« 詰将棋メモ(2014年2月4日) | トップページ | 詰将棋メモ(2014年2月5日) »

詰将棋創作プログラミング 6 大道詰将棋を作る

[2014年2月6日最終更新] 作品7の参考図を追記

詰将棋創作プログラミング 6 大道詰将棋を作る

1) 大道詰将棋とは

大道詰将棋(大道棋)とは、昭和の頃、路上や縁日で出題されていた詰将棋。見事詰めればタバコや棋書など賞品をもらえるが、失敗すると研究料を取られる。すぐに詰められては商売にならないが、難しそうでも手を出してもらえないので、大道棋は一見簡単そうに作ってある。すぐ詰みそうな手順(これを誘い手という)がいろいろあるが、妙防が用意されていて、詰めるのは難しい問題が多い。

いろいろな誘い手がある構図では、配置をちょっと変えただけで詰手順ががらりと変わることもある。ちょっとだけ知っているお客さんをひっかける意味でも、こうした同じ構図からたくさんの問題を作ることは大道棋では一般的であった。これを類型という。

類型は持駒から香歩問題、銀問題などと呼ばれる。もっとも問題数が多い類型は香歩問題で、なんと700題を超える問題がある。類型については、下記を参照されたい。

2) 同じ類型の大道棋はコンピュータで作れる?

これまで、持駒サーチ、置き駒サーチ、駒位置サーチを考えてきた。初形曲詰では、置き駒サーチ+持駒サーチ、一色図式では駒位置サーチ+持駒サーチで探すことができたが、大道棋ではどうだろうか。

ある類型に属する大道棋では、誘い手のための基本的な駒配置はほぼ共通である。この基本的な駒配置を、その類型の原型と呼ぶ。

それなら、原型の配置の周りにいろいろな駒を配置すれば、偶然いい問題が見つかる可能性もあるのではないか。持駒は固定なので、持駒サーチは必要なく、駒位置サーチと置き駒サーチを組み合わせればできそうだ。

3) 香歩問題の原型に駒を追加する

Tst005a この図が香歩問題の原型。このままでは詰まない図だが、誘い手とそれに対する逃れ手はしっかり入っている。

例えば、72歩、81玉、89香とすると、84桂、83金の二段中合で逃れ。また63桂不成、81玉、89香なら83銀中合で逃れ。

駒を追加するときに注意しなければいけないのは、これらの誘い手を壊さないこと。また、簡単そうに見せるため配置を広げないこと、駒数もあまり増やさないことだ。

そこで、図の黄色のマスに1枚または2枚の駒を置く範囲でサーチすることにした。

4) 既存の問題を調査する

詰将棋データベース(TBase)には類似作検索の機能があり、同一作、違いが1枚以内、2枚以内といった検索ができる。これを利用して、上記の原型+1枚、および+2枚の問題を調査した。

香歩問題原型+1枚

  • +51v歩 23手 大道棋 旧パラ1950年6月 奇策縦横222
  • +77銀 15手 大道棋 詰パラ2004年11月 奇策縦横236
  • +86銀 11手 大道棋 将棋世界1960年8月 63桂72歩83桂のどれでも詰み
  • +86v歩 不詰 大道棋 大道棋会報1960年8月
  • +87銀 29手 大道棋 旧パラ1951年8月 奇策縦横235
  • +87玉 29手 大道棋 将棋世界1937年10月

香歩問題原型+2枚

  • +42v歩62v香 33手 大道棋 奇策縦横244
  • +51v銀65香 27手 塚本惠一 詰パラ005年3月
  • +57桂64銀 不詰 大道棋 詰パラ1957年7月 疑問局集10
  • +64銀86v歩 不詰 大道棋 詰パラ1967年7月
  • +65金66銀 21手 大道棋 詰パラ2004年11月
  • +66金67桂 23手 大道棋 詰パラ1957年9月 奇策縦横223 *66との図もあり
  • +66玉87銀 19手 大道棋 黒潮1961年6月

