大道棋よもやま話 第21回 香歩問題角角合筋の源流
[2014年5月22日最終更新]
詰将棋パラダイスで連載中の記事です。詰パラでスペースの関係で掲載できなかった資料全文なども補足していきます。
関連情報: 大道詰将棋よもやま話 ドキドキストリート (おもちゃ箱)
詰将棋パラダイス 2013年12月号掲載
大道棋よもやま話 第21回 香歩問題角角合筋の源流 加藤 徹
大道棋でもっとも問題数が多いのが香歩問題。香歩問題には3つの代表的な詰め筋があります。
A 63桂以下(83銀合)
B 72歩以下(84桂合、83金合)
C 83桂以下(93角合、92角合)
大道仙人こと田代邦夫さんの「大道棋の原図と発達過程」によると、その源流は初代宗桂まで遡れるそうです。将棋力草90番がその図(33成桂|21玉31香|香歩4)で、Aの銀合筋の手順です。
75桂が配置された形は、象戯勇士鑑8番の収束で初めて登場。ただし作意は85香に92玉で、Bの桂金合筋で逃れる不詰図です。
更に96歩が配置され、Cの角角合筋での逃れが登場するのは、この図。
◇多賀高潔 将棊雑俎抄 第28番
「本局詰物ニアラズ、詰不詰或問馬伝ト題スベシ」
将棊雑俎抄は、幕末から明治初期の棋客多賀高潔の自筆本です。田代「本図により大道棋七化けの基本図が登場したことになる」。
この図が角角合の源流と考えられていたわけですが、幕末の棋書に角角合で実際に詰む図があるのを、おかもとさんが発見しました。
◇将棊十局留より
将棊十局留は故清水考晏さんの蔵書で、野田市立図書館の検索システムで見ることができます。
文久2年(1862年)3月の小林東四郎と渡瀬荘次郎の十番指を記録したものですが、その後ろにメモ書きのような感じで18個の図面が掲載されていて、その16番目の図です。
作者は書かれていませんが、渡瀬荘次郎の大小詰物も掲載されているので、これもそうかもしれませんね。
◇大道棋20 小山邦明 正解
A44飛、イ74歩合、同飛、84角、同飛、95玉、85飛、同玉、52馬、94玉、
86桂、83玉、74馬、72玉、63香成、81玉、82歩、同玉、B73角、71玉、
62角成、82玉、72馬、93玉、83馬上迄25手。
A他の位置では84角で逃れ。
Bこれ以降はいろいろな詰みあり。
イ中合の場所は64、54でも可。
84角は、同金、95玉、85金、96玉、86金、97玉、88角、98玉、43馬、89玉、
49飛、78玉、87馬、67玉、76馬、57玉、69桂、56玉、66馬迄21手。
本作の目玉は初手の限定打。下に引くため54より右だが、54飛では43馬ができず、34飛などでは広すぎて捕まらない。
これに対し歩の中合で抵抗。84角に同金は詰まなくなるが、歩が手に入ったので同飛以下の詰みが生じる。
後半乱れるのが残念だが、すっきりした配置で限定遠打を実現した所に価値がある。
山下誠「4四飛と離すのが、大駒の活用を見た好位置。中合には、一転して飛車で行くところがまた面白い。」
★全短評をおもちゃ箱で掲載。
◇解答者 18名 正解14名
【正解者】 (省略)
【当選者】 (省略)
◇懸賞詰将棋 大道棋21 小山邦明
67香が受方62歩になると何が変わるでしょうか。30手台。
解答は12月末までに下記(省略)まで。最終手と手数(と短評)だけでOKです。
正解者から抽選で1名に加藤徹好形大道棋50番「ドキドキストリート」などを贈呈。
注1)香歩問題の3つの代表的な詰め筋については下記に詳しい解説があります。
注2)上記の大道棋20の解説および全短評はこちら。
注3)上記の大道棋21の解答募集は終了しています。解説および全短評はこちら。
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