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推理将棋第95回解答(3)

[2015年12月2日最終更新]
推理将棋第95回出題の95-3の解答、第95回出題の当選者(桝彰介さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第95回出題  推理将棋第95回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


95-3 上級 チャンプさん作 美野樫9兄妹の一局(その9) 18手

健一「よしよし次は誰で行くかな」
九美「なぁ健にぃ、ウチ一人でやってみたらダメかなぁー?」
健一「九美ひとりでか?」
七海「わたくしからもお願いします・・・」
八重「やるからには勝ちなさい」
六実「うんうん、ちゃちゃっと倒してきて~九美ちゃん」
隆二「兄ちゃんたちも応援してるぜ」
九美「うん、がんばってみるよぉー」

・・・対局開始・・・

九美「ウチの後手だねぇー」
九美「ふぅーんキミはイキナリ飛を動かすんだぁー」
九美「あ、7手目から同と付く手が3回続いたねぇー」
九美「これで詰みかなぁー?18手で終わっちゃったねぇー」
九美「最後の角の手までウチ小駒ばっかり指してたなぁー」
九美「成る手も不成の手も無かったのは珍しいかもねぇー」

圭五「マジかー!九美ってあんなに強かったっけー?」
四郎「実は今回に向けて九美が一番練習してきたんだよね」
源三「知らんかったわ、わしとは意気込みがちゃうな・・・」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 18手で詰んだ
  • 後手は9筋の着手のみ
  • 初手は飛の着手
  • 7~9手目は同と付く着手
  • 成る手も不成の手も無かった
  • 最終手の角が後手唯一の大駒の着手

出題のことば(担当 NAO)

 成も不成もダメ。9筋での小駒の活用法を推理しよう。

追加ヒント

 初手78飛。後手は10手目に94歩と打った後、角香を取る。


Suiri953 推理将棋95-3 解答  担当:NAO

▲7八 △四歩 ▲7六歩 △五歩
▲7七角 △六歩 ▲ 歩 △ 香
 香 △四歩 ▲9五角 △ 歩
▲6八玉 △六歩 ▲7七玉 △七香
▲8八玉 △ まで18手

(条件)
・後手は9筋の着手のみ
(94歩~95歩~96歩~96同香~94歩~95同歩~96歩~97香~99角)
・初手は飛(▲78飛)
・7~9手目は同と付く着手(▲96同歩 △同香 ▲同香)
・成る手も不成の手も無かった
・最終手の角が後手唯一の大駒の着手(18手目Δ99角)

美野樫兄妹シリーズの9問目は、九美が一人で9筋の端攻めで勝つ将棋。一人指しは、八重(89-3)、圭五(92-2)に続いて3局目ですね。成る手も不成の手もないので、指し手が限定されます。18手の長手数のため上級の出題ですが、手数が長い割には易しく、難度は中級クラスです。

"成る手"も"不成の手"もないので、敵陣に入る手と敵陣の駒を動かす手がないことがわかります。ただ、敵陣に打つ手は許されていることに注意して詰み形と手順を推理しましょう。

  1. 7手目~9手目は同の手が3手続く。7手目に"同"で歩以外を取る手はなく6手目は歩。Δ96歩かΔ95歩だが、Δ95歩▲同歩Δ同香の筋は先手の手が足 らず失敗。よってΔ96歩 ▲同歩 と進める。初手から9手目まで「▲XX飛 Δ94歩 ▲XXXX Δ95歩 ▲XXXX Δ96歩 ▲同歩 Δ同香 ▲同香」

  2. 最終手は角。9筋着手だけでは居角の22角は使えず、最終手は角打ち。角は成りも不成も絡まない9筋=95地点で入手する。先手は▲76歩~▲77角~▲95角と協力する。3手目以降「▲76歩 Δ95歩 ▲77角 Δ96歩・・・▲95角」

