[2014年5月31日最終更新]
推理将棋第77回出題の77-3の解答、第77回出題の当選者(ジェシーさん)
を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第77回出題 推理将棋第77回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
77-3 上級 チャンプさん作 金縛りの歩 11手
半 蔵「拙者が先手のようだな、では初手はこうだ。」
十兵衛「そうきたか、では儂はこうするとするか。」
半 蔵「忍奥義、歩不動金縛りの術!!」
十兵衛「なっ、なぬ!?」
半 蔵「さあ、これで互いに歩を動かすことも取ることも出来なくなった。」
十兵衛「くそっ、お主このような場でも忍術を使うとは・・・。」
半 蔵「それでは続けるとするか、次は3手目だったな。」
十兵衛「まだ勝負は始まったばかりだ、儂は負けん!」
半 蔵「これでどうだ?どうやら11手で詰みのようだな。」
十兵衛「唯一の駒打ちが五段目の飛打ちとは・・・無念。」
半 蔵「4筋への着手が運命を暗示していたようだな。」
さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 11手で詰み
- 3手目以降、歩は動くことも取られることも無かった
- 五段目への飛打ちが唯一の駒打ち
- 4筋への着手があった
詰みは「忍術を解かせてから歩を指す」応手も存在しないようにしてください。
出題のことば(担当 DD++)
打った飛車の活用法をよく考えて。
追加ヒント
44玉に対して裏からの馬の合い効かずです。
推理将棋77-3 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽5四歩 ▲4四角 ▽6二飛
▲同角成 ▽4二玉 ▲6一馬 ▽5三玉
▲3五飛 ▽4四玉 ▲7一馬 まで11手。
推理将棋において歩というのは邪魔になりがちな駒です。自陣から駒を出動するのに歩の壁を超え、敵陣に突入するのにまた歩の壁を越え。そこで通常は突いたり取り去ったりあるいは取った駒を打ち込んだりするわけですが、それが禁じられたらどうなるか、という問題。
敵陣に潜り込めるのは角1枚。中段で協力してくれるのは飛であって、敵陣への利きは歩に阻まれます。ということで、玉の方が歩の壁を越えてくるという逆転の発想が出てくればしめたもの。ですが11手の場合、出入口が1つしかないので角の利きと交錯しないためには諸々のタイミングが強く制約されます。
つまり、5手目に飛を取り、7手目に角の利きを出入口から外し、そのタイミングで8手目に玉を三段目に上がり、9手目に飛を打って、10手目に玉を四段目に上がり、11手目に角の利きを戻して詰み。必然的に合い効かずの詰みになります。
さて、5手目に飛を取れる場所は4箇所。32、42、62、82が候補ですが、32や42で取ると8手目に玉が三段目に上がれません。また82で取る場合は最終形が91(82)馬64玉の形になりますが、71銀の存在が非常に邪魔で、82合や73合が残って詰みません。
ということで62で取ることになり「▲76歩△54歩▲44角△62飛▲同角成△42玉▲馬移動△53玉▲35飛△44玉▲71または62馬」または「▲96歩から左右逆の形」まで一気に決定。金と銀を消しておかなければいけないので初手76歩から始めて7手目は61馬と71馬に決定されます。
と、1つのポイントにさえ気づけば気持よく一気に解ける問題だったのですが、残念ながら余詰がありました。
▲7六歩 ▽7四歩 ▲5五角 ▽7二銀
▲8二角成 ▽6二玉 ▲8一馬 ▽7三玉
▲8五飛 ▽6二金 ▲9一馬
まささんからの指摘の後、多数の方からこちらの解もいただきました。作意が鮮烈なため余詰として何が起きるのか気になった方も多かったようで、また余詰解も手順が強烈だったこともあり、不完全だったこともなぜか一部の方に好評でした。もちろん本来は褒められたことではありませんが。
それではみなさんの短評をどうぞ。
