推理将棋第87回解答(3)
[2015年3月30日最終更新]
推理将棋第87回出題の87-3の解答、第87回出題の当選者(占魚亭さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第87回出題 推理将棋第87回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
87-3 上級 チャンプさん&DD++さん作 美野樫9兄妹の一局(その3) 10手
健一「みんな調子いいみたいだな」
健一「じゃあ次のメンバーは俺が決めるぜ?」健一「俺・源三・四郎・六実・七海でどうだ?」
一同「了解ー」
圭五「ちぇー!今度はベンチ入りかよー」
九美「健にぃが言うなら仕方ないねぇー」
八重「・・・」源三「今度はわしらが後手やな」
・・・対局開始・・・
隆二「早速終わったみたいだぜ」
源三「10手で勝ったでー」
四郎「またみんな一手ずつ指して勝てたね」
六実「そうそう、不成が2回もあったわ~」
七海「・・・察するに3手目の玉の手が緩手かと」
健一「これで予選突破!やっぱ俺たち無敵!」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 後手は1、3、4、6、7の筋に一手ずつ着手した(順不同)
- 不成が2回あった
- 3手目は玉の着手
出題のことば(担当 NAO)
詰みに有効な1筋の着手を推理しよう。
追加ヒント
不成のうち1回は先手が香を取る手。
推理将棋87-3 解答 担当 NAO
▲6八飛 △3四歩 ▲4八玉 △7七角不成
▲4六歩 △6八角成 ▲1一角不成△1六飛
▲3八香 △4六飛 まで 10手。
条件
・後手は1、3、4、6、7の筋に一手ずつ着手(34歩、77角不成、68角成、16飛、46飛)
・不成が2回(4手目77角不成、7手目99角不成)
・3手目は玉(48玉)
- 美野樫兄妹シリーズの3問目は長男の健一が初登場。後手番が1筋と3、4、6,7筋に1手ずつ着手する10手詰です。中央の3~7筋は玉攻めに有効ですが、健一(1筋)の役割はなにか?見極めるのが最大のポイント。後手の着手筋を軸に推理していきましょう。
- 短手数で先手が詰まされるので、後手角の活用が必須。2手目は34歩と角道を開ける一手。残りは1,4,6,7筋だが4手目以降、どう指すか?
- 角の活用ルートの候補は、77~68, 77~66, 66~77(残りが1、4筋)、44~66, 66~44, 66~48(残りが1,7筋)、44~17(残りが6,7筋)など。
- ここで詰みに役立ちそうな1筋の着手を考えると、まず14角の筋違い角で仕留める手順が浮かびます。しかし『先手の46歩+36玉、後手が44馬+14角』の詰形は筋着手の制限でギリギリ達成できません。
- もし、6筋着手の代わりに8筋着手ができるなら例えば「46歩 34歩 48玉 77角不成 47玉 88角不成 36玉 44角成 XXX 14角」のように1手余して詰む。
- 端角が駄目なら端飛車はどうか。10手目の端飛車で詰む形は不可能なので8手目の1筋飛車着手から詰み形を目指します。
- 後手角で先手飛車を奪うルートは77~68, 66~48, 44~17が可能。飛を取った角も詰みに役立てるよう、中央に角を残す66~48か77~68かルートが有力。
- 不成2回と3手目玉の条件から角のルートを決定する。66~48のルート「48飛 34歩 68玉 66角 56歩 48角不成・・・」は残り1筋と7筋の手では詰み形が築けない。一方、77~68ルート「68飛 34歩 XX玉 77角不成 XXX 68角不成・・・」と進めるのが本線で詰みに近づく。残りは1筋と4筋の着手。
- 8手目1筋は16飛か18飛に絞り込む。更に10手目4筋着手で詰むのは16飛~46飛+48玉型が唯一の形。「68飛 34歩 48玉 77角不成 XXX 68角不成 XXX 16飛 XXX 46飛」先手の協力手のうち一つは46歩。残りの2手で48玉の退路を塞ぐ。玉の右隣を飛で塞ぐのはよくある形だが飛車は後手に取らせたので、後手の香を取って38に打つ。5手目以降「46歩 68角不成 11角成 16飛 38香 46飛」ところがこの手順では58に玉の退路があり失敗。そこで68と11の角成/不成を入れ替えて解決。5手目以降「46歩 68角成 11角不成 16飛 38香 46飛まで」
- 先手の協力手11角不成が不成回数制限の中、68角成と38香を可能にする妙手となりました。
- 後手番の美野樫兄妹の役割をまとめます。
3筋(源三)は2手目34歩と角道を開ける
7筋(七海)は77角生と角が飛び込む
6筋(六実)は68に角が成って飛車を取る。
