推理将棋第94回解答(2)
[2015年10月29日最終更新]
推理将棋第94回出題の94-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第94回出題 推理将棋第94回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
94-2 中級 斧間徳子さん作 寄り道 9手
(条件)
- 9手で詰んだ
- 2手目は42玉
- 4手目は金
- 7手目は桂
- 8手目は金
出題のことば(担当 NAO)
桂はどこから現れるか推理しよう。
追加ヒント
4手目は52金右、7手目は65桂。
修正
『2手目は4筋』→『2手目は42玉』に修正
推理将棋94-2 解答 担当 NAO
▲7六歩 △4二玉 ▲4四角 △5二金右
▲7七桂 △3二銀 ▲6五桂 △5一金引
▲5三角成 まで9手
(条件)
・4手目は金(△52金右)、7手目は桂(▲65桂)、8手目は金(△51金引)
先手の条件は7手目のみ。"7手目は桂"が本作品の攻めの鍵となります。7手目77桂では9手目この桂が詰みに役立つ形がなく、無駄手になるので7手目65桂の形を目指します。
- 角と桂を両方使うため、初手▲76歩は当然。桂は▲77桂~▲65桂と進めたい。この桂と連係が可能な角は、53地点を狙う▲44角か、73地点を狙う▲55角があるが、2手目の42玉に近い53地点を狙って▲44角の形に進めていく。7手目▲65桂とするには角を先に移動:▲76歩~▲44角~▲77桂~▲65桂。
後手は先手に協力し「44角+65桂」型から詰む形に進めます。先手の最終手は53地点で効きの多い▲53角成が本命。2手目△42玉の形は、32と51の両地点に退路がありどう塞ぐのか?推理します。
- 32の退路塞ぎは、△32銀がぴったり。銀の動いた後の31の空間には最終手▲53角成で成った馬の効きがある。
- 51の退路は、△51金右の1手で塞がる。ところが、"4手目は金"に釣られて△51金右と指すと、"8手目は金"でもう一手金を動かすため詰形がくずれ失敗。そこで、右金は52を経由して51へ、わざわざ2手かけて動かす:△52金右~△51金引。
3手目以降「▲44角 △52金右 ▲77桂 △32銀 ▲65桂 △51金引 ▲53角成」まで。
1手の寄りで済む動きをわざわざ2手掛けて動かす"金"の寄り道が主題の作品。4条件のうちの2つを遠回りの"金"に使い、足の速い角桂コンビで攻める軽快な94問題に仕上がりました。
本作、出題時の条件「2手目は4筋」には余詰がありました。粗検お詫びいたします。
- 元の条件「2手目は4筋」の余詰手順
(余詰1)▲76歩 △42金 ▲33角成(不成) △62金 ▲42馬(角成) △61玉 ▲77桂 △72金 ▲52金 まで。
(余詰2)▲76歩 △42銀 ▲33角成(不成) △52金左 ▲22馬(角成) △41玉 ▲77桂 △51金寄 ▲32角 まで。
作意手順は、無駄手のある9手詰(攻め方5手+受け方3手+無駄手1手)でしたが、余詰手順はいずれも7手目▲77桂を無駄手とする手順で、前者は「7手詰+2手」、後者は「8手詰+1手」の応用でした。金少桂さん、渡辺さんのご両名からご指摘いただき、ありがとうございました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
斧間徳子(作者) 「9手の短編で余詰を出してしまい申し訳ありません。本作は金の寄り道がテーマですが、余詰順にも金の寄り道が出てくるのがせめてもの救いです」
金少桂(双方解) 「2手目4手目の条件で先手が桂を5手目までに取るのが不可能なので、自陣桂の出動が確定。9手なので、角と桂の連携以外ありえず、後手金移動は1回で十分なのに2回ということで寄り道せざるをえないところが面白い。おそらく余詰手順だと思う(余詰1)も後手金の寄り道になっているところは何の運命の悪戯か。こっちを作意で作ってたらものすごいイジワル問題になったなぁと思う」
渡辺(双方解) 「すぐに思いつく『26歩、42玉、25歩、52金右、24歩、32玉、X、42金寄、23歩成』ではXで桂が動かせないのがミソ。金引の感触が良い。余詰が残念」
はなさかしろう 「7手目は桂だとこの手順が本命で、あとは後手の遊びのやりくりで解けたのですが、7手で詰みのバリエーションがありましたか。94問題、難しいです」
■作意は攻め方5手+後手の無駄手1手を含む9手詰。すなわち、9手オリジナル手順なので、それに惚れ込んで、初歩的な「7手詰+無駄手」、「8手詰+無駄手」が抜けてしまいました。申し訳ありません。