チャンプ(作者) 「これはそれなりのに自信のあった作品でした(過去形)作者的には突然宙に浮かび上がる▲35飛が何とも形容しがたい良い味に感じていました。(以下現実)いやはや73玉型に91馬までですか・・・散々検討してたハズなのに何故この形に気付かないんですかね・・・呆れました。」
■私も検討したはずなんですけどね。三段玉で詰むわけがないという先入観怖い。
のくせに 「詰み形はすぐ予想できましたが、74歩64玉55飛 型だと桂と銀が邪魔でうまくいかないんですね。」
■この形に限らず敵陣隅角の離し王手で詰みの形は銀合を消すのが大変なのです。
飯山修 「最終手が飛打なら、「打った飛の活用」とは言わないので9手目飛打の作意を考え到達しました。ヒントの選び方は難しいですね。」
■おっと、しまった。とはいえ歩を突けない状況で最終手5段目飛打ちの詰みが困難なのはすぐにわかることではあるのですが。
まさ 「5段目の飛から飛玉角が斜めに並ぶ形は第一感だったのですが、余詰順のほうが先に見えてしまいました。」
■私は余詰順が見えませんでした……。
斧間徳子 「条件から、4段目の玉を角による合効かずの王手で詰め上げる形だとすぐわかる。条件がよく練られていると感心。」
■2条件で完全ならよかったのですが。
はなさかしろう 「本命付近で駒を動かしていると自然に落ち着く手順ですが、この形が11手でできるというのは意外でした。角成で玉の経路が一意に決まったり、左右反対を狙うと31の地点に玉方の角が利いていたりと、シンプルな条件で精妙なつくりの問題でした。」
■中段玉は玉の経路の非限定が出やすいですが、そこが自然に決まっているのはうまいですね。
隅の老人B 「最初は91馬で似たような詰みを考えた。これには82銀の無駄合があって、推理将棋では×ですね。」
■ところが73玉形なら72銀で合駒を消せたという。
小山邦明 「実戦でこのような形で詰ます事ができたら気分が良いでしょうね。」
■私はどっちを持っても一手詰を見落とす自信があります。
NAO 「53への馬の利きの外し方。62角成~61,71馬の動きが妙に見えにくい。余詰順も気になりますが作意の方が素晴らしので追究しないことにします。」
■この馬の動きはチャンプさんの十八番手順ですね。そして余詰順もやっぱりこの動きでした。
波多野賢太郎 「一体どんな詰上がりになるのか悩みました。この条件だと玉が上がれるのは4段目が限界なので、じゃあ合い効かずだなと考えて閃きました。飛を打ってから玉が上がって合い効かずになるのが面白かったです。それから、余詰ありということだったので、そちらも気になって考えました。こちらは玉方手順前後や7手目9二馬も成立ですが…。余詰とは半蔵もさぞかし無念でしょうが、私は1問で2度楽しめました。」
■余詰と聞いて探したくなるというのはある意味では作意が魅力的だったことの裏返しなんですよね。作者としては素直に喜べないのがつらいところですが。
Pontamon 「2手目が△74歩の方をずっと検討していたのに、詰み上がりが作意の形だと予測していたので、この余詰手順には中々たどりつきませんでした。1問で二度楽しめました。」
■本来は二度楽しめてしまってはいけないんですけどねえ……。
金少桂 「2つ解けたので、最後の1つも頑張ってみました。実はこれが一番時間がかかっていません(爆)。歩が動かない条件で五段目の飛車が役立ちそうなのは四段玉しかなく(←練習問題のおかげですぐに見えました!)、それを角で串刺しにするのが見えたので、あとは合駒の利かない場所を探せば、すぐに解けました。」
■合駒がないから詰みというのは詰将棋では普通出現しないわけですが、初挑戦でこれをあっさりというのはすごいです。
ジェシー 「何ともアクロバティックな、問題文からは想像もつかないような詰め上がり。」
■ま、まあ、忍者のやることなので……。
占魚亭 「4筋への着手でピンときました。」
■修正で3手目44角が見えやすくなりました。
諏訪冬葉 「ヒントから「玉の斜め前に飛車」+「後ろから角」の積み上がりが浮かんだので解けました。」
■ヒント、出しすぎでしたかね?
