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推理将棋第101回解答(1)

[2016年5月24日最終更新]
推理将棋第101回出題の101-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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推理将棋第101回解説  担当 NAO

第101回に因んだ10手詰1条件特集。今年最多24名の解答をいただきました。


101-1 初級  渡辺秀行 作   75飛まで   10手

「どうだ!10手目この75飛で詰みだ」
「参りました」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 10手目75飛で詰んだ

出題のことば(担当 NAO)

 75飛で詰む形を推理しよう。

追加ヒント

 67経由で76地点まで玉が進出。


推理将棋101-1 解答

▲6八飛 △3四歩 ▲5八玉 △7七角不成
▲6六歩 △7四歩 ▲6七玉 △6八角成
▲7六玉 △7五飛 まで10手.

(条件)
・10手目△75飛で詰んだ

Suiri1011

本作は、最終手を明かすだけで全手順を限定する10手詰。詰形を76玉に絞り込んで75への飛打ちを目指せば易しいのですが、後手飛車を活用する手順や開き王手がちらつくと迷宮に入ります。

解図は、ずばり先手76玉型に75飛打ちの詰みを目指し手順を構成していきましょう。76玉の退路となる両脇の66と86をどう塞ぐか、飛をどこで入手するかが鍵です。

  • 先手は、先手は玉移動に3手、取らせる位置までの飛車移動が1手。残り1手は玉移動のための歩突き、76歩は突くと邪魔になるので66歩と突いて67地点を空けて玉を移動させる。
  • 後手は、角を活用し飛車を取るため、34歩~77角~飛取り~75飛打ち。他にトドメの75飛を支える手(74歩)が必要になる。また、先手飛車を68角成で入手するが、玉に触らないようタイミングを計る。

以上のことを整理して手順を構成すると、全手順が決定。

  1. 玉移動の前に飛車を68地点に移動。初手から「▲68飛 △34歩 ▲58玉 △77角不成 」
  2. 角が進入した後に先手は66歩と突き玉の進路を開け、後手は予め74歩と突いて75飛の支えを準備し、先手玉が67に上がった後に68角成で飛を取る。5手目から「▲66歩 △74歩 ▲67玉 △68角成」
  3. 予定の76玉型で詰み。9手目から「▲76玉 △75飛」まで。

簡素な最終手1条件ながら、双方歩突きのタイミングを含め手順前後を許さない内容の濃い10手でした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

渡辺秀行(作者) 「初級という程易しくないですね。10手の1条件で易しい問題を新たに作るのはなかなか難しいですね。既発表作ならまぁまぁあるのですが」

■1条件はヒントが少なく難しくなりがちですが、渡辺さんのネタはまだまだ尽きないでしょう。

斧間徳子 「最終手75飛だけですべてが限定されているのに驚き。こんな短編の1条件の名作が未だ埋もれているんですね」

Pontamon 「10手なのに最終手の地点と駒種だけで限定できているとは驚きです」

はなさかしろう 「これは凄かった。個人的には今回の最難問でしたが、シンプルな条件から緊密な手順が導かれ、機能的な詰め上がりに至る、完璧な一問。推理将棋の奥深さを広く伝えるのにも好適と思います」

RINTARO 「最終手のみで完全限定は価値がある」

ジェシー 「この一条件ですべて限定されるとは・・・。推理将棋の美しさが凝縮されていますね」

■簡素条件で唯一解を示す、10手詰1条件出題作として完成品であるだけではありません。たった一つの条件からヒントを探りだして唯一手順を導くプロセスを解答者に体感させて楽しませてくれる傑作でした。

