詰将棋創作プログラミング 7 中央の金一色図式
[2014年9月2日最終更新] 河内勲作を追記
詰将棋創作プログラミング 7 中央の金一色図式
1) 金一色図式は中央で作ればきれいな作品ができる?
詰将棋創作プログラミング5 一色図式を作るでは、11玉型の金一色図式を作った。その中で作品3が斜め対称でちょっときれいだったので、それなら55玉型にして対称軸を増やせばもっときれいになるんじゃないかな、と考えた。
例によって既存作品の調査からというわけで、詰将棋データベースで55玉型の金一色図式を調べたら・・・1作もない! 56玉もなし、54玉は1作(24金52金56金84金|54玉|銀銀香香歩)だけあったが、作意13手は逃げ方の間違いで15手、更に17手駒余りの変長があった。
中央だと8方向に広い逃げ道があるので、金4枚と持駒で全方向封鎖できないと端の方に逃げられてしまう。そうすると詰めるためには多くの持駒が必要になるが、端の方で持駒が多いと余詰が発生しがち。 中央の金一色図式が作られていないのは、たぶんこういった事情だろう。
しかし、難しそうに見えるので、あまり真剣に取り組んだ人がいないだけかもしれない。
9月2日追記: データベースには収録されてないが、下記作品があった。
- 35金57金75金|53金55玉|角角銀 19手 河内勲 おくろう記第4番
見ていた筈だが、失念していた。詰パラ9月号のおもちゃ箱だよりで、作品8を「初の都玉金一色図式」と書いたのだが、「初の」は削除して訂正する。
2) 55玉でかつきれいな金一色図式を作る
11玉と同じように網羅的にサーチすることも考えられるが、きれいな金一色図式を作るのが目的なので、盤面の配置は人間(TETSU)が指定して、持駒だけサーチさせることにした。 この連載の趣旨からすれば、対称サーチとかプログラミングすべきだったかもしれないが、「きれい」の要素は対称ということだけではないので、ここは人間とのコラボで進める。
あまり時間をかけたくないので、解図時間は3秒制限、持駒枚数は8枚までに絞った。そのため全検にはなってなく、その範囲で見つかればラッキー、という感じ。
まずは、「1」、「一」、「/」から。
- 53金57金|54金55玉56金
完全作候補なし - 35金75金|45金55玉65金
完全作候補なし - 33金77金|44金55玉66金
完全作候補なし
やはり簡単には見つからない。まあ、これは予想の範囲なので、めげずに続けよう。次は四角形で。
- 33金37金73金77金|55玉
角 銀二 桂二 : 13手で詰みました(▲4六銀、0:01)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
角 銀二 桂 歩四 : 21手で詰みました(▲4六銀、0:01)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
やっと完全作候補が見つかった。しかし、端に追いだす手順で、あまりおもしろくない。今度は菱型で。
- 35金75金|53金55玉57金
完全作候補なし - 53金57金|35金55玉75金
飛 角二 香 : 23手で詰みました(▲5四飛、0:09)。
余詰:0、非限定:0、手順前後:0、迂回:1 検出しました。
飛 角 銀 : 5手で詰みました(▲5四飛、0:00)。
余詰:0、非限定:1、手順前後:0、迂回:0 検出しました。
飛角角香の23手は中合が入ったりしてよさそうだが、初手54飛のところ、56飛、64玉、54飛とする痛い迂回手順がある。それでは、ちょっと回転させて風車型はどうか。
- 36金43金67金74金|55玉
飛 : 3手で詰みました(▲4五飛、0:00)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
角 : 7手で詰みました(▲6四角、0:00)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
銀三 桂二 歩二 : 25手で詰みました(▲6四銀、0:01)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
銀3桂桂歩歩の25手は非限定なしはよいが、端の方に行ってしまい金が取り残されるのは味が悪い。次は菱型を横に拡大してみよう。
- 25金53金57金85金|55玉
飛 桂 : 3手で詰みました(▲4七桂、0:00)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
飛 香 : 3手で詰みました(▲5六香、0:00)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
飛 歩 : 3手で詰みました(▲5六歩、0:00)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
角 桂三 歩二 : 25手で詰みました(▲5六歩、0:02)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
角 香二 歩 : 23手で詰みました(▲5六香、0:02)。
余詰:0、非限定:1、手順前後:0、迂回:0 検出しました。
25手、23手とも、すぐに端に行ってしまうのでボツ。縦に拡大したらどうかな。
- 35金52金58金75金|55玉
飛 角 : 3手で詰みました(▲4四角、0:00)。
余詰:0、非限定:3、手順前後:0、迂回:0 検出しました。
飛 香 : 9手で詰みました(▲5七香、0:00)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
飛 歩二 : 7手で詰みました(▲5六歩、0:00)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
これは詰将棋とはいいにくいなあ。最後に、縦横拡大を試してみよう。
- 25金52金58金85金|55玉
角 銀四 歩 : 19手で詰みました(▲4四銀、0:05)。
余詰、非限定等は見つかりませんでした。
おっ、ついに見つかった。
詰将棋創作プログラミング 作品8 eureka
- 25金52金58金85金|55玉|角銀4歩 19手
無防備の金一色図式で、上下左右対称。 なによりちゃんと真ん中あたりで詰むのがいい。
3) 51玉と59玉の金一色図式にもチャレンジ
詰将棋データベースの検索では、51玉の一色図式は3作で左右対称は次の2作、59玉はなし。
- 33金73金|51玉52金53金|銀4桂4 21手 滝島代士夫 近代将棋1979年7月
- 33金73金|41金51玉61金|飛桂 9手 坂東仁市 詰パラ2010年12月
51玉、59玉もなかなか良い作品が見つからず、いろいろ試したが、ここでは省略して、見つかった作品をひとつづつあげておこう。
詰将棋創作プログラミング 作品9 eureka
- 33金73金|42金51玉62金|飛銀銀桂桂 15手
初形山形の金一色図式。 そう難しくはなく、手筋の練習にちょうどいいかも。
詰将棋創作プログラミング 作品10 eureka
- 27金47金67金87金|59玉|角角銀3桂桂歩 35手
無防備、逆三角形の金一色図式。これはかなりの難解作? 桂打の非限定あり。
実は27金と87金は、どちらか一方を省いても詰むのだが、この形なら省けないよねえ。
4) 持駒サーチだけでも、けっこうできる
盤面配置をすべて決めてしまって持駒サーチするのは、なかなか良い作品にヒットせず効率が悪いと思っていたのだが、55玉、51玉、59玉の金一色図式では10通り前後のサーチで見つかった。 これぐらいで見つかるならば、駒位置サーチとか、置き駒サーチなど、コンピュータに頑張らせるより、むしろおもしろい作品が早くできる可能性もありそうだ。
たぶん、この配置ならいい作品が埋まっているはず、という嗅覚が発達すれば、もっと効率よく見つけられるようになるのだろう。
5) データベースの詰将棋を分析したら
20万局の詰将棋データベースの作品を分析したら、どういう配置と持駒なら詰将棋として成立する可能性が高いか自動で判断できるようになったりしないかな、とか夢想してみる。それができるようになれば、はるかに効率よく多数の詰将棋の自動生成ができるようになるだろう。
もちろん完全なだけでは価値がないので、全自動で作らせるには、発表する価値があるのかその評価基準もデータベースから学習する必要がある(それともここは人間が教える?)。 まあ、ここが難しいところなので、当面は人間とのコラボで創作する方が現実的な気もする。
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