[2014年10月30日最終更新]
推理将棋第82回出題の82-3の解答、第82回出題の当選者(波多野賢太郎さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
82-3 中級 Pontamonさん作 臆病な飛車(B) 12手
甲「12手詰のツイン作品を作ったんだけど、ちょっと見てくれないかな?」
乙「いいよ、どれどれ。手数以外に共通条件が二つだね」
甲「異なっている条件は、A局は『持駒を打つ手はなかった』で、B局は『成る手はなくて、金取りに駒を打つ手があった』だよ」
乙「ツインだと裏読みされそうだけど、それは仕方ないね」
甲「共通条件の一つは“棋譜に‘同飛’が付く着手が不連続で3回”だけど、これがメインの条件なんだ」
乙「飛車以外の駒での‘同’は無いんだし、不連続で3回ってのは判りにくいね。単刀直入に書いた方がいいよ」
甲「じゃ、『棋譜上「同」の着手は「同飛」の付く着手3回だけで、4手目以降4手毎(4、8、12手目)に指された』にするね」
乙「もう一つの共通条件の『飛車を取る機会はなく、飛車取りを掛ける手もなかった』はこの表現でいいと思うけど、この『蝶のように舞い、蜂のように刺す』ってタイトルは何だい?」
甲「後手飛車へ先手の攻撃が届かないイメージが合っていると思うんだけど...」
乙「僕に言わせりゃ、敵の射程外でコソコソしている臆病な飛車だね」
甲「甲乙つけ難いね」
さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 12手で詰んだ
- 棋譜上「同」の着手は「同飛」の付く着手3回だけで、4手目以降4手毎(4、8、12手目)に指された
- 飛車を取る機会はなく、飛車取りを掛ける手もなかった
- 金取りに駒を打つ手があった
- 成る手はなかった
出題のことば(担当 NAO)
詰み形を作るための金取りの手を推理しよう。
追加ヒント
とどめの1手は56同飛。合駒があると詰まないのでご注意を。
修正
『金取りを掛ける』→『金取りに駒を打つ』に修正
推理将棋82-3 解答 担当 NAO
▲7六歩 △3二飛 ▲3三角不成△同 飛
▲5八玉 △3二金 ▲3六歩 △同 飛
▲3三歩 △5九角 ▲5六歩 △同 飛
まで12手。
4手毎同飛3回をテーマとした姉妹局の2局目。A局が78同飛成まで先手玉の左側からの王手で詰み上がりましたが、B局ではどの方向からの王手でしょうか。
4手毎同飛3回の着手で詰む形ですが、四方からの王手が考えられます。前問の解説では最後の飛車位置は玉の右側の39、上方の56、左側の79などと述べましたが、具体的な手順は次の通りです。
1)最終手38同飛
▲76歩 △32飛 ▲33角不成 △同飛 ▲46歩 △14(25)角
▲36歩 △同飛▲58玉 △77角不成 ▲38銀 △同飛不成まで
NNNさんに指摘いただいた手順でした。14角が「金取りに駒を打つ手」であり、本作の条件と合致するようですが、最終手の両王手が先手の飛車取りになっているので本作の条件とはきわどく外れています。
2)最終手39同飛
▲76歩 △32飛 ▲33角不成 △同飛 ▲68金 △69角
▲36歩 △同飛 ▲38銀 △同飛不成 ▲39金 △同飛不成まで
はてるま手筋の応用ですが、これは10手目が「飛車を取る機会がなく」「飛車取りを掛ける手もなかった」の双方とも満たしておりません。また「同飛」が4回です。
3)最終手46同飛
▲76歩 △32飛 ▲33角不成 △同飛 ▲58玉 △14(25)角
▲36歩 △同飛 ▲38歩 △77角不成 ▲46歩 △同飛まで
実は、これが修正前の「金取りを掛ける」での余詰手順です。最終手は開き王手ですが、王手金取り(角の筋で王手、飛車で金取り)にもなってました。
5手目58玉が、次の14角が金取りになるのを妨げているので発見しづらい手順です。ご指摘いただいた渡辺さん、ありがとうございました。
4)最終手49同飛
▲76歩 △32飛 ▲33角不成 △同飛 ▲48金 △58角
▲36歩 △同飛 ▲68金 △39飛不成 ▲49金 △同飛成まで
きわどいですが、成る手なしの条件は外れてます。
5)最終手56同飛
▲76歩 △32飛 ▲33角不成 △同飛 ▲58玉 △59角
▲36歩 △同飛 ▲XXXX △XXXX ▲56歩 △同飛
飛と角のサンドイッチの詰形です。この筋では最後先手に持駒に歩があると57歩合ができますで、予め持駒を打ち切っておく必要があります。
