« 詰将棋メモ(2014年12月27日) | トップページ | 詰将棋メモ(2014年12月28日) »

推理将棋第84回解答(2)

[2014年12月28日最終更新]
推理将棋第84回出題の84-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第84回出題  推理将棋第84回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


84-2 中級 ミニベロさん作     条件の多い9手詰  9手

「新しい推理将棋作ったんだけど、見てくれない?」
「どれどれ、条件はどんなの?」
「5筋の手が4連続であって、4筋の手が連続であったの」
「なるほど、それだけね」
「いや、まだあるの。2筋の手があって、『左』の手もあったんだ」
「何それ? 条件多すぎ! よほどの大作なんだろうね」
「ところが9手詰作品なんだ」
「だめだめそんなの。誰も解いてくれないよ、センスないね」
「そう言わないで、やってみてよ」

というわけで、解いてやってくださいな。

(条件)

  • 9手で詰んだ
  • 5筋の手が4連続であった
  • 4筋の手が連続であった
  • 2筋の手があった
  • 「左」の手があった

※連続とは、先手・後手の断りがない限り、全手順を通じてです。


出題のことば(担当 NAO)

 詰みに必要な手だけでなく詰みに不要な手も見極めて詰形を推理しよう。

追加ヒント

 とどめの一手は53銀打ち。7手詰の応用手順ですが、悩ましい条件は無駄手のため。


推理将棋84-2 解答 Suiri842

▲7六歩    △四歩    ▲3三角不成△二銀   
角不成  △二玉    ▲八金  △四歩   
三銀    まで9手。

条件
・5筋の手が4連続(6手目以降 52玉 58金左 54歩 53銀)
・4筋の手が連続(4手目以降 42銀 同角不成)
・2筋の手(2手目24歩)
・「左」の手(7手目58金左)

短手数の基本手順※に、先後1手ずつ詰みと関係ない手を加えたちょっと意地悪な作品。茫洋とした4条件で掴み所を誤ると思わぬ難問になります。

  • 条件を整理します。
    1. 5筋の手4連続。先後とも5筋を2回続けての着手。玉筋なので詰形を作る手順の候補を考えると後手番の2手は「△52玉~△51金左」「△52玉~△54歩」「△52玉+α」が有力。先手番では、9手目「▲53銀打」が有力。他に「▲53xx成」等。
    2. 4筋の手2連続。先後各1手ずつの着手。5筋を止めの手順に使うための駒入手が可能。「△42xx▲同角」が有力。
    3. 2筋の手。先手番で角活用を考えると(76歩34歩~)▲22角、(76歩~33角成)▲23馬等。単独手なら詰みとは無関係の▲26歩か△24歩。
    4. 「左」の手。5筋の手に含めるが、「52金左」または「51金左」が有力。
    5. 5筋の手4連続、4筋の手2連続、2筋の手。以上で合計7手になり、その他の筋は2手。うち1手は先手角を活用するため「76歩」が必須。5筋の手で詰むとすると想定される手順は「▲76歩、△X、▲Y、4筋2連続、5筋4連続」
    • 9手詰ならここまで整理すると正解が見えてきそうなものですが、思わしい手順が浮かびません。たとえば「▲76歩 △xxxx ▲33角不成 △42銀 ▲同角不成 △52玉 ▲xxxx △51金左 ▲53銀」とすると7手目54銀打でよさそうですが、△51金左としたために41に逃げ道ができてしまうのです。また、「▲76歩 △34歩 ▲22角・・・」から始めると次の先手番で4筋に迫る思わしい手段がありません。
    • 迷路に入ったようですが、実は上記の条件整理で抜けがありました。「左」の手の候補手で、先手番の着手「58金左」です。そして先ほどの想定手順の後手番の左の手=8手目△51金左を、53に空間を空ける手=△54歩に変更すると、

      「▲76歩 △xxxx ▲33角不成 △42銀 ▲同角不成 △52玉 ▲xxxx △54歩 ▲53銀」

      この手順に"2手目に△24歩"、"7手目に▲58金左"と詰みと全く関係ない2手を加えて、解にたどり着きます。すなわち、7手詰手順※に無駄手を2手加えた手順です。無駄手のために条件を増やしていること、各条件付けには誘い手が含まれていること、先後各々に無駄手があること等の理由で9手詰といえども解図には裏読みに近い推理力が必要でした。

    ※7手詰手順:▲76歩 △52玉 ▲33角不成 △42銀 ▲同角不成 △54歩 ▲53銀まで

    それではみなさんの短評をどうぞ。

    ミニベロ(作者) 「先手後手両方に詰と関係ない手があるので、待ち手とは違う言わば"迷彩条件"の実験作」

    ■簡素な条件で謎解きさせる従来の作風とは正反対の出題におやっと思われた方も多いはず。

    斧間徳子 「手がかりがなく解きにくい問題。7手詰に無駄手2手を加えた作品だが、作者が気にしているように9手詰にしては条件が多く、この作者にしては今一つの感がします」

