推理将棋第82回解答(2)
[2014年10月28日最終更新]
推理将棋第82回出題の82-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第82回出題 推理将棋第82回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
82-2 中級 Pontamonさん作 臆病な飛車(A) 12手
甲「12手詰のツイン作品を作ったんだけど、ちょっと見てくれないかな?」
乙「いいよ、どれどれ。手数以外に共通条件が二つだね」甲「異なっている条件は、A局は『持駒を打つ手はなかった』で、B局は『成る手はなくて、金取りに駒を打つ手があった』だよ」
乙「ツインだと裏読みされそうだけど、それは仕方ないね」甲「共通条件の一つは“棋譜に‘同飛’が付く着手が不連続で3回”だけど、これがメインの条件なんだ」
乙「飛車以外の駒での‘同’は無いんだし、不連続で3回ってのは判りにくいね。単刀直入に書いた方がいいよ」甲「じゃ、『棋譜上「同」の着手は「同飛」の付く着手3回だけで、4手目以降4手毎(4、8、12手目)に指された』にするね」
乙「もう一つの共通条件の『飛車を取る機会はなく、飛車取りを掛ける手もなかった』はこの表現でいいと思うけど、この『蝶のように舞い、蜂のように刺す』ってタイトルは何だい?」甲「後手飛車へ先手の攻撃が届かないイメージが合っていると思うんだけど...」
乙「僕に言わせりゃ、敵の射程外でコソコソしている臆病な飛車だね」甲「甲乙つけ難いね」
さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 12手で詰んだ
- 棋譜上「同」の着手は「同飛」の付く着手3回だけで、4手目以降4手毎(4、8、12手目)に指された
- 飛車を取る機会はなく、飛車取りを掛ける手もなかった
- 持駒を打つ手はなかった
出題のことば(担当 NAO)
盤上の駒だけで詰む形を推理しよう。
追加ヒント
とどめの1手は78同飛成。最後に銀を取って詰みます。
推理将棋82-2 解答 担当 NAO
▲7六歩 △3二飛 ▲3三角不成△同 飛
▲6八玉 △3五飛 ▲7五歩 △同 飛
▲5九金左 △8八角成 ▲7八銀 △同飛成
まで12手。
4手毎同飛3回をテーマとした姉妹局の作品です。
△32飛から▲33角から4手目同飛は後手の飛車が活躍する最短ルートでお馴染みの手順ですが、4手毎に同飛となると間に多様な手を織り込むことが可能です。8手目同飛を挟んで12手目同飛と進み詰む形も多様で、最後の飛車位置は玉の右側の39、上方の56、左側の79などが浮かびますが、本局はどうでしょうか。
「飛車を取る機会はなく、飛車取りを掛ける手もなかった」「持駒を打つ手はなかった」これらの条件が厳しく、詰み筋がぐっと絞られます。
持駒を使えないとなると、12手目の同飛で、飛車か龍の単騎詰が考えられます。4手目同飛の導入からはてるま手筋が有力ですが、最後39同飛とするため39銀をどかす手ともう一度39に呼ぶ手が必要になります。持駒が打てれば10手目に角を打って詰む筋もありますが、本作では駒を打てず詰みません。また、7筋側で最後79同飛とする筋は、初形79をどかした上先手の79着手が必要になり、玉の退路塞ぎの手数が足りません。
単騎の詰みが難しいそうなので盤上の駒を活用しましょう。使えそうなのは足の長い角だけですね。そして角の効きが届くのは77か88。飛車を左辺に使う手順を考えましょう。後手から歩の効きに入る6手目36飛とは指せませんので、後手飛が8手目左辺に移動するには、75歩同飛のルートしかありません。また、後手角を動かすことができるのは10手目。角は75飛の効きを塞がぬよう88に成ります。
整理すると
▲76歩 △32飛 ▲33角不成 △同飛 ▲XXXX △35飛
▲75歩 △同飛 ▲XXXX △88角成 ▲XXXX △同飛(成)まで
先手の5,9,11手目が未定ですが、どうするか。
- 88銀、XXXX、79金。最後同飛成の"はてるま手筋"があります。88銀も角で取れますが、残り1手で玉の退路(58,48)を防ぐことができません。
- 68玉、XXXX、78XX。68玉に78飛成とすれば詰形ができますね。玉の退路(59)は69が寄る59金左がぴったり。
よって5手目以降▲68玉 △35飛 ▲75歩 △同飛 ▲59金左 △88角成 ▲78銀 △同飛成まで。
それではみなさんの短評をどうぞ。
Pontamon(作者) 「気付かれた方も居ると思いますが、このA局は80-3の条件と同じく、飛車の1~5マス移動一度ずつなんです。もし、飛車の着手5回の私の作品が採用されたら、1~5マス移動がヒントになるかも。(と先入観を植え付けておいて裏をかく。笑)」
■なるほど、飛の動きは、82→32(5マス)→33(1マス)→35(2マス)→75(4マス)→78(3マス)移動ですね。気がつきませんでした。飛5回移動の新作できましたら投稿をよろしく。