たくさんある香歩問題でも、原型+2枚までの範囲ではそれほど多くない。原型の配置自体も 96歩/97歩、75桂/95桂、63歩61桂/61歩 など自由度が高いので、この原型そのもの+2枚以内だけのサーチでは新しい問題が見つかるか、ちょっと不安になる。

5) 香歩問題原型+1枚、+2枚の図を調べる

置くマスの位置が18か所、置く駒は歩香桂銀金角飛馬龍玉(玉以外は先手・後手)とした。1枚置く組み合わせだけなら18×19でそれほど多くないが、2枚置く組み合わせはかなり多く、人間があとで全部手順をチェックするのは困難な量。そこで、25手以上の場合だけ出力するようにしてみた。

案の定、似たような手順の問題が多かったが、ちょっといいなと思ったのが次の図。

Tst005 詰将棋創作プログラミング 作品5 eureka

  • 香歩問題原型+54v飛64銀 29手

54飛の配置は、奇策縦横239(63歩なし86v歩あり)、奇策縦横192(239の64銀が64歩)にあるが、いずれも63歩配置がなく、本図の方が実戦価値が高いと思う。

しかし、香歩問題に詳しい人には想定内の手順で、新作というにはちょっと不満が残る。そこで、サーチする図を少し変えて、原型の61v桂、63v歩の2枚を61v歩で置き換えた図にして、それに1枚・2枚追加した図を調べてみた。

6) 61歩型+1枚、+2枚の図を調べる

これも、まずは既存の問題をデータベースで調査。

香歩問題原型61歩型+1枚

  • +53歩 27手 大橋虚士 旧パラ1950年11月
  • +54v香 35手 森美憲 詰パラ1986年12月
  • +63歩 19手 大道棋 近代将棋1972年2月
  • +65v桂 21手 大道棋 奇策縦横269
  • +77銀 15手 大道棋 大道棋辞典1 61歩型53
  • +86v桂 15手 大道棋 将棋マガジン1988年11月
  • +87銀 29手 大道棋 将棋月報1927年11月 奇策縦横272
  • +98桂 15手 大道棋 秘手五百番111

香歩問題原型61歩型+2枚

  • +47v香49v龍 23手 大道棋 秘手五百番119 *47v成香の図もあり
  • +64銀86v歩 23手 大道棋 奇策縦横280
  • +64銀88桂 43手 中川努 詰パラ1985年2月
  • +66銀86v歩 23手 大道棋 奇策縦横281
  • +67桂86v歩 23手 大道棋 奇策縦横268
  • +78桂85v歩 21手 大道棋 大道棋会報1960年5月
  • +86v歩97歩 23手 大道棋 奇策縦横193

61桂型の原型の場合と問題数は似たようなものだが、森美憲作35手、中川努作43手など長手数の問題もあり、こちらの方が期待できるかもしれない。

7) 61歩型で見つかった、ちょっといい問題

25手以上でもかなり多く、まだ全部は見切れてないが、ちょっといいな、という問題が二つ見つかった。

Tst006 詰将棋創作プログラミング 作品6 eureka

  • 香歩問題原型61歩型+56桂65桂 35手

三桂あれば詰まぬことなし。56の桂を活用する方法。

Tst007 詰将棋創作プログラミング 作品7 eureka

  • 香歩問題原型61歩型+55玉56v香 33手または35手駒余り

あまり難しさはないが、普通の詰将棋で構想作を作りたくなるような面白い手順。受けを間違うと早く詰んでしまう。

Tst007a_2 2月6日追記: 作品7の参考図と両方詰めてみると面白さが分かる。

なお、大道棋は詰むか詰まぬか、大道棋屋さんと客の勝負なので、駒余りとか収束の余詰はあまり気にされない。

|

« 詰将棋メモ(2014年2月4日) | トップページ | 詰将棋メモ(2014年2月5日) »

「コンピュータ詰将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22735/58998276

この記事へのトラックバック一覧です: 詰将棋創作プログラミング 6 大道詰将棋を作る:

« 詰将棋メモ(2014年2月4日) | トップページ | 詰将棋メモ(2014年2月5日) »