[2015年2月27日最終更新]
推理将棋第86回出題の86-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第86回出題 推理将棋第86回解答(1) (2) (3) (4)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
86-2 中級 斧間徳子さん作 平成27年の指し初めの一局 13手
「昨日の指し初めの一局、わずか13手で27にいる相手玉を詰ませて勝ったよ。
平成27年の指し初めで27玉を詰めるなんて正月から縁起がいいや」
「そうだねえ。で、どんな将棋だったの」
「ええと、2筋の手が6回あったな。あと、飛車を引く手と不成の手もあったよ」
さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 13手で27にいる後手玉が詰んだ。
- 2筋の手が6回あった。
- 飛車を引く手があった。
- 不成の手があった。
出題のことば(担当 NAO)
27地点まで後手玉が進む手順を推理しよう。
追加ヒント
後手は玉の着手のみ。42,33,24,25,26,27と進みます。先手はそれをアシストします。
推理将棋86-2 解答 担当 NAO
![Suiri862 Suiri862](http://toybox.tea-nifty.com/photos/uncategorized/2015/02/27/suiri862.gif)
▲7六歩 △4二玉 ▲3三角不成△同 玉
▲7八飛 △2四玉 ▲7七飛 △2五玉
▲2六歩 △同 玉 ▲7八飛 △2七玉
▲2八飛 まで13手。
指し初めは年賀詰のお題"27"にちなんだ一局。27まで玉が進んで詰まされますが、後手番の着手は6回だけ。後手はひたすら玉を動かすしかありません。一見やさしそうですが、『飛車を引く手』の実現が難しく、ちょっとした謎解き問題です。
条件を整理して手順を推理していきましょう。
1) 13手で27にいる後手玉が詰んだ。
- 後手番の6回着手で7段目まで玉移動するので、初手から4手目迄「▲76歩 △42玉 ▲33角 △同玉」が必然。続いて後手は6手目以降 *4玉~ *5玉~ *6玉~27玉と進めるだけ。また、後手玉が27に進入できるよう、先手は"36歩か26歩と突く手"と"28の飛を移動する手"を指す。
- 最終27玉形を詰ます形は? 26への退路を塞ぐ手が限られるが、27と26を同時に効かす形(最終手)は37金か28飛を想定。
2) 飛車を引く手があった。
- どこで飛車を引くかが最大の謎。先手番の7回着手のうち序の76歩~33角を除けば残りの着手は5回だけ。しかも、先述の"36歩か26歩と突く手"と"28の飛を移動する手"も含む。
- 飛車を引くには飛の下に空間が必要。しかし、28飛の尻桂を動かすか、28飛を横移動した後その下の9段目の駒をどかすか、いずれも手数がかかって失敗。
- 先手の着手5回だけなら26歩~27飛~28飛~X8飛(横へ移動)~28飛と進められるが、後手玉の6段目進出が不可。「▲76歩 △42玉 ▲33角 △同玉 ▲26歩 △34玉 ▲27飛 △35玉 ▲28飛」と進めたとき10手目に36玉も26玉も指せない。
- 最後の手段は、初手76歩でできた空間77の利用。先手は、78飛~77飛~78飛~28飛と7筋で飛車を引く手を実現し最終手で飛車が28に帰還する。飛車移動に4手かけたので、残りの1手は26歩に確定。
3) 2筋の手が6回あった
- 先手の着手は、序:76歩~33角、飛移動:78飛~77飛~78飛~28飛、26歩突き。これらの手順で2筋が2回。残り4回の後手着手が確定:6手目以降 24玉~25玉~26玉~27玉。
- 先手26歩のタイミングは、後手が25玉~26玉と進められるよう8手目25玉の直後に確定。
- 5手目以降「▲78飛 △24玉 ▲77飛 △25玉 ▲26歩 △同玉 ▲78飛 △27玉 ▲28飛まで」
4) 不成の手があった
飛車をどこで引くか?2筋着手6回の条件が2筋で引く手順が連想されるので、2筋で引く手順を一度は読まされた後、改めて7筋で屈伸できることに気づかされます。初手の歩突きが角道を空けるだけでなく、飛車を屈伸するための空間づくりに使われたのは新手筋でしょう。浮く手順を伏せて「飛車を引く」と表現した条件付けが実に巧みな作品でした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