6)最終手59同飛
▲76歩 △32飛 ▲33角不成 △同飛▲58玉 △15(26)角
▲36歩 △同飛 ▲68金 △39飛不成 ▲59金 △同飛不成
波多野さんに指摘いただいた参考手順です。これは10手目△39飛不成が49金の効きに入り11手目に飛車を取ることができるので「飛車を取る機会がなく」を満たしておりません。
7)最終手78同飛
▲76歩 △32飛 ▲33角不成△同飛▲68玉 △35飛
▲75歩 △同飛 ▲59金左△88角成▲78銀 △同飛成
82-2A局です。48角を打った後78同飛成で詰む筋もあります。
この他にも詰形があるかもしれませんが省略します。
さて、本問は、金取りに角を打つ手が4)に示したようにかなり際どく条件を外れています。そこで、無駄手を織り込む余裕のある上記5)を本線に進めることとします。
▲76歩 △32飛 ▲33角不成 △同飛 ▲58玉 △59角 ▲36歩 △同飛
▲XXXX △XXXX ▲56歩 △同飛(手順前後あり)
この手順は4手毎同飛のほか、以下の3条件を満たさないといけません。
・飛車を取る機会はなく、飛車取りを掛ける手もなかった
・金取りに駒を打つ手があった
・成る手はなかった
また、合駒に使えないように予め持歩を打ち切っておく必要があります。
すなわち
〇先手は3筋に歩を打つ(飛の動きをさまたげないよう)
〇金取りに駒を打つ
これらを両立する手順を考えましょう。先手が金取りに歩を打てれば一石二鳥ですね。先手が歩を打てるタイミングは、5手目か9手目ですが、5手目は金取りにならないので、6手目に金を32金に運び、9手目に金取りの▲33歩打が可能となります。手順を再掲します。
▲76歩 △32飛 ▲33角不成 △同飛 ▲58玉 △32金 ▲36歩 △同飛
▲33歩打 △59角 ▲56歩 △同飛まで
上方向からの合効かずの王手が決まりました。
2問を姉妹局として出題しましたが、個々の評価は分かれました。ツインとしては条件/手順ともに対比性が乏しく、結果として二つ並べることでもう一方の評価を下げる印象を与えてしまいました。2問とも単独作品とし立派に成立しているので、1問づつ出題月を分けての出題がよかったかもしれません。
それではみなさんの短評をどうぞ。
Pontamon(作者) 「80-3,82-2までの3局が後手飛5回着手なので、このB局も飛の着手5回で、飛か持ち駒の角で金取りを掛けると予想するとハマってしまいます。4手目同飛なので初手~4手は確定で 実質8手詰。角を持っていて飛との連携なら、この詰み形を予想してサクっと解かれた方が多いと思います」
「(修正時)いつか来る日があると思っていた余詰み作品。作意とは6手目と10手目を入れ替えたバージョンで『金取りを掛ける手は無かったが、金を取る機会はあった』の条件の方が良かったですね。この禅問答みたいな文よりは、短くて簡潔な方にして失敗しました」
■担当の検討も力不足で失礼しました。どちらがよいか迷いましたが金取りの手の表現がシンプルすぎて抜けがありましたね。禅問答みたいな文も面白いですけど、解答者のウケはよくないでしょうから。
はなさかしろう 「6手目に角を打ち、飛車で水平方向から詰ます形が本命でしたが、玉方の手数不足で断念。垂直型にすると玉まわりが1手で済み、9手目の歩の位置と金条件の処理が一度に決まって解後感の良い問題でした。」
■余詰の筋がなければ面白い
DD++ 「なるほど、金取り。歩捨て位置を限定し無駄手も消化しつつミスディレクション、この条件は上手い。欲を言えば飛取りなしだけで33角は生限定なのに成なしがダブっているところをスマートに済ませられれば完璧でした」
■成なし条件のダブリはちょっと気になりますね。
斧間徳子 「既成の詰上りも、『金取りを掛ける手があった』という絶妙の条件付けに感心」
■『金取りに駒を打つ』が必要でした。
孔明 「合い駒が利かないようにする手が難しかったです」
■歩を使うことがすぐ浮かべば上級者。
飯山修 「持駒が使えるなら例の手筋とすぐ思ったが金取りと57歩合に悩まされた。両方解決するのはうれしい」
■例の手筋と金取りの歩打ちなんです。
S.Kimura 「3筋からの単騎詰や両王手を考えていたため苦戦していましたが,玉を角と飛車で挟む形を,突然,思い出し,56歩が見えました。角を打つとばかり思っていた6手目が手待ちだったとは唖然としました」
