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推理将棋第86回解答(4)

[2015年3月4日最終更新]
推理将棋第86回出題の86-4の解答、第86回出題の当選者(渡辺さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第86回出題  推理将棋第86回解答(1)  (2)  (3)  (4)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


86-4 上級  DD++さん作    謎多き年賀メール     15手

年が明けて数日が過ぎた頃、1通のメールが届いた。
送信者は不明。
本文は次のような3行のみであった。

  15は27未
  15の玉あり、そして金あり
  どうして友に比較さる

今年の西暦と和暦と干支、'15年のお年玉額をなぜか友人に比べられた話。
いかにも年始らしい内容だがどうにも文章表現に違和感がある。
何より、誰が何のためにこんな文章を送ってきたのかさっぱりわからなかった。

長考すること数時間。
ふとした記憶からこのメールの真意が少しずつ見えてきた。
このメールはおそらく将棋のある対局の内容を示している。

「15は27未」
この「未」は本当は「飛辻」すなわち十字に利く飛車のことだろう。
15手目は27飛と着手したわけだ。

「15の玉あり、そして金あり」
玉はお年玉ではなく玉将、15地点の玉将の手があったということのようだ。
後半も同じようにお金ではなく金将の手があった意だろう。
場所もタイミングもこれだけではわからないが。

「どうして友に比較さる」
これは解読に時間を要したが、同時に送り主特定の大きな手がかりでもあった。
裏の意味として漢字を変換し直すと「同四手共に飛角去る」。
つまり同の手は4手とも飛か角が取られたということだ。
そんな将棋はそうそうあるものではない。

そう、これはお年玉を貰った額を自慢し合いつつ友人と指した今年の指し初めだ。
この27飛もずいぶん印象的な詰みだったから間違いない。
このメールはその時に負けた友人が腹いせとしてイタズラしたということなのだろう。

しかし、返信しようとして指が止まった。
正月気分でふざけて指した将棋だったため、正確な手順をほとんど覚えていないのだ。
これでは迂闊な返事を書けないではないか。

もしこの時の対局の全手順がわかる人がいたら、再現してもらえないだろうか?

(条件)

  • 15手目27飛で詰んだ
  • 15玉という手があった
  • 金の手があった
  • 同の手は4手とも飛か角が取られた

出題のことば(担当 NAO)

 ミステリ調の本格推理将棋登場。大駒が取られる同の手を推理しよう。

追加ヒント

 同の手で飛角を取るのは先後共に2回づつ。88地点で飛角の取り合いがあります。


推理将棋86-4 解答  担当 NAO Suiri864

▲7六歩    ▽4二玉    ▲3三不成▽同 玉
▲2六歩    ▽2四玉    ▲8八    ▽同角不成
同 銀    ▽3八    ▲同 金    ▽1五玉
▲2四角    ▽2六玉    ▲2七飛 まで15手

条件
・15手目27飛
・15玉という手(12手目15玉)
・金の手(11手目38同金)
・同の手は4手とも飛か角が取られた
(4手目33同玉/角取り、8手目88同角不成/飛取り、
9手目88同銀/角取り、11手目38同金/飛取り)

「15は27未。15の玉あり、そして金あり。どうして友に比較さる」謎に満ちた年賀メールが届きました。推理小説を彷彿とさせる舞台設定は、文才溢れるDD++さんの十八番。しっかりとした作意手順とほどよい難解さが本格ミステリーの骨格を支えています。

