推理将棋第78回解答(2)
[2014年6月29日最終更新]
推理将棋第78回出題の78-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第78回出題 推理将棋第78回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
78-2 中級 Pontamonさん作 駒台の駒を摘み間違えた結果は? 11手
A「この前の対局、後手は2筋の駒(初形で2筋にあった駒)だけしか指さない、変な指し方の相手だったよ。」
B「で、何手で勝負がついたの?」
A「11手だよ。」
B「じゃ、勝ったんだ。」
A「いや、負けたんだよ。10手目の初王手の時、駒台に3つ駒があって、合い駒に歩以外の駒を摘んだつもりだったけど実は歩で、それを合い駒の場所の68に打ったから二歩反則負けだったんだ。」
B「でも、最後の二歩の手を除けば、5回の着手で駒を3つ取ったんだ。大駒が成って大活躍だったのかい?」
A「いや、駒成りはなかったよ。」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 初王手に対して、合い駒として打った11手目の▲68歩で二歩反則負け
- 後手の着手は2筋の駒(初形で2筋にあった駒)のみ
- 終局時、先手の駒台には2つ駒があり、少なくとも1つは歩以外の駒
- 駒成りはなかった
出題のことば(担当 DD++)
詰みでの終了ではないのでいつもの常識は捨てましょう。
追加ヒント
後手角は31に引いてから出動。そのためには先手角の助けが必要です。
推理将棋78-2 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽2四歩 ▲4四角 ▽2五歩
▲5三角不成▽2六歩 ▲3一角不成▽同 角
▲2六歩 ▽8六角 ▲6八歩 まで11手(反則負け)。
推理将棋のほとんどは詰みで終局となりますが、中には例外もあります。千日手問題や打歩詰問題はおもちゃ箱でも出題されたことがありますが、二歩反則負けというのはおもちゃ箱では初。いつもの感覚を捨てることになるので戸惑った方も多いかと思います。
さて、二歩は合駒の打ち間違いということですから、10手目は飛角香のいずれかによる王手です。しかし後手の着手できる駒は最初に2筋にいた駒だけですから22の角が動いたか、28飛を奪って打ったか。それぞれ検討してみましょう。
まず22角を動かす方。先手の▲33角不成ができれば△同角から△77角不成で話は早いのですが、初王手という条件があるのでこれは無理。ならば角以外で33の歩をどけようとするも、駒取りが3回必要=5手目7手目9手目で駒を取る必要があるので無理。ということで角の進路を変更するしかなさそうですね。33と73の歩が取れず、93の歩を取っても仕方がない、となると5手目▲53角不成が唯一の道であるとわかります。
この間後手は2筋の歩を無為に進めるしか許されず「▲76(96)歩△24歩▲44(97)角△25歩▲53角不成△26歩」まで確定。7手目も駒取りであることと後手角を世に放つことを考えると「▲31角不成△同角」は自然に手が伸びるところです。ここで初手に7筋の方を突いてあれば10手目△86角が王手になって11手目▲68銀打と間違えての▲68歩が成立します。あとは9手目に駒を取ればいいだけで、全く無為に思えた後手2筋歩を取って作意となります。
念のため28飛を打つ順も考えてみると、「▲26歩△24歩▲27飛△25歩▲58玉△26歩▲38銀△27歩不成▲同銀△78飛▲68歩」と二歩だけなら間に合うことは間に合いますが、先手は歩1枚取るのがやっとで、条件を満たすことはできませんでした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
Pontamon(作者)「確認のコメントが2つも付いていて、反響に戸惑ってしまいました。私の処女作なので、条件の書き方が不慣れで判りにくかったですかね。」
■普段と目的が違うことが戸惑いを誘ったというのが大きいと思います。それを抜きにしても、解答者にきちんと伝わらなさそうな場合に修正をお願いするのは担当の仕事なので……。
斧間徳子 「双方の角の動きがトリッキーで味がある。26歩と歩を取る手も好感触。」
■普通はこの条件は2筋歩を無駄に突く消化不良な手順になるのですが、うまくまとめました。
NAO 「最初2筋にあった駒のみというのはわかりやすい。重ね打ちの二歩は見たことないですね。一間跳びの二歩で負けたことがありました。」
■最初ここにあった駒というのは、解きやすくはなるのですが書き方が難しい。