  3. 後手の10手目。駒を動かすΔ93桂は後手の手が足らず失敗。残りは歩を打つ手。94歩から角香を入手する。10手目以降「Δ94歩 ▲95角 Δ95歩 ▲XXXX △96歩・・・△XX角」ここまで、後手は14手目△96歩で角香を入手した後、16手目と18手目(角打ち)の2手が未確定。先手は保留手を含め、初手(飛), 13, 15, 17手目の4手が未確定。

  4. 詰形の推理。最終手9筋角打ちで詰む形は8筋玉に斜め下方から角打ちの筋があり、角を香で支えるので効率がよい。未定の13, 15, 17手目は8筋への
    玉移動に当てると詰形は"86玉に97角", "88玉に99角"のいずれか。前者は退路が多く失敗。後者は▲78飛~▲88玉-△97香~△99角の形がぴったり。初手は▲78飛に決定。13手目以降「▲68玉 △96歩 ▲77玉 △97香 ▲88玉 △99角」まで。

選ぶ手は限られているので条件に導かれるように解ける解答者に優しい中編の良問でした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

チャンプ(作者) 「9回目にちなんで九美(9筋)が主役の回です。手順前後回避のため、やや条件が多くなっています。詰みに向かう4手は結構面白いかなと思ってます。難度は手数のことも考えると上級でしょうか」

のくせに 「条件が厳しいので手が狭く、最終形もこれしかないので、手数の割には上級感がなくあっさり解けました」

小木敏弘 「ヒントが多くありがたい。角を取る場所が限定でき、詰み形がだいたい予想されました」

桝彰介 「このシリーズは、1人指しの方が手が限られるので優しい感じがします。トドメが角打ちが大きなヒントで、詰め上がりがすぐ浮かんだので95-1より先に解けました」

S.Kimura 「後手に角を取らせる手順に気づいたら,意外と簡単に解けました」

攻めダルマン 「条件から詰上がりが見えた。手順は面白いと思うが条件を何とかしたい感じ」

NNN 「上級というにはやや易しい感じはしました。(9筋条件が厳しいため手の選択の幅が狭いからでしょうか?)とはいえ難易度設定の問題なだけで、このとても面白い手順が私は大好きです」

隅の老人B 「初手が決まれば、後はスラスラ。意外と易しいが、手順が長いので上級。予想通りの最終手でした」

■多い条件がそのままヒントになったので、難度は中級クラスでしたね。

斧間徳子 「初手の飛の位置を限定するには78飛しかなさそうで、しからば88玉を99角打で仕留める最終形が見えてくる。詰パラ10月号のNo.271(16手詰)とよく似た詰み形なので思いつきやすい」

はせ次郎 「詰めパラ10月号の問題がヒントになって解きやすかったです。ヒントから初手は78飛、角は77~95。玉は飛車を乗り越えて88へ。香の筋で99角までの詰み上がりが見えました。あとは指し進めて見事正解!」

■詰パラ271番とは88への玉の軌跡が同じでした。

渡辺「これは論理的に詰形と手順が推理できる良問です。前半はまぁまぁ普通の手順、後半の先手の手順は九美ちゃんの魔眼が働いたか。

条件から後手の9筋以外の歩と22角は釘付けなので、最終手は角を打つしかなく
その角の入手場所は95しかない。よって先手76歩、77角、95角は必須。詰形も88玉99角が最も先手の手数が少なくて済む。よって78飛、68玉、77玉、88玉が必須。あと、条件から2手の9筋の同の手が必須でこれは96同歩、96同香しかなく、以上から先手の手は下記となる(*68玉の手順は76歩の前から95角の後まで可)。
78飛、76歩(*)、77角(*)、96同歩、96同香、95角(*)、68玉(*)、77玉、88玉
7手目96同歩となるためには、6手目まで歩突きで8手目は96同香しかない。
78飛、94歩、?、95歩、?、96歩、同歩、同香、同香、…ここで後手は歩しか持駒がなく9筋に移動可能な有効な駒がない(桂は無意味、飛は条件違反)
ので、歩で角香を取る必要がある。すると、後手の残りの手は94歩、95歩(角取り)、96歩(香取り)、97香、99角しかなく、先手は12手目の95歩より前に95角とする必要があり、先手の68玉は95角の後に確定。これですべての手順が確定する」

