推理将棋第104回解答(2)
[2016年8月29日最終更新]
推理将棋第104回出題の104-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第104回出題 推理将棋第104回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
104-2 中級 ほっと 作 香龍会300回記念対局 13手
「記念対局を指したんだって?」
「そうそう、僕が先手なんだけど、途中で、僕の香のすぐ下に龍が居る局面が出現したよ。つまり、先手から見てこんな配置だね」
「へえ、珍しい形だね」
「それがさあ、その直後に後手は龍頭の香を取る手を指してきたんだよ。
せっかくの配置を崩すなんて、呆れたよ。まあ、13手目で詰まして勝ったけどね」
「勝ったならいいじゃん。で、盤上に龍があるということは、成る手を指したんだね」
「うん、飛車を3マス移動させて成ったよ。飛成以外の成る手は、先手が0回、後手も0回だった」
「今、ゼロを無理矢理2回使ったね……」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 13手で詰んだ
- 先手は香・龍を縦に並べたが、その直後に龍頭の香を後手に取られた。
- 先手は飛を3マス移動させて成る手を指した。
- 飛成以外の成る手は、先手が0回、後手が0回。
出題のことば(担当 NAO)
香と龍を並べる最短の手順を推理しよう。
追加ヒント
9手目の同飛成で取った香を龍頭に打つ。
推理将棋104-2 解答 担当 NAO ▲7六歩 △4二飛 ▲3三角不成 △5二玉 (条件) |
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香龍会の第300回を祝う記念対局は、会合の名称に因んだ「香・龍」配置に加え、飛成の"3"マス移動、飛成以外の成る手が先手"0"回、後手"0"回とやや強引気味の条件です。
"香龍"を縦に並べるのにはどうするか、意外に手数が掛かります。如何に短手数で"香龍"を並べつつ詰み形を築いていくかを鍵に手順を組み立てます。
- 11手目に「香・龍」配置を作る。
9手目に「香・龍」配置を作ることはどうやっても無理。龍頭の香を取らせる1手が入るため、先手が11手目に「香・龍」配置を作る必要がある。では、具体的にどう手を進めるのか。
- 香で飛を取る手順「▲96歩 △94歩 ▲95歩 △同歩 ▲同香 △92飛 ▲同香不成 △62玉 ▲96飛 △72玉 ▲93飛成 △92香」、
- 飛で香を取る手順「▲26歩 △24歩 ▲25歩 △同歩 ▲同飛 △14歩 ▲22飛成 △13香 ▲同龍 △XXX ▲12香 △同飛」、あるいは
「▲26歩 △94歩 ▲25歩 △95歩 ▲26飛 △96歩 ▲同飛 △93香 ▲同飛成 △62玉 ▲92香 △同飛」
いずれも11手目に「香・龍」をつくり12手目に香を取らせることはできても、あと1手では全く詰まない。このように先手陣の香か飛を活用する手順はいずれも失敗。そこで発想を転換し、後手の飛香を取る先手の手順を考えてみる。
- 飛香を取って打つ手順
先手の手順を整理すると、角が飛び出して飛を取るのに3手、飛打ち~飛成りに2手、香取りに1手、香打ちに1手、とどめに1手、各々要するので単純計算では合計8手かかり"13手詰の先手方7手"を手数超過する。そこで、飛成りの手で香を取って、"飛成り"と"香取り"を兼ねれば、先手方を7手で収めることができる:5手目"飛を取る"~7手目"飛を打つ"~9手目"飛が3マス動いて成り、香を取る"~11手目"龍頭に香を打つ"、この手順を目指す。
- 詰み形
飛を取るために敵陣に侵入した角と龍で詰む形、すなわち、52玉型に"42角+53龍"を目指す。53龍の前、飛が3マス移動して成るとき香が取れるよう後手方が協力する。
以上の整理から、詰手順を構築する。
- 玉に迫るため5手目42角不成で飛を取る。初手から「▲76歩 △42飛 ▲33角不成 △52玉 ▲42角不成」
- 後手は99の香を取って33への香打ちで協力。先手は36地点に飛を打ち、3マス移動して33に成る。6手目から「△99角不成 ▲36飛 △33香 ▲同飛成」
- 更に後手は43地点を空ける44歩突きで協力。11手目に『香・龍』配置が完成。
10手目から「△44歩 ▲32香」
- 香が取られた後、角龍で詰める典型の最終形に。12手目から「△32同銀 ▲53龍」まで。
それではみなさんの短評をどうぞ。
ほっと(作者) 「難易度的にはこっちの方が上級だと思うのですが。着手するマス目はおろか、着手する筋や段すら明かされていない。ヒントなしで解いた解答者の皆さんがどのような道筋で解いたのか興味があります。