■ワンテンポずらすのがポイントです。
ミニベロ 「こちらはすぐに見えたが、手順限定・待ち手・歩の消費を兼ねた条件が旨い。センスのいい作者だけに、次はもう少しエレガントな条件で作って欲しい」
■できれば成る手なしのダブり1条件を減らしたかった。
渡辺 「最初に76歩、32飛、33角生、同飛、68玉、58角、36歩、同飛、59金左、69角生、66歩、同飛という手順を思いつき、先手が3筋に歩を打つ暇がないなぁ、となっていたのですが、角で金取りするのを諦めて素直に59角と打つことにすれば先手も後手も1手余ってくるので金取りを作れる訳ですね」
■66同飛の筋、面白そうですね。歩の消費と77の塞ぎをどうしましょうか。
諏訪冬葉 「条件は満たしているはずだけど何か不安な回答です。金取りは角打ちでかけるものだと思っていました」
■角打ちの金取りはきわどい筋です。
小山邦明 「合駒をなくすための33歩打が絶妙手でした」
■限定の一打が決まりました。
隅の老人B 「『金取りに駒を打つ手がありました』、先手or後手、どちらかな?」
■後手と思わせて先手でした。
波多野賢太郎 「 この手順は締切前ヒントを見てやっと閃きました。「金取りを掛ける手」がずっと先手の金に対してだと思い込んでいたのが原因で、最初に思いついたのは、(5手目より)5八玉、2六角(1五角)、3六歩、同飛、6八金、3九飛不成、5九金、同飛不成まで、でした。一応条件は満たしてるのかなとは思いつつ、角打ちが非限定だし、『敵の射程外でこそこそしてる飛車』には合ってない気がして悩みました。もしかしてこれが余詰ってことでしょうか?」
■12手目同飛で玉の下から詰ます筋もありましたね。ご指摘の手順はきわどい筋ですが、39飛不成の直後が「飛を取る機会」にあたりますので条件外れており、余詰ではありません。
はらたっと 「ツインのどちらかは『はてるま筋』と決め打ちしたのが大ハマリ。ヒントで救われました」
■はてるま筋も有力ですが、39銀を取る筋は金取りの一手が入りません。もう一つの筋は初形79銀が邪魔で手数が足らないんです。
NNN 「この問題については、飛を取る機会がなかったという条件ならこういうのもありではないでしょうか?最終手の飛車当たりは次の手がないので、取る機会はないといえるのでは? 5手目から4六歩 1四角(2五角)3六歩 同飛 5八玉 7七角不成 3八銀 同飛不成」
■締め切り日にこの指摘をいただいてまだ余詰が残っているのかとたいへん焦りました。確かに38同飛不成は最終手の両王手なので「飛を取る機会」はないのですが、「(先手の)飛車取りを掛ける手」でもあるので条件を満たしておらず、余詰ではありません。
たくぼん 「32金が絶妙のタイミングです。でも余詰が分からないのがちょっと悔しい」
■ちょっとわからない筋(最終手46同飛が王手金取り)でした。
占魚亭 「ギリギリまで考えましたが、条件に合う手順を見つけられず。無念」
■無解でも感想いただけるとありがたいです。
チャンプ 「詰み上がりの形が先手なら9手、後手なら10手で可能なだけに完全な無駄手を加えてまで形にする必要性は無かったと思います」
■ダブり条件が増えた分、ちょっと損しました。
正解:18名 双方解:渡辺さん
飯山修さん S.Kimuraさん NNNさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん
孔明さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん たくぼんさん
チャンプさん DD++さん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん
はらたっとさん Pontamonさん ミニベロさん 渡辺さん
総評
Pontamon 「最近、短手数の作品を作っていますが、相変わらず条件文はヘタクソなのに82-3では背伸びして短い文の方を採用した結果の余詰み作品。
そのヘタクソな条件文の書き方を逆手に取った作品を作って投稿したのですが、今回の余詰みがあったので果たして採用されるかどうか...」
■Pontamonさんの投稿作にはセンスを感じるモノも多くあります。なかなか検討が追いついてません。