金少桂 「最初文章を深読みしすぎて、先手の28飛車を後手に献上する手順から考えてしまいました(←推理将棋に毒され始めたか?)。ところで昔、歩の前に歩を重ね打った棋士がいましたよね。今回に関しては、そもそも合駒なんて打たなくても・・・と思いますが。」
■推理将棋を指しているのは上手な人とは限りません。下手な人が守りを固めようとすると守備駒を金銀5枚にしようと考えるかも。
飯山修 「この作品のように反則を条件にすれば余詰、非限定等で埋もれた作品も少し前でカットする事で日の目を見る可能性があるかも。」
■推理将棋の場合、美醜を別にすれば余詰修正や非限定消しは簡単なので、そういう使い方をする理由がないんですよ……。
まさ 「どうやれば王手を掛けずにかつ先手が駒を取りながら22角を世に出せるか考えれば容易。」
■その発想が出ても、私は32歩不成まで進める順から読んでしまいました。
諏訪冬葉 「最初「動かす時点で2筋にあった駒」と勘違いして、「解無し」を証明してしまいました(33歩を取る手段がない)。さらに、なぜか「持駒は歩と歩以外を2枚」と勘違いしていました。」
■その勘違いが起きやすいんですよね、この条件。
チャンプ 「少し考えると不可能に思える作品。5、7、9手目に駒を取らないといけないので、そこだけ追求した結果解けましたが、53角不成~31角不成のルートが妙に見えにくく、下手をしたら迷宮入りするところでした。「x筋の駒の着手のみ」という条件は史上初ではないでしょうか?鮮やかな手順と斬新な条件かつ柔軟な発想に大変感心しました。」
■「x筋の駒の着手のみ」は何度か見たことがあるような気がします。Pontamonさんはそれとは別に独自に思いついたかもしれませんが。
占魚亭 「なぜ角を取らない(児○清さん風に)」
■「68番に歩が飛び込んだーっ!」
はらたっと 「33が初王手縛りでダメで最終手が77角ではないことに気がつくのに時間がかかりました。」
■問題を68歩にしているのがそのミスディレクションを誘っていてニクい。
枡彰介 「頭の中で▲96歩から入ったら全く解けず、盤に並べたら▲76歩~▲44歩に気づきました。」
■そうそう、案外見落としがちなんです、31角不成のための44~53のルート。
S.Kimura 「後手の角を86に持ってくることを考えたら,すんなり解けました.」
■よくぞ77でなく86と考えられました。
くるぼん 「3枚目の駒をてにいれるのは 歩とは一歩竜王のよう。」
■先手の歩よりもわざわざ3回進んできた後手歩に価値あり。
はなさかしろう 「荒々しく力強い手順。台風一過のような、突き抜けた解後感が楽しいです。」
■詰みに向かう順だとなかなか味わえない解後感。
ジェシー 「ただの着手限定と思っていた2筋の歩突きが、実は持駒条件のための必要手順だったんですね。」
■無駄手消化を無駄手に見せないやり口がとても処女作とは思えません。
波多野賢太郎 「最初、初王手の意味を勘違いしていて、3手目は3三角成でもいいのではと思っていました。二歩みたいに反則負けで終局というのも面白いですね。」
■先後が指定されていない場合は双方合わせて考える、というのが推理将棋の共通ルールです。一度そういう暗黙のルールをどこかにまとめるべきなのですけれど。(と数年前から言っている気がします)
渡辺 「持駒3枚の条件が巧い。33角は王手になって駄目なので5,7,9手目が駒取であることを中心とした簡単な論理で解けて好感。(28飛を奪っての飛による王手は11手では到底無理なので考えなくて良い)」
■余詰が明らかに存在しないので、安心して出題できます。
隅の老人B 「44角から53歩を取るのが妙。反則負けとは! 創り手もいろいろ考えますね。」
■打歩詰は既存のフェアリールールにあるせいか作例は多いですが、二歩を使うとはね。
平井康雄 「後手が自主的に動かせるのは2筋の歩のみ。先手の33角もありえないことになれば、これ以外にないですね。」
■持ち駒条件がなければさすがにこれしかないわけではないですが、それでもこれが本命。
正解:20名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 金少桂さん くるぼんさん
小山邦明さん ジェシーさん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
チャンプさん NAOさん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん はらたっとさん
平井康雄さん Pontamonさん まささん 枡彰介さん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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