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推理将棋第93回解答(3)

[2015年10月3日最終更新]
推理将棋第93回出題の93-3の解答、第93回出題の当選者(小木敏弘さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第93回出題  推理将棋第93回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


93-3 上級 チャンプさん作 美野樫9兄妹の一局(その8) 11手

源三「圭五の奴、帰ってけぇーへんな」
健一「まぁそれなら次は立候補制で決めるか」

八重「出陣・・・(挙手)」
六実「私も~!八重ちゃんに負けてられないわ~」
七海「わたくしも微力ながら参戦させて頂きます・・・」
九美「おねぇ達みんなやるならウチもするぅー」
四郎「僕も頑張ってみようかな」
隆二「じゃ、俺も姫たちのお供をさせてもらうぜ」

八重「我が軍の先手ね」

・・・対局開始・・・

圭五「ただいまー!・・・ってアレ、もう試合終了かー?」

九美「圭にぃ、おかえりぃー11手で勝ったよぉー?」
六実「成る手は無かったけどね~」
四郎「またみんな揃って一手ずつ指して勝てたね」
七海「・・・察するに8手目の小駒取りが変調かと」
隆二「お役に立てたかい?」
八重「まずまずの戦果ね」

源三「兄貴、わしらホンマに強いんやな」
健一「当りめぇだろ、なんたって俺たちは無敵のチームだからな!」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 11手で詰み
  • 先手は2、4、6、7、8、9筋に一手ずつ着手した(順不同)
  • 成る手は無かった
  • 8手目は小駒を取る手だった

出題のことば(担当 NAO)

 各筋に指せるのは1回だけ。効率のよい攻め方を推理しよう。

追加ヒント

 8筋で取った飛は2筋に打つ。8手目は香を取る手。


推理将棋93-3 解答  担当 NAO
Suiri933

六歩    △9四歩    ▲六角    △9三桂
不成  △3四歩    ▲二角不成9九角不成
二飛    △4四歩    ▲三桂 まで11手.

(条件)
・先手は2、4、6、7、8、9筋に一手ずつ着手(76歩~66角~93同角不成~82角不成~22飛~43桂)
・成る手なし(▲93同角不成~▲82角不成, △99角不成)
・8手目は小駒を取る手(△99角不成)

美野樫兄妹シリーズの8問目は、兄妹6人が登場。広い盤面から2筋から9筋の中の六つの筋に1手づつ指して相手を仕留めます。着手筋を変えながら攻め駒を取って玉を詰め上げるにはどのような手段があるでしょうか?

  • 先手方の手だけを考えると角を入手して打つ次の詰筋が考えられます。
    (1)76歩~22角不成~46角~82角不成~92飛~64角不成(42玉に両王手)
    (2)76歩~22角不成~94角~83角不成~61角不成~43金(頭金)
    (3)76歩~22角不成~8筋の手(9筋の手)~96角(85角)~41角不成~~63金(頭金)
    (4)76歩~22角不成~83角(94角)~61角不成~83角不成(94角不成)~61金(玉腹か玉尻)
    (5)76歩~22角不成~94角~83角不成(飛を取る)~4筋の手~61飛(玉腹か玉尻)
    ところが、後手角が残っていないと8手目の"小駒を取る"手が指せません。実は8手目の"小駒を取る"が大ヒント。角で香を取る△99角不成以外は手数がかかるので成立しないのです。
  • 角を取れないのなら飛を奪う攻め:▲76歩~▲66角~▲93角不成~▲82角不成。4手を消費して、残り2筋と4筋だけで詰む筋は?
    居玉の守りは堅いが、桂飛を奪った後、二段飛車に吊し桂の筋があった。
  • 後手方が協力して端桂を差し出す「▲76歩 △94歩 ▲66角 △93桂 ▲同角不成」
    後手は角道を空けて香を取る「6手目以降△34歩 ▲82角不成 △99角不成」
    以下、吊し桂の筋で詰み「9手目以降▲22飛 △44歩 ▲43桂まで」
    22角をさばいた後の▲22飛と△44歩がぴったり。

詰め上がりは予想し難い絶妙の形ですが、8手目条件が角取りの変化を一切排除して、すっきりした"やさしめの上級"作品。四姉妹が序盤に活躍し兄貴二人がしっかり詰め上げる、美野樫兄妹のチームワークが光りました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

チャンプ(作者) 「1問ぐらいはこの詰み上がりも入れておきたいと思って作った問題です。一風変わった手順なので採用する価値はあるかと。難度は人によって変わるかも知れませんね。2手目34歩~22角不成の筋を深追いするとハマるかも」