DD++ 「21桂を取る順も73桂を取る順も77桂で角を取る順もうまく封殺していますね」
■先手の条件が7手目だけなので攻めの幅は広いですが、金の2手が上手く防いでいます。
小木敏弘 「桂と角のコンビネーション」
NNN(双方解) 「おおよそ最終形が予想できるので、取り組みやすく感じました。余詰みは気付きませんでした。桂馬は6五まで行くとの決め打ちでは見つかりようもないですが」
占魚亭 「7手目桂でピンときました。1番やさしかったです」
小山邦明 「7手目の桂の着手を詰みに働かすには65桂しかないと推理して手順を考えました」
山下誠 「6五桂が分れば、5三角成の詰み形は見えやすかったです」
■42玉型に7手目65桂の形が浮かべば、44角~53角成が連想しやすく簡単でした。
攻めダルマン 「運よく早めに思いついて解けてしまった。玉方の銀と金に味がありますね」
■32銀と53角成が1セット。寄り道の52金右~51金引。
Pontamon(双方解) 「53へ向かう角と桂。どちらも一休みして、これがタイトルの寄り道かと思いきや、寄り道したのは金でした。角と桂は寄り道ではなく道草でしたね」
■角も桂も一休みせず、詰みに向かって最速で攻めている印象ですけど・・・
飯山修 「余詰めの方の解答(2手目42金以下)は33角が成不成限定できないし桂のヒントがおかしいしで不思議に思ってましたが条件が代わって納得。遊びの1手を有効利用」
孔明 「▽4二玉▲4四角を想定してみて金を上がって引く手が見えたのであっさり解けました」
変寝夢 「9手中6手以上が1~4段目の手をプラス条件して2400万局面21分。金のテンポ(?)と桂の2段跳が印象的」
隅の老人B 「4手目、パスは出来ない。そこで52金右と寄り道です」
桝彰介 「後手の無駄手を金の途中下車で条件付けされてたのが上手かったです」
諏訪冬葉 「回答を送る直前にタイトルに気付きました」
くるぼん 「寄り道さえしなければ」
たくぼん 「寄り道したのは右金君でしたか」
■右金の動きは、タイトルの"寄り道"。この手筋は業界用語では"テンポ"でしょうか。"1手パス"、"道草"、"途中下車"、"一人時間差"、等々いろいろな表現がありますね。
S.Kimura 「一度解いたのに,答えを入力するのを忘れていました。このため,解答を書くときに,どうしても金の動きを思い出せず,ついには,ヒントを見ることになってしまいました」
■解けたときに解答を送ってしまうのが定跡ですが、一度忘れてもう一度推理を楽しむのも手筋です。
正解:23名 双方解:4名(金少桂さん、渡辺さん、Pontamonさん、NNNさん)
飯山修さん S.Kimuraさん NNNさん くるぼんさん 小木敏弘さん
斧間徳子さん 金少桂さん 孔明さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん 攻めダルマンさん 占魚亭さん たくぼんさん DD++さん
長谷川彩樹さん はなさかしろうさん 変寝夢さん Pontamonさん 桝彰介さん
山下誠さん RINTAROさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
| 固定リンク
「推理将棋」カテゴリの記事
- 推理将棋第181回解答(3)(2025.01.28)
- 推理将棋第181回解答(2)(2025.01.26)
- 推理将棋第181回解答(1)(2025.01.22)
- 推理将棋第182回出題(2月10日まで)(2025.01.01)
- 推理将棋第180回解答(3)(2024.12.30)
コメント
>業界用語では"テンポ"でしょうか。
チェスの用語だとテンポムーブですね。
変寝夢さんのコメントが文字化けしているようですが、1〜4段目の「〜」だと思われます。
投稿: 渡辺 | 2015.10.29 22:13
渡辺さんの指摘通り「~」でした。コピペしたときに認識できず「?」になってしまったようです。使っているエディターが古いのが原因かな。今後注意したいと思います。ご指摘ありがとうございました。
投稿: TETSU | 2015.10.30 00:00
「から」を現わす波線の記号には、Unicodeだと全角チルダ(Unicode:FF5E) と 波ダッシュ(Unicode:301C)があります。たしかSHIFT_JISには「波ダッシュ」しかなく、JIS/EUCには「全角チルダ」しかありません。そのあたりの事情かと思います。
投稿: 渡辺 | 2015.10.31 16:39