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推理将棋第76回解答(1)

[2014年4月28日最終更新]
推理将棋第76回出題の76-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第76回出題  推理将棋第76回解答(1)  (2)  (3)
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推理将棋第76回解説  担当 DD++

今回は初級の難易度を完全に読み間違えました。利きの把握が苦手な私でも3分かからなかったので皆さんすんなりだろうと思ったのですが、意外とそうでもなかったようで無解者続出。上級もまた非常に難しいものでしたが、中級1問だけでも解答してくださった方が多数いらっしゃり、なんとか救われました。初級をもっと露骨にヒントを出すべきでしたね。


76-1 初級 橘圭伍さん作     隅角!?         9手

A「51に居た玉に王手を掛けた将棋はその後どうなったの?」
後手「2度目の王手の9手目で詰まされた。けど楽しかったよ」
A「何か、面白い事があったの?」
後手「自身の利き以外の利きがない地点への着手が6回もあったんだ」
A「それは珍しいね。でも、それだけだと分からないよ」
後手「相手が1段目に着手した直後、自分は1段目に着手したのが敗着だったんだ」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 2度目の王手の9手目で詰んだ
  • 51に居た玉に王手を掛けた
  • 自身の利き以外の利きがない地点への着手が6回あった(※)
  • 先手が1段目に着手した直後、後手は1段目に着手した

※ 利きの有無は着手前の利きで数えるものとします。例えば初手▲26歩としたら、指す前には飛の直接の利きは歩自身が遮っているので、「自身の利き以外の利きがない地点への着手」に該当します。(作意順にはこのような判断に迷う手はありませんが、念のため)


出題のことば(担当 DD++)

 どこかに既に大ヒントがあるようです。

追加ヒント

 他の駒の利きに着手するのは▲33角成△62玉と最終手。2手目8手目はタイトルと練習問題解説がヒント。


推理将棋76-1 解答 Suiri761

▲7六歩    ▽1二香    ▲3三角成  ▽6二玉
▲2三馬    ▽6四歩    ▲4馬    ▽1
6三金    まで9手

他の駒の利きがない地点への着手が6回。全部で9手ですから他の駒と共通の利きへの着手は3回だけ。ところが二段目は後手駒の利きが集中しており一段目も玉金に横利きがあるので、玉周りにまともに着手できません。にもかかわらず王手は2回。だとすれば、この3回の使い方はほぼ「1回目の王手」「その対処」「最終手」に限られます。

三段目の壁をさっさと突破したいので「▲76歩△何か▲33角成」で51玉への王手もクリアする方針がよさそうですね。ここからもう1枚攻め駒を入手しようと思うと、42合では苦しいので「△52玉か62玉」と続きます。取る駒は条件から浮き駒でなければいけませんので、△62玉前提で41の金を狙いましょう。33馬がこれを取りに行く経路は23経由、32経由、42経由、51経由と4つありますが、他の駒の利きがない23を選びます。

あとはこれを玉頭に打てば詰むので「▲76歩△何か▲33角成△62玉▲23馬△何か▲41馬△何か▲63金まで(どこかで△64歩)」と予想できます。さて、後手の手が余っていますが、まだ後手側の一段目着手が出ていません。

ということで一段目を見ましょう。51が空いてはいますが、馬玉金の利きが強すぎて条件を満たすなど不可能。ですが余りは2手あるのがポイントで、「飛車の利きが届かない12に香を進め、空いた11に角を引く」と隅でこっそり条件手順を進めることが可能です。一段目着手の順から8手目が△11角、12香は23に馬がいるタイミングでは指せないので2手目△12香、残った6手目が△64歩、となります。

この問題、「自身の利き以外の利きがない」という表現が回りくどかったせいか、「自身というのは指し手のことではなく駒のことを指しているのか」という旨の質問をいただきました。「他の駒の利きがない」とするなど、よりわかりやすい表現があったかもしれませんね。

それではみなさんの短評をどうぞ。

はなさかしろう 「これは...難しかった。利きなし6回の手順はいくつかあるものの、1段目条件が満たせない。そこで「隅角」ですが、△72金~61玉を誤答しそうになり、最後まで気が抜けませんでした。」