早速謎解きしましょう。

  • 全15手で必要な手順は、
    1)15手目の▲27飛、27飛のための▲26歩(先手2手)
    2)15玉のための玉移動△42玉、△33玉、△24玉、△15玉。▲27飛で詰むためのあと一手必要で△26玉。(後手5手)
    3)金の手(いずれか1手)
    4)"同の手"で取らせるための飛角の手(双方で4手)と"同の手"(双方で4手)
    ここまでの手数を合わせるだけで15手を越えてしまい、更に角道を開ける手が必要ですので、1手で2条件を兼用する工夫が必要です。
  • 後手玉移動に手数を要するので、86-2と同様、序は先手がアシストします。
    初手から「▲76歩 △42玉 ▲33角不成 △同玉」ここまで"同の手"が1回。
  • 残りの"同の手"は3回あり、その直前は大駒着手が必要。ここで、後手番の厳しい着手制限に気づきます。
     後で後手玉を詰ますために先手が大駒を入手しなければいけないので、後手番は"同の手"直前の大駒着手を2手、"同の手"を1手指したい。ところが、玉移動に5手掛けるため残りは2手しかない。これが本問最大のミステリー。
  • 後手番があと1回"同の手"を指すには?
    結局、"同の手"直前の大駒着手と"同の手"を兼用すればよい。△同大駒▲同大駒と連続して着手するには、後手の"同の手"直前に先手飛を後手角の効きに移動する手を指す。すなわち「▲88飛△同角不成▲同銀」後手は飛を入手し、先手は88同銀で角を入手。
  • 残された条件を整理しましょう。
     先手"同の手"残り1回。
     15手目は▲27飛。飛車入手が必要。
     金の手あり。
    これらの条件から一連の手順「△38飛▲同金~▲27飛」が浮かびあがりました。
  • これまでの手順を組み合わせると、「▲76歩 △42玉 ▲33角不成 △同玉~(A)~△24玉~(B)~▲88飛 △同角不成 ▲同銀~(C)~△38飛 ▲同金~(D)~▲27飛」
     あと一息です。この手順中、A~Dにピースを嵌めれば解決します。
    A: 5手目▲26歩。B, C:なし。D: 12手目より△15玉 ▲24角 △26玉。13手目は26玉の退路封鎖。これが王手になるので唯一のタイミング。
  • 大駒の受け渡しが"同の手"でなくともよければ、手順前後できますが、"同の手"と後手玉の着手制約があって全手順が確定しました。

飛車を88で渡した後38で取り返す手順は盲点に入りやすく、何名かの解答強豪からも白旗が揚がる難しい問題でした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

DD++(作者) 「他作品と並べてみるとやはりこの問題文の長さはさすがにナシだったような気も。にしても、解図の中心となる4つめの条件が最後に付けた条件だというのは、どうしてそれで成立したのか自分で見ても不思議」

■おもちゃ箱は紙面も制約ないので本作のような本格ミステリーも歓迎します。"同の手"条件は二番目に付けそうな条件で、88地点での交換は意外性たっぷりです。

斧間徳子 「手順も会話文も力作」

■作者の文才が羨ましい。

Pontamon 「解けてし まうと『やはりこの形だったか』と気が抜けましたが、同3回での15手、同4回だと17手がすぐに見えていたので、手順の何処かを工夫しなければとあれこれ一週間。理屈では連続同の着手が必要なのは判っていても、正解までが大変でした。まさかとは思ったけど先手玉で15玉条件クリアを試してみたりして充分にハマリまくりました。先手25歩と突かずに玉で26の歩を取らせることで手数短縮なのですね」

■先手の15玉まで探索されるとは。お疲れ様でした。

孔明 「△3四歩から△1五玉として2筋に戻ると同の手が一手しか指せないので▲3三角不成とこじ開けるのはすぐにわかりました。ただ最終手のための飛車は8二の飛車だと思ってしまって手が足りなくて困りました。後手に渡した飛車があることに気付いてからはすぐに手順が判明しました」

■88で取られたら38で取り返す。

波多野賢太郎 「これは新年からすごい力作ですね。メールの文面など、よく考えつくものだなと思いました。詰み形は予想通りでしたが、いかにタイミングよく飛角を取っていくかが難しかったです」

■並べてみると唸らされます。手順前後の効かない唯一のタイミング。

はなさかしろう 「詰め上がりは第一感でしたが手順の構築でうっかり勘違いしてはまりました。『どうして友に比較さる』条件はシンプルながら慣れるまでもぞもぞしているのが楽しい問題でした」

■早めに飛車を渡さないと手が足らなくなりますね。

飯山修 「2番の作と似ているので解きやすかった。金の手も後手で作られたらお手上げでした」

■流石に後手の金は余裕がありません。

小山邦明 「『飛角が取られる』という条件で角が不成に限定される事に気付きました(成ると馬が取られる事になり条件を満たさない)。85-4の時と同様に角と馬が同じ駒のように感じてしまうのは要注意と思いました。玉が26まで来て、この詰み上がりはかっこいいし、条件文にあるように、こんな 飛角の取られ方の将棋は確かにないですね」

■88飛はあまり見ない手。普通に見える88同銀は推理将棋では滅多に無い手。

S.Kimura 「最初は先手の角を4回取り合うことを考えていましたが、88で飛車角交換できることに気付いて解決しました」

■飛車を渡してから飛角を取り返すのが本局のツボ。

諏訪冬葉 「▲27飛で詰みなので△26玉▲24角 の形と決め打ち。後手は玉移動5手+取られる大駒の手2手。先手の金は多分飛車を支える▲38金。でこうなりました」

■この形が決め打ちできると、解図が早い、早い。

たくぼん 「問題文の練り方が本格的ですね。まさに本格ミステリー。相手の駒になると龍も飛になるので、飛取られた~といつも言ってる私は成生非限定に?とちょっと悩んだのでした」

■角生を成に替えたらという疑問です。原則"取られる"直前の駒種で表現しますので角成の後の同の手は馬を取るということ。

鈴木康夫 「プログラムを10日走らせても終了せず、更に10日位かかりそうです」

■その後、収束しましたでしょうか?

