推理将棋第74回解答(4)
[2014年3月4日最終更新]
推理将棋第74回出題の74-4の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第74回出題 推理将棋第74回解答(1) (2) (3) (4) (5) (6)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
74-4 中級 斧間徳子さん作 うま年の指し初め局 11手
「昨日の指し初めの一局、あっという間に君が勝ったんだね」
「うん、11手目の初王手で相手玉を詰ましたよ」
「投了した局面を見たけど、相手の駒台には何もなく、君の駒台には角と歩が1枚ずつあったね」
「うん、完勝だったよ」
「どんな将棋だったの?」
「うま年だからって訳じゃないけど、馬の手が5回もあったよ」
さて、どんな将棋だったのだろうか?(条件)
- 11手目の初王手で後手玉が詰んだ
- 馬の手が5回あった
- 終局時の持駒は、先手が角と歩が1枚づつで、後手はなし
出題のことば(担当 DD++)
2枚の角はそれぞれ何手目に何をする?
追加ヒント
74-2とは異なり駒打ちで攻め駒が足せる、となると金銀あたりがほしいところ。
最後は馬で馬を取って詰み。そのための紐に31銀を奪いに行きますが、その経路を変に工夫すると失敗します。
推理将棋74-4 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽5二玉 ▲3三角成 ▽5四歩
▲3二馬 ▽8八角成 ▲3一馬 ▽4四馬
▲6二銀 ▽5三馬 ▲同 馬 まで11手。
74-2とメインの条件は同じですが、こちらは駒取りが許されています。ですが今度は不思議な条件が。お互いに馬を可能な限り動かし続けたにもかかわらず、なんと終局時に先手持ち駒に角があった、と。ぼやっと考えると矛盾していてどうにも達成できそうにない条件にも思えます。
落ち着いて考えれば10手目に動いた馬を最終手に取れば何の問題もないというだけなのですが、「角」というイメージが先行して「後手角取っちゃったら馬をこんなに動かせない!」とか、成駒は敵陣で動くものという先入観で「先手に自陣着手してる余裕なんてないよ!」と思ってしまったりした方は真実に気づいた時におそらくかなりの興奮を味わったのではないでしょうか。
さて、馬の手5回ということなので、3手目▲33角成から6手目△??角成は絶対ですね。ここから後手角は2手で自陣に引き返します。駒取りがなく逆王手をする意味もないので△88角成△33馬△42馬という順が本命。2手目4手目は詰めてもらう形を作る手だと頭の隅に残しておくことにしましょう。
一方先手ですが、3手目▲33角成から馬2手で何かを1枚取ってそれを打って同馬までで手数ぴったりですね。最後に馬を取ることを考えると玉をおいやるわけにいかない、というのがポイントです。どうせ馬は2手使えるのですから、まっすぐ32馬、さらにまっすぐ31馬という一番何も起きそうにない手段を取りましょう。ここで変に玉方の協力とか71銀を狙おうとかすると失敗します。
あとは詰みの形なのですが、ここがこの問題最大の勘所。△42馬▲同馬の形だと、41にいる金がどうにも邪魔。先手はこれを取るわけにいきませんし、後手が2手目4手目で62までどかそうとすると4手目が王手放置。ひょっとして42馬はハズレなのでは、と考えられればゴールがぐっと近づきます。△52玉▲62銀▲53馬で詰ますなら後手の形作りが1手余るので、それで54歩と「詰みには関係ないけど馬を取らせるための場所確保」を指して、△53馬▲同馬に軌道修正すれば正解。手順を前から順に組み立てた方にはこの54歩はかなりの奇手だったでしょうね。
それではみなさんの短評をどうぞ。
斧間徳子(作者) 「「馬の手5回の11手詰」という条件が共通の渡辺さんの傑作と同月出題なので、比較されると厳しいですね。」
■こちらの味は持ち駒角という不可能感にあると思います。解答者全員が味わえるわけではないのですが、他の問題にはない解き味でしょう。
NAO 「32馬~31馬とは平凡で不思議な手順。」
■42と31で連取りとか97角から31角成が普通で、これはあまり見ないんですよね
まさ 「捉えどころがない条件でこれが一番難しかった。」
■53馬への示唆が何もないので、恐る恐る進む感じ。