渡辺 「十兵衛「自分の手番でそんな忍術を使うような奴に負けるとは…」ところで、余詰の方も味がありますねぇ。」
■相手の手番で使わないだけマシかもしれません。余詰は、余詰にしとくにはもったいない順。
S.Kimura 「玉が出てくることは予想できましたが,後ろから串刺しにするのは,ヒントを見るまで分かりませんでした.97角から42で飛車を取ってはダメなのは上手いですね.」
■中級とあわせて、飛角配置で左右対称解が消えると作者としてはガッツポーズ。
はらたっと 「5段目の飛車であっという間に玉が身動き出来ない状態になりました。」
■ありそうに見えて案外見たことない逃げ道の塞ぎ方でした。
正解:19名
双方解: 金少桂さん、波多野賢太郎さん、Pontamonさん、まささん、渡辺さん
EOGさん 飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 金少桂さん
小山邦明さん ジェシーさん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
チャンプさん NAOさん のくせにさん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん
はらたっとさん Pontamonさん まささん 渡辺さん
総評
斧間徳子 「今月は先月の反動?で易しめの出題でした。」
■月によって難度が大きく上下するのはあまりよろしくないですよね。
はなさかしろう 「例題もますます好調で9手の奥深さを楽しんでいるのですが、シンプルな9手を作るのはなかなか難しい...今回の11手2問は解きやすくて面白く、10~13手のあたりにはまだいろいろありそうに思います」
■シンプルな9手はだいたいどこかで見たようなものになりがちですしね。10手はおそらく未開部分は山ほどあるでしょうけど、11手の方が先手攻めなので作りやすいかもしれません。
隅の老人B 「もうすぐ大型連休が始まる。その前に「おもちゃ箱」の推理将棋を解き終えましょう。あれ。今月は簡単に解けたよう? これで何処へでも遊びに行ける。もうすぐ5月、皐月の空に鯉幟り、我が家の庭にもバラが咲く、何の不思議もなけれども、です。」
■今月は解答が早かったですね。そんなに簡単だったかなあ。
NAO 「今回はヒント前に解答できそうです。春先から解図力が衰えたのかなあと手の見えない不甲斐なさ感じてましたが、前回(76回)の結果稿を見てちょっと安心しました。76回はひさびさの難問特集で間違いなかったでした。」
■3年前とかに比べると上級の難易度は確実に上がってますからねえ。
波多野賢太郎 「今回は奇跡的に締め切り前ヒントなしで解くことができました。印象に残ったのはやっぱり3問目、こんな詰上がりもあるんだなぁと思いました。」
■こういう形はまだまだ未発掘なものがたくさんあります。面白いものを見つけたらぜひ作品に。
チャンプ 「今年もやって参りました不完全作投稿(呆)創作者の皆さんご注意下さい。推理将棋は甘くないですよ~(笑)」
■本来担当の仕事に検討はないはずなのですが、おかしいですよね。
変寝夢 「たま詰キスト間で、作品名をつけることについて議論が勃発するときがありますが、推理将棋において出題文とはなんぞや、と感じてしまった今月でした。私は箇条書き派(叙情的な心を持ち合わせていないから)なので、今月の出題文にはうまいこと書いてるなぁと思ったりしますが、たまにそれは箇条書きでいいんじゃないの、と思う作品も正直あったりします。」
■逆に箇条書きなしという形もありますね。ミスディレクションはこちらのほうがやりやすいですが、表現が悪いとまともに解けなくなるリスクも高いので大変。
はらたっと 「先月が難しかった分、今月は緩めてもらったような感じでした。」
■別に意図したわけではないのですけれどねえ……。
推理将棋第77回出題全解答者: 20名
EOGさん 飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 金少桂さん
小山邦明さん ジェシーさん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
チャンプさん NAOさん のくせにさん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん
はらたっとさん 変寝夢さん Pontamonさん まささん 渡辺さん
当選: ジェシーさん
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