難解な割に、11・12手目が詰みに関係なく、余詰のようにも見えるため、残念ながら解後感はあまり良くないと思われます。また、『(飛成以外の成る手は)先手が0回』の条件は、無くても恐らく余詰はありません。他の駒の成が含まれる筋を切り捨てることができるため、解図や検討が少し楽になっている、ということで許してください。m(_ _)m」
■香、龍、3、0、0を全部織り込んだ素晴らしい記念作品。難しいテーマを巧く昇華された創作力・検討力にも感心しました。通常作品のご投稿もお待ちしております。
山下誠 「香龍会300回おめでとうございます。飛車の打ち場所が意外と少なく、考え易い問題でした」
たくぼん 「香龍会300回開催おめでとうございます。香龍が見事に出現してお見事な祝賀詰」
斧間徳子 「純粋に条件と手順だけで評価すると今一の作品ですが、香龍会の300回記念にちなんだ作品となると傑作ですね」
加賀孝志 「香龍会300回おめでとう!ピッタリの作」
■香龍会の発足は昭和58年とのこと、継続は力なり。開催300回おめでとうございます。
はなさかしろう 「記念対局、面白いテーマでした。龍頭に自香を載せる形は最短10手、9手では無理?11手をいくつか試しているうちに、自然に手順が限定されて詰んでくれました」
渡辺 「強引ながら『香龍300』を条件に盛り込んだのは巧い。ところで『香龍』の作成(詰まなくて良い)は11手が最短でしょうか?」
■龍頭に自香を載せる形だけでも先手なら11手、後手なら10手が最短ですね。
10手目『香龍』を作成した後、12手詰もありそう。
占魚亭 「『飛車3マス移動で成』条件の確定がポイント。横移動が第一感でした(捻くれてるなぁ・笑)」
■2段目なら横移動しやすいが、2段龍の頭には香が打てませんね。
S.Kimura 「11手で詰むところを11手目と12手目をしなくてはならないのが気になりましたが,余詰を防ぎつつ香龍を出すためには仕方がないのでしょう」
飯山修 「無駄手のオンパレード。だけど面白い」
DD++ 「最終手の前2手が両方とも無駄手というのも珍しい。香龍会は距離的には十分参加可能圏内なんですが、日曜というのがなかなか難しい……」
■記念対局の趣向の実現と手順の限定に無駄手が巧くはまっています。
波多野賢太郎 「ノーヒントで解けましたが、かなり悩みました。後手から香を取るのが盲点でした。それにしても、よく創ったなあと思います」
小木敏弘 「詰みに関係ない香をめぐるやり取りが面白い」
■後手が取った香を打ち、その香を先手が取って打ち、更に後手が取り返す。33飛成以外は詰みと関係ない手順(36飛を56飛と打てば33飛成も不要)でした。
布哇斎 「たった13手で香車を取らせて打たせて取って打って取らせるまでできるというのが驚きです。おまけに飛車取りまであるとは。12手目で香車を取られる以上龍単騎がないのはわかっていましたが、10手目の4四歩がちょっとした盲点でした」
小山邦明 「先手の飛で後手の香を取る手順から考えましたが、後手が51玉の位置では詰みそうにないので、発想を切り替えたらうまくいきました」
Pontamon 「最短で香龍にするのはこの手順だと思いつつ、目前の香龍配置に気を取られたのか10手目が見えませんでした。自分にとっては上級より難しく感じました」
■42角不成の1手前の52玉、先手が香を打つ1手前の44歩、いずれも忙しい中の協力手ですね。
RINTARO 「難しかったです。ヒント見て解けました。条件が面白いです。香龍会って300回も行ってるんですか」
隅の老人B(無解) 「解けず、残念。解答発表を楽しみに待つ」
桝彰介(無解) 「龍頭香までの手順が分かりませんでした」
諏訪冬葉(無解) 「『香龍』と並べることはできたのですが、あと一手で詰ますことができないので投了します」
■追加ヒント後も飛成の着手地点が不明なところは難しかったようです。52玉+53龍の形まで示せば、正解者が増えたかも。
正解:17名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん 小木敏弘さん
小山邦明さん 占魚亭さん たくぼんさん DD++さん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん 布哇斎さん ほっとさん Pontamonさん 山下誠さん
RINTAROさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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