    ■やはりミニベロさんは期待度が高い。シンプルな条件でちょっと考えさせるいつもの作風離れて、戸惑いました。

    孔明 「2筋の手が▲2二角、左の手が▽5一金左を想定に入れていてなかなか解けません。しかも正解手順にたどり着いていたのに最終3手を▲5四銀~▲5三銀だと思い込んでいて泥沼でした」

    ■落とし穴の誘い手が二つもある意地悪な"迷彩"問題でした。

    小山邦明 「"左の手"が先手の金でないと5筋の連続4手が難しかったのでそれをベースに他の手順を考えました」

    ■先手の58金左と決め打ちすれば早い。

    Pontamon 「7手詰み手順にプラス2した着手の条件が、どちらもミスディレクションを誘う設定にやられました。見ていなかった出題ヒント(?)を見たら解けました。」

    ■解く前には出題のことばを見てくださいね。

    DD++ 「いつものミニベロさんの作風とかなり違ったので手間取りました。2手目と7手目は確かに『sense=意義』がない。」

    ■今回の創作方法は新しい試みではありますが、熟練と言うよりは老獪といえるでしょう。

    S.Kimura 「最後に,"右"の手ではダメな理由がようやく分かりました」

    ■担当の検討では、右の手でも同じでした。「5筋4連続+4筋2連続+2筋の手」の条件を満たす9手詰は全部で5通りしかなく、左の手なら58金左、右の手なら58金右に限定されるはずです。他に手段があれば教えてください。

    占魚亭 「2筋の手を保留して考えると簡単ですね。」

    ■7手詰基本手順ベースなら簡単です。それに気がつくかどうか。

    飯山修 「7手問題で53銀打は角の入り口が33、44、97の3種だが44と97は54歩の早突きが不可欠なので結局33に落ち着く」

    ■5筋の手はフィニッシュに残さないといけません。

    波多野賢太郎 「大苦戦で、ヒントなしでは解けませんでした。無駄手が2手あるとは思わず、"左"の手が5一金左だと思いこんでしまいました。2筋は詰みに関係なさそうだと思い、2四歩は気がついたんですが…」

    ■ダブルの誘い手があり、両方の罠を見破らないと難問になります。

    渡辺 「7手詰に2筋と左を足す。足した左を使って5筋を4連続にしているため、元の7手が気付きにくくなっている、という仕組」

    ■無駄手の条件と基本の詰手順を組み合わせた高等テクニックでした。

    加賀孝志 「金左はユーモア、鍵は24歩の時期ですね」

    ■2筋の手は他の条件が決まってから最後に決めればよいのです。

    はなさかしろう 「覚えやすいので風呂で布団で会議室で考えましたが大苦戦。△24歩はもしやと思っていましたが、▲58金左が閃いた瞬間、やられた、と。条件が多いこと自体が罠なのですね」

    ■そのとおり、わざわざ無駄手のために条件を増やしているんです。

    隅の老人B 「『指すのをパスしたい』、そんな場面が2度ありました、ですね」

    ■パスの代わりに、詰みと関係ない無駄手を指す。

    諏訪冬葉 「条件が多くて手をつける気がしなかったのですが、ヒントをみて2連続4筋の手と4連続5筋の手が浮かんで解決しました」

    ■7手詰手順を隠す条件付け故、手順が浮かびにくかった。

    鈴木康夫 「やはりプログラムで解かせました」

    ■解図時間はどれくらいでしょうか?

    たくぼん 「無駄手がこんなに脚光を浴びる作品は初めて見た(笑)」

    ■いい意味でも悪い意味でも脚光を浴びました。


    正解:17名

      飯山修さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  加賀孝志さん  孔明さん
      小山邦明さん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  占魚亭さん
      たくぼんさん  DD++さん  波多野賢太郎さん  はなさかしろうさん
      Pontamonさん  ミニベロさん  渡辺さん

    (当選者は全題の解答発表後に発表)

    |

    « 詰将棋メモ(2014年12月27日) | トップページ | 詰将棋メモ(2014年12月28日) »

    推理将棋」カテゴリの記事

    コメント

    条件の多さは作品の狙いで、シンプルに作ることももちろん可能です。
    「条件が多い=ヒントが多い」ではなく、ミッションが多い、
    9手でこれほど明示されているにもかかわらず解きにくい、という実験作です。
    短編の可能性を広げるという意味でも、94問題の変形ともいえます。

    投稿: ミニベロ | 2014.12.28 16:00

    私のプログラムの解答に要した局面395274355 所要時間707秒でした。
    この情報をメモしておかなかったため、メール書きの途中であわてて再度プログラムを走らせましたが
    修了する前に解答締切が来てしまい、棋譜のみで解答メールを出しました。

    投稿: 鈴木康夫 | 2014.12.29 08:22

    プログラムに解かせましたが「左」でも唯一解になります。

    投稿: 鈴木康夫 | 2014.12.30 06:57

    「左」じゃない。「右」でも唯一解です。

    投稿: 鈴木康夫 | 2014.12.30 07:06

    コメントを書く



    (ウェブ上には掲載しません)




    トラックバック


    この記事へのトラックバック一覧です: 推理将棋第84回解答(2):

    « 詰将棋メモ(2014年12月27日) | トップページ | 詰将棋メモ(2014年12月28日) »