■ロジカルな推理順を披露していただき感謝。条件が厳しいので推理には種々のアプローチがありそうです。

DD++ 「初手の飛車振りが玉移動の邪魔になりそうなのを回避すること、76歩のタイミングが手順前後しそうなのに限定条件がないこと、あたりを考えれば作意を発見するのは手数ほど難しくないんですが、完全性の検討は大変」

■引き継ぎ前に十分に検討いただき助かりました。

はらたっと 「成も不成もダメという条件で97より下の着手はないと勘違いをして時間がかかりました」

■7段目も9段目も打つ手はOKですから。勘違いに注意。

Pontamon 「成も不成もダメなので敵陣への着手は無いと思い込むのは罠だと警戒しつつ、詰み形から考えました。77玉に▲86香や88玉に▲78香など退路塞ぎの香打ちの形がありますが、初手飛では手数が足りない。香を使わずに初手78飛でも玉が77を経由して88へ来る手がありました」

■77玉を詰ますには、初手の飛が遊び手になり、先手の手が不足しますね。

はなさかしろう 「解図の手掛かりに使う条件が多いので枠組みを捉えるまでに時間がかかりましたが、同の条件と、角は95で取らせるしかないということが強い制約。玉位置は本命77対抗86でしたが、なるほど、初手飛を活かせるのは88ですね」

諏訪冬葉 「"▲93桂▲94香▲97角","△86玉△76歩△77桂"という詰み型が浮かんでしまったが実現できなかった。飛車はそう使うのか・・・」

■△93桂▲77桂とすると手が足りず、86玉には届きません。

占魚亭 「角の取り方と詰み形に大いに悩まされました」

小山邦明 「最終手は99角打と予想できるのと、7手目と9手目に『同』が付くには後手の歩をのばす必要があるので、選択できる手がかなり限られている印象でした」

孔明 「初手が飛車なので7~9手目は9六の地点しかなく、また敵陣に駒を進めれないので角を取らせるのは9五しかないので手順は簡単でした。最後の角打ちの場所でちょっと悩みました」

■99以外の打ち場所の候補は98,97などありますが、18手では不足です。

まさ 「初手飛で詰み形が見えるのと、7~9手目の縛りが厳しいので殆ど考える所はない、易しい中編啓蒙作」

くるぼん 「玉の位置および詰み形がまったく浮かばず大苦戦。ヒントで78飛の必然性を考えたらとけました」

波多野賢太郎 「初手の飛車の着手が重要なポイントだと思いつつ、最初は意味が分からず悩みました。この詰み形が閃いて、なるほどなあと思いました。18手の長手数でしたが、条件がたくさんあったので思っていたよりは難しく感じませんでした」

■初手は保留しておいて、詰形が決まってから78飛が確定します。裏読みで初手78飛が指せればあっさり解けます。

加賀孝志 「ストレート最短探し」

山下誠 「10手目9四歩のヒントで、角を渡す絶妙の手段にやっと気付きました。後半、墓場へと向かう玉の動きがピッタリ間に合っています」

飯山修 「長手数の割に指手が限定されているので同の3連続をどうするか推理する問題。結局遊び手がないスッキリした作意となった」

たくぼん 「ぴったりと手順が18手に収まることに様式美を感じます」

■解いてみれば、詰みまで一直線でした。

変寝夢 「プラス条件13,15,17手は玉、11手目終了時に95角がある、12手目は角取り、で30万局面20秒です。終盤の玉の動きの限定と78飛の条件付けの呼応が絶妙」

■18手となると計算も大変でしょう。

金少桂 「条件の多さと18手という長さに一瞬面食らうけど、9筋条件の縛りがきつく、最終手角と成生なし条件から95で角を受け渡されることがわかる。
後は考える前にとりあえず駒を動かしてみたら自動的に詰んでしまった。手数こそ長いけれど、初級か中級でいいと思う。ところで、九兄妹シリーズもついに9試合目ですね。いったいどれだけ大規模な大会なんでしょうか(笑)」

