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推理将棋第91回解答(3)

[2015年8月2日最終更新]
推理将棋第91回出題の91-3の解答、第91回出題の当選者(たくぼんさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第91回出題  推理将棋第91回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


91-3 上級  渡辺秀行さん作  玉頭駒打戦法  9手

「昨日の将棋はどうだった?」
「敵が不成としてきた駒を同金で取って直ぐ様敵の玉頭に打ったんだよ」
「玉頭駒打戦法か、角頭歩突戦法なら聞いたことがあるけど。それでどうなったんだい?」
「9手目に詰んで終局さ」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 9手で詰んだ
  • 相手の不成の駒をすぐ金で取り、次の自分の手番でその駒を相手玉頭に打った※

※棋譜の一部に「駒Aの不成、同金(必要なら左、右など)、?、駒Aを玉頭に打つ」という4着手の並びがあったと言うことです。


出題のことば(担当 NAO)

 不成の駒を何処で取るのか推理しよう。

追加ヒント

 後手は飛を取らせる代わり、角を取って先手玉頭に打ち返す。


Suiri913 推理将棋91-3 解答  担当 NAO

▲7六歩   △4二飛 ▲3三角不成 △5二金右
▲4二角不成同金上 ▲7二飛   △5八角
▲7一飛成 まで 9手

(条件)
・相手の不成の駒をすぐ金で取り(5手目より▲42角不成 △同金上)、次の自分の手番でその駒を相手玉頭に打った(8手目△58角)

9手詰1条件特集の3問目は渡辺さんの短編推理問題。不成の駒を何処で取るのか、相手玉頭とは先手か後手か、攻め駒は足りるのか、考えさせられます。早速謎を解いていきましょう。

  • 不成の駒を金で取るには?

    まず、先手の角不成を後手が同金と奪う順は、初手から6手目迄
    ▲76歩 △34歩 ▲22角不成 △XXX ▲31角不成 △同金、
    ▲76歩 △42X(飛か銀) ▲33角不成 △XXX ▲42角不成 △同金、
    ▲76歩 △52金 ▲33角不成 △42金上(寄) ▲42角不成 △同金、
    ▲76歩 △52玉 ▲33角不成 △51金右(左) ▲同角不成 △同金 等。
    いずれも6手目に同金と取った角を8手目に相手玉(59の先手玉)の頭58に打つことが可能です。

    次に、後手の不成を先手が奪う順は、初手から5手目迄
    ▲XXX △34歩 ▲68金(78金) △77角不成 ▲同金 等。
    5手目に同金と取った角を7手目に相手玉(51の後手玉)の頭52に打つことが可能。ただし、7手目▲52角を含め残り4手で後手玉を詰ますのは困難。

    よって、先手の角不成を後手が6手目△同金と奪い8手目△58角と打つ手順に確定します。
  • 攻め駒は足りるのか?

    先手が歩以外に2枚攻め駒を入手する順「▲22角~▲31角」は△31同金と取った玉形が広く、角銀を打って詰ます筋が全くありません。したがって、3手目▲33角から駒を入手するが、先手の角不成を後手に取られると攻め駒は1枚だけ。そのため5手目に取る駒は単騎詰が可能な飛に決定。攻めには玉と一間離れた龍で詰ます『はてるま手筋』を使います。

    初手より「▲76歩 △42飛 ▲33角不成 △XXX ▲42角不成 △同金 ▲72飛 △58角 ▲71飛成」までの順。ここで、4手目は玉頭を埋める△52金右(~6手目△42同金上)に決定。また、8手目の玉頭△58角は単なる遊び手ではなく、▲71飛成に合効かずとするための協力手でした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

渡辺秀行(作者) 「条件が強引でした。先手が後手玉頭に駒を打つ順を少しでも考えて頂ければ幸いです」

■5手目に同金と角を取って7手目に52角と打つ筋、先手はあと1手しか指せません。すぐ駄目とわかりますが、一瞬考えました。

たくぼん 「▲78飛△77角生の筋をちょっとだけ考えましたが間に合わない(笑)」

■78飛~77角生の筋。必要手は先手5手+後手3手なんだけど、11手かかりますね。しかも78飛不要でした(笑)

