推理将棋第80回解答(2)
[2014年8月30日最終更新]
推理将棋第80回出題の80-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第80回出題 推理将棋第80回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
80-2 初級 DD++作 将棋ソフトの謎戦術 (B) 9手
80-1と同じ会話
(条件)
- 9手で詰んだ
- 「44角」に「62飛」と応じた(どちらも棋譜上表記)
- 先手は成る手2回で金歩を取った
出題のことば(担当 DD++)
何が対比になっている手順かを考えるのもひとつの道です。
追加ヒント
△44角に▲62飛と応じます。3手目は成で。
推理将棋80-2 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽3二飛 ▲3三角成 ▽4二金
▲3二馬 ▽4四角 ▲6二飛 ▽2二銀
▲4二飛成 まで9手。
条件はたった1文字の違い、駒成で取った駒の片方が銀ではなく金になりました。銀と違って金は角で取るのが容易ではありません。また、歩は打てず金は成れないのでもう1枚、成る手以外で金歩以外の何かを取って打ち、それを2回目の駒成に使うことになります。これをベースに考えてみましょう。
駒取り3回駒打ち1回はいずれも初手ではないので、3手目は駒取り。3手目から取れる駒は3枚あります。「▲76歩△44歩▲同角」は成る手以外で金歩以外の何かを取るという考えから外れるのでダメ。「▲76歩△34歩▲22角不成」の場合、角を奪ってしまったので「44角」は先手にしか指せませんが、ここで5手目に何を指すかを考えると、角を打てば22の生角の利きで「44角打」になり、かといって22からの駒成で金か歩を取るのもうまくいかず失敗。
ということで3手目は「▲33角成」と歩を取ってしまう順です。こうなればあとは「取って」「打って」「成る」でフィニッシュ。「44角」か「62飛」のどちらかは先手が指さなくてはいけないので、「▲22馬~▲44角~▲角成」か「▲32or42馬~▲62飛~▲飛成」のどちらか。前者の場合、44から角が成って詰ませられる位置に金を持ってくるのは困難です。
ということで、後者を考えましょう。飛車を取らせることを考えると、全体は「▲76歩△32or42飛▲33角成△王手回避▲32or42馬△44角▲62飛△何か▲飛成で金取り」となります。2手目△42飛だとすると5手目は▲42馬なので4手目は△62玉しかなく、7手目に飛車が打てません。ということは2手目は△32飛で5手目は▲32馬。
これでだいぶ見えてきました。62から飛車が動いて金を取るとなると▲61飛成を考えたくなりますが、32の馬と互いに連携できません。離し王手も無理となると▲61飛成では詰まないということになります。ということは右金ではなく▲42飛成で左金を取るのが正解。つまり4手目は「△42金」で王手回避しつつ餌を差し出し、8手目は余計な利きを消すため「△22銀」として作意となります。
それではみなさんの短評をどうぞ。
斧間徳子 「DD++さんの自信作となれば、どちらか一方は44角が後手の手だと裏読みしました。 本局は濃密な9手で特に22銀の味がよく、単独の作としても好作ですが、対比が明確な姉妹局として秀逸。」
■44角62飛が先後逆のツインと最初に決めたのですが、よもやこんな美味しい手順が出てくるとは、儲けものでした。
Pontamon 「80-1で邪魔をしていた62飛が今度は主役に!80-1の手筋にしばらく引きずられましたが、出題解説の32-2,3の 原案の発想がヒントになりました。条件の適用が先後対比になっていて、自信作と言われる通り面白い作品ですね。」
■加えて、手数+たった2条件で成立させているので手を出しやすいというのもポイント。
NAO 「62飛が後手と思い込むと迷路に入りますが、騙されません。」
■作者が何を狙っているかを考えると一瞬でバレますね。
小山邦明 「80-1と違ってこちらは難しかった。88角から44角の手順を最初に考えましたがうまくいかず、もしかして44角は後手の手順かと考え直してみたら、最初には予想もしない手順を見つける事ができました。作者の自信作の姉妹局とあって、わずかな違いで手順も大きく変わるすばらしい作品だと思いました。」
■一桁手数ですから手を出す抵抗感もなく、自画自賛ではありますが理想的なツイン作品になったと思っています。
飯山修 「62飛を後手で考えればこの手順も常道。上級が難しい時はこういう問題は助かります。」
■こっちは61飛成の誘惑と22銀があるので銀の方よりは少しひねくれているかも。
チャンプ 「創り手としての感想を一つ。A局の創作で満足するのが至って並な感覚です。しかしそこを敢えて突っ込んでツイン作にしてしまうところが並で収まらない感覚です。最後の最後で創作者としての意地を感じました。」
■最初から目標はツイン、片方しか成立しなければ良手順でも捨てるつもりでした。創作者としての意地というならばその点ですね。
諏訪冬葉 「「2回成る」は結構厳しい条件でした。」
■頑張ると9手で先後合わせて3回成れます。……おや、意外と面白い題材かも。
波多野賢太郎 「こちらはヒントなしでは解けず、ものすごい悩んでしまいました。後手4四角に先手6二飛だったとは…。このツイン作、ものすごくよくできていると思いました。ほとんど似た条件で、これだけ違う手順が登場するとは…。面白かったです。」
■お楽しみいただいたようで何よりです。
隅の老人B 「44角、62飛の2手の手番が先手後手と変わるのが面白い。」
■まさにそれが狙い。別の手の組み合わせで似たようなことができる手はありますかね?
はなさかしろう 「姉とは条件の先後を入れ替えてパンチのある手順の妹。こんな9手があったんですね。あれこれ考えた末に△4四角~2二銀にたどり着き、爽快でした。」
■そして実はこっちが姉でした。意外と忘れがちな形です。
S.Kimura 「44角と62飛が80-1と先後反対であることは想定していましたが,61ではなく,42の金を飛車で取ることに気付かず,悩んでいました.」
■4手目を後回しにしていると金が41にいるままなので、こちらは少し見えにくい。
占魚亭 「単騎詰かと思いました。」
■61飛成単騎詰は82で飛を取ればいけますが、歩が取れませんね。
はらたっと 「ヒントがあるまでは、後手44角先手62飛と思いつきませんでした。先入観って怖いですね。」
■長期間解けない場合は一度先入観を疑った方がいいことが多いです。
正解:13名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん 占魚亭さん チャンプさん NAOさん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん はらたっとさん Pontamonさん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
| 固定リンク
「推理将棋」カテゴリの記事
- 推理将棋第182回出題(2月10日まで)(2025.01.01)
- 推理将棋第180回解答(3)(2024.12.30)
- 推理将棋第180回解答(2)(2024.12.25)
- 推理将棋第180回解答(1)(2024.12.21)
- 推理将棋第181回出題(1月10日まで)(2024.12.13)
コメント