推理将棋第101回解答(3)
[2016年5月28日最終更新]
推理将棋第101回出題の101-3の解答、第101回出題の当選者(隅の老人Bさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第101回出題 推理将棋第101回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
101-3 上級 NAO 作 ダンシングクイーン 10手
「70年代の洋楽がBGMとは懐かしいね。将棋の調子はどうだい?」
「おかげさまで右へ左へ軽やかなステップを踏んで10手で詰ませたよ。隣り合う2つの筋をA、Bとすると着手した筋は『ABBA、ABBA、AB』の順番だったんだ」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 隣り合う2つの筋をA、Bとすると、着手した筋は"ABBAABBAAB"の順番だった
出題のことば(担当 NAO)
隣接する二つの筋だけで詰む形を推理しよう。
追加ヒント
初手76歩。
推理将棋101-3 解答 担当 NAO ▲7六歩 △6四歩 ▲6八玉 △7二金 (条件) |
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本作は、隣り合う2つの筋に双方とも交互に指す10手詰です。攻め方が2つの筋を交互に指していってどんな詰み筋があるのか?大駒の活用が難しいことに気がつくのが解図の近道になります。
- 先手はABABA、後手はBABAB
双方ともに隣合う筋を交互に指す。攻め方は大駒を捌くのが難しいのでく小駒の活用を図る。後手は二つの筋を使って5段目まで金駒を進出できるので、5段目の金で詰むよう先手は玉を中段に移動すればよい。玉金の移動が可能な隣り合う2つの筋は(3,4)筋、(4,5)筋、(5,6)筋、(6,7)筋のいずれか。
- 5段目の金で詰む形
6段目に進出した先手玉を5段金で詰ますには、玉の斜め下が埋まっていないといけない。歩頭の6段玉を寄る手は三つ目の筋となって指せないため、玉の通り道の7段目を1手で埋める。3~7筋で7段目に1手で指せるのは37桂、77桂、77角のいずれか。すなわち、36歩~46玉か76歩~66玉。頭金で詰む形だが、37桂や77桂が入ると玉頭に効きが生じる。よって、76歩~66玉~77角型に決定。
A=7筋、B=6筋。後手は65金が頭金となる形を目指す。
初手から「▲76歩 △64歩 ▲68玉 △72金 ▲77玉 △63金 ▲66玉 △74金」
玉の斜め下を角で塞いで頭金で詰み。9手目から「▲77角 △65金」まで。
玉と金の軽やかなステップが楽しめる一局でした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
NAO(作者) 「原案は『先手も後手も、先後共通の隣り合う二つの筋のみで(自分の手番で)交互に筋を変えて着手し続けた』でした。こちらの方が紛れが広い("ABBA ABBA AB"のほか"AABB AABB AA"もあり)のですが、表現がイマイチ。ちょっと判りにくそうなので、ABと並べたらABBAが出現して、玉金のダンスが活きました」
渡辺 「条件を見て中段玉に頭金を決め打ち。30秒でした。これは100回向けでも良かったかもとも思いますが、金の出動を考えなければいつまでも解けないでしょうね。(後日、コメント追加)今気付きましたが、パラ4月号の288と6筋8筋が違うだけですね。こんなに見た目の違うになるとは...」
斧間徳子 「ユニークな条件が面白い。パラ4月号を解いたばかりなのですぐに解けました」
■おもちゃ箱に出題した後に、詰パラ4月号を解いて、あれっカブってしまったかと一瞬思いました。が、条件がまるっきり違うのでこれもアリですね。
Pontamon 「隣合う筋の着手を2回と3回の計5手しかないとなると、大駒の出番は無く、金の出陣が見えました。77角の絶妙なタイミングと役割が素晴らしい。ダンシングクイーンをググったら1976年の曲なんですね」
DD++ 「9手目と10手目の7筋6筋が余っているように見えて、実はダンシング・クイーンのリリースは19"76"年である、まで答えてやっと完全作意解と睨みますがどうしょう」
