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推理将棋第86回解答(1)

[2015年2月25日最終更新]
推理将棋第86回出題の86-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第86回出題  推理将棋第86回解答(1)  (2)  (3)  (4)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第86回解説  担当 NAO

年賀詰は、新年のお題(11か15か27)に触れた易問をすっきりと解いていただくのが理想です。後編は元旦出題の4題。86-2と86-3は手数の割には易しめでしたが、86-1と86-4は年賀詰としては難しかったようです。


86-1 中級  NAO作        15の勝負手   11手

「指し初めの一局はどうだった?4手目の44歩まで見ていたけど」
「一段目に駒を成った後、次の手で勝負手を放って一発で仕留めたよ」
「へえ、新年早々からめでたいね。勝負手ってどんな手なんだい?」
「11手目15の手が会心の一手。それが初王手で詰んだよ」

さて、どんな将棋だったのだろうか?
そして2015年、貴方の勝負手は?

(条件)

  • 11手目15への着手が初王手で詰んだ
  • 4手目は44歩
  • 9手目は一段目に成る手

出題のことば(担当 NAO)

 初王手の前に1段目に成る形を推理しよう。

追加ヒント

 9手目に桂を成って、11手目の止めは角打。


推理将棋86-1 解答 Suiri861

▲7六歩    △3四歩    ▲2二角成  △4四歩
▲2一馬    △4二玉    ▲4三桂    △2四歩
5一桂成  △2五歩    ▲1五角 まで11手

元旦出題の1問目は担当から年賀のご挨拶。15の離し角で詰む9手詰手順をアレンジしたものですが、この筋を見たことのない方には難しい問題となりました。

最終手が15着手と決まっているので、まずは止めの駒と最終玉位置を推理しましょう。ただし、1)後手の手数は4手目44歩のため残り4手であること、2)先手は9手目1段目に成る手を指せるように攻め駒を残す必要があること、この2点でかなり絞り込めます。

  • 最終手15金の筋は?
    ぱっと思いつくのが14玉を15金で詰める筋ですが、4手め44歩が入ると残り4手で14迄の玉移動が困難です。また、玉が移動するだけなら24までいけますが24玉の詰形は見当たりません。
  • 最終手15角の筋は?
    15の離し角なら角筋に入ればよいので、33,42,51のいずれか。特に42が詰めやすい形になります。なぜなら、42玉の周囲の43,53,41,31の4カ所が自駒で、33,51が角筋でそれぞれ塞がっているので、残りの退路32と52の2カ所だけ封鎖すればよいからです。ただ、本問ではわざわざ43に空間を空けているのでこれも封鎖する必要があります。やっかいなのは合駒の余地。24歩と33桂は潰しておかねばなりません。
    離し角の筋を整理してみましょう。
    1) 15角で詰めやすいのは42玉。退路の32, 43, 52の3地点を塞ぐ。
    2) 15角に対する応手に、33桂も24歩も指せないようにする。

    次に9手目に成る駒を推理します。第一感では9手目に成る駒は角。しかしながら、▲76歩 △34歩 ▲22角不成 △44歩・・・のように成を保留して進めると失敗します。33桂を防ぎながら43地点を塞ぐうまい手順が見当たりません。
    また、3手目に取った角を打って成ろうとすると最後の15角が打てません。また、3手目角成とした馬を23,14,15と引くのは手数オーバーになります。
    したがって「▲76歩 △34歩 ▲22角成 △44歩」の後、先手は5手目駒取り、7手目駒打ち、9手目一段目成りと進めます。
    5手目は▲21馬。32,43の退路塞ぎと33桂の合駒防ぎでぴったりです。
    7手目~9手目は▲43桂打~▲51桂成。一段目の成りで52の退路を塞ぎます。

    あと24歩合いの余地をなくし、42玉のタイミングを決めればよい。最終手が初王手のため7手目▲43桂打が王手にならないよう6手目は△42玉。
    5手目以降「▲21馬 △42玉 ▲43桂 △24歩 ▲51桂成 △25歩 ▲15角 まで」
  • 42玉を15の離し角で詰む9手詰手順では、本問と同様に馬で桂を取って52地点を塞ぎます。本来44桂か64桂の一手ですみます。44歩が43桂打の場所を見せてわかりやすいかと思いましたが、一段目桂成りが盲点に入りやすかったようです。
  • 離し角(馬)の筋は既往の傑作にも使われました。初見の方はご鑑賞いただければ幸いです。
    おもちゃ箱 19-2 渡辺秀行氏作 4段目の駒打ち 9手
    おもちゃ箱 46-3 はなさかしろう氏作 馬術競技 10手

