[2014年6月30日最終更新]
推理将棋第78回出題の78-3の解答、第78回出題の当選者(飯山修さん)
を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第78回出題 推理将棋第78回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
78-3 上級 チャンプさん作 超一流のスイーパー 13手
女「貴方の腕を見込んである男と対決して欲しいの。」
男「美女の頼みを断るほど俺は野暮じゃないぜ。」(おっ!すげぇもっこりちゃん!)
女「将棋のルールは知ってるかしら?」
男「玉に狙いを定めて撃ち抜けばいいんだろ?」(え?なに?将棋で対決なの?)
女「まぁそうね、お願いできるかしら?」
男「任せておきな・・・これでどうだい?」(えーい、こうなったらヤケクソだ!)
女「流石ね、13手目▲51角不成、初王手で見事に詰みに討ち取ったわ。」
男「美女との約束は必ず守る主義でね。」(え?なにがどうなった?)
女「7手目の飛打ちが唯一の駒打ちとは無駄がないわね。」
男「どんな敵でも一撃で仕留めるのが俺の流儀さ。」(ひょっとして上手くいった?)
女「8手目の小駒の手に対して9手目に同じ筋への小駒の手で合わせたところが素敵だったわ。」
男「照準を合わせた時点で俺の勝ちは決まっていたな。」(それっぽく言っておこう)
女「ありがとうおかげで助かったわ、ところで報酬はいくらかしら?」
男「金なんて要らないさ、報酬は君の身体で・・・。」(それでは、いっただきまーす)
?「この、もっこり男がぁあぁぁああ~~天誅ぅぅうう~~【100tハンマー発動】」
さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 13手目の▲51角不成が初王手で詰んだ
- 7手目の飛打ちが唯一の駒打ち
- 8手目と9手目は同筋への小駒の着手
出題のことば(担当 DD++)
スイーパーというのもちょっとしたヒント?
追加ヒント
84玉に対し51角不成までですが、後手金は初形のまま。なぜ同金で王手解消できないのでしょう?
推理将棋78-3 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽4二飛 ▲3三角不成▽6二玉
▲4二角不成▽7四歩 ▲1四飛 ▽7五歩
▲7七桂 ▽7三玉 ▲2四角不成▽8四玉
▲5一角不成 まで13手。
13手という長丁場で、着手のヒントは後半ばかり。前から順に考えると非常に大変な思いをします。このような場合はある程度必要なことを読んだら詰みの形から推理するのがコツとなります。まず7手目飛打ちということから5手目に飛を取ったことがわかります。それが可能な箇所は32、42、62、82ですが、32では角を成る必要があるため後で角不成が指せません。また62では王手がかかってしまうので、飛を取った場所は42か82。ここまで読んでおいた上で、▲51角不成までにどのような形があるかいろいろ考えてみましょう。
まず単純に考えると62玉か42玉の形。この場合51角に飛で紐をつける必要があります。ところが駒打ちが飛1枚しか許されない=事実上後手は駒を打てないので、玉周りを塞ぐ駒が足りません。頑張っても13手では「▲76歩△74歩▲55角△42玉▲82角不成△32銀▲31飛△51金左▲21飛成△41銀▲73角不成△52銀▲51角不成」くらいが限界で、守備金をどかす手がありません。ということでこの線はダメ。
すると次に候補に上がるのは33玉や73玉などで後手の合駒を不可能にしておく形。しかし、先程以上に後手の手数が厳しくなります。数えてみましょう。まず飛を5手目に取らせるのに△74歩か△42飛で1手。玉を73か33に運ぶのに歩突き含め3手(82で飛を取らせて73玉は角移動が間に合いません)。金2枚と銀1枚どかすので3手。これで合計7手で既に手数オーバー。どれか1手を先手が代理をして「▲76歩△42飛▲33角不成△62玉▲42角不成△74歩▲51飛△72金▲66歩△73玉▲71飛成△32金▲51角不成」くらいまでは頑張れますが、詰みにはあと1手▲65歩を指す手が足りません。
では84や24、などと考えても手数は足りなくなる一方なので発想を根本から転換しましょう。金や銀をどかしきれないなら、金が利いていようが銀の合駒ができようが詰んでいればいいわけです。つまり、これが開き王手か両王手であれば金銀をどかす手は必要ありません。もちろん狙うは飛の利きを通す詰みですが、後手の香打ちが許されないのでそれが可能な場所は限られます。