■単に9手目、10手目のABは余ってしまいました(笑)。70年半ばと覚えていましたが、'76年とは知りませんでしたので。それよりも76年リリースに合わせて"初手76歩"とは出来過ぎですね。同じく76年リリースの"マネー、マネー、マネー"とするタイトル案もありました。金を多く使う手順ですので。
原岡望 「問題文に感服」
波多野賢太郎 「ABBA(アバ)で『ダンシングクイーン』が"うまいっ"と思いました。大駒の方が早く玉に迫れるのかと思いましたが、全然うまくいかず、桂吊るしもダメで、けっこう悩みました。ダンシング金とは意外でした」
はなさかしろう 「ABBAのダンシングクイーン、音楽に疎い私でも覚えてます。初演奏は王様の結婚式だったんですね。本題はダンシング玉(キング)&ダンシング金ですが、第一感で幸いするする解けました。ところで、AとBが隣でない手順は...今のところ見つかりませんが、さて」
変寝夢 「320万局面2分半でした。駒の軌跡が美しいですね。玉と金がステップを踏んでいるように見えてしまいました」
小山邦明 「ダンスに最適な駒は玉と金ですね」
たくぼん 「筋が決まれば一流れ。右へ左の軽やかなステップが大ヒントでした」
占魚亭 「玉と金の軽やかなステップがいいですね。すぐに詰み形をイメージできたので、すんなり解けました」
■ダンシング・クィーンならぬ、ダンシング・キーング&キィーンでしたか。
山下誠 「出動する駒が金と分かるまで随分時間を要しました。それにしても愉快な条件で、楽しめました」
RINTARO 「金を使うことに気づけば解決」
加賀孝志 「筋を考えながら解く、楽しい企画でした」
飯山修 「この詰み形は2列だけで成立していることを覚えていたので試してみるとコレだー」
■金に気がつくまでは上級という狙い。頭金の詰型を知っていれば初級問題です。
諏訪冬葉 「ヒント前:初級・中級が解けていないので『3,4筋で角を使うのかな』と漠然と考える。ヒント後:大駒が使えなさそうなので小駒の活用を考えました。ヒントを見てから回答にたどり着くのにかかった時間より、問題を見てタイトルにたどり着くまでにかかった時間のほうが長かったと思います」
ジェシー 「なるほど、左右逆ではダメなのですね」
金少桂 「3,4筋を使う順を本命で考えてたっぷり苦しみました。これは追加ヒントのおかげで解けました。普段なかなか出番のない自陣金だけど思っていたよりは意外と足が速いのですね」
■筋のいい方は、後手が角を使えそうな3,4筋にまず手が伸びます。が、本線は先手の角が使える6,7筋でした。
NNN 「答えが分かってみて意外と時間が掛かってしまったなと思いました。一瞬で解けた人もいそうですね。この手順をうまく一条件にしていて上手いと思います」
隅の老人B 「A筋が7筋ならB筋は6筋と決めて、ゴチャゴチャと駒を動かす。偶然に正解?手順に到達。下手な鉄砲でも偶には当たりますね」
小木敏弘 「桂や大駒を使う筋をいいだけ考えて、王様の一人旅になかなか気がつきませんでした」
S.Kimura 「詰み形が分からず,途方に暮れていました。飛車や桂馬を使うことばかり考えていたため,金を移動させることに思い至りませんでした」
桝彰介(無解) 「7八の玉を6二飛と連携させて6七歩成までの詰みを考えていましたが、分かりませんでした」
■大駒が使えないことにいかに早く気づくどうか。意外にも飛車は使えず、金の出足は速かったのです。
正解:23名
飯山修さん S.Kimuraさん NNNさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん
金少桂さん 小木敏弘さん 小山邦明さん ジェシーさん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん DD++さん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん 原岡望さん 変寝夢さん Pontamonさん 安井豊さん
山下誠さん RINTAROさん 渡辺さん
総評
DD++ 「1条件を3題並べて余詰なし、すばらしい。丁寧な検討の賜物ですね」
斧間徳子 「今月は、101-3が一番簡単でした。先月に続いて、渡辺さんのハイレベルの短編2題に堪能しました」
RINTARO 「渡辺氏の作風好きだな。今月は全て暗算で解けました」