山下誠 「玉頭とは先手玉の頭だ、と考える頭が必要でした。傑作です」

小山邦明 「先手番の話しとして考え始めてしばらく経ってから、後手番の話しだとようやく気付きました」

■ちょっとだけ52角を考えてもらいました。作者の狙いとおりです。

飯山修 「玉頭角が後手(無駄手)と判れば簡単。言っている人が先手か後手か書かない手口の勉強になる問題」

■玉頭角は単純な無駄手ではなく、合い駒を品切れにする協力手。

原岡望 「銀頭飛の勝利」

桝彰介 「追加ヒントの"飛車"を見た瞬間、はてるま手筋(だったかな?)の飛車一枚で詰ます手順が思いつきました」

■後手飛車を奪っての"はてるま手筋"。

はなさかしろう 「単騎詰ならばまずこの形ですね。ところで、『相手玉頭』の『相手』を消すと、なにか余詰が出てきますか?」

■△52角と自玉の頭に打った形は玉が堅い。"相手"を省いても余詰めはないはずです。

加賀孝志 「角打ちは直感でわかるようになった。合いが効かない詰め上がりも」

隅の老人B 「持駒があると詰まないので、無理矢理に58角と打ちました」

小木敏弘 「頭の丸い角ならでの面白い条件と思います」

金少桂「話者がおそらく後手なのだろうと決め打って解いた。先手が角銀を取る紛れがきわどいのでそれにかなり時間を取られた。玉頭駒打(=58角と予想していた)は遊び手だろうと思ってたら詰め上がりちゃんと意味があってちょっと笑ってしまった」

■△58角は71飛成に合い駒をさせない協力手。

鈴木康夫 「この条件で単騎詰とは恐れ入りました」

Pontamon 「上級は秒殺とは行きませんでした。第一感は、合い駒にできる角を58に打たせて、はてるま手筋で詰みかと思ったけど、82の飛と71の銀を取っていると11手でした。42で飛を取って、金直ですか。この手順を1条件とは驚きです」

DD++ 「これだけで2枚取る順を封殺できるんですね。素晴らしい」

■はてるま手筋の単騎詰を1条件で実現しているのはお見事でした。

孔明 「取れる駒が飛車や金だと1枚しか取れず、2枚取ろうと思うと角と銀しか取れないので詰みの形がなかなか想像できませんでした。可能性が高いと思った飛車での詰みの形を考えていたら突然解けました。この形をすぐに思い浮かべれなかったのは悔しいです」

S.Kimura 「角と銀を取って,2枚で詰ませる紛れをしばらく悩んでいました。
確かに,龍単騎なら,1枚取るだけで済みます」

NNN 「攻め駒2枚確保できないと(角打ちが先手か後手かも含めて)ずいぶん悩みました。あ、1枚というのもあるかと気付くと答えが見えました」

諏訪冬葉 「最低でも駒が2枚欲しいから▲22角不成~▲31角不成だろうとおもったら残った金が強くて詰まない。まさかこの手筋で来るとは・・・」

■▲31角不成を△31同金と取った形から、角銀では妙に詰めにくい。

斧間徳子 「これって1条件ですか?(笑)」

■厳密には1条件といえるかどうか・・・微妙です(笑)

まさ 「1条件と呼ぶには苦しいかも(笑)。後手が先手玉頭に打ったは第一感なので、単騎詰しかないとわかれば簡単な問題でした。ただし、「すぐ」金で取った、につられて6手目同金「直」と誤記しそう(笑)。ここは厳密には表記ルール上は同金上が正解のようで」

■"寄り"の手と"直ぐ"の手が被るときは、金直でなくて金上ですね。

やまかん 「52金ポイントですね。8手目やタイトルでうまく作品にしたのかな」

■後で角打の一手を指すため、先に52金右を指しておく。

変寝夢 「4着手並びを3手目からに指定して30秒で不詰。5手目からにして9分44秒解析局面1340万局面でした。駒Aを玉頭に打つ、の条件はいろいろな指定が考えられそう」

■機械検討お疲れ様。一品料理の解図にもいろいろ工夫の余地があるんですね。


正解:23名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  小木敏弘さん  斧間徳子さん
  加賀孝志さん  金少桂さん  孔明さん  小山邦明さん  鈴木康夫さん
  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  たくぼんさん  DD++さん  はなさかしろうさん
  原岡望さん  変寝夢さん  Pontamonさん  まささん  桝彰介さん
  やまかんさん  山下誠さん  渡辺さん


