推理将棋第92回解答(1)
[2015年8月25日最終更新]
推理将棋第92回出題の92-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第92回出題 推理将棋第92回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第92回解説 担当 NAO
今回は上級に難しい問題も織り込んでの出題。解答者の大幅減も覚悟しましたが、予想以上に多数の解答をいただきました。やはり手応えのある作品を待ち望むスイリストも増えたのでしょう。嬉しいことです。
92-1 初級 Pontamonさん作 七の段の九九(7×5=35) 9手
「パパ、今日、学校で七の段の九九を習ったよ」
「そうか、じゃ、シチゴは?」
「35だよ」
「偉いな。パパも7×5=35の九九を使った推理将棋の問題を作ったぞ」
「どんなの?」
「75の着手と35の着手がある9手詰みの推理将棋さ。大駒は1回しか使わないんだ、すごいだろ」
「そんなの、僕、わかんないよ」さて、どんな将棋でしょうか?
(条件)
- 9手で詰んだ
- 75地点と35地点の着手があった
- 大駒の着手は1回だった
出題のことば(担当 NAO)
1回きりの大駒の使い途を推理しよう。
追加ヒント
3五には桂を打つ。
推理将棋92-1 解答
▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △3三桂
▲同角成 △5二玉 ▲3五桂 △6二銀
▲4三桂成 まで9手
(条件)
・75地点(3手目▲75歩)と35地点(7手目▲35桂)の着手があった
・大駒の着手は1回だった(5手目▲33同角成)
本作はシンプルな九九"7x5=35"条件の軽い作品。8手で詰む手順に1手無駄手を加えただけの易問ですが、条件が少ない分難しく感じられた解答者も多かったようです。
1回だけの大駒着手をどう使うかが本作を解く鍵となります。
- 角で駒を取るが、単純に22角を取っても大駒を2回使えないので角打ちは不可。したがって5手目に33で桂を取る1手。先手3手目は1手待ちの"75地点の手:75歩"を指す。「▲76歩 △34歩 ▲75歩 △33桂 ▲同角成 △xxx」
また、7手目以降は桂を使います。
- 33の馬と連携するため桂は35に打って43に成る。5手目以降「▲33同角成 △52玉 ▲35桂 △62銀 ▲43桂成」まで。
元々8手詰に遊びの1手を足した手順ですが非限定の多い筋。"75着手"が1手余した先手の1,3手目を、"35着手"が桂の打場所を、"大駒着手1回"が5手目▲同角成と8手目△62銀(62飛は不可)を、それぞれ限定しています。九九に関連づけながらの簡素条件が実に巧みな作品でした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
Pontamon(作者) 「何ということでしょう、自作の初級がなかなか解けませんでした。75歩と35歩の無駄手を指して44角に桂の3段跳ねだと11手だし…。自分で仕掛けた75と35着手の罠をすっかり忘れてしまっていました。」
■自作がすぐ解けないのは、作品の質が上がった証です。Pontamonさん、創作の腕を上げましたね。
DD++ 「8手を9手にしたせいで非限定が山盛りある順をこうも上手にまとめるとは」
■前担当のDD++さんからもお褒めのお言葉を賜りました。Pontamonさんの成長ぶりを喜んでいることでしょう。
金少桂 「75と35の着手がどちらも詰みに役立てにくそうで、おそらくどちらかは遊び手だろうと思ったけれど、どちらが遊び手か決めづらく、条件から詰上がりが想定しにかったので初級の割にかなり苦戦。個人的感想としては次の中級より間違いなく難しかった」
■簡素条件の作品は返って手順が見えづらく苦戦することも多いです。簡素条件+苦戦は好作品の一つの目安と言えますね
斧間徳子 「条件が高度に練られた秀作。今月の3題の中で一番解くのに時間がかかりました」
■92-3上級より時間がかかったとは・・・驚きました。
小山邦明 「75と35の着手は、歩か駒打しかないと考えて取り組みました」
■方針はぴったし。第一感が的を射てます。
山下誠 「3五桂の発見に手間取った。面白い条件設定ですね」
S.Kimura 「33で桂馬を取ることを思い付き,ようやく,35の手がひらめきました」
■大駒1回の制限がなければ▲35角の筋もありますが、大駒1回なら33で桂を取って35に打つ筋しかありませんね。
孔明 「大駒の指し手が一度しかないので大駒を使わずに詰ます手順を考えていましたが7五と3五の両方を指す暇が無くて悩んでしまいました。とりあえず角を一度動かして3三で何か取って詰ます順を考える時も金を取ることを第一候補にしていて時間がかかりました。3五への指し手が先手だとは思わなかったです」
NNN 「最初35、75とも歩で考えました。35桂馬に気付くと答えが見えましたが、気付きにくいですね」
■大駒1回の条件が厳しいので△35歩は成立しません。▲75歩と△35歩の両方が入るなら大駒着手3回か4回になります。
飯山修 「35は桂打のケースが多いので当たりはついたが75が手待ちのムダ手とは思わなかった」
攻めダルマン 「大駒着手1回で35と75の着手は難しいと思ったら75は遊び手が予想外でした」
隅の老人B 「3手目、パスしたいのが、それはダメ。そこで75歩と指しました」
■パスしたいところで遊び手にぴったりの3手目▲75歩。仮に大駒1回の制限がなければ▲75角の筋があります。
占魚亭 「なかなか詰み形が予想できず苦戦しました。一旦75地点への着手条件を無視して考え、なんとか閃きました」
■ほぼ解けていますが、8手目6二飛の誤解答でした。惜しい。
ちなみに条件「大駒着手1回」の代わりに「大駒着手2回」とするといただいた解答が唯一解です。2回にすると更に難しくなった気がしますね。
たくぼん 「大駒1回が8手目まで利いていてニンマリ」
小木敏弘 「大駒着手一回が大きな手がかり、それが同時に62銀を限定しているのが見事」
はなさかしろう 「8手で仕上げず9手にして7×5=35、なんとも味のある条件づけですね~~。幻惑されてしまって結構考えましたが、落ち着いてみればこの筋しかないところ。大駒1回が最後まで効きました」
■大駒1回は先手だけでなく後手着手も制約しているのがポイントです。
変寝夢 「プラス条件を5手目の時点で先手は桂1枚もっている、3手目は75への着手、5手目は33への着手で解析局面は83万、1分20秒です。構文は;;/jissen/nocheck/te<9,35,,,=1/te<9,,大,,=1/te<7,,大,,=1/te<5,,大,,=1/#9/exist=5:m桂=1/te=5,33,,,/te=3,75,,,となります。製作しているソフトは汎用性を売りにしているので、問題ごとにソフトをいじったりはしていません。もっぱら機能追加、バグ修正といったところです。初級ながらプラス条件をしないと相当時間がかかります」
■汎用性がウリの推理将棋解図ソフト!今後の進化が楽しみです。
正解:17名
飯山修さん S.Kimuraさん NNNさん 小木敏弘さん 斧間徳子さん
加賀孝志さん 金少桂さん 孔明さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん
攻めダルマンさん たくぼんさん DD++さん はなさかしろうさん 変寝夢さん
Pontamonさん 山下誠さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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