それらを順に考えてみると13手でちゃんと詰むのはただ1箇所、84玉を14飛と51角の両王手で詰ます形だけです。後手には△42飛と渡して△74歩△75歩を飛の利きを通す分まで突いて△62玉△73玉△84玉。先手は▲76歩▲33角不成▲42角不成と飛を取り、▲14飛と打ってから▲77桂か▲86歩で85地点を押さえ、▲24角不成から▲51角不成。これらを王手条件や小駒条件を満たすように並べ替えればようやく作意にたどり着きます。
それではみなさんの短評をどうぞ。
チャンプ(作者) 「この作品は北条先生に許可を頂いて投稿しました(嘘) ただ、例のアニメを見ながら創作したのは事実です(笑) 作品のイメージは拳銃(そのまま)です。銃を奪う(5手目)構える(7手目)照準を合わせる(9手目)撃鉄を起こす(11手目)引き金を引く(13手目)という流れになります。それなりに上手く表現できたのではないかと思っています。ノーヒントだと少し難しかったかも知れませんが、皆さん如何だったでしょうか?」
■そして一発必中(初王手で詰み)というわけですね。
斧間徳子 「手順前後の利かない順は?と考えれば序の5手は必然。7手目に有効な小駒の手は77桂くらいしかない・・・と考えて解にたどり着く。14飛の限定打が爽快。」
■確かに、どうしても手順前後が残る順は読み飛ばせば最初からある程度絞れますね。それでもまだかなり大変ですが。
NAO 「難問。同じ筋に小駒の条件が絶妙で、8手目75歩とは気づかない。詰みに役立ちそうな77桂の顔を立てるには?と考えて84玉形の両王手が見えました。スイーパーよりそのままスナイパーの方がしっくりきます。」
■スイーパーになってるのは元ネタの方の設定から来ているのでいかんとも。
金少桂 「すみません、かなりズルしました。7手目に飛車を打つには5手目に飛車を取らなければならないのですが、82で飛車を取る手順は、後手の2手目と4手目が74歩-75歩以外限定できないので、読んでいません。62で飛車を取るのはどうしても王手がかかってしまうので、42で取るのがこれで確定。さらに、9手目の先手の小駒で間に合いそうなのが77桂以外思いつかないのでこれも固定して考えていました。これだけわかってもかなり難しかったんですがね(汗」
■こういうのを俗に「裏読み」と言います。難問を解くのに有力な方法ですが、使い過ぎると自分が作った問題の検討がまともにできなくなる諸刃の剣。
飯山修 「飛車打ちの感触抜群。こんな手は秒に追われて何か指さなければいけない時の着手以外無理。」
■秒に追われていたら12手の局面から1手詰であることに気づくのも難しそう。
まさ 「手順前後なしを勘案すれば序の5手はほぼ確定。先手が小駒を動かす以上玉が上部に来るのは確実。そこまでわかっていてもこの両王手はなかなか気づかない。雄大な作意に感服。」
■74歩をもう1回突くところまで考えないと14飛が84まで利くのに気づきませんからねえ。
諏訪冬葉 「51に利いている金2枚をどかすのはあきらめました。」
■はい、それが正解です。
占魚亭 「飛車は五段目に打つと思っていて悩んでいましたが、ヒントを見て両王手の筋に思い至りました。「○ティーハ○ター」は大好きな作品のひとつです。」
■先月は同じような条件で五段目でした。さすがにそれで同じ形を2回連続はありません。
はらたっと 「ヒントで84玉がわかった後なら75歩すぐ見えるんだけどなぁ。
■そういうのをすぐ見えるようにするのがヒントというものなので。
枡彰介 「ヒントのおかげで14飛、24角の形から両王手と気づき解けました。」
■両王手は言われるとすぐわかるのになかなか解けないもの。
S.Kimura 「このところ,角で串刺しが続いていたので,飛車の空き王手,もしくは両王手で詰ませることをを予想し,2段目辺りでもがいていました.ヒントを見るまで,玉が4段目まで行くとは思いませんでした.」
■後手が駒打ちできないため、二段目でやろうとすると▲62角▲52飛△92玉の形を作らないといけないので逆に大変です。
くるぼん 「最終ヒントがなければお手上げでした。両王手に必要な75歩をひねりだすのが大変でした。」
■私も75歩がなかなか出てきませんでした。
はなさかしろう 「2四角不成がタイミング良く決まり、予想を裏切らない派手な手順が素敵です。」
■このスケールの大きな両王手が13手で成立するんですものねえ。
ジェシー 「この詰め上がりは全然見えませんでした。」
■最初からこの詰め上がりが見えていたらすごすぎですよ。あるいは作ったことのある人。