それではみなさんの短評をどうぞ。

DD++ 「条件から3手目は22でも33でも当然不成と思い込み、唯一瞬殺できず。新年早々一本取られました」

■それでも流石、元旦の一番解答に間に合いました。

斧間徳子 「44(64)桂と打つ9手詰を、51桂成に変えて11手にした作品。この詰め型を知らない人には手ごわい年始あいさつだったと思います」

■空間を開ける44歩がヒント条件のつもりでしたが、確かに桂成は見えづらいですね。

Pontamon 「空き王手を匂わせる初王手条件の書き方と、邪魔な条件の4手目44歩で1~2筋の玉を15の駒で打つ取るには手数が足りず。44歩は桂の打ち場所を空ける協力手で、2筋の連続歩突きで合い駒効かずとは意表を衝かれました」

■2筋の連続突きは、のんびりしているようで初めは考えませんね。

孔明 「ずっと角成で考えていて解けませんでした。桂馬でも一段目に成れる(三段目に打てる)ことを見落としてました。玉の詰む場所も3三か2四で考えていて手数以内に詰ますことがなかなかできません。ヒントを貰って解けた後、なんでこの形が見えなかったのか不思議に思いました」

■9手目でなければ角成の手順もありました。

波多野賢太郎 「手数的に考えると1五角の離し角だとは思ったんですが、2三歩がいちゃ無理だろうと悩みました。こんなにうまくできた詰上がりがあるんですね」

■遅いようでも24~25歩で、離し角成功。

はなさかしろう 「15角で42玉を射止める形ですね。本問はさらに44歩、後手玉の佇まいが着流し姿のようで粋な詰め上がりでした」

■風通しがよすぎて冬には寒いか。夏向きでしたか。

飯山修 「イヤーこの問題にえらく時間をとられました。全く筋がうかばないので最後の手段で過去問を調べ、ようやく19-2の応用とアタリをつけたまではよかったが、9手目1段目成の詰み方がみえずに試行錯誤。1手で済むものを2手かけてるものなんてすぐ捨てますよ。44歩なんてムダ手と思っているのがいけなかった。『44歩の理由を考えよう』だったらもう少し早く辿り着いたかも。直前ヒント前に解けてよかった」

■追加ヒント前の解答は流石。44歩条件自体がヒントのつもりでした。

小山邦明 「44歩突きでうまく駒打ちの場所を作り、収束形も鮮やか」

■最終形は無駄がなく、スッキリ決まりました。

S.Kimura 「今回の一番の難問で,最終手に飛車や桂馬を打つことも考えたりしました。9手目と11手目を両立させる手が分からず、ヒントを見たのはこの問題だけでした」

■年賀詰めとしては手数の割に難しい問題でした。

占魚亭 「最初、一段目に成るのは角だと思っていたので苦戦しました。44歩の理由を考えれば、あまり悩まなかったのに」

■白状します。原案では一段目に成る手に"9手目"限定がなかったので、角が一段目に成る余詰筋があったんです。11手詰なので第85回に出題するつもりだっんですが、出題直前に余詰に気がつき、今回修正出題しました。

枡彰介 「4手目4四歩が4三地点に桂を打つ布石だったとは、ヒントから詰め上がりが見えるまで思いつきませんでした」

■やはり一段目に桂が成るのは読みづらい。

諏訪冬葉 「王手なしで玉を4段目まで持ってくるのは無理そうなので玉は42。43-32のラインに角を置いておけばあとは△23歩の始末だけ」

■始末に2手掛けても間に合いました。

隅の老人B 「11手目が初王手、これで6手目が決まります。解けて成る程、いつもの科白」

■玉移動のタイミングのため、条件数を増やさずに、"初"王手と表現しました。

渡辺 「第一感は16歩から桂を跳ねて41金を取って15に打つが44歩条件に阻まれる」

■44歩条件がなくても難しそう。16歩~17桂~25桂の後、33への利きで玉が33に上がれませんね。

鈴木康夫 「プログラムに解かせました。局面1024999881 所要時間7786秒」

■いつもありがとうございます。お墨付きいただきます。

たくぼん 「ヒントがなければ苦戦しただろう。成る駒が桂は読みにくい」

■44歩が43桂打の呼び水となると思いましたが、桂成は見えづらいんですね。


正解:16名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  孔明さん  小山邦明さん
  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん
  DD++さん  波多野賢太郎さん  はなさかしろうさん  Pontamonさん
  枡彰介さん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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