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推理将棋第89回解答(1)

[2015年5月27日最終更新]
推理将棋第89回出題の89-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第89回出題  推理将棋第89回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第89回解説  担当 NAO

チャンプさんの連作「美野樫9兄妹」シリーズの第二弾。今回出題の3作品では9兄妹全員が活躍しました。


89-1 初級  チャンプさん作  美野樫9兄妹の一局(その4) 9手

健一「さぁこの調子で本戦も突き進むぜ、次は誰が行く?」

圭五「よっしゃー!もうアップは万全だぜー」
隆二「そろそろ俺も行くかな」
九美「次はウチも混ぜてぇー」
六実「連戦連勝の立役者、私たち双子も行っきま~す」
七海「・・・というわけで自動的にわたくしも・・・」

四郎「・・・双子なのに何でああも違うもんなんだろね」
八重「・・・・・・」

七海「わたくし達が先手の模様です」

・・・対局開始・・・

源三「ん?もう終わったんか?」

圭五「たった9手で無敵艦隊の勝利だぜー!」
六実「またまたみ~んな一手ずつ指したわ~」
九美「でも成る手が無かったよねぇー?」
七海「・・・察するに4手目の銀の手が悪手かと」
隆二「ま、俺たちに敗北の二文字は無いぜ」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 9手で詰んだ
  • 先手は2、5、6、7、9の筋に一手ずつ着手した(順不同)
  • 4手目は銀の着手
  • 成る手はなかった

出題のことば(担当 NAO)

 使いにくい筋は2筋と9筋。攻めの急所となる着手を推理しよう。

追加ヒント

 9筋の着手は角打ち。次の金取りを狙う。


推理将棋89-1 解答 Suiri891

六歩  △3四歩  ▲二角不成  △6二
四角  △8四歩  ▲一角不成  △3二金
二金 まで9手

条件
・先手は2、5、6、7、9の筋に一手ずつ着手した(76歩、22角不成、94角、61角不成、52金)
・4手目は銀の着手(62銀)
・成る手はなかった(22角不成、61角不成)

  • 美野樫兄妹シリーズの4問目は、先手が2筋、5~7筋、9筋の5つの筋を1手ずつ着手する9手詰。一見使いにくい9筋の一手の役割を推理するのが謎解きのポイントになります。先手の着手だけ見れば、2筋で取った角を9筋に打ち、その角で6筋の金を取って、5筋の頭金まで無理のない流れで進んでいることがわかります。
  • 先手の着手のうち、▲76歩~▲22角不成は角を活用するお決まりの手順。7筋と2筋はこれしかない。初手から「▲76歩 △34歩 ▲22角不成」
  • 残りの5,6,9筋で詰ます形は?
    入手した角を9筋に打った後、6筋で金を入手して居玉の頭金を目指す。▲94角~▲61角生~52金。後手の協力手は94角の角道を通す△84歩と詰め駒52への効きを塞ぐ△62銀と△32金が必要なので4手目以降 「△62銀 ▲94角 △84歩 ▲61角生 △32金 ▲52金」まで。
  • 紛れ筋には62地点の銀を角生で取って53に打つ手順が浮かぶ。たとえば4手目以降 △62銀 ▲95角 △74歩 ▲62角生 △52玉。ここで54歩が突いてあれば53銀で詰むが後手の手が一手足らない。

それではみなさんの短評をどうぞ。

作者 「初登場となる九美の一手がカギを握る構成です。とはいえ▲94角は割と見えやすい部類ではないかと推測します」

■6筋方面を狙う角打ちは見えやすいんですが、▲94角とセットの△84歩が見えにくく結構悩まれた方もおられました。

くるぼん 「9筋の着手に気づけば一瞬でした」

斧間徳子 「3題の中で一番やさしかったですが、一番好みです」

■もちろん、最易問のつもりの出題ですが、やさしかったという感想は意外にも少数でした。

孔明 「9筋が詰みに直結するには大駒の手しかないと考えたので3手目▲2二角不成の発見は早かったです。ただ後手の金駒を取るための▲9四角▽8四歩が難しく、わかった時は気持ちよかったです」

波多野賢太郎 「後手の角を取るんだろうとは思いましたが、9四角の一手がなかなか浮かばず悩みました。着手筋以外の条件が少なくて、いい問題だと思いました」

小山邦明 「角を9筋に持ってくる場所を考えたら、何とか94角が発見できました。初級問題とは思えません」

■角で金を取る筋は9手詰の典型の一つですが、▲94角~△84歩が面白い応酬。わざわざ83歩の陰から打って歩を突かせる手順は見えにくくなってます。

加賀孝志 「手探り、角打を見つけホッ!」

隅の老人B 「9筋の手は? まさか、こんな処に角を打つなんて」

山下誠 「9筋に角を打って詰む形をなかなか思いつかなかった」

占魚亭 「95でなく94に角を打つのは盲点でした。銀の着手が分かれば一発なんですけどね」

Pontamon 「4手目銀の餌に喰い付いて▲95角では最終手の53銀を打てず、見事に引っ掛かりました」

■95角~62角不成の筋ですね。一見有力なこの筋は後手が54歩と指す暇がなく一手足りませんね。

NNN 「3手目二筋でないと手が続かなさそうでしたが、5、7、9手目の組合せはあまり見た記憶がなく、気付きにくかったです」

■5手目角打~7手目金取り~9手目52金打で詰む手順、実は9手詰の典型的手順の一つ。7000通り以上あるようです。

枡彰介 「会話が楽しい美野樫9兄妹シリーズ、待ってました。基本7手詰めの端角から銀を奪って詰ます手順の筋違い角バージョンとでも言うのでしょうか。(筋違い角なので入手駒は銀ではなく金)」

たくぼん 「61の金を凄いところから狙う筋にびっくり」

はなさかしろう 「6一の金を狙いにいきたくなるのは、オーソドックスなのか、推理将棋にすれているからなのか… 5+3手で、本当は難しめの初級と思います」

■7手目61金取り~9手目52金打で詰む9手詰手順は1700通り余り。オーソドックスといえますが、5400通り以上ある7手目41金取り~9手目52金打よりは少ない。

諏訪冬葉 「34歩も62銀も84歩も32金も普通に指される手なのにどうしてこうなった」

■94角~61角生が実戦では指されない、特異な手順ですから。

飯山修 「94角は衝立将棋のハメ手で出てきそうな手ですね。飛先の歩はすぐ突くが端歩はすぐには突かないだろうから」

■いきなり玉腹の金を取られてびっくり。

S.Kimura 「4手目も悪手だけど,一番悪い手は8手目じゃないのかな・・・」

■8手目△32金。守りの要をそっぽに逃がす大悪手でした。

DD++ 「これ、形としては22角が無意味に残るので少し残念なんですよね。九美を登場させるとしてももう少し何かあったような感はありますが、一方で初級作も必要になるのであまり難しくしてもというのもあり、悩ましいところ」

■9手詰の攻め方着手は5回だけ。端1回だけ着手する手順は、謎解き要素が少し加わり、それだけでも十分でしょう。健一や九美が登場する作品は、今後も要注目です。


正解:19名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  小木敏弘さん  斧間徳子さん
  加賀孝志さん  くるぼんさん  孔明さん  小山邦明さん  隅の老人Bさん
  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  DD++さん  波多野賢太郎さん
  はなさかしろうさん  Pontamonさん  枡彰介さん  山下誠さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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