推理将棋第76回解答(2)
[2014年4月29日最終更新]
推理将棋第76回出題の76-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第76回出題 推理将棋第76回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
76-2 中級 チャンプさん作 手掛かりは先手の着手のみ 13手
少年A「君が5手目に香を取ってた将棋、その後どうなったか教えてよ。」
少年B「どうなったと言われても13手で詰ませて勝っただけだよ。」
少年A「それだけでは何も分からないよ。」
少年B「9手目に使った歩を、後に空成りしたのが唯一の駒成さ。」
少年A「手掛かりはそれだけか・・・。」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 13手で詰んだ
- 5手目に香を取った
- 9手目に(持駒から)使った歩を、その後に空成りしたのが唯一の駒成
出題のことば(担当 DD++)
前半は詰みよりもまず指定着手クリアを目指してください。
追加ヒント
歩を取るのは香取りの前。打つのはどちらも6筋です。
推理将棋76-2 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽4二銀 ▲3三角不成▽3一角
▲1一角不成▽2二角 ▲6六歩 ▽同 角
▲6二歩 ▽6四歩 ▲6三香 ▽5二金右
▲6一歩成 まで13手。
この問題、13手と見ると長そうに見えますが、ほぼ5手+4手+4手に分割して解くことができるので、案外簡単です。
まず、5手目に香を取る。これがけっこう大変です。全部で4パターンあり、多いのは▲76歩△74歩▲55角△飛をどかす▲91角不成という順ですが、今回はこれは失敗。というのは、ここから△64歩▲同角不成と歩を入手しても9手目に歩を打ったら二歩。もう1つよくあるのは▲76歩△34歩▲22角不成△何か▲11角不成。しかしこれも同じように9手目歩打ちはどうやっても二歩。そして珍しい方の順2つですが、その片方▲76歩△94歩▲66角△93香▲同角不成もやっぱり9手目が二歩。
というわけで正解は「▲76歩△42銀▲33角不成△31角▲11角不成」から始まる順。この順のメリットは3手目に既に歩をとっているので、先手が歩を取らせるために1手使えること。後手角が奥まったところに移動してしまっていますが、ここから「△22角」とスイッチバックして「▲66歩△同角」で間に合います。
これで9手目に6筋限定で歩を打てるのですが、▲64歩では空成になりそうにないので金逃げを期待して「▲62歩」と打ち、紐をつけるために「△64歩▲63香」と続き、予定通り「△52金右」金を逃げつつと逃げ道を塞ぎ「▲61歩成」で詰み。
13手なのでさすがに中級としましたが、簡単に解けてしかも手順に面白みと意外性があるという、気持ちよく解かせる作品として理想的な逸品だったのではないかと思います。
それではみなさんの短評をどうぞ。
チャンプ(作者) 「これ、いつ投稿した作品でしたかね?(笑) 忘れた頃に採用されると戸惑いますね。今更ながら条件はもっと練るべきだったように思います。」
■投稿はかなり前ですね。チャンプさんの上級が続いていたので採用の機会を逸したままになっていた作品です。条件が考慮不足とは私は思いませんけどね。
はなさかしろう 「5手目香取りは概ね4通り...の4つめが見えず、△74歩~72飛に引っかかってしまいました。すり抜けの連続からいきなり匕首を突きつける▲62歩、手数を感じさせない面白い順でした。」
■4つのうち93香と31角の2つは作るのもまた難しい。
しまぎろう 「どこかの筋の歩を消さないと歩を打てないのは分かりましたが、自ら飛び込むとは!びっくりです!」
■66角同歩で角を渡す順はけっこうあるのですが、逆は非常に珍しいですね。
Pontamon 「シンプルにまとめられた条件なので一見難しそうだけど、逆に条件がタイト過ぎて変化がないので一本道の推理でした。(初級で難航していたので、気分転換に中級を見てみたら即解けたので逆に驚いています。)」
■詰将棋よりも相性の影響が強いので、初級と中級どころか初級と上級でも同じ現象がしばしば。そして担当は難易度付けに頭を痛めるのです。
飯山修 「この解は締切前ヒントが出る前に解けたので5手目香取の方法か6筋の歩打ちのどちらが使われるかを楽しみにしていました。多分6筋のほうが正解増加につながっていると思います。」
■なるほど、ヒントにそんな楽しみ方が! そして「作問において何を明かせば簡単になって何を伏せれば難しくなるか」を見分けるいい練習になるかもしれませんね。
斧間徳子 「少ない条件は好印象だが、「9手目に(持ち駒から)使った歩」などとせず、素直に「9手目に打った歩」とすべきだと思う。」
■何か意図があるのかなと考え、特に指摘せずそのまま出題しました。何の意図だったんだろう。
EOG 「ヒモ付きでも空成りというのか。」
■ええ、駒を取らなければいいわけなので。
小山邦明 「歩を打てそうな場所を6筋と予想したのが良かったです。」
■普通は4筋が一番打ちやすいんですよね。▲76歩△44歩▲同角△42飛▲53角△47飛で。よく6筋と見破りました。
NAO 「ヒントの「両方」に一瞬アレッと思いました。香を打つとは想定外でしたので。」
■そういう方もいらっしゃるかと思ってヒント投下直前に「歩打ちは」から書き換えました。よかったよかった。
波多野賢太郎 「5手目に香を取るということで、もしかして9一の香を取るのかと思いましたが、考え過ぎでした。今回の3問の中では一番解きやすかったです。」
■本当に考え過ぎなのは香が動くかもと93で取る順を追った人かと思います。
S.Kimura 「手がかなり限定されていたため,今回で唯一,ヒントなしで解けました.」
■途中にチェックポイントがあると断然解きやすくなります。
占魚亭 「後手に歩を取らせやすい筋はどこか?と考え、歩を打つ筋を確定。」
■香取りがなければ打ちやすいのは4筋、ついで3筋ですが、本問では事情がガラリと変わっています。
隅の老人B 「31角から22角が上手い手、解けて良かった、嬉しいな。」
■この不思議な手を直接言及なしに実現させているのがまた印象的。
ジェシー 「たったこれだけの条件で限定できるんですね。王手の事前防止に貢献しながら最後は退路塞ぎの邪魔者になっている4二銀があまりにも格好良い。」
■攻方の一石二鳥は数あれど、玉方の一石二鳥は希少。
諏訪冬葉 「最初22角を残すために「▲76歩△42飛▲55角△74歩▲91角△34歩(以下同じ)」という順で解けたと思ったら歩がなかった。まさかスイッチバックとは。」
■歩を打つのは推理将棋ではけっこう大がかりな仕事なんですよね。
変寝夢 「3手目歩取り、5手目香取り、9手目は62,63,64いずれかの歩打ち、10手目は取らない、11手目以降13手目までに空成1回、12手目までは成らない、とここまでつけて、30分1200万局面でした。62歩を実現するために、先後とも協力しているのが面白いですね。」
■3手目歩取りを入れた場合純粋に5手+4手+4手になるのに、なぜそんな膨大な局面数に。持ち駒に香があるだけで4手詰がそこまで大変になるものですかね?
はらたっと 「42銀31角が見えるまでは苦労しました。」
■推理将棋だと22角を13や31に逃げる手は普通出てこない手ですからね。
正解:18名
EOGさん 飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 小山邦明さん
ジェシーさん しまぎろうさん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
チャンプさん 時風瑞季さん NAOさん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん はらたっとさん 変寝夢さん Pontamonさん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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