山下誠 「この条件で、玉の軌跡・角の成生などを全て限定していることに感心しました。詰み形を想定するのは、結構難しかったです」

隅の老人B 「たったの1行、それも11文字で手順が確定とは!これより短い条件の作品は、今までにあったのかな?」

■最終手のみ指定の1条件は7手詰以外の発表例がほとんどなく、希少です。

NNN 「後手飛車では手数が足りず、先手飛車でトドメと見切ればかなり手が絞られます。でも確かに易しくはないですね」

飯山修 「最初何故か35飛で詰ますものと勘違いし、27経由の詰みを発見。75飛でも応用できないかと動かしてみたら67経由にすることで飛廻りの1手が稼げることを発見。幸運な勘違いでした」

DD++ 「けっこう悩みました。初級出題であることを思い出すまでは。3筋7筋の飛車トドメ中編は開き王手や両王手の筋が怖いんですよね、初級じゃなかったら」

■通常出題なら中級レベルです。開き王手の筋もちらつきますが、素直に玉頭飛車の詰上がりを目指せば難しくありません。

占魚亭 「最後に解けたのが本作。手の組み合わせが大事」

変寝夢 「追加条件で7手目指了時8段目に玉はいない、10手中8手は5~9筋の着手で4200万局面目で詰みを発見しましたが、余りにも膨大な数になるので打ち切りました。何気ない角と玉のすれ違い、歩突きのタイミング全てが一つに繋がっていて大変面白く感じました」

■角と玉が上手くすれ違うため、手順前後は許しません。

小木敏弘 「66歩のタイミングが絶妙でした。角をすり抜けて上がっていく王様が面白い」

小山邦明 「先手玉を76にどう動かすのが良いかを推理した」

S.Kimura 「先手の飛車を角で取らせると王手がかかって,玉を76に動かすのが難しいかと思っていましたが,77ではなく67から抜ければ良かったのですね」

■68馬が居るのが前提で考えると、76への玉移動は難しいと錯覚しますね。

原岡望 「74歩は絶妙のタイミング」

波多野賢太郎 「成生限定で手順前後なしなら飛車を振るのだろうと予想はつきました。飛車をすぐ取るのではなく、7四歩と先に突くのがうまいと思いました」

■玉が3段目に移動するのをじっと待って力を貯める74歩突きです。

金少桂 「素直に78で飛車を受け渡す順から考えて四苦八苦。68で渡せばぴったり86地点の逃げ道も塞げるのですね」

加賀孝志 「飛をどこでとるか考えた」

■「▲67玉 △68角成 ▲76玉」の応酬が必然で、歩突きのタイミングも決まりました。

たくぼん 「詰上がりを想定すれば見えてくる。68角成でないといけないので手順が見事に限定されるのが見事」

桝彰介 「直前ヒントをもらった後も後手の飛車を7五まで動かす手順ばかり考えて、さっぱり分かりませんでした。先手飛車を取らせた後手馬が玉の全ての逃げ場を塞いでくれました」

諏訪冬葉 「ヒント前:▲65玉▲56歩△39角△75飛で詰めばきれいだと思ったのに手数が足りず断念。ヒント後:67と86を同時にふさぐ方法が見えず苦戦」

■67と86を塞ぐ68馬の効きが強力です。強力すぎるので▲68角成は8手目迄じっと我慢。


正解:24名

  飯山修さん  S.Kimuraさん  NNNさん  斧間徳子さん  加賀孝志さん
  金少桂さん  小木敏弘さん  小山邦明さん  ジェシーさん  隅の老人Bさん
  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  DD++さん  波多野賢太郎さん
  はなさかしろうさん  原岡望さん  変寝夢さん  Pontamonさん  桝彰介さん
  安井豊さん  山下誠さん  RINTAROさん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

▲68馬▲76玉△75飛の詰形が想定できれば、そこから逆算すると良いです。1.飛を剥して後手の持駒に。2.玉を戻しますが77だと馬が戻しにくくなるので67へ戻す。3.馬の王手を外さないといけないので68馬を77へ生で戻す。このときに68に先手の飛が復活。この3手戻しが出来ればここまでの7手は正算でも大丈夫でしょう。

投稿: 渡辺 | 2016.05.25 00:47

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