詰将棋創作プログラミング 9 中央の角一色図式
[2014年8月22日最終更新]
詰将棋創作プログラミング 9 中央の角一色図式
1) 詰パラ8月号を見ていたら
3月ぐらいから、第3回将棋電王戦、第11回詰将棋解答選手権、第24回世界コンピュータ将棋選手権、第30回詰将棋全国大会と、イベントが続いてなかなか時間が取れず、創作プログラミングはほとんど進展がない状況。あまり時間があくと忘れてしまいそうなので、新たな開発なしでできそうな範囲で、少し創作して(させて)みる。
詰パラ2014年8月号を見ていたら、摩利支天さんが、同人作家入り記念作品展で、角一色図式を出題していた。「メリーローランの島III」 33角73角|53玉|銀3香歩3 で、左右対称の角一色詰。河内勲さんの作品、おくろう記 第3番(32角72角|52玉|銀3歩3)をずらしたような図だが、角で挟んだ配置は玉の動きを適度に制限して、完全作が得やすいような気がする。
どうせなら55玉でできないか。また51玉から59玉まで、どのくらい完全作があるだろうか。
2) 既存作品を調べてみる
まずは例によって、既存作品の調査からスタート。角一色図式(馬は除く)で左右対称な図をデータベースで検索してみる。
角横ばさみ型
- 32角72角|52玉|銀3歩3 27手 河内勲 おくろう記 2003-12
- 33角73角|53玉|銀3香歩3 摩利支天 詰パラ2014-8
- 45角65角|55玉|金金銀歩 21手 大浦淳司 詰パラ1976-3
角縦ばさみ型
- 52角54角|53玉|金銀歩5 35手 竪山道助 近代将棋2006-4
- 54角56角|55玉|金金銀銀香3 35手 竪山道助 詰パラ2006-1
その他
- 55角59角|51玉|金3 19手 橋本守正 詰パラ2005-12
- 54角55角|52玉|金桂歩3 17手 竪山道助 詰パラ1994-8
参考(回転対称)
- 18角92角|55玉|金金銀銀 27手 竪山道助 詰パラ2003-1
角で直接あるいは1間空けて玉をはさむ型が多いが、まだ絶対数が少なく、51玉から59玉まで考えれば、まだ埋もれているのではないかと思われる。そこで、横ばさみ(1間空き、直接)、縦ばさみ(1間空き、直接)の4パターンを玉位置を変えて持駒サーチしてみることにした。
といっても制限なしでは時間がかかりすぎるのと、あまり複雑なのはおもしろくないので、持駒8枚以内4種以内、解図時間2分以内で検索してみた。
3) 角の一間横ばさみ
見つかった完全作候補
カッコ内の数字は、(余詰数、非限定数、手順前後数、迂回数)
- 31角71角|51玉|銀銀桂香 19手 (0、7、0、0)
- 31角71角|51玉|銀銀香歩 19手 (0、7、0、0)
- 32角72角|52玉|銀3歩3 27手 (0、0、0、0) ★河内勲作
- 33角73角|53玉|金金歩 9手 (0、0、0、0)
- 33角73角|53玉|金銀桂歩歩 21手 (0、0、0、0)
- 33角73角|53玉|銀3香歩3 ?手 (0、1、0、0) ★摩利支天作
- 34角74角|54玉|金3 13手 (0、0、0、0)
- 35角75角|55玉|金3 11手 (0、0、0、0)
- 35角75角|55玉|金金銀 11手 (0、0、0、0)
- 35角75角|55玉|金金桂歩 15手 (0、1、0、0)
- 35角75角|55玉|金銀3桂歩 29手 (0、3、0、0)
- 37角77角|57玉|金3桂歩3 23手 (0、0、0、0) ★採用
- 39角79角|59玉|金金銀3香歩歩 15手 (0、0、0、0)
55玉、金銀3桂歩にもちょっとひかれるが、隅の方のさばきは今一つおもしろくない感じがするので、変化も含めて盤面を広く使う 57玉、金3桂歩3 を採用とする。
詰将棋創作プログラミング 作品14 eureka
- 37角77角|57玉|金3桂歩3 23手
角の利きを十分に活かした手順がいい。1ヶ所希望限定(余詰付き変同)あり。
4) 角の直接横ばさみ
見つかった完全作候補
- 41角61角|51玉|なし 1手 (0、0、0、0)
- 42角62角|52玉|飛 3手 (0、0、0、0)
- 42角62角|52玉|金 3手 (0、0、0、0)
- 44角64角|54玉|金金 9手 (0、0、0、0)
- 45角65角|55玉|金金銀歩 21手 (0、0、0、0) ★大浦淳司作
