« 詰将棋メモ(2014年10月16日) | トップページ | 詰将棋メモ(2014年10月17日) »

詰将棋美術館メモ 4 軌跡曲詰

[2016年6月19日最終更新] 辺長2の菱形にアート84梶下雄貴さんの作品を追加

詰将棋美術館メモ 4 軌跡曲詰

Nenga201316 曲詰とは、初形や詰上りの盤面(場合により途中局面も)で、文字、形、模様、対称形などを表現したものだ。しかし、もう一つ、別のタイプの曲詰として、玉など、ある駒の軌跡で何かを表現する作品がある。

例えば、右の図。2013年、巳年の年賀詰としてbrutus710さんが創作したものだ。狙いは龍の軌跡で75→15→11→91→99→79と動き、「巳」の字を表現している。

このタイプの曲詰を軌跡曲詰と呼ぶことにする。軌跡曲詰は最近でてきたものかというと、案外古くから作られている。「周辺巡り」がその代表例だ。ただ、普通の曲詰に比べるとずっと少ない。それは、静的な局面で表現する通常の曲詰と比べて、駒の軌跡はビジュアルに見ることができず、頭の中で想像しなければならないからだ。いわれなければ曲詰と気付かないことも多い。

代表的な棋譜ビューワが玉(あるいは指定した駒)の軌跡を盤面でプロット(マスの色を変えるとか)する機能をサポートすれば、次第に字や形が描かれていくようすがビジュアルに見られて、普通の曲詰よりもむしろ楽しめるかもしれない。そうなれば軌跡曲詰を創作する人もふえてくるだろう。

軌跡曲詰ではこれまでどのような形が描かれてきたのだろうか。こんな形もきれいそうという候補も含めて並べてみよう。

1) 四角形

Kiseki01

9×9四角形

いわゆる「周辺巡り」である。ただ、完全な四角形ではなく、はみだしたり単に周辺を回るものも周辺巡りと呼んだりするので、「完全周辺巡り」と呼んだ方が良いかもしれない。完全周辺巡りはたくさん作られていて、無停止で一周する65手の完全周辺巡りだけでもこれだけある。

  • 森茂 詰パラ1963年6月 59玉 65手
  • 塩野入清一「芝桜」 詰パラ1976年1月 69玉 65手
  • 七條兼三 詰パラ1978年8月 16玉 65手
  • 橋本樹 詰パラ1979年4月 91玉 65手
  • 滝島代士夫 詰パラ1979年5月修正図 96玉 65手
  • 護堂浩之 詰パラ1980年4月 11玉 65手
  • 大西宏明 詰パラ1980年10月 99玉 65手 (アート No.72
  • 駒場和男「外房9号」 詰棋めいと第24号1988年6月 71玉 65手
    (改良図?:近代将棋1990年7月)

7×7四角形

周辺巡り以外の四角形はずっと少なくなる。7×7は2作しか見つからなかった。

  • 駒場和男「内房1号」 詰パラ1980年1月 85玉 49手 (アート No.73
  • 岡本正貴「たまき」 詰パラ1990年12月 27玉→28玉 47手

5×5四角形

  • 梅田亮 詰パラ1997年3月 33玉 33手
  • 駒場和男「山手線」 詰棋めいと第24号1998年6月 57玉 33手 (アート No.74

3×3四角形

2) 菱型(ダイヤモンド)

Kiseki02

辺長5の菱型

  • OT生「ホームラン作戦」 詰パラ1970年2月 59玉 33手
  • 桑原幹男 詰パラ1980年9月 51玉 33手 (アート No.76

辺長4の菱型

  • 「水車」>TETSU アート展No.33 52玉 25手
    *玉は菱型、龍は八角形のダブル軌跡曲詰
  • 岡本正貴 詰パラ1984年6月 85角 7手
    *角(馬)による軌跡曲詰 85角→58角→25角→52角成→85馬

辺長3の菱型

本作はもともと軌跡曲詰として作られたものではないので、還元玉でないなど軌跡曲詰としては中途半端なところがある。軌跡曲詰はできるだけノンストップ還元玉で表現したい。

辺長2の菱型

  • 梶下雄貴 詰パラ2015年7月 36角 7手
    *角による軌跡曲詰 36角→27角→38角→47角→36角

3) 周辺巡りのバリエーション

Kiseki03

周辺巡りの変形1

  • 墨江酔人「妹」 近代将棋1982年12月 15玉 57手 (余詰)

周辺巡りの変形2

  • 墨江酔人「姉」 近代将棋1982年12月 92玉 57手 (余詰)

2作ペアで発表されたもの。残念ながら2作とも余詰。これを見て思いついた形が八角形と三角形。まだ作例はないようだ。

*三角形は2015年10月にアート展示室で発表された(下記)。

三角形

4) 直線巡り

Kiseki04

横一線(5段)

u-makuさんには、5段6段にまたがる太い横一線の作品もある(くるくる展示室 No.161)。私は、詰方の玉が17から97に移動する作品(「おもちゃ箱」No.49)を作ったことがあるが、これも横一線の軌跡曲詰といえよう。

縦一線(5筋)

見つからず。惜しい作品(最後41にはみ出す)として、菅野哲郎さんの作品(くるくる展示室 No.267)をあげる。

対角線

19から91の対角線で1作見つかった。

まだ少ないので、91から19の対角線で1作作ってみた。スーパー詰将棋にもなっている。

惜しい作品として、頭の2手を省けば11から99まで一直線の二級天使さんの作品をあげておく。

  • 二級天使 詰パラ1974年3月 12玉 19手

横一線+縦一線

中央の十字でできればすばらしいが、楽なのは端の組み合わせか。しかし、端だと何か中途半端な感じで、ここまで作ったら周辺巡りにしてしまいそうだ。

5) その他

文字や石垣(自陣全格巡りとか)などいろいろできそうだが、あまり記憶にない。きれいな作品があったら詰将棋美術館で紹介したいのでコメント、メール(omochabako@nifty.com TETSU)などで教えてください。

石垣

  • 永安克志「終演」 アート展No.34 25玉→87玉 7×3石垣 41手
    *玉は7×3石垣、と金は5×4石垣のダブル軌跡曲詰
  • 金少桂 記録展No.96 24玉→25玉 8×3石垣 47手

|

« 詰将棋メモ(2014年10月16日) | トップページ | 詰将棋メモ(2014年10月17日) »

詰将棋美術館」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22735/60487470

この記事へのトラックバック一覧です: 詰将棋美術館メモ 4 軌跡曲詰:

« 詰将棋メモ(2014年10月16日) | トップページ | 詰将棋メモ(2014年10月17日) »