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推理将棋第74回解答(3)

[2014年3月3日最終更新]
推理将棋第74回出題の74-3の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第74回出題  推理将棋第74回解答(1) (2) (3) (4) (5) (6)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


74-3 中級 はなさかしろうさん作 2611馬               11手

「謹賀新年、あけましておめでとう。指し初めしてきたよ」
「賀正賀正、おめでとうさん。今年も熱心だね。で、どんな将棋だったの?」
「元日らしく、11手で詰んだよ。それから、先手の着手は全て異なる筋だったな」
「なるほど、指し初めにふさわしい一局というわけだね。それから?」
「金の手は2回全てが一段目だったよ。それから、大駒の手は6回全てが盤上の手だった」
「ふむ。つまり、大駒を打つ手はなかったってことだね。
 でも、それだけでは手順がわからないし、今年にちなんだ一局という気もしないけど」
「えっ? 今年は平成26年だから、2と6を織り込んでみたんだけどなぁ。
 それならとっておき、馬の手で締め括ったんだけど、これでどうかな?」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 11手で詰んだ
  • 先手の着手は全て異なる筋
  • 金の手は2回全てが一段目
  • 大駒の手は6回全てが盤上の手
  • 最終手は馬

出題のことば(担当 DD++)

 同じ筋に指さないように馬で攻める方法をあれこれ考えましょう。

追加ヒント

 先手の着手筋を重複させないためには馬を1筋2筋にも有効に指したいですね。
 最後は15角成から25馬で合い効かず。その際玉の逃げ場が塞ぎづらい場所は後手角をうまく使いましょう。


推理将棋74-3 解答  担当 DD++ Suiri743

六歩    ▽5二玉    ▲不成▽5一金
同角不成  ▽4四歩    ▲成  ▽3三
6一金    ▽4二    ▲  まで11手

大駒が6回、金が2回、金を動かすためには玉か銀が動く必要があり、また歩が少なくとも1回。11手のうちほとんど駒の種類が見えているにもかかわらず、難渋した方も多かったのではないでしょうか。原因は「先手の着手は全て異なる筋」で、この条件がある場合はまっすぐ考えると最後に玉周りに着手できなくなって失敗することが多く、最初から少しひねって考える必要があるためです。

先手の手番は6回あります。ということは6つの筋に1回ずつ着手するわけですが、そうなると1289筋のどこかに少なくとも一度は指す必要が生じます。これをどう使うかが第一の鍵。そしてもう1つ、金の手2回というのは後手が2回指して往復させても無意味なので、後手が横に動かしたものを先手が取って打ったのだろうと予想がつきます。これが第二の鍵。この両方に気づくとようやく詰みへの手がかりが見え始めます。

出だしは金のことを考えて「▲76歩△52(62)玉▲33角(成)△51金どちらか▲同角(馬)」。△52玉と▲51馬の組み合わせは続かないので、△62玉からここでさらに△72玉と逃げるか、△52玉に▲51角不成かです。そしてここから角を6筋でも4筋でもなく15または24まで引くと筋条件の達成が見えてきます。先手が指せる手は残り2手で片方は61か41への金打ち、片方はおそらく大駒で46馬か25馬か26馬。玉位置は52か72……となるともうオチは見えましたね。

そうです、15へ引いた馬(角)を25へ寄る手で練習問題のように52の玉を貫く形が正解です。しかもこの問題ではついでに61金に紐もつけられますね。実際の手順にすると「▲76歩△52玉▲33角不成△51金右▲同角不成△何か▲15角成or61金△何か▲61金or15角成△何か▲25馬」で、残り3手は大駒2回と△44歩。ここまでくれば△33角△42角を見つけるのも順番を決めるのも簡単ですね。

なおこの△33角△42角ですが、別の方向から攻めた方には難しかった手かもしれません。25馬で52玉を詰みにする時一番大変なのが実は42地点。玉方駒を42に置く場合、歩香銀金飛馬竜では25馬に43移動合ができてしまい、桂だと今度は34合。ということで玉腹を攻め方が塞げない場合は玉方生角が絶対条件、というところまで考えないと候補になることすらなかったのではないかと思います。しばしば登場する知識なので、身につけておくといつかどこかで解図に役立つかもしれません。

最後に、中間ヒントで「馬を1筋2筋にも」と書きましたが、実際は15角成なので「角(馬)を1筋2筋にも」と記すべきでした。締め切り前ヒントにそこの補足訂正を含めましたが1ヶ月間1筋に馬の手だと思い込んでしまった方がいらっしゃいましたら申し訳ございませんでした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

