推理将棋第81回解答(2)
[2014年9月30日最終更新] 解説の抜けを追記
推理将棋第81回出題の81-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第81回出題 推理将棋第81回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
81-2 中級 DD++さん作 空蝉の術 9手
(条件)
- 9手で詰んだ
- 初手は歩
- 2手目は4筋
- 5手目は三段目
- 9手目は駒成
出題のことば(担当 NAO)
最終形が見えないと手強いかも。
追加ヒント
5手目は歩しか取れません。玉を4段目に引っ張り出して最後に成るのは角。
推理将棋81-2 解答 担当 NAO
▲7六歩 △4二玉 ▲6六角 △5四歩
▲9三角不成△5三玉 ▲5六歩 △6四玉
▲7五角成 まで9手。
94形式では、9手詰みを「〇手目は・・・」の4条件でシンプルに表現しますが、皆さんに好まれる作品の特徴は、主に次の三つです。
1) 初心者が順に推理できる親切問題
2) 9手とはいえ、やはり考えさせる問題
3) 条件に統一性のあるきれいな問題
前問81-1「端桂戦法」は、初心向け1)が主で3)の特徴を加味した出題でしたが、81-2「空蝉の術」はどうでしょうか?前担当のDD++さんからの出題は、純粋に2)で、命名の通り謎解きの要素が濃い考えさせる問題でした。
(9月30日追記。すみません。私のミスで一段落抜けていました。 TETSU)
「初手は歩」はヒント条件でこの条件が無くても9手詰・3条件として成立しています。3条件「2手目は4筋、5手目は三段目、9手目は駒成」の意味を考えて手順を推理しましょう。
2手目と5手目は漠然としているので9手目の意味から考えます。9手目に成るためには、次のいずれかを目指します。
A)先手の駒(飛角桂歩)を7手目迄に次に成れる位置まで運ぶ
B)後手の駒(飛角銀桂)を5手目迄に取り、7手目に次に成れる位置に打つ
(ただし2手目34歩のときのみ、3手目角取り~5手目角打ちも可)
ところが、
- 「2手目4筋」で3手目に角を取る手はない
- 2手目4筋の後の「5手目三段目」で取れる駒種は歩しかない
ことが容易にわかります。すなわち、ここで上記のB)はなく、方針A)に決定です。ここで「5手目三段目」が可能な駒は当然、角。5手目に角着手となると、他の駒(飛桂歩)では手数が足らず、A)の成駒種も角に絞られます。
ようやく、「9手目は角成。成ったのは初形88に居た角」と確定しました。
次に詰形を推理しましょう。角が成って詰む形とは?
5手目に取れる駒は歩で、7手目に別の駒を取ったとしても打つ暇がありません。とどめの1手の角成を支える駒は当然、盤上の歩です。ほら、6段目の歩の上に角が成る形が浮かんできました。
実は9手詰で9手目5段目歩の上に角が成って詰む形は、中段の64玉形しかありません。角移動は33→22→55のルートと本問の66→93→75のルートです。5手目三段目条件から66→93→75に確定し、残りの手順も決まります。
- 初手は76歩
- 2手目は42玉(以下、後手は54歩→53玉→64玉)
- 5手目は93角不成(3手目は66角)
- 9手目は75角成(7手目は56歩)
それではみなさんの短評をどうぞ。
DD++(作者) 「たぶん前例のない94形式でのミスディレクションに挑戦。3条件で限定するところに初手歩を足して「歩突き→三段目→駒成」で角が後手陣に踏み込むのを誘導してみたつもりですが、どこまで成功するでしょうか。」
■一度騙された後に成る駒が角しかないことに気づきます。が、その後が難しい問題でした。
はなさかしろう 「実質93問題? 2手目と5手目の条件で、強い駒を取って打つ暇がないことがわかり、中段玉に決定。2手目は△4二玉なので...と、論理的に小気味よく解けました。」
■2手目と5手目の条件だけで中段玉が浮かぶのは形に明るい上級者だけです。
斧間徳子 「5手目は角しかないが、ここで歩以外の駒を取れないと分かり、中段玉を角成で詰める本手順に思い当たる。ありれた手順だが、巧妙な条件付けにより一筋縄では解けない作に仕上がっている。」
■歩以外の駒が取れないとわかってからが難問でした。
飯山修 「9手では玉が4段目も行けるんですね」
■後手の着手4手で、玉移動が3手と歩突きの1手が指せますから。
まさ 「玉が上部へ出るとき一旦逆方向に動くのはよくあるパターンですね。ところで「初手は歩」は必要でしょうか?不要な条件なら削除すべきと思います。」