■12香11角は単に無駄手消化かと思わせてこの61玉を封じる手段だったりもします。

Pontamon 「まいりました。△12香、△11角はあり得ると思ったけど、そうするために▲55角で小休止して▲33角の王手と▲11角での角取りで6回条件のうち5回達成。でも残る一手では何もできず、かと言って▲73角での王手でも先が続かないし...。推理将棋では33角は不成と思いこんでいたのが失敗の原因でした。大サービスの締め切り前ヒントでようやく解けました。」

■なるほど、△11角▲同角ですか。それをメインに面白い作品ができそうなやりとりですね。

飯山修 「後手の1段目の着手は敗着というより1手詰ウッカリという感じ。度々使われるツッコミですが、真の敗着は33角成を取らなかった事ですよと初心者には教えましょうね。」

■敗着とまではいかなくとも、12香もなかなかの失着。

斧間徳子 「「隅角」の2文字がなかったら、相当の難問だったと思う。条件がやや煩雑なのが惜しいが、この手順ではしようがないか。」

■「隅角」の文字があってなお難問だったようです。

EOG 「タイトルで玉方の2手がわかる。」

■と見せかけて99角不成からの一段目香打ち、を疑ってみた捻くれ担当。

小山邦明 「23馬がなかなか気付きにくい手でした。」

■確かに、金を取りに行くのに忘れがちな経路。

NAO 「先手5手+後手2手の基本手順でありながら、1段目着手が妙に見えにくいです「隅」が大きなヒントになりました。」

■41や61が実はガードが薄いことを知らないと見えにくいかも。

波多野賢太郎 「タイトルの「隅角」ってのは何だろうと思いましたが、そういうことだったんですね。「自身の利き以外の利きがないところへの着手」という条件が私にとっては目新しくて面白かったです。」

■それが橘さんの作風ですね。タイトルの意味まで含めて1つの問題。

S.Kimura 「自身以外の利きがない地点への着手が3回しかできないので,最後は飛び道具で玉から離れて詰ませると思い込んだのがいけませんでした.」

■飛び遠具と合わせて吊るし桂は私もかなり警戒していた筋でした。

占魚亭 「一段目の着手を1筋の着手と勘違い。」

■ありがちです。

あきら 「駒のききがない条件がおもしろくしてますね」

■露骨に攻めにくくなるので、工夫次第でいろいろ面白い順が発掘できそうな条件です。

諏訪冬葉 「「他の駒の利きがあるマスへの着手」が最初の王手・それに対する手・最終手だけなので「後手の1段目の手は11角」からすんなり決まりました。」

■実際は離し王手とか72金からの61玉逃げなど例外はあるものの、それを信じて進むと速いですね。

変寝夢 「3手目33角成、4手目62玉、7手目1段目、8手目1段目、で沢山詰を出して分析、32馬と後手金銀の着手を禁止、更に詰を出して分析、5手目を23馬に設定して6解を検出。その中で利き6回の条件をみたしている1つを発見した。利き6回の条件で手順前後を上手く消している。作者名で、2手目を予想する強者がいるかな?。」

■そういう探し方の場合、9手詰全657904解のDBを作っておいて抽出した方が速いのでは。使い回しもできますし。

はらたっと 「後手は自陣で効きがないところが少ないのでわかりました。」

■23に利きがないことに気づくと楽ですね。

チャンプ 「一番のヒントは題名でしたか(笑)」

■橘さんの作品はそういうのが多いですね。


正解:15名

  あきらさん  EOGさん  飯山修さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん
  小山邦明さん  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  チャンプさん  NAOさん
  波多野賢太郎さん  はなさかしろうさん  はらたっとさん  変寝夢さん
  Pontamonさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

これは酷いですね。余詰修正した間に手順を前後させた為に初手が条件を満たしていないです。解説を見ていて初めて気付きました。
76歩62玉33角成以下にしないと駄目でした。完全にミスです。失礼しました。

投稿: 橘 | 2014.04.28 23:07

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