■まだまだ続きますよ(笑)続編をお楽しみに。


正解:28名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  加賀孝志さん  くるぼんさん
  小木敏弘さん  斧間徳子さん  金少桂さん  孔明さん  小山邦明さん
  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  攻めダルマンさん  占魚亭さん  たくぼんさん
  DD++さん  のくせにさん  はせ次郎さん  波多野賢太郎さん  はなさかしろうさん
  はらたっとさん  変寝夢さん  Pontamonさん  まささん  桝彰介さん
  山下誠さん  RINTAROさん  渡辺さん


総評

波多野賢太郎 「ちょっとお休みをしていましたが、今回から再び参加します。推理将棋はやっぱり面白いです。九兄妹シリーズがまだ続いていてちょっと嬉しかったです。また、2番のような10手以上で条件が限りなく少ない作品にも今後期待したいです」

まさ 「解図意欲をそそる条件の作が並んでいたので久々に解答します。どれも易しくて良かったです」

はらたっと 「ご無沙汰しております。1年ぶりに3問期限内に解けましたので回答送ります。来月も頑張りたいと思います」

■久々解答のみなさま、お帰りなさい。今後もよろしくお願いします。

飯山修 「前より早く解けるようになったのはうれしいが、『推理将棋脳』に変化していると考えると恐ろしい」

■独善の読みが冴える推理将棋脳。指し将棋の棋力は角一枚弱くなること間違いなし。

はなさかしろう 「中級の6手目までは自作11手で使ったことがあったことに解いてから気付いたのですが、見返したらそれは5年以上前のこと。忘れっぽくなった原因はいろいろなのでしょうけれど、最近はもう、5年経ったら仕方ないか、という感じです」

■自作手順を忘れてしまったら、もう一度推理を楽しめるということです。

斧間徳子 「今月は95-2が一番難しかった」

小木敏弘 「ヒントによって難易度が左右される部分があると思いました」

孔明 「2と3は条件だけ見ると解きにくそうでしたが実際解いてみると意外と簡単でした」

渡辺 「今回は2が自作なのと3が楽だったので早めに解答を送れます」

桝彰介 「95-1と95-3は、ヒント前に解けました。少しずつ、推理のポイントが掴めてかた気がします」

はせ次郎 「今回は、ヒント前の解答でうれしいです」

Pontamon 「2ヶ月連続で総評を書き忘れていました。
上級は手数は長くても、各駒 種の着手は限られるので、あっさり解けましたが、中級は"と金"を成駒で取る最短手順を探索しなければいけないという苦行になりました。(解図方針を誤ってしまった自業自得なのですが)13手なら、先手や後手の"と金"を成駒で取る手順を沢山見つけ、その一つから11手詰作品を作れたのがせめてものの収穫です」

隅の老人B 「11月の中旬、久しぶりに今日は雨。外出が出来ない暇な爺さん、こんな時には推理将棋を考えよう。3題が解けても雨がまだ降っている。さて、この次は何をしようかな、です」

変寝夢 「今月は締め切り前ヒントで助かりました。バグも一つ消すことが出来たのでラッキーです」

たくぼん 「今月は易しめでよかったです」

諏訪冬葉 「ヒント前に解けていたのに気付いたら締め切り前日でした」

■易しめの選題で、解答者数更新できました。ありがとうございます。

DD++ 「そろそろ回数は3桁の大台が見えてきましたね。特集作の募集もずらり。第100回は作りやすそう、対して第101回は大変そう……」

■年賀詰と特集作、ご投稿よろしく。


推理将棋第95回出題全解答者: 28名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  加賀孝志さん  くるぼんさん
  小木敏弘さん  斧間徳子さん  金少桂さん  孔明さん  小山邦明さん
  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  攻めダルマンさん  占魚亭さん  たくぼんさん
  DD++さん  のくせにさん  はせ次郎さん  波多野賢太郎さん  はなさかしろうさん
  はらたっとさん  変寝夢さん  Pontamonさん  まささん  桝彰介さん
  山下誠さん  RINTAROさん  渡辺さん

当選: 桝彰介さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。


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