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推理将棋第98回解答(2)

[2016年3月2日最終更新]
推理将棋第98回出題の98-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第98回出題  推理将棋第98回解答(1)  (2)  (3)  (4)
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98-2 中級 斧間徳子 作  2016(平成28)年の指し初め局 16手

「昨日の指し初め局は勝ったかい?」
「うん、16手目に28に着手した5回目の王手で相手玉を詰ましたよ」
「へえ、16手目に28の手で詰めたとは、今年の年初にふさわしい一局だね。で、どんな将棋だったんだい?」
「相手は3手目からずっと同じ種類の駒の手を指し続けてきたんだ。そこで猿まねというんじゃないけど、僕も4手目からずっと同じ種類の駒の手を指し続けたんだ。駒を成る手はなかったよ」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 16手目の28への着手で詰んだ
  • 先手は3手目以降、同じ種類の駒の手を指し続けた
  • 後手は4手目以降、同じ種類の駒の手を指し続けた
  • 王手が5回あった
  • 駒を成る手はなかった

出題のことば(担当 NAO)

 5回王手が掛かる手順を推理しよう。

追加ヒント

 先手は初手▲38銀の後、玉のみ動かして39地点で詰まされる。


推理将棋98-2 解答  担当 NAO

▲3八銀   △3四歩   ▲6八   △7七角不成
▲5八   △8八角不成 ▲5九   △5五角不成
▲4八   △3七角不成 ▲3九   △2八角不成
▲4八   △3七角不成 ▲3九   △2八角打 まで16手.

(条件)
・16手目の28への着手(△28角打)で詰んだ
・先手は3手目以降、同じ種類の駒(玉)の手を指し続けた
・後手は4手目以降、同じ種類の駒(角)の手を指し続けた
・王手が5回あった(△77角不成~△37角不成~△28角不成~△37角不成~△28角打)
・駒を成る手はなかった(77~88~55~37~28~37角不成)

Suiri982

年賀詰後半の2問目は、平成28年(2016年)に因んで28地点の着手で詰む16手詰。3手目以降の着手駒が先後とも1種類、かつ、最終手が28地点ですので、手順が絞れ込めます。

  • 玉以外に1手だけ動かして28地点の着手で詰む形は、18香-19玉型か38銀38玉型。前者は玉の19までの移動と、後手が28飛と39銀の2枚を取るのに手数がかかり全く間に合わない。詰型は38銀-39玉型に決定。
  • 着手駒は、先手3手目以降が玉、後手4手目以降が角。玉と角が掛け合って王手回数を増やしながら手順を進めていく。3手目は王手を受けるよう68に移動。初手から「▲38銀 △34歩 ▲68玉 △77角不成 」
  • 38銀-39玉型が詰むには48の退路を塞ぐように37角+28角が形。後手は、角を拾った後最終型の39玉に迫るよう角を2筋方面に不成で展開する:△77角不成~△88角不成~△55角不成~△37角不成~△28角不成~△37角不成~△28角打。
    後手の着手は決定。
  • 後手が王手可能な着手点は77,37,28の3箇所で合計5回。37角と28角が王手となるよう先手玉が動く。5手目から「▲58玉 △88角不成 ▲XX玉 △55角不成」と7手目未定のまま進めると、9手目以降「▲48玉 △37角不成 ▲39玉 △28角不成 ▲48玉 △37角不成 ▲39玉 △28角打」が先に確定する。7手目は▲59玉に決定。

3手目以降の先手玉と後手角の掛け合いが面白く、移動を小休止する7手目▲59玉の味と▲48玉~▲39玉の往復運動が楽しめる中編の好作品でした。

それでは皆さんの短評をどうぞ。

斧間徳子(作者) 「年賀詰らしく易しい問題です。16手詰が本作だけだったのは意外」

■8作中唯一の16手詰でした。着手駒種が少なく16手でも短く感じますね。

小木敏弘 「同じ駒を動かし続けるのは大好きです」

孔明 「条件から先手は玉、後手は角を動かすしかなく、あとは5回の王手のために手順を工夫するだけで簡単でした」

S.Kimura 「王手の回数が多いのと駒成がなかったので詰み形が想像しやすかったです」

RINTARO 「詰み上がり図が容易に想像できるため、易しい」

加賀孝志 「ヒントで手を伸ばす手順を発見」

■後手の着手がすぐ決まり、手数の割に易問でした。

小山邦明 「28角の打ち場所をうまく作り出す巧妙な条件で見事な年賀作」

占魚亭 「18香の筋を追って躓きました」

Pontamon 「後手は生角2枚での攻めが確定なので、そこから予想した雪隠詰めの初手18香に引っ掛かりました」

山下誠 「初手が全て。1八香と3八銀にあたりを付けました」

まさ 「38銀か18香の2択。極めて易しく条件も2016年(平成28年)にぴったり。年賀向け秀作」

■初手▲18香は飛と銀が邪魔で間に合いません。

桝彰介 「玉方取禁のフェアリー詰め将棋のような、取れる4回の王手を全て取らず、最後に討ち取られる玉がユーモア」

渡辺 「これも手なり。難しそうに見えて実は最後に解きましたが、解き始めると一瞬でした。玉の軌道が複数ありそうですが、パリティが効いていて実は一意になっているあたりがまるでチェスのプルーフゲームのようです」

波多野賢太郎 「この条件ならこの詰上がりしかないとわかったので、どの駒種が続くのかと初手、2手目はすぐにわかりました。王手5回の条件で角と玉の動きがうまく限定されているなあと思いました」

たくぼん 「先手王の移動を見事に限定させていますね」

DD++ 「よくこの玉軌道が限定できたもの!」

NNN 「詰め上がり予想ができたので、意外とすぐ解けました。うまく玉の手が限定されているのですね」

■前半の68~58~59~48の玉移動が巧みの技。

変寝夢 「ソフトと二人三脚でした。プラス条件としては2手目4手目6手目10手目を指定して73万局面46秒でした。7手目59玉の構想に痺れました。これはやってみたい筋でしたね」

隅の老人B 「7手目の59王が巧妙な応手。7度の角生も面白い」 

はなさかしろう 「個人的には今年の年賀推理将棋の白眉にして最難問。これしかない詰形なのに、角打ちで詰ますことができることになかなか気付きませんでした。59での手待ちを含む玉の軌道がこの条件で一意に決まるというのは本当に素晴らしいと思います」

■急げば回れ。7手目▲59玉は1手パスと同じ。▲48玉を急ぐと10手目の△37角不成にタイミングが合いません。

諏訪冬葉 「28飛車は最終手で取るものとばかり思っていました」

■一旦飛を取った角がどいて角の打場所をつくります。

飯山修 「年号=手数の問題は年々長くなる事を考えるとこの辺で終わりにしてほしいです」

■来年はどうでしょうか。11手詰メインに戻るのかどうか。"29着手で詰む17手詰"なんて作るのも解くのも難しそうですね。


正解:22名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  斧間徳子さん  加賀孝志さん
  孔明さん  小木敏弘さん  小山邦明さん  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん
  占魚亭さん  たくぼんさん  DD++さん  波多野賢太郎さん  はなさかしろうさん
  変寝夢さん  Pontamonさん  まささん  桝彰介さん  山下誠さん
  RINTAROさん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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