推理将棋第78回解答(1)
[2014年6月28日最終更新]
推理将棋第78回出題の78-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第78回出題 推理将棋第78回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第78回解説 担当 DD++
今回は、簡単だけれど面白みのある初級、奇想天外な中級、本格派難題の上級、いずれも好評でした。毎回こうバランスよく良問を出題したいものです。
78-1 初級 DD++作 無気力試合 12手
「この前、とってもやる気のない指し手と対局してさ」
「へえ、どんな感じだったの?」
「1枚の歩を突き続けるだけで他は何もしてこないんだ」
「12手目に最奥で強制的に成って、14手目はどうしたの?」
「さあね。こっちもさっさと終わらせようと12手で自玉が詰むように指したから」
「ひどい勝負だな」
「おいおい、相手の意図に気づいてとっさに端歩を突いた5手目を褒めてくれよ」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 12手で詰んだ
- 後手は1枚の歩を最奥まで突いた
- 5手目は端歩を突いた
出題のことば(担当 DD++)
後手の手は9択、さてどの歩でしょう。
追加ヒント
飛車先の誘惑を振り切って角側の端歩を使いましょう。
推理将棋78-1 解答
▲4八玉 ▽1四歩 ▲3八玉 ▽1五歩
▲1六歩 ▽同 歩 ▲1七桂 ▽同歩不成
▲2九玉 ▽1八歩不成▲3八金 ▽1九歩成 まで12手。
後手の手は条件上9種類しかありません。しかも、2~7筋では九段目に紐がつけられず、開き王手も不可能なので実質3択。19歩成まで、89歩成まで、99歩成までの3つです。
心理的には89歩成を考えたくなるところ。しかし問題となるのは79の銀。これを78に上がると89に利いてしまうのでダメ。68に上がると玉の移動の邪魔になり、▲68銀▲78金▲69玉▲79玉▲59金▲69金で12手の詰みには間に合うものの端歩は突けません。ではこの銀を動かさないとなると玉は99へ行くしかなく、▲96歩▲97桂▲98香と玉移動4手で、あと1手間に合いません。8筋歩は実は誘い手なのです。
1つの筋に歩を指し続ける手順の場合、実は11手以上だと8筋より1筋の方が使いやすいのです。この問題も例に漏れず、桂をどける▲16歩▲17桂と玉移動3手、入口を塞ぐ38金で12手にぴったり間に合います。この6手の着手順で3番目が▲16歩になるのは作意順だけです。
それではみなさんの短評をどうぞ。
斧間徳子 「たしかに後手の指し手は無気力という感じですね。」
■成ることすら面倒くさがるところまで先手に読まれていました。
NAO 「一直線。他の筋ではだめですか。なるほど。」
■2つめの条件を「7手目は銀」にすると8筋の方の作品もできます。
久保貴史 「既出でないのが不思議な問題。発見賞ですね。」
■手順自体は新しいものではありません。同手順でもわざわざ歩を不成のまま突いていくことまで明かした問題は他にないと思いますが。
金少桂 「初めて暗算で解けてしまった。9択というより実質3択ですよね。」
■初級問題としてこれくらいの問題の投稿がたくさんあるといいんですけどね。
飯山修 「片方の指し手限定の作品は非常に助かります。初級は常にこのレベルでお願いしたい。」
■そうしたい意思はあふれるほどあるのです。あとは投稿があれば……。
まさ 「「一枚の駒を動かすだけ」は意欲をそそられるテーマで、初期に色々作例がありますね。この詰上がりもmixi第141番(Norman氏作。2007年10月)で既出ですが、懐かしい感じがします。」
■一枚問題はまささんの十八番でしたね。手順先例もたぶんまささんだろうと思って探していたので発見に手間取りました。
諏訪冬葉 「最終手に紐がついていることを考慮すると後手の手は3択。最終手△89歩成 までの12手だと端歩が突けなかった。」
■8筋の場合端以外でも歩は突けませんね。
チャンプ 「これは良い作品ですね。簡素な条件で上手く仕上がっていると思います。」
■2つめの条件を「5手目は玉頭の歩を突いた」とか「同の手2回」とかにすると8筋の誘いを強めることもできたのですが、初級用という条件下でどれがよかったですかね。
占魚亭 「事実上、2択ですね。」
■8筋じゃ端歩は関係なさそうという読みですかね。それとも1筋と9筋でまとめて1つ?
はらたっと 「38金で一発アウト。」
■むしろ38金以外では一発アウトにならないのが不思議かも。
枡彰介 「歩だけでは詰まないので後方に飛香の援軍がある三択。にも関わらず正解の1筋は最後に考えた私の勘の悪さ。」
■勘を外しても迷宮入りはしないのがこの手の問題の優しさ。
S.Kimura 「8筋か9筋で「無気力試合」ができないかと考えてみましたが,9筋は88角が邪魔?8筋は79銀と玉を入れ替えるのが難しい?」
■9筋は無理ですね。8筋は玉を69経由で動かすのがミソ。
くるぼん 「一直線の攻めを支えるのは飛車だけとは限らない。」
■むしろ飛車では面白くないので作品としては少なかったり。
はなさかしろう 「さすがに3択ですが、78銀が89に利くのを案外振りほどけないなど、なかなか巧妙です。」
■1筋と8筋で全く違う手順なので限定は楽でした。
ジェシー 「なぜか9筋よりも1筋の方が詰まなそうに見える不思議。」
■そうですかね? 歩を打ちなおして八段目まででも98歩不成より18歩不成の方が詰みやすいのですが。
波多野賢太郎 「私もやっぱり第一感は飛車のいる8筋の歩でした。この手順を、「無気力試合」として出題したのがうまいなぁと思いました。」
■この局に限らず推理将棋はまともに指す気があるか怪しい手順が多いですが、それでもこの手順はひどい。ということで。
渡辺 「事実上9択ではなく1、8、9筋の3択。玉が遠くに行く暇がないだろうと思い8筋を中心に考えたが大外れで中級より時間がかかった。」
■端歩というのが8筋の可能性を薄めているつもりだったのですが、効果なかったですかね?
隅の老人B 「♪徐州、徐州と人馬は進む、徐州居よいか、住みよいか♪、これは鼻歌で解けました。」
■なるほど、突かれている歩からするとまさにそんな感じかも……。
平井康雄 「さすがにノーヒントで解けました。「5手目の端歩」が余詰・手順前後を一掃しているわけですね。」
■76歩77桂との非限定も消して一石三鳥。
Pontamon 「実質3択なので推理抜きで左の筋から解き始めたら、正解は最後の筋でした。このような軽快な駒さばきを見習いたいものです。」
■中級の駒捌きは見事なものでしたよ。
正解:21名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 金少桂さん 久保貴史さん
くるぼんさん 小山邦明さん ジェシーさん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん チャンプさん NAOさん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん
はらたっとさん 平井康雄さん Pontamonさん まささん 枡彰介さん
渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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