- 45角65角|55玉|金銀3桂3 27手 (0、1、0、0) ★採用
- 46角66角|56玉|金3桂3歩歩 31手 (0、1、0、0)
- 47角67角|57玉|金金銀銀香 11手 (0、3、0、0)
- 48角68角|58玉|金金銀銀桂 15手 (0、0、0、0)
- 48角68角|58玉|金銀3香3 17手 (0、0、0、1)
- 49角69角|59玉|飛金 11手 (0、2、0、0)
- 49角69角|59玉|金3銀3香 13手 (0、0、0、0)
- 49角69角|59玉|金3銀3歩 13手 (0、0、0、0)
ここは、やはり形重視で、もう1作の55玉、金銀3桂3 を採用とする。
詰将棋創作プログラミング 作品15 eureka
- 45角65角|55玉|金銀3桂3 27手
ちょっといい捨て駒があって、そのあと変化が多く詰めにくい。成生非限定と逃げ方の非限定各一つあり。
5) 角の一間縦ばさみ
見つかった完全作候補
- 51角55角|53玉|飛金 15手 (0、2、0、0)
- 51角55角|53玉|金銀桂歩 11手 (0、0、0、0)
- 51角55角|53玉|金銀香 11手 (0、2、0、0)
- 52角56角|54玉|金金銀歩4 17手 (0、0、0、0)
- 52角56角|54玉|金銀3歩歩 21手 (0、0、0、0)
- 53角57角|55玉|金3香 19手 (0、0、0、0) ★採用
- 54角58角|56玉|金3銀桂桂 23手 (0、1、0、0)
- 54角58角|56玉|金金銀3歩歩 21手 (0、0、0、0)
ここも1作だけ見つかった55玉、金3香 を採用。
詰将棋創作プログラミング 作品16 eureka
- 53角57角|55玉|金3香 19手
都玉の割に変化が少なく気軽に詰められるのがよい。香打も限定。
6) 角の直接縦ばさみ
見つかった完全作候補
- 51角53角|52玉|銀桂3香 27手 (0、4、0、0) ★採用
- 52角54角|53玉|金銀歩5 35手 (0、1、0、0) ★竪山道助作
- 55角57角|56玉|飛金金香歩歩 35手 (0、2、0、0)
- 55角57角|56玉|金4銀歩 17手 (0、0、0、0)
- 55角57角|56玉|金3銀銀香 15手 (0、4、0、0)
- 56角58角|57玉|金金銀4 19手 (0、0、0、0) ★採用
- 57角59角|58玉|金3銀桂 15手 (0、0、0、0)
竪山さんの 54角56角|55玉|金金銀銀香3 は、なぜか香打の非限定の一部を余詰として判定されているため検出されなかった。52玉、銀桂3香は手順、57玉、金金銀4は持駒2種ということで採用。
詰将棋創作プログラミング 作品17 eureka
- 51角53角|52玉|銀桂3香 27手
3桂の舞でいつのまにかあの形に。 そして4枚目の桂が出現。
詰将棋創作プログラミング 作品18 eureka
- 56角58角|57玉|金金銀4 19手
持駒も含めて文句なしの美形。収束、変同があるが、角が一番働く順を作意にしたい。
7) そろそろ詰将棋データベースをなんとか・・・
創作プログラミングでは、既存作品の検索がかかせない。検索には、全詰連の詰将棋データベース(TBASE)、柿木将棋の詰将棋データベース(TumeBase)を併用している(同一作のチェックには空気ラボの詰将棋同一検索ページも)。検索機能、性能がそれぞれ異なるので、併用せざるを得ないのだが、TumeBaseにしか登録してない作品もあり、検索での見落としが起こりやすい。また、どちらでも検索できない条件も多い。
そこで、TumeBaseのデータベースファイル(ktk)を元にして、プログラムで検索しやすいデータベースを構成し、いろいろな検索はプログラムからできるようにすることを考えている。上記のデータベースの機能を包含したものを開発するのは大変な話になってしまうが、複雑な条件の検索でも、プログラムの中で書く分にはあまり問題ないので、最初から多機能の検索機能を用意する必要がないのがミソである。
といっても、詰将棋のデータ自体は完全な収集は不可能、検索漏れが起きることは今後も避けられないので、この条件ならこの作品もあるよ、とご存知の方はご教示いただければ幸いです。
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