推理将棋第79回解答(2)
[2014年7月30日最終更新]
推理将棋第79回出題の79-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第79回出題 推理将棋第79回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
79-2 中級 渡辺さん作 銀で応じる 9手
「この前の9手で詰んだ将棋ってどんな感じだった?」
「駒を成る着手に72銀と応じたり、玉の斜め移動に対して
銀で王手して応じたり…」
「他には?」
「記憶にないよ。この銀で応じた2手だけ印象的だった」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 9手で詰んだ
- 駒成の着手に72銀と応じた
- 玉の斜め移動に対して銀で王手して応じた
出題のことば(担当 DD++)
いつもの初級9手のようにはいきません。
追加ヒント
8手目三段玉に銀打ちで詰み。72銀という条件に騙されて玉を逆方向に進めないように。
推理将棋79-2 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2二角成 ▽7二銀
▲3五角 ▽4二玉 ▲3一馬 ▽3三玉
▲2二銀 まで9手。
初級でやったように理屈で攻めてみましょう。まず、「玉の斜め移動に対して銀で王手して応じた」という条件。さすがに後手が銀を奪って先手玉に王手をかける展開は9手では不可能なので、王手したのは先手。もちろん自陣の銀を運ぶのも不可能ですから銀を取ることになりますが、それが可能なのは5手目以降。ということはこの条件は「5手目銀取り6手目玉移動7手目銀打ち王手」「5手目銀取り8手目玉移動9手目銀打ちで詰み」「5手目銀取り7手目銀打ち8手目玉移動9手目銀移動で詰み」「7手目銀取り8手目玉移動9手目銀打ちで詰み」のいずれか。
次に「駒成の着手に72銀と応じた」を考えましょう。72銀が先手だとすれば成生がない以上これは駒打ちなので7手目か9手目、後手なら4手目6手目8手目。これを先ほどの条件と組み合わせ、ありえそうにないところをサクッと消しておきましょう
まず「8手目駒成9手目72銀(駒打ち)」と「7手目駒成8手目72銀」。これらは7手目銀打ちも8手目玉も不可能なのでさきほどの4つのどれとも両立できません。次に「6手目駒成7手目72銀(駒打ち)」。これが両立できる相手は「5手目銀取り7手目銀打ち8手目玉移動9手目銀移動で詰み」のみ。しかし詰みを見越して馬と72銀に共通の利きを作るには「▲76歩△54歩▲44角△34歩▲71角成△88or99角成▲72銀△42玉」またはその手順前後となってしまい、61銀成が王手になりません。ダメでした。残るは「3手目駒成4手目72銀」「5手目駒成6手目72銀」のみ。
ここまで絞ると正解の姿がある程度炙りだされてきます。72銀の前に右銀を取ってしまうわけにはいきませんし、72銀同馬でもそこから9手の詰みにもっていくには5筋の隙がどうにもなりません。つまり左銀を取るしかないわけですが、かといって71に逃げ道があるので玉をそちらへ動かしては詰みません。つまり、31銀を取るにもかかわらず玉は42方向へ動かすという形でしか条件を満たしての詰みはありえないのです。
もちろん31馬(角成)の後に42玉とするのは不可能ですから、これが可能だとすれば42玉が先で31馬に対してさらに玉が逃げる形。つまりこれで「▲76歩△34歩▲22角成△72銀▲何か△42玉▲31馬△玉斜め移動▲銀打ち」まで一気に絞れて、8手目△51玉と△33玉と△31玉(馬を失っても攻駒は2枚あります)をそれぞれ調べてみれば作意がみつかります。
検討の場合はこれら全てを考える必要がありますが、解答を探すだけの場合は「どうしても手順前後が消えない順は候補から外す」「ありえなさそうなものはひとまずないものと信じる」などのテクニックで正解までの道を短縮することができます。
それではみなさんの短評をどうぞ。
渡辺(作者) 「72銀は飛の利きを防ぐ役割。角成のタイミングを限定する条件。」
■71銀を取らせないのも大きいですね。
斧間徳子 「1回目の「玉の斜め移動」で銀を打とうとするとなかなか詰まない。たしかに9手詰めにしては難問だが、33玉型になるという意外性があり好作。」
■72銀の活用法を考えた時に「正解はただ飛車を遮るだけ」というのがまた作意を見えにくくしています。
まさ 「3手目生でないのが案外新鮮。」
■22角成から21馬や32馬と動かす場合はありますが、31馬にする場合はこっちで成ることが多いですね。
NAO 「玉の斜め移動が2回とはなかなか凝ってます。72銀の意味付けが流石。」
■この72銀は検討すると本当に深い。
Pontamon 「角を持っているのに▲35角に中々気付かなかったのが情けない。」
■指し将棋では何かの間違いでないかぎり候補にも上がらない手ですからねえ。
小山邦明 「35角が34歩をうまく利用した上部への逃げ防止の好手ですばらしい発想だと思いました。」
■34歩がこういう形で役立つことは非常に稀ですね。
チャンプ 「特別悩みませんでしたが、改めて条件みると72銀&玉の斜め移動ですからこれは確かに思考が左辺に行ってもおかしくないですね。更に72銀が先手の着手かも?と考え出したらドツボでしたか(笑)」
■いろいろと深読みする余地があるので難しいのですよ。
枡彰介 「9手で三段目の玉は詰ましにくそうで苦労しました。」
■上も下も逃げ道多数ですから、かなり工夫しないと詰みません。
隅の老人B 「マサカ、マサカの35角打。72銀で飛の利きを止めておくのも好手?」
■飛の利きを止める72銀は手筋といえば手筋なのですが、たていは62への銀の利きを消すのもセット。それがないと普段とは違った手に見えますね。
諏訪冬葉 「「銀は5手目に取る」と思い込んで迷宮入りしました。11手あれば「後手角成りに先手72銀」も成立します。」
■目的を達成するのを焦って詰まない、ありがちな失敗です。
占魚亭 「96歩~97角を考えたり2枚で詰まそうと色々やって、ようやくこの順に辿り着きました。やられた!という感じ。」
■なるほど31銀を「▲96歩△54歩▲97角」から狙うことで53が通ったことを利用しようというわけですか。たしかにそれを利用する問題は多いですが、この問題では残念ながらハズレでした。
飯山修 「直前ヒントが出てもすぐには判らなかった。3段目玉のヒントがなければ最後迄解けなかったと思う」
■ヒントで33玉まで明かすかどうかかなり迷いました。
正解:13名
飯山修さん 猪狩守様fanさん 斧間徳子さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん 占魚亭さん チャンプさん NAOさん Pontamonさん
まささん 枡彰介さん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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