波多野賢太郎 「問題の会話が遊び心満載で面白かったです。でも、詰み形や手順が凝っていて、締め切り前ヒントなしでは解けませんでした。何となく両王手だとは思ったんですがねぇ~。」
■おお、両王手見抜いてましたか。すごい。
隅の老人B 「ヒント、「51角生が何故?取れぬ」、ハハ-ン、これは両王手。堀内孝雄じゃないけれど、これは「サンキュウ-」です。」
■鍵になるところのほんの一歩手前を出すのがいいヒントだというのが3年担当しての研究成果。
平井康雄 「これはヒントがなければ全然わかりませんでした。最終手両王手がわかれば何とかなります。」
■言われてみれば両王手のヒントだけで十分でしたね。二段目だと同玉、三段目は歩で使えない、縦利きや五段目以下は両王手にならない、と全てすぐに消えるので。
Pontamon 「簡単と思いきや、8手目と9手目の小駒指定が曲者。(と思ったのは私だけかな)この両王手は詰み形の候補として浮かんでいた(解く側じゃなくて作る側の目線で。飛を打つ筋が自ずと限定される)のに、玉は大駒でも小駒でもなく、8手目に△73玉とできないので早々に「4段玉は無し」と結論したのが敗因でした。そのせいで、9手目の非限定を意味あるものにしなければいけないので桂の2段跳ねで51角成りなら詰み筋はあるのですが...。解くのも作るのも手順前後は考慮不足です。」
■小駒条件がなくてもこの形以外詰まなさそうですが、何かうまい手があるのかな……?
正解:19名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 金少桂さん くるぼんさん
小山邦明さん ジェシーさん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
チャンプさん NAOさん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん はらたっとさん
平井康雄さん Pontamonさん まささん 枡彰介さん
総評
斧間徳子 「今月は平均的な難易度か。二歩反則問題というのも面白いですね。」
■あとはどんなネタがあるでしょうね。二手指し問題は未出かな? 面白く作るのは大変そうですが。
チャンプ 「3年以上前のことになりますが、とある作品をmixiで発表したところミニベロさんからこんなコメントを頂きました。「この順に目が行くとは、将来楽しみです。 仮に、手順・条件がすべてバッティングしても、 気にすることはありません。 どんどん作って発表することが大切です。」かれこれ何作創作したか自分でも把握してませんが、Pontamonさんにも同じ道を歩んで頂きたいですね。」
■そのとおりですね。正式な場以外(mixiなど)でなら余詰にもある程度寛容ですし、どんどん出してみましょう。
はらたっと 「新しい二歩問題。作者の次回作はいかに。」
■さーて、どれから使おうかな。
枡彰介 「久しぶりに解答しました。ヒントがないと上級問題は難しいですが、また解答したいです。」
■今後もぜひぜひよろしくお願いいたします。
はなさかしろう 「▲7七桂は上級へのヒントなのかなぁ、などと、練習問題も楽しいですね。」
■あ、ばれた。
波多野賢太郎 「今回も3問ともそれぞれ面白さが違って、とても楽しめました。反則負けはいろいろな局面が考えられるので、これからの出題が楽しみです。」
■担当としては気を使う事が多くて大変なんですけどね、反則問題。
隅の老人B 「最近、齢のせいか何故か早朝に目覚める。起き出して、ごそごそするのも、傍が迷惑。で、床に横たわったままで推理将棋を考える。その成果の解答、合っているかな?です。」
■私は寝る前に布団で考えることが多いですが、本当に三上とはよくいったもので。
推理将棋第78回出題全解答者: 21名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 金少桂さん 久保貴史さん
くるぼんさん 小山邦明さん ジェシーさん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん チャンプさん NAOさん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん
はらたっとさん 平井康雄さん Pontamonさん まささん 枡彰介さん
渡辺さん
当選: 飯山修さん
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