1筋(健一)は16に飛を打つ。
4筋(四郎)は46飛で詰ます。
初登場した長男健一の役目は、フィニッシュの準備、1筋の飛車打ちでした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
チャンプ(作者) 「難易度レベル7。余詰め発見の名医、DD++ドクターの想像力が生み出した良作です。△16飛もそうですが、初手の▲68飛が意外と見えにくいと感じます」
DD++(作者) 「私が担当していた頃に投稿があったのですが、紆余曲折を経て最終的になぜか私と合作になった作品。1筋の手を18飛と決めるか16飛と決めるか14角とするか、外すと地獄」
■幾度もの修正を繰り返した難産だっただけに、傑作でした。
たくぼん 「昔、似たようなのを創った記憶があるので何とか解けました。いつ頃だったかな?」
はなさかしろう 「詰め上がりが初見だと苦戦しそうでしたが、初見でなければ…後手の条件をボヤンと眺めていると△1六飛~△4六飛が見えて来る…というか、詰め上がりからすぐに『オーメンⅢ?』というタイトルまで思い出すくらい、19-3は推理将棋の初心者には強烈だったのです。解答が楽しみです~」
飯山修 「1筋の手は飛か角しかないのでどちらにするかの問題。角にするには3手目玉移動がネックで手損が避けられない。よって飛に決定するが38を塞ぐいつもの飛が使用済とあってうまくいかない。ここで過去問をおさらいすると19-3に38香で解決しているのを発見。なるほどこれで2つ目の不成も解決」
渡辺 「条件を見て1筋の着手を無駄にしないことを考えると、飛打くらいしかないなと思い、この作品(オーメンⅢ?)を思い出しました。こちらも生2回条件で限定できていたりします」
■たくぼんさん作の19-3『オーメンⅢ?』は6年前の2009年2月出題でした。詰上がりは全く同じ、手順も似ているんですが、16飛打と66飛打では印象が違いますね。
隅の老人B 「こんな処に香打とは!『お釈迦様でも』と作者の大見得」
孔明 「1六飛~4六飛は考えていたのですが3八を塞ぐ手がわからずにヒント待ちでした。香車を取って埋めるのは難しかったです」
■香を取って打って退路を埋める手順は希に登場します。38香打は合い効かずの止めの46飛とぴったりと嵌まる協力手でした。
加賀孝志 「苦しみました。11角と飛打を見つけ、やれやれ」
波多野賢太郎 「この問題にどっぷりハマってしまいました。初めは1筋に角打かなと思ったのですが、うまくいかず、そのうち飛打の手を思い付きました。ただ、先手が不成で香を取るというのが全くの想定外でした」
斧間徳子 「1筋を絡めて手を限定し、不成2回で68角生を誘う見事な条件。この形の詰上りは初めて見た」
Pontamon 「玉側の協力手の秀作ですよね。ミスディレクション を警戒して先手着手での不成も考えたけど、33角不成では王手になるし22角不成と11角不成は非限定だから駄目だと思い込んでしまいました。玉の退路の58と38の2地点の問題を一気に解決する11角不成が見事です」
■思い込みは禁物。香を取りながら11角不成で後手の角成が可能になりました。止めの46飛の前に、飛車の打場所が着手筋条件で16に限定されるのが巧い。
小山邦明 「3手目の先手の玉の移動から、後手の1筋の着手は先手から取った飛と予想して考えたら面白い手順が浮かびました。この収束形はとても良いですね」
NNN 「面白い詰め上がりですね。難しかったです。飛を横で使うことばかり考えてましたが、6八馬と4八玉の配置から4六飛の詰め上がりが可能なのではと思い至り、解答にたどり着きました」
S.Kimura 「『詰みに有効な1筋の着手』が分からず,苦戦しました。初めに38飛打から18で香車を取って46香で詰ますことを思い付き、ようやく14飛打→46飛にたどり着きました」は、知っていないと想定し難い形。浮かびづらい最終形から後手の手順『32金~42飛~41玉~72金』が導かれていきます。
諏訪冬葉 「3手目の玉の条件を除いた手順がすぐ浮かんだので、その周りばかり追ってました。まさか飛車で詰ますとは・・・」
占魚亭 「1筋の手の確定に時間がかかりました。透かし詰だったとは」
■玉の上からの透かし詰は、玉の両脇の退路を塞ぐのに一工夫要るので浮かびにくい形。平凡な68角成で5筋を塞ぎ、取らせた香を38に打たせて3筋を塞いで一間離し飛車が見事に決まりました。
枡彰介(無解) 「ヒントを読んでますます分からなくなりました。先手が詰むのに先手に手駒が入るミステリアスな手順が謎です」
■不成で香を取る11角不成。68角成が可能となって、取らせた香を38に打たせると48玉が合効かずの46飛で詰む仕掛け。ミステリアスな手順は解りましたか?