■2筋の飛と4筋の桂での詰め上がりはなかなか予想しづらい形。22角不成と角を取る筋で苦戦された解答者が多数おられました。作者の思惑通りです。

斧間徳子 「初見はつかみどころがない印象でしたが、先手の手がかなり限定されるので解きやすい。8手目に小駒を取る、というのが唯一無二の絶妙の条件」

小山邦明 「先手の2筋への着手を角と思ってしまうと大変ですが、8手目は小駒を取る手という条件で作意手順と違うことがわかりました。この条件は、『76歩、34歩、22角不成、84歩、94角、83飛、同角不成、52金右、44角不成、42銀、61飛(8手目と10手目は前後しても可)』という余詰の防止になっているのですね。すばらしい作品だと思いました」

■8手目条件で角取りがないことを看破するのが、解図の第一歩。

Pontamon 「作意順だと不要な『「8手目」のヒントで大助かり 。5手目に取った駒を7手目に捨てる手順は無いので、後手の角を取ってはいけない事が判明すれば、先手角の軌跡は着手筋条件で容易に見えました。「8手目」の文字が無いと余詰みがあるのかと探ってみましたが分かりませんでした」

■8手目以外でも小駒を取ることは難しいので、"後手は小駒を取った"でも成立しそうです。ただ、出題では"8手目"に指定手を指したことで限定してます。解答者に優しい作者の配慮でしょう。

小木敏弘 「飛車を取って92にはっての開き両王手の筋かとおもいきや、小駒を取る?飛車打ちの場所作りの角不成が条件ともなっていました」

はなさかしろう 「▲7六歩△3四歩▲2二角不成△7四歩▲4六角△4二玉▲8二角不成△5一金右▲9二飛△5四歩▲6四角不成までに誘われましたが、小駒を取れず。次に狙ったのは76の歩と、勘の悪いこと甚だしく、こけつまろびつ解きました」

■着手筋がばらばらで2,6,7、8、9筋が入っていると両王手の筋に誘われますね。8手目の指定で両王手では詰まなくなりました。

孔明 「▲2二角不成から角打ちの順は後手に小駒を取らせるのが難しく▲4四角~▲6二角不成も▲6二角不成が王手なので8手目に小駒を取ることができない。ということで▲6六角~▲9三角不成にはすぐにたどり着けたんですが、▽9三桂と桂馬を取らせる手を発見するのに時間がかかり悩みました。小駒を取らせるということがないと▲9八飛~▲6四角不成の両王手の詰みがあって
こちらの手順に読みを引きずられました」

山下誠 「9三桂がひらめいてからは、一瀉千里。8手目の条件がなければ、面白い両王手の詰み筋がありそう」

占魚亭 「4筋の着手に大苦戦。角の軌跡が分かれば、詰み形が一発でイメージできたのですが……」

■8手目小駒を取る手から入って角を取る手がないことに気づくかどうかが第一の鍵。そして9筋で取った桂を4筋に打つのがもう一つの鍵。なかなか予想し難い想定外の展開でした。

NNN 「94 83 61の角ルートからの頭金をイメージしましたが違いました。最後に2筋、4筋というのが意外でした」

■角を取って9筋に打つのが通常考えるルートですが、意表の"飛桂"の筋でした。

金少桂 「6~9筋の着手が1回ずつあるので、76歩~66角~93角~82角の一連の手順と8手目99角生が第一感で予想通り・・・なんだけど、残り2筋と4筋の着手でどうやって詰みに結びつけたものかがわからず、きっちり76歩、34歩、22角生~の罠にもきっちり嵌って、0時に就寝してベッドの中で考えてたら、ようやく解けたときには午前3時を回っていた」

■第一感を信じるのが正解です。

DD++ 「小駒取りなので22角はできず、また四姉妹結局アシストしかできない、と考えるとかなり形は限られますが、そこでうっかり『小駒を取りに来た角を取って▲25角まで』とか考えだすと桂馬が全く見えなくなります」

■25角!を考えますか。流石にDD++さん凝り過ぎでしょう。

加賀孝志 「2度目のヒント大助かり」

飯山修 「2,4,6,7,8,9で詰ます手順はいくつもあるがどれも8手目の小駒を取るのが不可能。一時は"小駒を取ろうとする手"(74歩->75歩)の間違いかなどと思ったがそんなハズはないので、おもちゃ箱特有の直前ヒント待ち定跡を決め込みました。直前ヒントが8手目香取りだけだと相変わらず苦戦したと思いますが、2筋飛打ちの大甘ヒントでようやくたどり着きました。美野樫9兄妹シリーズ中最高傑作と思います」