渡辺 「後手馬を取る手順を考えないといけないが、42同馬までの銀が余る手順が頭から離れず、私には本作が最難問でした。手順については、個人的には後手馬の軌道は97を通りたいです。その場合、持駒条件を「後手は歩」先手は不問で限定されている気がします。」
■先手は不問だと10手目に88馬や96馬と筋を外すだけの手がですね……。
はなさかしろう 「11手だと馬の手5回は最多でしょうか。シンプルな持駒指定で馬の軌道が決まり、リズム良く解けました。」
■馬を6回指す順に詰むものはおそらくないと思いますが、もし見つけた場合はぜひ作品に。
EOG 「最終手が同馬とは分かったが53とは思わなかった。」
■大丈夫です、この問題を見て最初に42と思うのは正常な発想。
隅の老人B 「54歩の発見が山。口で言うのは易しいけれど、62銀打、53馬には驚いた。」
■順に指すと詰みにも役立たない何の目的かさっぱりわからない一手ですからね。
ジェシー 「馬は最後に取ってもいいのか、と気づいたときの瞬間が爽快でした。」
■解答者としては本当に気持ちいい瞬間。
チャンプ 「両馬が面白い軌道を描くものの、作意手順を限定化するために条件を合わせにいった印象が残ってしまい少し残念。」
■最初から後手馬の謎が解けた方にはこう映ってしまうのも仕方がないところでしょうか。
橘圭伍 「自爆する馬が面白い。基本9手+2手はかなり珍しい気がします。」
■先に条件ありきで作れそうな手順を模索するとけっこう行き当たる順ではありますけどね。なにせ良くも悪くも自由度が非常に高い(9手の中に既に無駄手が2手ある)ので。
小山邦明 「最初に31銀、32玉の形を目指して苦戦しました。」
■その形は▲76歩△42玉▲33角不成△32玉からでないとかなり遅くなりますね。33角成とはかなり相性が悪そう。
波多野賢太郎 「今回の6問で一番悩んだ問題でした。この詰上がりになかなか気づかず、最後4二馬や5一馬で詰む形ばかりにとらわれてしまいました。馬の手が5回という条件でだいぶ手が限定されていますね。」
■51馬というと、最初に△62玉△72金と逃げておいて▲41馬と取ったのを▲41金と打つ狙いですか。惜しいところでギリギリ足りませんね。
占魚亭 「銀は51に打つとばかり思っていましたが、62もありましたね。」
■53には歩があるというのを「だからここで馬が取れない」と考えるか「だからこれを馬に変えればいい」と考えるかで明暗が分かれましたね。
諏訪冬葉 「ヒントから最終手は31の馬を動かすと予想。となると後手馬の軌跡はこれしかないと思いました。」
■ヒントでちゃんとお役に立てたようで何よりです。
S.Kimura 「馬を取らせるためにわざわざ戻って来るのが面白いですね.」
■取られるためだったり、あるいは玉の逃げ道塞ぐためだったり、推理将棋ではいろんな理由で成駒が戻ってきます。
Pontamon 「「初王手で詰み」は駒の動きや手順を限定できる使いやすい条件ですね。」
■33角から入る順の大部分を禁止できるのでけっこう役立ちますね。
正解:20名
EOGさん 飯山さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 加賀さん
小山邦明さん ジェシーさん 時風瑞季さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん 橘圭伍さん チャンプさん NAOさん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん はらたっとさん Pontamonさん まささん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
>先手は不問だと10手目に88馬や96馬と筋を外すだけの手がですね……。
なるほど。角(馬)を取ったと言う事実は条件に必要ですね。
投稿: 渡辺 | 2014.03.04 15:16
これって9+2と言うより変則7+4?後手は52玉以外を例えば端歩を突く手にしても詰みます。52玉以外は詰に無関係な手が2手と詰を邪魔する手が1手(44馬)、邪魔を解除する手が1手(53馬)ですよね。
ある意味無駄な4手を馬の着手回数と持駒によって際どく限定できている作品という見方もできますね。
変則7+4の4で後手に何か面白いことをさせれば、と考えると夢の広がる作品かも。
投稿: 渡辺 | 2014.03.05 00:43