はなさかしろう 「条件が頭に馴染むまで時間がかかりましたが、駒打ちなしとなれば5手目を除く8手目まではこれが本線。その後はいろいろありそうに見えて、意外なほど収束しました」
「(再解答時)はずかしながら再提出します。いやー参りました。3手目が成生非限定かと思い、一旦解答してしまいましたが、なるほど、成ると飛車取りをかけてしまうんですね。恥ずかしい... やられた感で一杯です」
■3手目で躓きましたか。飛車取りを掛けない手で不成限定とは意表を突かれましたね。
DD++ 「飛取りなしが33角生だけじゃなく最終手39同飛生も決めていてかっこいい!という作品かと思ったら大ハズレでした。もう片方との対比性もいまいち見えませんし、厳しいようですがこちらは82-3の価値を下げただけなのではという気も」
■"甲乙つけがたい"姉妹局のつもりでしたが、好みで評価が分かれました。A局の方が条件が少ないんですけど、DD++さんのお好みはすぱっとした切れのあるフィニッシュですね。
斧間徳子 「35飛~75同飛は第一感だが、最終手は77同飛成か79同飛成と思ったのが外れ。88角成~78同飛成は推理将棋らしくない手順で、浮かびにくかった」
■いかにも俗手で、推理将棋慣れしている上級者にはかえって読みづらい手順でした。
孔明 「ヒントでようやくわかりました」
■最終78は、思考の外にあるときが多いんです。
飯山修 「飛の条件が先手でも適用されるなら先手の飛は使えないので左側でやるしかないんですね」
■先手の飛車に取りがかかる筋がある、きわどい手順もありました。
S.Kimura 「8手目で75の歩を取らせれば良いことに気付いたのですが,12手目で玉を詰ます形にするのに手こずりました」
■5,9,11手と先手が3手も指せるのに意外と見えにくいんです。
ミニベロ 「両王手、あるいは37・77が相当な紛れ順で、どうしても1手足りない。実質2問とも8手なのにそこそこ難問」
■作意は、最終手が意外性のある俗手でした。
渡辺 「同の付く手は[4の倍数]手目の同飛のみというのは使えそうな条件ですね。手順前後を自然に防いでいるのが良いと思います。これで長編が作れないかなぁ。22角成、同飛だとその後飛が活躍できないので最初の4手は決っているのもとっつきやすい」
■渡辺さんの長編作品をぜひ拝見したいですね。
諏訪冬葉 「最初4手は確定。6手目を確定させるためには8手目は横移動しかないと思って7筋からの進入にいたりました」
■ずばり読みが的中しました。
小山邦明 「7筋から飛が飛び込むのが好手順でした」
■7筋とわかってからも悩みますが。
隅の老人B 「4手目まではこれしかない。さて、後の8手を考えましょう」
■3方向どちらから攻めましょうか。
波多野賢太郎 「難しそうに思いましたが、4手目まではほぼ絶対なんですね。しかし、その後は両王手や合駒なしなど難しく考え過ぎて苦戦しました」
■いえいえ、両王手や合駒なしから読み始めることができれば、上級者ですよ。
はらたっと 「33角生が非限定と思ったら、飛を取ろうとする手でダメだった!」
■そのとおり。意外なところに落とし穴がありました。
たくぼん 「成と生が自然に限定されているように感じられるのが美しい」
■条件文に成と不成が入ってないのがポイントの一つ。
占魚亭 「実は最初、単騎詰だと思っていました(79同飛成まで)」
■79同飛成と指すためには、初形の79銀が邪魔でわずかに手が足らないですね。
チャンプ 「良く作り込まれてはいるものの、これは単体の方が良かった。私見ではツインにしたことで逆に評価が下がった印象があります」
■どちらも単独で完成品なので、個別出題がよかったか。チャンプさんには、少ない条件でまとまったA局に高評価をいただきました。
正解:19名
飯山修さん S.Kimuraさん NNNさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん
孔明さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
たくぼんさん チャンプさん DD++さん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん はらたっとさん Pontamonさん ミニベロさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
| 固定リンク
「推理将棋」カテゴリの記事
- 推理将棋第183回出題(3月10日まで)(2025.02.13)
- 推理将棋第181回解答(3)(2025.01.28)
- 推理将棋第181回解答(2)(2025.01.26)
- 推理将棋第181回解答(1)(2025.01.22)
- 推理将棋第182回出題(2月10日まで)(2025.01.01)
コメント