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推理将棋第93回解答(2)

[2015年9月30日最終更新]
推理将棋第93回出題の93-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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93-2 中級 Pontamonさん作 大駒だけを余して詰まされた 9手×2

A「いや~まいった、9手目に2回目の王手で大駒1枚だけを余して詰まされたよ」
B「席主との対局だろ、僕も同じだったよ。僕は4手目に飛を○○へ指したんだ」
A「4手目は同じだったんだ。トドメの駒は○だったよ」
B「僕も同じだ。同じ手順だったのかな?しかし、持駒の大駒を使わないとは屈辱だね」
A「使わないんだったら角を取らなけりゃいいのにね」
B「えっ?先手が余した駒は飛だったよ」
A「じゃ、別の手順なんだね。トドメの着手地点は1段目だったけど君は?」
B「僕は2段目の着手でトドメを刺されたよ」

さて、AとBの対局はそれぞれどんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 両局とも9手目に2回目の王手で詰んだ
  • 両局とも4手目は同じ地点への飛の着手
  • 両局ともトドメの駒種は同じだが着手地点は(A局)1段目、(B局)2段目
  • 両局とも終局時の先手の持ち駒は大駒1枚だけ。(A局)角、(B局)飛

出題のことば(担当 NAO)

 大駒は打てない。もう1枚の攻め駒を推理しよう。

追加ヒント

 4手目は62飛。Aは左金(41)を取られ、Bは右金(61)を取られる。


推理将棋93-2 解答  担当 NAO



▲7六歩    △3四歩    ▲2二角成  △6二飛
▲3二馬    △7二金  ▲4一馬    △6一玉
5一金 まで9手.
Suiri932a


▲7六歩    △5四歩    ▲4四角    △6二飛
同角成    △4二玉  ▲6一馬    △3二金
5二金 まで9手.
Suiri932b

(条件)
・両局とも王手2回(A:7手目▲41馬、9手目▲51金。B:5手目▲62同角成、9手目▲52金。
・両局とも4手目同じ地点の飛(△62飛)
・両局ともトドメの駒種は同じ(金)だが着手地点はA局1段目▲51金、B局2段目▲51金。
・両局とも終局時の先手の持ち駒は大駒1枚だけ。(A局)角、(B局)飛

本作は"大駒を余らせても詰む"9手詰がテーマのツイン作品。両局は、王手回数、飛の着手地点、トドメの駒種が各々同じですが、余らす大駒種とトドメの着手地点が各々異なっている構成です。

4手目飛の着手点が共通項。飛を余らすB局から手順を追ってみましょう。
終局時余らせるのは大駒1枚だけなので歩を取ってはいけません。

  • 角で4手目に動いた飛を取る手順で考えられるB局の序は以下のとおり:
    (1) ▲76歩 △34歩 ▲22角成 △32飛 ▲同馬...
    (2) ▲76歩 △34歩 ▲33角成 △42飛 ▲同馬...
    (3) ▲96歩 △54歩 ▲97角 △42飛 ▲同角成...
    (4) ▲76歩 △54歩 ▲44角 △62飛 ▲同角成...

(1)は飛角を取ったため、飛1枚を残すと角1枚で詰ますことは困難で王手回数も未達。(2)は5手目同馬が既に2回目の王手で失敗。よって、(3) (4)がB局の候補。以下は馬で金を取って2段目に金を打って詰み。5手目以降は
(3) ▲42同角成 △62玉 ▲41馬 △72金 ▲52金 まで
(4) ▲62同角成 △42玉 ▲61馬 △32金 ▲52金 まで

4手目42飛か62飛をヒントにA局を考えてみましょう。角を取るA局では「▲76歩 △34歩 ▲22角成 △42飛か△62飛」までが必然。B局と同様に金を奪いますが他の駒(銀)を取らないよう32~41のルートを使います。41馬と連動して最後1段目の金で詰む形は61玉型に51金。61玉の退路塞ぎのため62飛が必要になって手順が確定。4手目以降「△62飛 ▲32馬 △72金 ▲41馬 △61玉 ▲51金 まで」また、B局は4手目62飛の(4)に確定。

それではみなさんの短評をどうぞ。

Pontamon(作者) 「実戦では大駒を取ったら普通は使いますが、使わずに詰ます手順を考えてみた作品です。どうせなので大駒だけを余す条件にしてみました」

斧間徳子 「両手順と条件がよく対比しており、ペア局として出色」

■大駒を余らせるテーマへの着眼とABの対比条件が上手です。

NNN 「なんとなく駒を動かしていると正解にたどり着きました。面白い問題でした。金の一段、二段は条件になくても大丈夫ですか?」

■条件は若干過剰ですが、両局を上手く対比させる解図のヒントになっています。

渡辺「これはペアにする意味が疑問。例えば「9手目1段目の金で詰み、4手目は偶数筋への飛の着手、終局時先手持駒角」でAだけの問題にしては如何でしょう?(王手2回条件は不要です…元の問題でも)
B局の最初の表出条件すなわち
・9手目の2回目の王手で詰んだ
・4手目飛の着手
・止めは2段目
・終局時、先手持駒飛
だけで2通りに限定されます(王手回数の制限を外しても4通り)。この4通りだけでも4手目は42か62、止めの駒が金であることが分かり、Aの手順が確定されます。4手目が62と決定してBも確定します」