正解:16名
飯山修さん S.Kimuraさん NNNさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん
孔明さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
たくぼんさん DD++さん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん
Pontamonさん 渡辺さん
総評
枡彰介 「問題は難しくて一つしか解答できませんでしたが、家族の会話が楽しかったです」
干シ 「今回は87-1だけ。まだ私には難しかったです」
■1問だけの解答でも歓迎します。解けなくても感想だけでも構いませんよ。
小山邦明 「今回のような条件設定の問題を初めて解きましたが、巧みな手順をうまく創り出していると思いました」
■無駄手が入る作品は好き嫌いの評価が分かれます。今回のように無駄手がない作品は手順に締まりがありますね。
飯山修 「今月は早く出来てよかったです」
渡辺 「ここのところ忙がしくて先程慌てて解きました。最難題が既知手順で助かりました」
はなさかしろう 「つくづく、短編は苦手だな~と思いかけたのですが、本当はただ解図力が足りないだけでした(苦笑)今回は記憶に助けられました。ふぅ」
NNN 「毎月楽しみにしています。筆無精であまり投稿してませんが、久しぶりに早く(私としては)解けたので解答してみました。
問題の投稿のため過去の問題を振り返っていたら、87-2は36-参考と同じ、87-3は19-3とほぼ同じ手順なのに気づきました。私は過去の問題でも答えを忘れて新しい問題のように解いて楽しんでいますが、皆さんはパターンを覚えているのでしょうか?」
■推理将棋を楽しんで解くには過去問も一度忘れるのがベストでしょう。(ただし、全解継続を更新中の方とコーナー担当は除きます)頻出の形はパターンを覚えますが、87-2や87-3の手順は前例が少ないので忘れている方も多かったと思います。それでも、今回早く解答されたベテランの何名かは、なんとなく記憶の片隅にあって思い出されたことと推察します。
Pontamon 「上級は裏読みで自滅しましたが、全体的には易しめになりつつありますね。来月は8手詰特集ですし(と侮っていると痛い目にあうのかも)」
■短手数問題、侮るべからず。身に染みてます。
隅の老人B 「河津櫻、寒緋桜と咲き始めて、間もなく染井吉野が開花する。もうすぐお花見の季節、その前に『おもちゃ箱』の推理将棋を解こう」
■次回は桜も見頃。お花見しながら『おもちゃ箱』の推理将棋を解こう!
たくぼん 「すいません。家族多すぎて頭に入ってきません(笑)」
■フル出場の四郎、六実、七海の三人だけは覚えました(笑)
S.Kimura 「美野樫9兄妹シリーズは楽しいですね.今回出場しなかった隆二,八重,九美の本戦での活躍を期待します」
波多野賢太郎 「今回の特集もとても面白かったです。3番は締め切り前ヒントでようやく解けスッキリしました。次回は、隆二、八重、九美にも活躍の場があるといいですね」
■予告編:次の対局では隆二と九美が登場します。八重の登場が待ち遠しい。
DD++ 「ついに出ましたね、美野樫家シリーズ。この予選問題で美野樫家1人1手問題の考え方に慣れておくと本戦に入ってから優位に立てるかもしれませんね」
■シリーズ作品の検討をされた前担当からの助言です。是非ご参考に。
チャンプ 「回が進むにつれて9兄妹それぞれの性格が明らかになって行きます。しかし最終回がいつになることやら・・・気長にお待ち下さい(笑)今後も9兄妹をよろしくお願い致します」
■毎回出題とはいきませんが、順番に出題していく方針です。美野樫9兄妹の活躍をお楽しみに。
推理将棋第87回出題全解答者: 18名
飯山修さん S.Kimuraさん NNNさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん
干シさん 孔明さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん たくぼんさん DD++さん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん
Pontamonさん 枡彰介さん 渡辺さん
当選: 占魚亭さん
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コメント
これもプログラムに解かせました。
局面48661682483 所要時間10826秒
唯一解です。
投稿: 鈴木康夫 | 2015.03.31 01:16