占魚亭 「詰み形の予想はつくのですが……。ギブアップの可能性が高いです」

枡彰介 「解けませんでした。これぞ推理将棋と言うに相応しいミステリー風に良く練られた文章がとても気に入りました。詰めパラでは紙面の都合でお目にかかることは無いストーリーを楽しめました」

隅の老人B 「残念、さすが上級は難しい、B爺の手には負えない、ハイ、ギブアップ」

渡辺 「降参です」

■強豪の皆様からも白旗があがりました。本格推理が楽しめる難解なミステリー作品でした。


正解:11名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  孔明さん  小山邦明さん
  諏訪冬葉さん  たくぼんさん  DD++さん  波多野賢太郎さん
  はなさかしろうさん  Pontamonさん


総評

DD++ 「NAOさん作が一目で解けなかった時には焦りましたが、なんとか元日解答。11手で15金までがなかったのは少し意外でした。条件次第で面白くなりそうな素材ですが、バッティングを恐れて皆さん避けたのでしょうか。」

■元日解答おめでとうございます。15金までの11手詰は、年賀詰向けの易しい問題ができそうでしたね。

斧間徳子 「年賀推理将棋8題、類似作がなくバラエティに富んで面白かったです。
私のベストワンは、85-4(はなさかさん作)です」

小山邦明 「前回85-4の解答を見てどっきり。そうか53角を成れば良いのか!角の着手回数という思い込みがあって残念でしたが、大変面白い作品でした」

■はなさかさん作85-4は角着手回数ではなく、角出没回数合わせのため成る手が1回だけある珍しい問題でした。

Pontamon 「86-1が一番難しそうだったけど、最終的には86-4が一番時間が掛かりました。年賀推理将棋なので応募作全てが掲載されたのにも関わらず、86回は易しいものから難しいものまでうまくバランスが取れていたように思いました」

波多野賢太郎 「新年特集パート2、全体的にはパート1よりやさしめに感じました。3番のような問題は評価が分かれるかもしれませんが、新年用の初級編として十分ありだと思います」

■86回は易しい方から3,2,1,4の順番でバランスが取れました。長い手数で易しい手順の年賀推理将棋は、作るのが難しいのですが良問が集まりました。

はなさかしろう 「年賀条件にひつじを織り込むのは無理か…と思っていたら、シープに始まり、飛辻で締めましたね。来年は16と28でさる!?年々ハードルが上がっていくような(笑)」

■今年も難しい設定でしたが、好作が集まりました。来年向けはホント難しそう。早めの準備を・・・

干シ 「初めてですが、2題解けたので上々かと。いつかは作品の投稿もしてみたいです」

つぼみ 「初めての解答です。解けたのは2題でした」

■初解答ありがとうございます。全題解けなくとも構いません。1題解答も歓迎いたします。

枡彰介 「今年はなるべく毎月解答したいので、簡単な問題を一問は出題していただくよう宜しくお願いします」

■9手以下を1問は出題していきたいと思います。

隅の老人B 「2月は3題しか解けません。B爺さんの実力からすれば、3題も解けました、ですね。梅花は咲いたが、櫻の蕾は未だ固い。はやく暖かくならないかなぁ、です」

■春一番が吹き、花粉も飛んできました。クシュン

渡辺 「13手や15手を易しく作ることが出来るのは素晴しいことです」

たくぼん 「皆さん年賀推理将棋上手く創るものと感心しています。今年もよろしくお願いします」

■やや長目の手数の推理将棋を作る技術もこなれてきました。


推理将棋第86回出題全解答者: 18名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  干シさん  孔明さん
  小山邦明さん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん
  占魚亭さん  たくぼんさん  つぼみさん  DD++さん  波多野賢太郎さん
  はなさかしろうさん  Pontamonさん  枡彰介さん  渡辺さん

当選: 渡辺さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。

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