斧間徳子(作者) 「無意味に飛車を往き来させる手順をバカバカしいと思って頂けたら満足です」
■バカバカしい手順のために、はっと膝を打つ発見がありました。
DD++ 「76歩を突いたことをこんな形で再利用するのは目から鱗」
■上下運動するための空間に利用するのは新手筋でした。
Pontamon 「2筋の着手数と不成・飛車引き条件が、飛車の2筋不成から飛車成りで引いてくる手順を読ませる狡猾な条件設定。正解手順は、詰将棋での強過ぎる攻め駒を捨てる、攻めゴマ消去の手筋を思い浮かばせる手順でした」
■一旦姿を消す飛車。飛車引きの謎解きが作者の狙い。
孔明 「玉の詰む場所が確定してるので解きやすかったです。後手は玉が2七に行くためにどのルートを通っても6手かかるので通路を開ける手が指せず4手目まではすぐに確定。あとは▲2六歩のタイミングと飛車を引く手を指す筋ですがこれもすぐに確定しました」
■実は理詰めで解けば、それほど難しくないんですね。
波多野賢太郎 「この問題は序の4手、後手の手がかなり限定されるので考えやすかったです。ただ、飛車を引く手という条件は悩んでしまいました。飛車の運動だったんですね」
■76歩を活かして77~78の屈伸運動というのが斬新です。
はなさかしろう 「7筋に回っての飛車の屈伸運動が面白かった。後手玉が来るのを先手が待つという流れがわかりやすく解きやすいですが、2筋で屈伸すると手が合わなくなるんですね」
■遅いようで早い横往復と縦屈伸。
飯山修 「引く手にすぐ気が付くかどうかですね」
■引くためには一歩前進すればよいんです。
小山邦明 「飛引の出来る候補場所を考えたら7筋があった。」
■横移動してから浮く手順。柔らかく発想しましょう。
干シ 「初解答です。27の玉が詰むのはこれしかないが、飛車引きに苦戦。7筋は目からウロコ」
■初解答ありがとうございます。DD++さんと同じコメントとは強豪とお見受けしました。
S.Kimura 「飛車を引くために,77の空きを利用することに気付いたときは感動しました」
■感動級の7筋の屈伸運動。
占魚亭 「『飛車を引く手』に悩みました。初手を活かす着想で、素晴らしいと思います」
■引くために寄って浮く手順はなかなか気づかない。
枡彰介 「推理将棋でも良くお目にかかる初手7六歩は角道を開けて役目終了のことが多いですが、飛車の引き場所を作るという再利用のされ方は初めて見ました」
■角道を開けてお役目終わりと思わせておいて、実は伏線を兼ねる初手76歩。
諏訪冬葉 「初形+△27玉の形が詰んでいるので飛車を別の筋に回すのは分かったけど、まさか77の隙間を使うとは思いませんでした」
■飛尻の駒をどかすより浮く手が早かった。引いた後の飛車が8段目にあることが重要です。
隅の老人B 「王が27に到達するのには、最短で6手。さて、その道順は?」
■最も早いアプローチは、42~33はお決まりの道筋。24~27までは一気に。
渡辺 「『飛を引く手』という条件が巧い」
■浮く手と横移動往復の手を見せないところが巧みです。
鈴木康夫 「プログラムに解かせました。局面7326670 所要時間2秒。後手玉が寄り道する暇が無い所為か短時間で解けました」
■お墨付きいただきました。この手数で2秒とは驚きです。
たくぼん 「飛を引く手にこれだけ苦労するとは・・・。駒を移動しないルートがあったとは参りました」
■9段目の駒を動かして引く手を読まされました。
正解:18名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 干シさん 孔明さん
小山邦明さん 鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん たくぼんさん つぼみさん DD++さん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん Pontamonさん 枡彰介さん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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