■94問題形式は解答者が容易に推理できるような啓蒙用の出題形式です。3条件で手順が限定できてもあえて4条件目をサービスで付けてます。ただ、初手は歩ではヒントにもなりませんでしたね。
小山邦明 「5手までに後手陣に入れる駒は角しかなく、また今回の条件では駒は歩しか取れないと思うので、最終の駒成は角と予想して解きました。」
■ずばり的確な推理手順でした。
渡辺 「論理的に角成「だけ」で詰めないといけない(他は不詰)ことが導かれてあれ?となるのですが、そこで歩で支えることに思い至れば解けます。それにしてもこんな角の軌道があったとは知りませんでした。」
■角成とわかってからがホントの推理。9手詰の達人にも未知の手順があったとは推理将棋の奥は深い。
Pontamon 「ホームズは「不可能なものを全て除き、残ったものがどんなに突飛でもそれが真実」と言ったものの、さすがに馬単騎は無いだろうと思うこと自体が間違いなのか?(DD++さんが9手の馬単騎を見つけたと聞けばきっと信じるだろうし。)歩以外の駒を5手では取れず、自分の飛や桂との協力には手数が足りないので、馬単騎でないとなると残るは歩との協力しかないが、取った歩を打つ手順がない。自陣の歩との協力だったとは盲点でした。」
■最後に角を成る手を知らないと、驚きの手順。
波多野賢太郎 「今回の3問の問題で一番悩んだ問題でした。馬1枚でどうやって詰ますのか、もしかして2八の飛車の力を借りるのか、とあれこれ考えました。詰み形がたまたま閃いて、解答にたどり着きました。」
■詰み形から考えないと迷宮入りです。閃きの快感味わえましたか?
ミニベロ 「かなり縛りがきつく、有効駒を取っての最終成は不可能。となると馬による中段詰しかない。知っていないと難問。」
■条件付けで選択の幅は狭いです。詰み形が見えるか見えないかが勝負の分かれ目。
S.Kimura 「試行錯誤の末,中段玉しかないと思ったのですが,詰み形が分からなかったので,ちょっとずるをして,ミニベロさんの推理将棋講座を復習してしまいました.この93角は自力で発見することはできなかったでしょう.」
■ミニベロさんの講座には中段玉の類作紹介がありましたね。
諏訪冬葉 「玉を4段目に持ってくるのに気付くまで10日以上かかりました」
■ぎりぎりヒント投入前に解答いただけました。
チャンプ 「中級にしてはやや難しい気もしました。題名のセンスの良さに感心。」
■二度、三度考えさせられる設問でした。空蝉の術とはホント巧いネーミング。
占魚亭 「今回の出題作の中で一番難しかったです。初手を活かすことに気付くまでかなりの時間がかかりました(右辺で詰ますことに拘ったのが原因)。」
■2手目4筋で右へ誘導されますからね。
隅の老人B 「出題時、少し考えたが解けず、ここでの妙手はヒント待ち。ヒントを読んだら5分で解決。」
■ヒント投入前に13名の解答がありましたが、念のため、ヒントはうんと易しめにしました。
はらたっと 「5手目3段目は角生ならここしかない。と決めてようやく詰め上がりが見えました。」
■序盤は玉の動きに入らないように角を使うのがコツです。
たくぼん 「9筋に行くとは遠くなるようでちょっと面白い」
■やはり2手目4筋に引っ張られますね。
テイエムガンバ 「最終形が全く見えず、「玉を4段目に引っ張り出す」というヒントが出なかったら棄権するところでした。」
■中段玉のヒントで解いてもらえてよかった。
正解:18名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん チャンプさん テイエムガンバさん
DD++さん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん はらたっとさん
Pontamonさん まささん ミニベロさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
TETSUさん
解説前半の一文が抜けているようです。
今一度お送りしました解説結果稿をご確認いただけますでしょうか。
NAO
投稿: NAO | 2014.09.29 20:49
すみません。抜けていました。追加しましたので、ご確認ください。
NAOさん、ご覧になった皆さんにお詫びいたします。
投稿: TETSU | 2014.09.30 00:14
TETSUさん、訂正いただきありがとうございます。
もう一つ、これは私の誤記ですが、追加いただいた文中の「空蝉の術」は、81-2でした。申し訳ありませんが修正いただけますでしょうか。
投稿: NAO | 2014.09.30 00:30
NAOさん。81-2に修正しました。
投稿: TETSU | 2014.09.30 00:38