推理将棋第75回解答(2)
[2014年3月30日最終更新]
推理将棋第75回出題の75-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第75回出題 推理将棋第75回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
75-2 中級 諏訪冬葉さん作 桂馬乱舞 10手
「この前の将棋は10手で終わったけど桂馬が活躍したよ」
「どんな感じ?」
「目の前にいる大駒を飛び越える手が3回あった」
「あれ、それ前にもなかったっけ?」
「今回は桂馬の手が合わせて6回あった」
「それは多いな」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 桂馬の手が6回あった
- 大駒が前にいる桂馬を動かす手が3回あった
出題のことば(担当 DD++)
桂馬の目の前にいる大駒はもちろん自駒でも敵駒でも可です。
追加ヒント
成桂で八段目を封じて吊るし桂。3回目の大駒越えのためには大駒の移動が必要です。
推理将棋75-2 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽7四歩 ▲7七桂 ▽7三桂
▲6五桂 ▽同 桂 ▲6六角 ▽5七桂成
▲4六歩 ▽4七桂 まで10手。
桂馬が6回、ということで攻める手段はかなり限られ、数秒で正解した方もいらっしゃったかもしれませんね。後手だけでは桂の手は最大4回、とすると先手も少なくとも2回は桂の手を指す必要があります。この計算を最初にした後、2種類どちらの戦型を選択したかが運命の分かれ道。
大駒越え3回というのに意識を取られて▲76歩▲77桂▲36歩▲37桂を選択した方、残念でした。△34歩△33桂△45桂として△37桂成では桂打ちで詰みませんし、△66角では桂の手が6回などとてもとても。
というわけで、▲76歩△74歩▲77桂△73桂▲65桂△同桂(またはその左右逆)とした方が正解です。残り4手ですが、これは△57桂成△47(67)桂ですぐに詰みますね。桂の手もこれで6回になるので、あとは先手は▲46(66)歩と突く手ともう1手。これを7手目▲66角とすれば大駒越え3回になり、あっさり作意順にたどり着きます。
解答という点ではここまでですが、作品を味わうという意味では実はここでまだ半分。この手順は鮮やかでわかりやすい順なのに、実は作品はあまりありません。なぜかというと、この手順は非限定があまりにも多く、「使うのは2筋桂か8筋桂か」「最後は47桂か67桂か」「先手に余る無駄な1手の処理」「7手目と9手目の手順前後(無駄手をほぼ何にしても発生)」を全て限定していかなければなりません。
これを普通に作ると手数+桂6回+さらに4条件というとんでもないダメ作品に。どれか2つをうまく1つに盛り込んでまだ手数+桂6回+さらに3条件でもまだ落第でしょう。「45への着手が3回あった」などとすれば一発で限定できますが、今度は露骨過ぎて面白くありません。
このような場合に少ない条件で限定できなおかついろいろ想像できる条件を見つけるには、閃きまたは発見に加えて強烈な幸運が必要となります。今回の「大駒が前にいる桂馬を動かす手が3回あった」はチャンプさんの作品からの着想ですが、それがこの難産になりがちな手順の非限定を全部限定できることに気づいた諏訪さんの気付きは素晴らしい物でした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
諏訪冬葉(作者) 「出題時に書かれている通り、66-2を考えていて浮かんだ手順です。そのときに書いた「桂馬は先手後手どちらも跳ねる」「相手の大駒を飛び越える手がある」の実現を目指した手順です。「相手の大駒を超える手」を入れるために▲66角を入れたら最後の桂馬の位置まで限定できてしまいました。」
■狙いがはっきりあってもここまで綺麗にいくことはめったにありません。運に恵まれましたね。
NAO 「指し手の6割が桂馬とは・・・「桂馬着手が9割」なんてテーマをちらっと考えてしまいました。」
■最短は普通に18手/20手でいけるようです。歩9割だと12手/13手、歩10割だと19手/19手、飛9割は27手/30手と思いますが、香9割や角9割が難問の予感。
斧間徳子 「無駄手の66角を活かしたうまい条件付けの軽好作。」
■一度でも推理将棋を作ったことがある方にはこの66角の奇跡的な都合の良さに感動するでしょう。
Pontamon 「先手の角を大駒跳躍台に2回使うのが急所ですね。」
■まず角は88にいるものという先入観を捨てるところですね。
はなさかしろう 「こんな感じかな、と、初見で7手目まで行ったのに...あと3手が見えず結構ぐるぐると。基本形に思い当たれば二重の左右の限定が大駒条件で一意に決まり、気持良く解けました。」
■あと3手なら練習問題と同じなのに、見えないことあるんですよねえ。
小山邦明 「66角から57桂成の実現までの条件設定が大変うまいと思いました。」
■私ならこれに気づいたらニヤニヤが止まりませんね。
渡辺 「桂6回でこの筋がぱっと思い浮びますが、左右非限定だらけだし、3回目の大駒の後の桂が思い当らないし別の筋かな、と思っていたら66角に65桂と言う手がありました。これだけで左右が全て限定されているのを発見した作者は気持良かったことでしょう。」
■左右非限定が2重にあるのを限定すると露骨になりがちですが、それもうまく回避しています。
まさ 「桂馬を使うとなるとまず考える筋。」
■他に桂が多い10手以下でちゃんと詰む順は確かに思いつきません。
EOG 「66を塞げば46歩しかないわけか。」
■同時に77を通さなきゃいけないので初手の左右も限定。
ジェシー 「桂の跳ね合いの形って、気がついたらあっという間に終わる的な危険な香りがしますね。」
■しかし狙って詰まそうとすると意外と形が少ないから不思議。
隅の老人B 「3度目の大駒越え。成る程、これで7手目の指し手が決まります。」
■7手目どころか、66角がないと8手目以外は1手たりとも完全には決まりません。びっくり。
平井康雄 「66角で全ての非限定を消しているようですが、その表現方法がユニークということかな?」
■これほど都合のいい手を限定条件らしさを全く出さずに指定しているところですね。
橘圭伍 「そっと出る66角が味のある手です。」
■57成桂を防ぐかのように見えて、成られても何もしない角。
波多野賢太郎 「これは意外とすんなり解けました。飛び越す大駒が敵でも味方でもいいというのがヒントになり、この手数だと6六角を飛び越すことになると考えました。」
■大駒の方を動かすことにすんなり思い至るのは素晴らしいですね。
チャンプ 「「大駒が前にいる桂馬を動かす手が3回あった」なるほど、この表現は勉強になりました(笑)」
■チャンプさんはこの条件の表現方法で苦労されましたものね。
やまかん 「何回か試した後に66角が閃いたので易しかった。シンプルな条件でいい作品だと思います。」
■この手順をこれだけシンプルにするのにどれだけ苦労することか……。
はらたっと 「大駒条件が、桂の経路と46歩まで限定して一石三鳥ですね。」
■実は手順前後も封じているので一石四鳥。
S.Kimura 「66角は,66歩も防いでいて,うまいと思いました.」
■よく見つけたものだと思います。
占魚亭 「成桂を取らなかったのが敗因(笑)」
■間違いありません。
正解:21名
EOGさん 飯山さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 小山邦明さん
ジェシーさん 時風瑞季さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
橘圭伍さん チャンプさん NAOさん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん
はらたっとさん 平井康雄さん Pontamonさん まささん やまかんさん
渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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