■ヒント大いに活用ください。2筋と4筋だけの3手詰は珍しい形です。

S.Kimura 「ヒントを見ても,詰み形が分からず,93で桂馬を取らせることを思いついて,ようやく収束が見えました。『8手目は小駒を取る手』という条件は,10手目にこれを打つことを暗示させ,実際,後手に香車を打たせて,飛車単騎詰にすることを考えていたので,してやられました」

■41飛までの単騎詰を目指すには受け方の手が2手ほど足りません。

桝彰介 「二段目に飛車を打つ手は衝立(ついたて)将棋で良く生じる手筋ですね」

■そっと詰めろを掛けるのは、衝立将棋とそっくりです。

たくぼん 「飛を取る前に桂を取るとは。ヒントの巧みな技に苦笑いです」

■桂を取る手ぐらいは発見していただかないとネ。

隅の老人B 「成れる処で成らないのも一器量。それが3回、三器量?」

渡辺 「妹達が御膳立てして兄達が詰めた格好ですね。8手目の小駒取りが悩ましい。角取りならいくらでもあるのだが。その解決だけの為に頭金は諦めて34歩、99角生と詰と無関係に2手消費しないといけない」

■兄妹の活躍ぶりに貴重なコメントありがとうございます。
美野樫9兄妹シリーズも手順が難しくなって余裕?がなくなったせいか兄妹の会話や動向についての感想が少なくなったような気がします。


正解:18名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  小木敏弘さん  斧間徳子さん
  加賀孝志さん  金少桂さん  孔明さん  小山邦明さん  隅の老人Bさん
  占魚亭さん  たくぼんさん  DD++さん  はなさかしろうさん  Pontamonさん
  桝彰介さん  山下誠さん  渡辺さん


総評

斧間徳子 「今月はやさしめの選題で夏向きでした」

隅の老人B 「8月下旬、日中はまだまだ暑い。それでも朝晩は少し涼しくなりました。で、早朝に起床で推理将棋を考える。約、3日間で3題を攻略? たぶん、これが正解だろうな、です」

■夏向きを意識した訳ではありませんが、難度そこそこ、解答者数も20名越えてほっとしています。それでは秋の夜長には難解作に取り組みましょうか?

はなさかしろう 「このところ9手が豊作ですね。かなり悩ましいです。次回は第94回の94問題、楽しみです」

■9手詰は奥が深い。94回の9手詰5題も大いに楽しんでください。

桝彰介 「前回は、忙しくて応募するのを忘れていたので連続解答記録が途絶えました。また、今月から解答を続けていこうと思います」

■うっかり記録が途絶えたのは残念ですね。今月からまた連続をよろしくお願いします。

諏訪冬葉 「今回は初級が解けなかったので中級のみの解答とします」

■1題だけの解答でも、感想だけでも大歓迎です。

S.Kimura 「それにしても美野樫9兄弟は強いですね。どこまで快進撃が続くか楽しみにしています」

■進撃、まだまだ続きますよ。

DD++ 「美野樫家はやっぱり上級を占拠する形になりますね。逆に今在庫不足気味なのは 10~11手くらいの中級かな?」

■ご指摘のとおり10~13手くらいの手頃な問題が不足気味です。手数は問いませんのでご投稿をよろしくお願いします。


推理将棋第93回出題全解答者: 21名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  小木敏弘さん  斧間徳子さん
  加賀孝志さん  金少桂さん  孔明さん  小山邦明さん  隅の老人Bさん
  諏訪冬葉さん  攻めダルマンさん  占魚亭さん  たくぼんさん  DD++さん
  はなさかしろうさん  変寝夢さん  Pontamonさん  桝彰介さん  山下誠さん
  渡辺さん

当選: 小木敏弘さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。

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コメント

>8手目以外でも小駒を取ることは難しいので、"後手は小駒を取った"でも成立しそうです。
不成立です。4手目に歩を取る手順があります。問題の条件はしっかりとぎりぎりのところで限定されています。
26歩、34歩、86歩、77角生、同桂、62玉、96角、64歩、41角生、72玉、63金

投稿: 渡辺 | 2015.10.04 23:53

ご指摘ありがとうございます。26歩~77角生は全く気がつきませんでした。

投稿: NAO | 2015.10.08 02:50

「美野樫」という苗字には何かの意味があるのでしょうか?(三捨利警部=ミステリ警部、みたいな意味で)検索しても主にひっかかるのはここの推理将棋なので分かりません。「見逃し」でもないだろうし...。

投稿: 渡辺 | 2015.10.16 09:13

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