渡辺 「今回は実質1問が易しかったので一瞬でした。」
■渡辺さんから希少な1条件作品を2題いただき、特集が組めました。
波多野賢太郎 「今回も好作目白押しでとても楽しかったです。たかが10手といえど、なかなか考えさせるなあと思いました。一条件で完全限定手順というのは、作るのが大変だと思いますが、また一条件特集を楽しみにしています。
100回記念で当選、本当に嬉しかったです。ありがとうございました」
Pontamon 「10手1条件特集、楽しめました。1条件の作品は狙っては作れませんよね?初級のように特殊状況なら可能かもしれませんが、そんなに数があるとは思えないし、第一、2600万手順くらいありそうな10手詰めで余詰みを避けるのは難しそう。中級・上級のように条件文を捻り出すものが多いのかな?」
■後日、Pontamonさんから10手詰が4200万以上の手順があることを教えてもらいました。101-1では、4200万手順のうち最終手75飛がたった1手順とは凄いですね。
変寝夢 「10手ともなると相当読みの量が増えますね。ここら辺りは中編のように思ってしまいます」
■玉方の先手が5回着手できるのが大きいですね。
S.Kimura 「1条件だと考えやすかったのか,私にしては珍しく,ヒントが出る前に解けました.しかし,今回の問題に,解答者の世代テストが入っているような気がするのですが・・」
■'60年代生まれの担当からの出題。世代テストの答えが直ぐわかる同年代か、全く判らない若手か、Kimuraさんはどちらでしたか?
飯山修 「毎月このくらいのレベルだと嬉しいです」
はなさかしろう 「第100回と合わせて5問、10手詰1条件を堪能しました。初級の2題が難しかった。今回は王道のストレート、前回はチェンジアップで翻弄された感じです。私にとって難しい初級のパターンというのがあるのかな、と思ったりしています」
隅の老人B 「5月18日、デジカメ持参でバラ園へ。帰宅後、解けてない『101-2』に再度の挑戦。苦戦の約1時間で正解?手順に到達。解ければ『なぁ-んだ』、これは何時もの科白です。」
原岡望 「ヒントで一気に解決へ」
占魚亭 「なんとか全部解けました。10手1条件はきついですね(汗)」
桝彰介 「2ヶ月連続で無解かと思いましたが、ギリギリで2問分かりました。1条件は具体的な手順が示されず苦労しますが、飛車や香車は短手数で使う手順が限られているので、1条件問題にしやすいのでしょうか」
■1条件は解図への道標が少ない分難しいが、推理を存分に楽しめる点、お得です。担当はヒントの匙加減をどうするか楽しんでいます。
小木敏弘 「一条件の横道にはまる怖さと、抜け出した時の感動を味わせていただきました。先回のあぶり出しには気がつきませんでした」
小山邦明 「(前回の作品の解説を読んで)100-3丁寧な手数の説明ありがとうございました。最初の12金打が私の盲点になっていました。あぶり出しの作品が解けず残念」
■追加ヒントを易しくしても、盲点に入ると解き切るのが難しいことがあります。そのときは結果稿で楽しんでいただきましょう。
たくぼん 「100回出題時にお願いしたお気に入り投票に数名の方からご参加を頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。結果はWFP95号にて発表していますのでご覧下さい」
■Fairy TopⅨ2015へのおもちゃ箱出題作品をご投票いただいた方、ありがとうございました。
推理将棋第101回出題全解答者: 24名
飯山修さん S.Kimuraさん NNNさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん
金少桂さん 小木敏弘さん 小山邦明さん ジェシーさん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん DD++さん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん 原岡望さん 変寝夢さん Pontamonさん 桝彰介さん
安井豊さん 山下誠さん RINTAROさん 渡辺さん
当選: 隅の老人Bさん
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