■辛口のコメントいただきました。ご指摘のとおり謎解きとしてはAの条件はヒント過剰なわけですが、本作品は『大駒を余らす』2局の対比をテーマとした完成品と思います。

隅の老人B 「Aの初手、先ずは敵角を取らねばと76歩と突きました。Aで62飛が確定? Bはこの飛をどうして取ろうかな」

■解説ではB局から手を付けましたが、実はA局は単独で解けるのでA局を先に解けば先に62飛が確定できます。A局を先に解かれた方には、B局は物足らなかったかも。

飯山修 「B手順が42の飛を取る別ルートがある為ツインにして62飛限定にしたのが実にスマート。この手法で手順限定する作品は大歓迎です」

加賀孝志 「A:角を残すのが大ヒント。B:2作で一つヒントがうまい」

はなさかしろう 「重装備の条件に怯え、ツインと聞くと身構えてしまいますが、実はヒントが盛り沢山なんですね。歩が取れず、Bで飛車を取ることを考えれば4手目は本命42、対抗62といったところ。攻め方の経路誘導に大駒を使うのが面白かったです」

小山邦明 「 4手目の飛の着手を推理して決定するのが解への一番の近道でした」

■必要条件以上のヒント満載。Aは単独で解けるが、Bは単独だと2通りの解。Bから解き始めて飛の位置を2箇所に絞り込むのがおすすめコースです。

山下誠 「4手目の飛車の位置を想定したら、容易に解決しました」

小木敏弘 「二つをからめた条件が面白いです。はじめに、Bは「端角から42飛をとる」で解けたと喜んだのですが、実は62飛をとるのでした」

S.Kimura 「最初は42で飛車を取っていたので,苦労しました.62に決めてからは,割とすんなり解けました」

金少桂 「初めてのツイン問題への挑戦。連動させて解く方法は知らないので、比較的手の絞りやすそうなBの方から手順を決め打って、その後Aに当てはめる方法で解いた。不幸にも、『96歩、54歩、97角、42飛、同角成、62玉、41馬、72金、52金』という左右逆のような手順を先に見つけてしまったせいで、Aの側で当てはまる手順が見つからず、かなり時間をロスしてしまい、次の上級より苦戦してしまった」

■Bの2通りに絞り込むのは早いのですが、4手目42飛だけ見えた場合は遠回りになりますね。逆に4手目62飛だけ見えた方は指運がよく、すらすらと解けました。

孔明 「最終手は金に断定したんですが詰み形がわからず苦労しました。とりあえず2回王手をするために▲3三角としてみましたが金を取るのが難しくて悩みました。王手のことは忘れて▲3三角~▲4二馬~▲4一馬とすれば▲5二金で飛車を残して詰むということがわかり王手を2回に減らすために逆の6筋から行くことに気付いて手順Bがまず解けました。4手目が同じということで▽6二飛固定で手順Aを考えていましたが7二金・6一玉型に気付くまで時間がかかりました。同じような条件なのにトドメのために取る金は左右違うんですね」

たくぼん 「終局持駒条件で手順が限定されるのが心地よし。Aがやや見え難かった」

桝彰介 「最初はAを考えていたのに、ヒントを読んだら、Bが先に解けました。左右逆から攻める形がきれいなツイン問題です」

占魚亭「金が壁になるツイン。いい作品ですね」

■後手方の取られる金と壁金の対比も地味ながら美しい。

諏訪冬葉 「隠し条件『歩を取っていない』が地味に利きました

■3手目に33歩を取る33角成、A局5手目23馬などを防いでいます。

DD++ 「飛角両方取って片方を打ち馬でトドメという順をしばらく考えていました。出題コメントにそれはないって書いてあったのに」

■希少な手順に凝ってますね。トドメは金が基本です。

変寝夢 「こちらを初級にしてもよかったかも。A、Bともそんなに複数解がないので、この出題形式は今ひとつに感じてしまいました。仮にAもBも複数解が10ずつあったとしたら大分イメージは違うでしょう。
A:プラス条件3手目22に角で着手で13秒44万局面で4解抽出。Bとの突合で作意を確定。素直な手順でびっくり。
B:Aより4手目を42、62、92に絞って解かせました。188万局面1分半でした。Aより素直でさらにびっくり」

■いつもの機械検討感謝。ヒント満載の条件ですが、2局セットなので中級としました。


正解:21名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  小木敏弘さん  斧間徳子さん
  加賀孝志さん  金少桂さん  孔明さん  小山邦明さん  隅の老人Bさん
  諏訪冬葉さん  攻めダルマンさん(Aのみ)  占魚亭さん  たくぼんさん
  DD++さん  はなさかしろうさん  変寝夢さん  Pontamonさん  桝彰介さん
  山下誠さん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

>本作品は『大駒を余らす』2局の対比をテーマとした
なるほど、不正確なコメントで失礼しました。「2局を絡める意味が疑問」と言いたかったのです。
「2局の対比が素晴しい点」については否定しません。だからこそ余計に出題された形に残念な思いがあります。
絡ませるからには絡みのところでの謎解きが欲しくなるので、微妙に絡むくらいなら絡まない方が美しいかと思います。

(ご参考)絡めない条件付けの例
・両局とも9手目の駒打で詰み(A局:1段目、B局:2段目)
・両局とも4手目は飛(A局:偶数筋、B局:左半分=5-9筋)
・両局とも終局時先手持駒大駒1枚(A局:角、B局:飛)

投稿: 渡辺 | 2015.09.30 22:57

NNNさん > 金の一段、二段は条件になくても大丈夫ですか?
トドメが金の場合、角余しだとトドメは1段目と2段目、飛余しだと2段目と3段目の手順があるので段の条件が必要になったのです。
条件の対比もさることながら、詰み上がりの金銀の壁が左右になっていることもあって、この2つのペアを採用しました。

投稿: Pontamon | 2015.09.30 23:22

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