はなさかしろう 「中級に誤答のご指摘をいただき、飛び上がりました。大急ぎで回答し直したのですが… なるほど、解手順は中級も上級も成生が自然限定されているのですね。上級の成なし条件は△角打ち~△5七角成~△3九同飛不成の筋を消すためでしょうか。条件付けは好みの分かれるところで、個人的にはもう少し軽くて素っ気ない方が好きなので、あれこれ考えてみました。・・・二解は普段は狙っても作れない憧れの的なのですが…」
■はなさかさんの参考作品がこちら。
- 12手で詰んだ(手順が二通り)
- 4、8、12手目は飛車による同の手
- 飛車を取る機会はなく、飛車取りを掛ける手もなかった
- 銀の腹(隣接する真横の地点)への着手があった
(担当も未検討で解答募集もしませんが気になる方は挑戦ください)
DD++ 「82-3は12手の合い効かずでミスディレクション入りなので合わせ技上級でよかった気がします。とはいうものの難度振り分けって難しいんですよね」
■4手毎同飛がわかっているので中級としましたが、大駒絡みで12手だと手も広いですね。余詰検討も難しく、上級とすべきでした。
孔明 「はじめまして(のはず)、孔明です。十年ほど前におもちゃ箱をPCから見てたような気がします(今は携帯からだけですが…)推理将棋が解けたのでメールします」
■今後ともよろしくお願いします。
飯山修 「詰パラの推理将棋が難しいので解けたものは早めに送ってそちらに集中します」
■詰工房で話題にしていた詰パラ10月号の3問目。難問ですね。
加賀孝志 「推理解答送らせていただきます。ヒントを読みながらの回答です」
■加賀さん解答ありがとうございます。これからはメールでお願いしますね。
ミニベロ 「今回作のことではないが、余詰順に条件をつけて『ツイン』というのは安易。優れた作品ならば、独立して存在してもいい」
■二作並べたことで各々互いの評価を下げたコメントもありました。担当の責任ですが、今回は2作品ともそれぞれ単独で作品とした方がよかった。
渡辺 「後半2問の頭4手が決定していたので、今回はとっつきやすかったです」
■12手とはいえ、実質8手ですから。
隅の老人B 「13日、台風来る。家に閉じ込められて推理将棋を考える。
14日の早朝、嵐の去った秋空を眺めながらの解答書き。
さて、この後は何をしようかな、B爺さんは今日も暇」
■大型台風のダブルパンチ。担当は雨漏りと戦いました。
波多野賢太郎 「今回は82-3で相当頭を使い、それが楽しかったです。私はやっぱり直感派だなぁと思います。直感だけでは解ける問題にも限界があると思うので、少しずつ理詰めでも考えられるようにしたいと思います」
■すぱっと解けると気分爽快。
はらたっと 「今月は会議中に・ヒラメキ・会社の決算書に棋譜を落書きしました」
■会議中にアイデアが閃くのは・・・当然です。
NNN 「はじめまして。いつも楽しみに解いている者です。解答を送るのは初めてです」
■今後ともよろしくお願いします。
たくぼん 「時間が余り無いのでヒントに助けられてます。本当はヒントなしでいかないといけませんね」
■ヒント待ちは必勝定跡です。
枡彰介 「NAOさんの担当になってから初めて解答します。1問でも解けたら送りたいと思いますので、よろしくお願いします」
■1問でもゼロ問でもOKです。解けなかったときは感想だけでもお寄せください。
占魚亭 「今月も締め切り後の送信になってしまいました。すみません」
■受信は21日の0:08。20日の24:08ですのでギリギリセーフとしておきましょう。
チャンプ 「そろそろ羊の時期が迫ってきましたね。また何か捻り出して取り組むことにします(笑)」
■年賀詰の季節になりました。面白い作品を期待してます。
推理将棋第82回出題全解答者: 21名
飯山修さん S.Kimuraさん NNNさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん
健太さん 孔明さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん たくぼんさん チャンプさん DD++さん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん はらたっとさん Pontamonさん 枡彰介さん
ミニベロさん 渡辺さん
当選: 波多野賢太郎さん
おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト
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