総評

隅の老人B 「90回の解答提出は、たぶんビリ。で、今回は一番槍を目指しての解答です。はたして、その結果は?」

■お見事、今回は一番解答です。90回も20名中16番目。〆切日解答者も多くビリではありませんよ。

小木敏弘 「楽しい推理将棋をありがとうございます。また、余詰みの指摘への丁寧な対応、少々照れくさくもあり、また、感動もしています」

■小木さんには推理将棋10-2"裸の王様"の余詰の指摘をいただきました。残念ながら旧作は修正困難でした。リベンジではありませんが、"裸の王様と几帳面な王様"を92-3に出題中。難問ですが是非挑戦してください。

Pontamon 「9手くらいだと、よく手が見えるようになって来ましたが、何故、自作の余詰みは見えないのか…。トホホ」

■多数のご投稿ありがとうございます。最近は余詰め率が減ってきた気がします。

斧間徳子 「1条件問題はさっぱりしていて大好きです。先月と同じくらい易しかったけれど、内容は今月の方が格段に上で、楽しませてもらいました」

まさ 「短手数1条件作品はやはり魅力がありますね。久々に解答しました」

たくぼん 「解答者にとって1条件はとっつきやすく考えやすいので普及の為にもっと発表されてもいいと思います」

■1条件特集、大好評でした。引き続きシンプル条件の短編作品のご投稿をお待ちしております。

やまかん 「今月は条件も少なくて考えやすかったこと+ヒントもあり何とか解けたと思います」

飯山修 「今月くらいのレベルがうれしいです」

S.Kimura 「3回に渡る特集の企画を楽しましていただきました。次回から通常問題に戻ると,難しい問題に苦戦しそうで頭が痛いです」

■通常の出題でも、一問は9手ぐらいの短編を出題したいと思います。

NNN 「いつも楽しみにしています。どれも選択肢が広く良問だと思いました。皆さんうまく条件付けされるものですね」

■1条件だと指し手のヒントも少なくなって、解き頃の問題になります。

DD++ 「実は9手詰1条件の本気の難解作を1つ作ろうとしたのですが、どのように条件付けしても1つでは僅かに余詰を漏らす形になってしまい、結局特集に間に合いませんでした。またうまい条件が思いつくか諦めて2条件にする決心がつくかしたら投稿しようと思います」

■狙って難解1条件を創作するのはなかなか大変です。2条件でも構いませんのでお待ちしております。

渡辺 「最近忙殺されて解答できていませんでした」

■今回は解答だけでなく1条件の投稿をいただき、助かりました。

桝彰介 「91-2、91-3は推理将棋を始めたころ知った詰め上がりで、自分では発見出来なかったので非常に感心したのを覚えています。手順より先に詰め上がりパターンが浮かぶようになってきたのは、推理将棋慣れしてきた証なのかと思ってます」

■手順より先に詰め上がりが浮かべば立派な上級者です。

はなさかしろう 「9手1条件を狙って作ったのは今回が初めてで、募集していただいたお蔭でチャレンジできました。シバリがかかると、より色濃く、癖が出てしまう気がします」

■お題通り、創作できるのは素晴らしい。

原岡望 「昨日教えていただいたので解答します」

■詰将棋全国大会のお陰で、2~3名解答者が増えたかも。


推理将棋第91回出題全解答者: 24名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  小木敏弘さん  斧間徳子さん
  加賀孝志さん  金少桂さん  孔明さん  小山邦明さん  鈴木康夫さん
  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  DD++さん
  はなさかしろうさん  原岡望さん  変寝夢さん  Pontamonさん  まささん
  枡彰介さん  やまかんさん  山下誠さん  渡辺さん

当選: たくぼんさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。

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コメント

>『相手玉頭』の『相手』を消すと
検討していませんが、きっと大丈夫ですね。
「相手」がある方が駒を打って攻めた感じが出て良いと思って、思いついた条件なので「相手」を抜くという考えは思い付きませんでした。

投稿: 渡辺 | 2015.08.03 21:01

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