道が完全に限定されるのが凄い。金を動かした隙間に入る▲41馬と、すり抜ける△12馬にしびれました。」

■この手順は普通の人にはいろいろと限定しにくいはずなんですけどねえ。

EOG 「1筋に移動する馬は玉方でしたか。」

■先手馬を15へ引く手がちらつく誘惑。

隅の老人B 「1筋に行くのは先手の馬と思い込んで、一苦労。23馬に気付いて、ヤレヤレ。」

■先手も後手も馬の通り道に不定部分が多いので、いろいろできるのです。

ジェシー 「「1筋の着手」だけでいろいろ一気に限定できているのがエレガント。」

■本当に、どうやって思いついたのでしょうね。

チャンプ 「盤面を大きく使ったダイナミックかつ繊細な手順。条件付けも緻密で素晴らしく今回一番の作品だと思います。」

■これでいて年賀作品だというのだから恐ろしい。

橘圭伍 「理詰で行けば自然と12馬に辿り着けます。今回の中で一番好みです」

■なんと、自然に出ますか。私は感性で気づくしかなかったのですが。

小山邦明 「23馬に気付くのに時間がかかりました。」

■23へ行けることには気づいても63の逆へ行くのは心理的抵抗がありますしね。

波多野賢太郎 「少し考えて、飛車の力を借りることは分かりましたが、なかなか条件に合う手順が浮かばず苦労しました。玉を7二まで動かすのではなく、金を寄るのがうまい工夫ですね。」

■駒を取らせないための工夫って推理将棋では組み込みにくいんですけどね。たいてい逃がし先が非限定になるので。

時風瑞季 「盤上を飛び交う馬が面白い。」

■暗算でやると馬がどこへ行ったかわからなくなったりして……。

占魚亭 「76歩52金右33角成42金寄の筋をずいぶん追っかけました。」

■なるほど、43馬16馬で62歩と打って61馬までという狙いですか。もうちょっとで成立しそうですがわずかに足りない。

諏訪冬葉 「馬が5手+馬を作る手が2手+初手の歩が1手+(ヒントから)63馬で詰むように飛車と玉を動かす手が最低2手。これでほとんどの手を使ってしまう。」

■63馬で詰むようにするには3手(51を埋めるか72玉)かかるので、ほとんどどころかそれで全部です。

S.Kimura 「飛車は5筋に回るという思い込みをしてしまい,深みにはまりました.」

■66角からだと馬の手が足りませんし、88角成66馬57馬だと退く手が足りなくなりますね。

Pontamon 「飛車を使うには相手の協力が必要ってことですね。」

■そして後手がどうやって角を使ったかというとこちらも先手馬に手助けされていたり。

はらたっと 「先手が45馬とできない事情が1筋の馬移動でしたね。」

■そうです。うまく作られているものですね。


正解:19名

  EOGさん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  加賀さん  小山邦明さん
  ジェシーさん  時風瑞季さん  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  占魚亭さん
  橘圭伍さん  チャンプさん  NAOさん  波多野賢太郎さん
  はなさかしろうさん  はらたっとさん  Pontamonさん  まささん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

|

« 推理将棋第74回解答(1) | トップページ | 「茫々馬」と「百千帰」の解説 (4) 趣向ドッキング方式の発展 »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 推理将棋第74回解答(2):

« 推理将棋第74回解答(1) | トップページ | 「茫々馬」と「百千帰」の解説 (4) 趣向ドッキング方式の発展 »