はなさかしろう(作者) 「この形が11手で出来ることに気付き、こじつけで年賀条件をつけてみました。馬を隠そうとがんばりましたが、▲43馬~61馬~51金の9手からの順が消せず断念。条件が多く、残念な仕上がりですが、詰筋の大通りの真ん中にある手順ということで、ご容赦くださいますよう。。」

■大駒条件に生角5回を足したりしても△32銀△31金▲同角成▲41金までみたいなのもあって、確かに条件数を減らすのが難しいですね。

斧間徳子 「25馬までの11手詰めなので、昨年の年賀詰にも使えましたね。」

■そういえばそうですね。2年参りみたいな感じ。

NAO 「決まった形とはいえ、これをやりたかった。61金と42角の組み合わせ!」

■普通なら42地点を32金で押さえたくなるところ、よくこの形で作ったものです。

まさ 「鮮やかな詰上がりで解後感抜群。」

■11手で作ったとは思えない詰め上がり。

渡辺 「正月から枕上で解き初めましたが、本作だけは条件を覚えるのに失敗するのが連続して後回しに...。どうせ2作解くことなく寝るのだから複数作覚えようとしなければ良いのだが...。覚えてしまえば論理的に解けて気持いい。同じ筋の着手がないので、先手飛が使えない、歩頭馬も無理、そこで金入手から1段目の金打に腹か尻馬を考えるが、これも無理。最後にこの詰上がりに辿りつく。」

■いきなり7筋3筋が封印されるのと金条件との合わせ技で、馬を真ん中に置けないんですよね。

EOG 「難問。この詰上りを見つけるのに一か月以上かかった。」

■それでも一ヶ月で自力でこれを見つけたのはすごいと思います。

隅の老人B 「2回の不成で、終わりはあえない最後。こんな手順を「よくぞ、まあ」です。」

■私程度だと金は33に打つ平凡な手順の問題に終わるでしょうね。

ジェシー 「これは難問で、追加ヒントまで分かりませんでした。大駒6手、金2手、7六歩で実質残り2手。「金を取っても、打てる場所がないのでは?」「合い効かずにしようにも、後手が陣形を整えるヒマがないのでは?」という先入観に一月以上とらわれていました。」

■先後それぞれの玉周りを押さえる場所が普通と逆なんですよこれ。そこが合い効かずと見えた次の難所。

チャンプ 「先手の着手は全て異なる筋」を軸にして考えてしまったため苦戦。当然「金の手は2回全てが一段目」に注目するべきでした。」

■おそらく金に先に注目していたら逆のことをおっしゃったのではないかと思います。どちらもしっかり考えないといけないので。

橘圭伍 「一段目の金2回が最大のヒント。これが先手後手一度ずつと分かれば見えやすい」

■後手が2回だとすると往復するだけですし、あとは先手が邪魔駒を払いながら動かした可能性さえ否定できれば。

小山邦明 「61金の手順を含ませた条件設定がうまいと思いました。」

■これにより後手角の大移動まで手順に引っ張り出せますものね。

波多野賢太郎 「2回の金の着手が一段目となると、先手が金を取ってそれを一段目に打つしかないんですよね。しかし、この詰上がりになかなか気づかなくて、かなり悩んでしまいました。」

■練習問題で離し馬タイプの問題があるとはそれとなく書いておいたんですけどね。

時風瑞季 「妙手61金。」

■その伏線の51金右もまた一石二鳥の好手。

諏訪冬葉 「そうか、61なら馬の紐があって取られないのか。」

■そうなのです。飛や香で玉尻にいる駒に紐付けというパターンもありますね。

S.Kimura 「金は後手が2回動かすとばかり思い,見当が付きませんでした.」

■一段目だけだと動いて戻って意味なしなのです。どうやれば達成しやすいかだけでなく、どうやると意味を持つ手になるかも考えるとよいかもしれませんね。

Pontamon 「ヒントに惑わされたのか、どうしても後手に1手が足りないんです。きっと、考えているのとは別の詰み形なのでしょう。」

■金の手が1手足りなかったパターンでしょうか。それに陥った人は多いかと思います。


正解:18名

  EOGさん  飯山さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  加賀さん
  小山邦明さん  ジェシーさん  時風瑞季さん  隅の老人Bさん
  諏訪冬葉さん  橘圭伍さん  チャンプさん  NAOさん  波多野賢太郎さん
  はなさかしろうさん  はらたっとさん  まささん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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